2024年10月29日
ID定例ゼミ
ID定例ゼミ
日時:2024年10月29日(火)13:00-13:40
会場:オンライン(Zoom)
参加者数:7名
発表者:石田百合子
テーマ:教師のリフレクション
紹介した論文:Korthagen, F. (2017) Inconvenient truths about teacher learning: towards professional development3.0.,Teacher and Teaching, 23(4), 387-405.
https://www.researchgate.net/publication/305788777_Inconvenient_truths_about_teacher_learning_towards_professional_development_30
第24回のテーマは「教師のリフレクション」です。以前、PBL授業をされている先生に、授業で工夫されていることをインタビューした際、学生のふり返りシートにご自身のふり返りを記述しているというお話をうかがったのが大変印象的で、このテーマを取り上げることにしました。
まず本論文では、教師の学習に関する研究がほとんど行われてこなかったことを指摘し、理論から実践へのアプローチ(教授と学習に関する理論を教師に提示し、その理論に合致した教師の行動が促進されることを期待する戦略=専門能力開発1.0)への批判から始まります。そして、指導中の教師の行動は、理論や思考よりも、教師の中にある認知的、感情的、動機づけ的な源が複雑に組み合わさった結果で、暗黙的であると、著者は述べています。
文献のタイトルにある「教師の専門能力開発3.0」とは、実践と理論を統合しようとする試みを指しています。著者が開発した、行為と省察のプロセスを5つにわけた「ALACTモデル」と「8つの問い」を示したうえで、専門性の向上に役立つ「意味志向の内省」を促すものとして、同じく著者によるタマネギモデルが説明されていました。
参加者とのディスカッションでは、特に初等中等教育の先生や塾の先生は、日々、時間に追われてなかなかふり返る時間がないので、効率的にふり返ることができるツールがあるとよい、FD研修やコンサルテーションでは、教員の教育観や学習観を確認する問いを入れているといったコメントや、まず自分自身のことを知らないと、適切な授業のふり返りをするのは難しいのかもしれないといった意見が挙げられました。
文責:第24回担当 石田百合子
詳細は勉強会のレジュメをご参照ください。