●2002/5/15
これは当時の旅の記録であり、現在の旅情報としては利用できません。
北西のテント形マーク(ヒルサ)から、南東の家形マーク(ヤリ)まで、朱色のライン。
ナラ・レグナ越え、Google Earth Pro による3Ð画像と標高・行程のプロファイル。
プロファイル左端がヒルサ幕営地で、3Ð画像の旗マークに赤い印が付いた所が峠の最高高度地点4,588m。
プロファイル右端がヤリの宿泊民家。
■参照画像 S1:バター茶とツァンパをご馳走に
●行動記録
バター茶とツァンパ (S1参照)ヒルサ出発前の朝、橋を渡って来たので、たぶんシェラの村からだと思います。
羊を放牧に連れて来た女性二人から、妻だけがバター茶とツァンパをご馳走になる。
同性であることは安心感を与えるようです。
妻を手招きしてくれました。
少し砂糖も入れて、なかなか美味しかったそうです。
地元民の越境 ふと気になったのは、放牧のため地元民が国境通過するのは、問題にならないのでしょうか。
ヒルサの放牧地はシェラ村の住民以外は、遠くて利用しづらいと思います。
ネパール側の村が峠を越えて利用するとは考えづらい。
当時、この辺のチベッタンにとっては、中国もネパールも一続きの大地という認識です。
しかし、この素朴な往来も今では様子が変わってしまったようで、2020年代の公開報道では、中国側の国境管理強化により、地元民の越境が、以前より厳しく制限されているようです。
R氏はヤリ村へポーター集め ネパール・シェルパR氏はなかなか戻って来ません。
今日中に戻ってくるとは思うのですが、帰りの航空便に間に合わせるためには、余りのんびりできない。
時刻は10時50分。
旅友T君と私の2人は、非常食・寝袋など最低限の荷物を持って、先行することに決めました。
■参照画像 S2:峠はまだはるか先だ
峠はまだ遠く、急登が始まる (S2参照)川は山奥から流れ出てくるもの、という常識的風景を覆して、カルナリ河がヒマラヤ山中へ向かうのは、ヒマラヤの激しい隆起に打ち勝って浸食した結果です。
道はカルナリ河を離れて一気に駆け上がります。
ナラ・レグナ「Nara Lagna Pass」は、はるか先です。
5人のポーターを引き連れて、急斜面を駆け下るネパール・シェルパR氏の姿が見えた。
最初の急登が終わり尾根の上に出たところで、幕営地撤収後、追いかけてきた彼らと合流しました。
村人の重労働 登りの途中、ネパール側から数人の地元民が、粗削りした四寸角ほどの柱材をロープで縛り、そのロープを額に当て柱を背負って下ってきました。
おそらく交代しながら担ぐのでしょう。
彼らは体脂肪少なく筋肉質ですが、体格は小さくどこか、か細いようにも見えます。
チベット域には樹木が少なく、ネパール側の森林資源には相応の需要があるのだと思います。
それにしても、あの重労働は見ているだけで息が詰まりそうです。
■参照画像 S3:斜面を振り返って見る
急斜面で支えられた一瞬 (S3参照)急傾斜をやっとの思いで登ると、目の前には気の遠くなる、長大なトラバースが、続いている。
そのトラバースの次はまた急登が続く。
【注】後年妻の語るところによれば。
折りたたみは右端の「∨/∧」で開閉できます。
それぞれ自分のペースで歩いていたため、互いの間隔は10mほど開いていたと思う。
峠の手前北斜面には、堅雪の急斜面となっている個所がある。
ネパール・シェルパS氏は、最後尾を歩く妻のすぐ後につき注意を怠らない。
妻は雪面で足を取られて転倒し、一瞬ヒヤリとする場面があったという。
しかしS氏は素早く腕を伸ばし、妻をしっかりと掴んで事なきを得たそうだ。
さすが登山のプロである。
各自の状態を見極め、適切な位置で機敏にフォローする姿は、まさにシェルパの面目躍如である。
峠のサクラソウ ナラ・レグナ(峠)「Nara Lagna Pass」(4,570m)⟦4,550m⟧ ⟪4,617m⟫に着いた時、そこは雲の中で霧雨。
残念ながら展望はきかない。
すでに日没まぎわ、GPSの液晶画面も薄闇で見づらい。
近くの砂礫地には、草丈十数㎝で花冠も大きく、見ごたえのする、赤紫色のサクラソウの一種がありましたが、この環境ではもはや画像に収めることは出来ない。
サクラソウ好きの友人K氏に、写真を土産にできなかったのが残念です。
もう疲れてカメラを取り出す気力もありません。
峠を下ってヤリ村へ すでに日は落ち、暗闇が迫っています。
ヘッドランプで足場の悪い山道を照らしながら進みます。
不思議なことに、ネパール・シェルパ達はかなり夜目が利くようです。
ネパール側最奥の一軒家(シップシプ?)にPM8:00着、人家の灯でほっとします。
すでにあたりは真っ暗になっていた。
ここでもう少し休憩したかったのですが、ゆっくり休む間もなくさらに闇夜の中を下ります。
疲れていた私は、家畜小屋でもかまわぬ、ここで泊まりたい、そう思いました。
ヤリ「Yari/यारी」の村に着いたのは9:30、これだけ歩いたのは久しぶりで、さすがにこたえた。
この夜はヤリの民家の二階に泊めてもらった。
泊まった部屋には、見たこともない巨大な“うちわ太鼓”と“?形”の湾曲したバチが置いてあり、特別な行事で使うものなのだろう。
あの太鼓が鳴り響く祭日を、いつか見てみたいと思った。
けれど、望んだところで、この地を再び訪れることは、おそらく叶わぬ願いなのだろう。
階下の居間にはソーラーパネルによる照明が灯り、日用品の多くは、距離的に近い中国から運ばれてきた物資のようだった。
R氏の働きに感謝 この日は、ネパール・シェルパR氏が大活躍でした。
昨日は朝からヒルサ→ナラ・レグナ→ヤリと越えて、ポーター募集。
今日はそのポーターたちを引き連れ、ヤリ→ナラ・レグナ→ヒルサへ下る。
さらに幕営地を撤収し、ヒルサ→ナラ・レグナ→ヤリと、一日に二度も峠を越える行程でした。
午前中、ヒルサに下る彼とすれ違っていますから、昨晩充分な睡眠も取れていないはずです。
■参照画像 S4:妻、T君、私、手前シェルパR氏
(S4参照)疲れているだろうに、私たちのために夕食の支度まで整えてくれた。
相応しいねぎらいの言葉が、思い浮かびませんでした。
◉ナラ・レグナGPS測定値
(30 08 18.4N 81 22 43.5E)標高⟦4,550m⟧ ⟪4,617m⟫ Google Earth Pro 読み取り4,588m
旧道(トレイル)本来の峠 最高高度到達地点 での測定。
※Googleマップの「Nara Lagna Pass」の登録地は旧道の峠よりネパール側へ下り、約700m南東に表示されている。
◉ヤリ村宿泊民家GPS測定値
(30 06 36.9N 81 25 50.1E)標高⟦3,710m⟧
※( )括弧内座標値コピペでGoogleマップ検索できる。
※測地系はGoogleマップと同じWGS84適用、標高は国内のテストで±30~50mの誤差があった。
★今日のクチコミ地
ネパールのヤリ・バザール=
※検索済みクチコミ地は星印などのリスト保存で迷子防止。
★次の地点
★前のクチコミ地
ネパールのヒルサ
【Hilsa-Karnali Suspension Bridge】
【注】ナラ・レグナを越えてシミコットへ延びるオフロードが、現在のGoogleマップで確認できる。
この中国側の道路建設について、ネパール側は辺境開発の協力として、歓迎していると報じられている。
■参照画像
S1:バター茶とツァンパをご馳走に
S2:峠はまだはるか先だ
S3:斜面を振り返って見る
S4:妻、T君、私、手前シェルパR氏
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本日は5/15