2025年04月23日
ID定例ゼミ
ID定例ゼミ
日時:2025年4月23日(水)12:00-12:30
会場:オンライン(Zoom)
参加者数:8名
発表者:甲斐 晶子
テーマ:AIチャットボットで言語学習ができるってぇなら、先生は何したらいいんだい?
紹介した論文:Li, Y., Zhou, X., & Chiu, T. K. F. (2024) Systematics review on artificial intelligence chatbots and ChatGPT for language learning and research from self-determination theory (SDT): What are the roles of teachers? Interactive Learning Environments, 1–15.
2025年度初回のゼミは、「AIチャットボットを用いた言語学習における教師の役割」をテーマとし、自己決定理論(SDT)の観点からAIチャットボットを活用した言語学習における教師の役割を考察したレビュー論文を紹介しました。本論文は、英語教育におけるチャットボット研究が増える中で、教師の役割に焦点を当てた視点が不足している現状を踏まえ、効果的な学習支援策をSDTの観点やTPACKのフレームを通して考察することを目的としています。分析結果にはいくつかの矛盾点も見受けられましたが、主な結果として、教師の役割が「先行知識の提示者」「設計者」「促進者」「評価者」「リソース提供者」の5つに分類できること、これらの役割が学習者の自律性、有能感、関係性といったSDTのニーズにどのように影響するかが考察されており、また、チャットボットの技術的限界や学生による不適切な利用といった課題についても論じられていました。
その後の質疑応答や議論では、教師向けの「プロンプトの書き方」に関するトレーニングやリソースの不足という具体的な課題や、AIの潜在能力を最大限に引き出すための技術的知識に加え、教育工学の視点や学習設計に関する知識の重要性、チャットボットの技術的限界(信頼性の低さ、個別化の不足など) に対して教員がどのように補うべきか、そして学生の自律性を育むためのチャットボット活用の「誘導のさじ加減」 といった、TPACKの各要素やその統合に関わる具体的な論点が共有されました。
文責:甲斐 晶子
詳細は勉強会のレジュメをご参照ください。