関于抗戦時期“偽銀行”的通信 

―加藤正宏先生

 戴建兵

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 2000年9月号の『収集』の「中国紙幣レポート④ 外国銀行紙幣」で、私(加藤正宏)は戴建兵著『中国近代紙幣』に記載された偽満洲銀行紙幣、偽中国聯合準備銀行紙幣など、「偽」の使い方について、半植民地化した地域で発行された英米露などの銀行の紙幣に「偽」が使われていないことを挙げて、「この『偽』とそうでない銀行とに区別する線引きには、小生は多少疑問を抱いている」と記述した。 これに対する、戴建兵氏の答えが、この『中国銭幣』2000/1の「関于抗戦時期“偽銀行”的通信 ―加藤正宏先生」であった。この小論は、直には胡朔民氏が、『収集』記載の加藤の記事を見逃せず、戴建兵氏に手紙を出し、戴建兵氏がこの問題に更に詳しい説明をして、はっきりと「偽」の使い方を明確にさせて、加藤の疑問を解消させようとしたものであった。胡朔民氏から戴建兵氏には『収集』の号数が誤り伝えられたようだが・・・・。 胡朔民氏も戴建兵氏も、歴史的に「偽」は「正統」に相対する語句であると中国での使い方を主張している。 戴建兵氏は正統でない政権下で創られた銀行で発行された紙幣が「偽幣」と呼ばれるようになり、本来の偽造紙幣は「假幣」として区別して呼称されるようになったと指摘している。「偽」というと、偽造というイメージが日本では付いてまわるから、やはり日本とは違ったイメージで使われていたことは理解できた。 ところで、中国では伝統的に相対して使われてきたとする「正統と偽」だが、「正統」そのものが不正確な詞のように私には思われる。勝てば官軍と言われるが、もし汪兆銘が政権握っていれば、「正統と偽」が逆転するのではなかろうか。汪政府の下、発行された中国銀行や交通銀行の紙幣も偽幣と戴建兵氏は言っているが・・・・。