2025年10月15日
ID定例ゼミ
ID定例ゼミ
日時:2025年10月15日(水)11:00-11:40
会場:オンライン(Zoom)
参加者数:9名
発表者:石田 百合子
テーマ:Project-Based Learning(PBL)における教師の専門能力開発
紹介した論文:Farrow, J., Kavanagh, S. S., & Samudra, P. (2022). Exploring Relationships between Professional Development and Teachers’ Enactments of Project-Based Learning. Education Sciences, 12(4), 282.
https://doi.org/10.3390/educsci12040282
第33回のテーマは「Project-Based Learning(PBL)における教師の専門能力開発」です。現在、PBLに関するFDプログラムを開発しているのですが、色々難しいなと思うところがあり、また研修の効果をどう測定したらいいのだろうかという想いから、このテーマを取り上げることにしました。
本論文では、PBLに関する専門能力開発(Professional Development: PD)の経験が、教師のPBLの中核的な指導実践にどのような影響を与えているか、教師へのアンケート調査およびPBL実践を記録したビデオ分析を行うことで検討しています。
調査分析で用いられた項目は、Grossman et al.(2019)が特定した5つのPBLのゴール(プロジェクト志向、学問分野的、協働、真正性、反復的な学習過程)に対応する教師の実践11項目です。教師のPBL実践とPBLに関するPD経験との関係は、11項目の教師実践のうち、PBLに関するPD経験ありの教員は、経験なしの教員と比較し、4項目において有意に優れた成績をあげていました。またそのうち、3項目はPBLの中核である目的主導の目標ではなく、構造主導の目標に関連していました。
参加者とのディスカッションでは、Problem-Based LearningでもPDを行っているが、体系的にやるのは難しい、教師の専門領域の違いをどう扱うか、本論文では教育の公平性推進のために、生徒のPBLへアクセス機会の拡大が重要と言っているが、PBLの実施が格差を生んでいるといった論文もあり、その解釈の違いが面白いという意見が挙げられました。また今回初めて参加された方からは、今後の授業をするうえで参考にしたいといったご意見もいただきました。
詳細は勉強会のレジュメをご参照ください。