仁川大学校

【交換留学】

2023年度報告書

2023年3月~2023年12月

岡部 利奈(参加時3年生)

国際コミュニティ学部 国際政治学科

交換留学に参加したきっかけ

中学生の頃から韓国ドラマを観たりK-POPを聴いたりなど、韓国に興味を持つようになり、自然と韓国語を学ぶようになった。大学進学を考えると同時に、留学も視野に入れて考えていた。そして、大学1年生の時、夏休みに行われた啓明大学校のオンラインセミナーに参加した際、独学で勉強してきた韓国語をもっと本格的に学んで、身に付けたいと思うようになった。また、実際に韓国へ行って国際交流や韓国の文化などを自分の肌で実感したいと思い、韓国への交換留学を考えるようになった。

仁川広域市・仁川大学校について

仁川は韓国の首都ソウルに隣接する都市で、長年交通の拠点として栄えていた。人口は300万人で、広域市に認定されている。仁川大学校がある松島は、埋立地で韓国版シリコンバレーと呼ばれる情報産業団地も造成中である。

気候は、日本と同じ四季がある。夏は、日本と比べて日没が遅く、19時を過ぎても明るい。冬は、海が近いこともあって風が強く、12月以降は、最高気温が氷点下であることが多い。

仁川大学校は、1979年に設立された国立大学である。11学部あり、理系や文系の学部だけでなく、芸術や体育に関連する学部もある。キャンパスは、メインの松島キャンパスと教育学部や東北アジア経済通商学部、語学堂などがあるミチュホルキャンパスがある。

留学前の準備

交換留学が決まってすぐ、仁川大学校へ提出する書類を作成し、入学許可書を受け取った。入学許可書が無ければビザの手続きが行えないので、入学許可書をもらってすぐビザの申請を行った。ビザの書類を提出する際、証明写真の規定が厳しかったので必要書類の概要をしっかり読む必要がある。また、学内の寮を希望する際は、結核の検査が必要だったり、当時は入国の際にコロナワクチンの証明書も必要だったため、準備物が沢山あった。それから、携帯の契約を変更したり、eSIMの申し込みなども行った。

現地に着いてからの流れ

私は、授業が始まる1週間前に韓国に到着し、到着してすぐに生活用品を揃えたり、到着した次の日には履修登録をしたりした。学校が始まって最初にしたことは、韓国語のレベル分けテストである。このテストでは、筆記問題を解いたり、先生と面談を行ったりして自分のレベルに合った韓国語の授業を履修した。次に行ったことは、外国人登録証の申請である。5月の半ばに外国人登録証が発行されると、韓国内で電話が使えるようになり、ネットショッピングや出前が出来るようになったり、銀行で口座が作れるようになる。口座開設は必須ではないが、広島修道大学の学生は仁川大学校からの奨学金を受け取るために必要なので、必ず開設しなければならない。4月末には、保険の免除申請や健康診断が行われた。健康診断の結果は5月半ばに受け取った。

学外の寮について

私は、大学を出てすぐの場所にあるCOSTAYという寮に住んでいた。春学期は専用のカードを使って寮に入ったり、エレベーターの使用にも専用のカードを使ったりしなければならなかった。しかし、秋学期からは顔認証や指紋認証が導入され、カードは廃止された。建物の1・2階には、カフェや飲食店、コンビニなど様々なお店が入っていた。COSTAYのメインの建物の1・2階には、勉強スペースやキッチン、ジムなども備わっていた。地下には、コインランドリーがあり、洗濯機2,000ウォン、乾燥機3,000ウォンだった。また、1階にゴミ捨て場があり、しっかり分別しなければならなかった。部屋は、収納スペースが充実していたり、小さめの冷蔵庫があった。それから、床暖房が備わっていたり、二重窓であったため冬でも暖かかった。また、各階に休憩室が2つあり、キッチンや電子レンジ、ウォーターサーバーも備わっていた。

大学周辺には、ダイソーや大型スーパーがあったり、飲食店や映画館、カラオケボックスが集まっている場所もあったため、遠くに行かなくても充実した場所があった。

顔認証

部屋の様子

9階の休憩室

2階の様子

部屋の様子

9階の休憩室

2階の様子

その他の施設

9階の休憩室

治安・交通の便

仁川大学校周辺は、会社が多く、裕福な人が住んでいる地域なので治安は良い方だと思う。交通の便も良く、大学周辺にはバス停が5つぐらいあり、バスで地下鉄の駅まで行くことが出来るし、バスだけでソウル市内まで行くことも出来る。また、交通費も安く、ソウル市まで片道3,000ウォンだった。

バスはスピード重視の思考が強く、急発進・急停止する運転手が多いので乗車の際は気を付けなければならない。

年間スケジュール

2月 履修登録

3月 レベルテスト、寮費支払い

4月 外国人登録証(指紋登録)、中間試験、保険の免除申請、健康診断

5月 外国人登録証受け取り、学祭

6月 期末試験、夏季休暇(6/21~8/31)、Summer School(6/26~7/13)

8月 履修登録

9月 寮費支払い、旧正月(9/28-10/1)

10月 学祭、中間試験

12月 期末試験

授業について

・春学期

初回の授業でレベルテストを行い、1級から5級まである内の4級の授業を履修するよう指示があった。4級の授業は、文法やスピーキング重視で授業が行われていた。2人1組になって授業で習った文法を使い、会話文を作成し、発表するという作業が必ずあった。期末テストでは、それを活かして3分程度の会話を発表するというテストもあった。会話文は、授業外で作成しなければならなかったので、限られた時間の中で、ペアの中国人の友人と協力して沢山話し合いながら作成した。

4級の教科書

・秋学期

韓国語の授業では5級の授業を履修した。5級の授業では、文章量や単語量が4級と比べて圧倒的に多くなり、授業開始時に単語テストがあったため、きちんと予習する必要があった。教科書に出てきた文章も韓国の歴史や科学技術の内容が多く、少し難しかった。

5級の教科書

5級のworkbook

学校生活

・学校専用アプリ

仁川大学専用のアプリを入れると、時間割や成績を確認できるだけでなく、食堂のメニューやキャンパスの地図を検索できたりなど、様々な用途がある。図書館の出入りもアプリのバーコードを使うため、ダウンロードしておく必要がある。

・試験期間

試験期間中に、先着順で、学生証を提示すれば無料で食事が貰えるイベントがあった。私が参加した時は、トッポギとおでんを貰うことが出来た。

・学祭

学祭は、5月と10月に行われた。5月の学祭では、3日間にかけて開催され、出店やステージの出演者が豪華だった。出店は、サークルや学科ごとにブースを出しており、朝から夜まで楽しめるような構成になっていた。私も、日本について知ってもらうため日本のブースを出した。そこでは、日本の名所について説明したり日本のお菓子を配ったりして、学祭に訪れた様々な人と交流することが出来た。

10月の学祭は1日だけ開催され、ブースの数も少なく、5月と比べて落ち着いていた。

Summer School

これは、6月26日から7月6日までの約3週間行われた留学生対象のプログラムである。このプログラムは、韓国語と英語クラスがあり、クラス分けテストはなく、レベルが異なっても全員同じ教室で授業を受けた。私は韓国語の授業に参加し、韓国語のクラスは日本人が9割で、その他イタリア人、タイ人がいた。

月曜日から木曜日の9時半から14時までは韓国語の授業で、月曜日、水曜日の14時以降は英語クラスの人たちと合同で、文化体験の授業が行われた。文化体験の授業では、韓国伝統のカリグラフィー、韓国の舞踊、テコンドー、K-POPダンスを体験した。金曜日には、テーマパークに行ったり、韓服を着て街を散策したりなどした。また、留学生5人、韓国人1人(リーダー)の6人1組で行動することが多く、各グループのリーダーである韓国人は全員英語が出来るため、グループに韓国語が分からない人が居たら、英語で説明していた。

授業では、韓国の食文化やドラマなどについて勉強した。授業は初級レベルで、私には簡単であったが、クラスの他の学生に文法や言い換えについて教えてあげていたため、簡単な韓国語で説明することが意外と難しかったりなど、新しいことを発見できた良い機会になった。

韓国語の授業

カリグラフィー体験

仁川大学校が紹介してくれたイベント

仁川大学校の国際交流院の方からイベントに関するメールが定期的に届いていた。仁川広域市で行われたK-POPのコンサートやイベントへの参加、文化体験、遊園地の招待などである。このイベントは交換留学生であれば誰でも無料で参加でき、メールに添付されているGoogleフォームを送信すれば参加することが出来る。

K-POPコンサート 

仁川で行われた祭り

休日の過ごし方

休日は、ソウルに行くことが多かった。バディとは、1ヶ月に1回程度の頻度で会い、お花見や遊園地に行ったりした。11月には友人たちと一緒に釜山旅行をした。

釜山旅行

遊園地

景福宮

費用

航空券: 4.5万円

海外旅行保険、OSSMA: 10万円

寮費(3月~8月:30万円、9月~12月:35万円):65万円

生活費: 60万円

eSIM(携帯通信費): 5万円

教材:3万円

Summer School: 3万円

+α(旅行、公演、お土産、etc)

 合計 約160万円

留学を終えて感じたこと

留学を終えて最も印象に残っていることは、2つある。

1つ目は、国際交流である。韓国人を始めとした多くの国の人に出会い、交流したことで、固定概念にとらわれず、視野を広げ、多角的な視点から物事を捉えられるようになったと思う。また、韓国語の授業では様々な国からの留学生がいたので、授業内で自国の観光地などを紹介したこともあり、今まで興味のなかった国に対しても興味を持つようになったし、日本に行きたいと言ってくれる友人もいて良い交流の場になった。また、共通言語が韓国語しかないので、相手が言いたいことを理解したり、自分が伝えたいことを諦めず伝える力も身についたと思う。

2つ目は、自分との向き合い方である。日本にいた時は、実家暮らしだったこともあり、何かあれば親や兄妹に頼りがちだった。しかし、韓国では全て自分で解決しなければならないので、海外で生活する中で、自分は何が苦手で、何を得意とするのか、何をしている時が幸せなのか、自分の機嫌の取り方など、自分について考えたり、自分を見つめ直すことが出来た良い機会になったし、責任感も強くなったと思う。

気をつけること

韓国留学にあたって気をつけることは、クレジットカードやデビットカードは2枚以上持参することである。カード社会が一般化された韓国では、海外のカードが狙われやすく、情報を盗まれるケースが多発している。不正利用が発覚すると、カードの利用を停止され、カードの再発行を行わなければならず、不正利用があったカードは使えなくなる。カードしか使えないお店もあるため、1枚しか持参しなかった場合、生活に困ってしまう。そのため、日本から持っていくクレジットカードは2枚以上ある方が良いのではないかと思った。しかし、寮のコインランドリーでは現金しか使えなかったため、現金も必要な時がある。

それから、何事も計画を立てたり、細かいところまでしっかり調べることも大事だと感じた。私は、韓国語能力試験に申請する際、しっかり調べていなかったため、上手く申請できなかったことがあるので、事前にしっかり調べておけば良かったと思った。その他にも、出入国の際に必要な書類などを調べておく必要がある。

これから参加する人へ

海外での長期滞在に対して不安な人も居ると思うが、日本では経験することの出来ない貴重な経験が出来るため、少しでも留学について考えている人は、ぜひ検討してほしい。特に韓国は、日本と似ている部分が多いため、あまり抵抗なく生活できると思う。また、留学はあっという間に終わってしまうので、計画を立てて、勉強はもちろん、興味のあることや行ってみたい所、やってみたいことは、すぐに行動に移して、悔いのない留学生活を送って欲しい。

過去の体験記はこちら

2023年度(3月~7月)

2022年度

2018年度