元々建築には興味があったんです。建てるならコンクリートの打ちっ放しの家がいいなと思っていました。
シンプルでモダン、自由な間取りとムダを省いた中にも機能的でオシャレな空間が広がる家…。
しかし、ある一冊の本との出会いが僕の家に対する考え方をガラリと変えてしまったのです。
5年前のある日、名護市の中央図書館で偶然手にした本…
それは、建築家の伊礼智さんが書いた『オキナワの家』でした。
一見して絵本のようなこの本は、沖縄の伝統的な木造住宅、いわゆる古民家の特徴がイラスト入りでわかりやすく書かれています。
典型的な間取りが東側から一番座(客間)、二番座(仏間)、三番座、台所となっている事。
軒が低く突き出した『雨端』と呼ばれる軒下空間が、雨が室内に入る事を防ぐ他、夏の強烈な日差しを部屋の内部まで入り込むのを防ぐ事。
釘を一切使わずに、柱と梁を組むだけのヌチジャー(貫木屋)と呼ばれる軸組でできた家である事。
目隠しと魔除けを兼ねたヒンプン(屏風)という衝立のような壁がスージ(路地)と屋敷の間にある事。
台所には火の神(ヒノカン・ヒヌカン)がいる事。
家を守るシーサーは屋根をふいた職人さんが余った瓦と漆喰で作っていた事。
フクギという樹木が強い風と日差しを防ぐために屋敷をぐるりと囲い込み、家が守られている事。
などなど…。
沖縄特有の気候、風土、宗教観や文化とそこに暮らす人々との関わりが古民家によって感じる事ができます。
この本に触れて、
家というものは、その土地で暮らす人々の生き方そのものである事を思い知ったのです。
古民家の魅力に惹かれてから、その後古民家の建築が始まるまでに5年以上の月日がかかってしまう事など、その頃の僕は予想すらしていませんでした。
つづく…