3.エッセイ・ノンフィクション・解説・歌詞

『家族の標本』

朝日新聞社、1995年5月1日

朝日文芸文庫、1997年8月15日 巻末エッセイ・久世光彦

角川文庫、1998年4月25日 解説・渡辺真理

ベストセラーズ、2018年6月30日 解説・小山田浩子

『家族の標本』について


『柳美里の「自殺」』

河出書房新社、1995年6月

文春文庫、1999年12月10日 解説・原一男(文庫化に際し加筆・『自殺』と改題)

『自殺』について


『私語辞典』

朝日新聞社、1996年5月

角川文庫、1999年10月25日 解説・テリー伊藤

『私語辞典』について


『窓のある書店から』

角川春樹事務所、1996年12月

ハルキ文庫、1999年5月18日 解説・川本三郎

ハルキ文庫、2021年8月18日 解説・川本三郎(新版)

『窓のある書店から』について

『新版 窓のある書店から』について



『水辺のゆりかご』

角川書店、1997年2月10日

角川文庫、1999年6月25日 解説・林真理子

ベストセラーズ、2018年6月30日 解説・小山田浩子

『水辺のゆりかご』について


『NOW and THEN 柳美里──柳美里による全作品解説+51の質問』

角川書店、1997年7月31日

『NOW and THEN』について


『仮面の国』

新潮社、1998年4月25日

新潮文庫、2000年5月1日 解説・櫻井よしこ

『仮面の国』について


『言葉のレッスン』

朝日新聞社、1998年7月

角川文庫、2001年6月25日 解説・俵万智

『言葉のレッスン』について


『魚が見た夢』

新潮社、2000年10月

新潮文庫、2003年4月1日 解説・後藤繁雄

『魚が見た夢』について


『言葉は静かに踊る』

新潮社、2001年3月5日

新潮文庫、2004年1月1日 解説・坪内祐三

『言葉は静かに踊る』について


『世界のひびわれと魂の空白を』

新潮社、2001年9月25日

『世界のひびわれと魂の空白を』について


『交換日記』

新潮社、2003年8月30日

(2001年11月20日から2002年12月30日までの「交換日記」、「Dear You(あとがきにかえて)」を収録)

(単行本 装丁・装画:仲條正義)


『名づけえぬものに触れて』

日経BP社、2007年7月9日

(2004年1月7日から2005年7月7日までのブログ、「まえがき」、エッセイ「ネットは感情を暴発させる『お祭り』のための場」「わたしは『名づけえぬ』ひとたちと交感しつづける」、榎本正樹による『解説』を収録)

(単行本 デザイン:帆足英里子、プロデューサー:栗本知樹)


『柳美里不幸全記録』

新潮社、2007年11月30日

(2001年11月20日から2006年4月6日までの「交換日記」、「あとがき」「年表」を収録。ただし、第1章から第6章までの記述は『交換日記』に収録されたものを再録)

『柳美里不幸全記録』について


『NHK知るを楽しむ私のこだわり人物伝
 色川武大 穏やかにアウトロー』

NHK出版、2008年2月

エッセイ「私のこだわり宣言 かくあらねばならぬ生」

第1回 闇を照らす闇

寺田博「『狂人日記』のころ」

第2回 父という名の屈託

第3回 不良のアイドル【対談】柳美里×井上陽水

第4回 ノーと言えない男【対談】柳美里×色川孝子

色川孝子「二十年目の武ちゃんへ」


『ピョンヤンの夏休み わたしが見た「北朝鮮」』

講談社、2011年12月19日

『ピョンヤンの夏休み わたしが見た「北朝鮮」』について

メールインタビュー


『ファミリー・シークレット』

講談社、2010年4月30日

講談社文庫、2013年3月15日 解説・野村進

『ファミリー・シークレット』について

第32回「講談社ノンフィクション賞」選考会の様子 『G2 vol.5』(講談社、2010年9月)掲載


『貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記』

双葉社、2015年4月1日

『貧乏の神様』について


『人生にはやらなくていいことがある』

ベスト新書(KKベストセラーズ)、2016年12月20日

『人生にはやらなくていいことがある』について


国家への道順

河出書房新社、2017年10月30日

『国家への道順』について


春の消息(佐藤弘夫・宍戸清孝・共著)

第三文明社、2017年12月1日

『春の消息』について


『南相馬メドレー』

第三文明社、2020年2月

『南相馬メドレー』について


『警戒区域(仮)』

第1回:『G2 vol.9』(講談社、2012年1月)

「note」にて公開中

第2回:『G2 vol.11』(講談社、2012年9月)

第3回:『G2 vol.13』(講談社、2013年5月)

「警戒区域」を読むための全体図(試作品)

https://www.google.com/maps/d/u/1/edit?mid=1bXbePBAiYbsVq3Dm6LTV_yTXPpw


■■ アンソロジー ■■

「私と司馬さん」

『週刊朝日MOOK 週刊 司馬遼太郎III』

(『週刊朝日』2007年10月12日)


「私のエハラ体験」

江原啓之『もっと深くスピリチュアルを知るために』新潮文庫、2007年12月


「いじめられっ子だった少女時代。本が唯一の救いだった」

『日経Kids+ みーんなダメな子だった』日経ホームマガジン、2007年12月


「アイゴー、チュッケッタ」

『とっさの方言』ポプラ文庫、2012年8月


「心の中に流れ続ける暗い川・横浜市黄金町」

毎日新聞夕刊編集部編『私だけのふるさと 作家たちの原風景』岩波書店、2013年3月


「溝口健二『西鶴一代女』」

『観ずに死ねるか!傑作絶望シネマ88』鉄人社、2015年6月


「今日の宿題」

Rethink Books・編『今日の宿題』NUMABOOKS、2017年5月24日


「南相馬からみた震災」

東北学院大学地域共生推進機構・編『東北学院大学地域共生推進機構連続講座 「震災と文学」 講義録』荒蝦夷、2018年3月

ISBN 9784904863596


「 」

河出書房新社・編『温泉天国』河出書房新社、2017年12月22日

(単行本掲載に際し加筆・修正)


「」

東日本国際大学・編『東日本国際大学講演集II 人間力を磨く論創社 、2018年4月5日


『パンデミック日記』新潮社、2021年6月24日


■■ 解説 ■■

※以前の解説はエッセイ集『言葉は静かに踊る』に収録されています。

https://sites.google.com/site/yumiri19680622/言葉は静かに踊る

美内すずえ『ガラスの仮面22 紅天女(3)』白水社文庫、1995年9月

・「『ガラスの仮面』の演技論――生命の根源に向かって」

福田和也『日本人の目玉』ちくま学芸文庫、2005年6月

阿佐田哲也『麻雀放浪記4 番外篇』文春文庫、2007年11月

前田司郎『愛でもない青春でもない旅立たない』講談社文庫、2009年10月

岡村靖幸『yellow』ソニー・ミュージック、2012年(再発盤、ライナーノーツ)

和合亮一『現代詩文庫 続・和合亮一詩集』思潮社、2018年8月

土方正志『瓦礫から本を生む』河出文庫、2020年2月


■■ 帯文・コメント ■■

ひと晩中、鳥肌と涙が止められなかった/あまりにも残酷で救いがない物語だと思うひともいるだろうが、
わたしはこの映画を観て、これほど希望を与えられたことはない

ラース・フォン・トリアー『ダンサー・イン・ザ・ダーク』アーティストハウス、2000年12月



声のふるえ、息のにおい……
すぐ目の前に唇を差し出され、ドキッ!
文章でこれをやるのはちょっとスゴイ

佐藤江梨子『気遣い喫茶』扶桑社、2003年9月



二人の間だけに流れる季節が、美しい。
愛し合う二人の息に 耳を澄ますしかない純愛映画

キム・ギドク『ブレス』2007年公開



整形手術という現代的なテーマに、生き変わり死に変わっても巡り会う輪廻転生という普遍的なテーマを宿らせた、
キム・ギドク監督の到達点に目を見張った

キム・ギドク『絶対の愛』2007年公開
http://zettai.s249.xrea.com/message/index.html



冒頭から痛覚が刺激されるシーンの連続なのだが、物語が進むにつれ、痛点が肉体から心に移り、「愛」という波風が立つ。
そして、痛みが極まった瞬間、痛みの中から「尊厳」が立ち現れる。
残酷かつ静謐で、この上もなく美しいラストシーンの遠景を見たとき、頭の中に「ピエタ」というタイトルが浮かんだ。
この映画は紛れもなく、痛みによる贖罪と救済の福音である。

キム・ギドク『嘆きのピエタ』2012年公開
http://www.u-picc.com/pieta/cast.html



生だけではなく死をも奪われてしまった主人公の、声なき絶叫が溶けている映像作品。
私は、渦のような痛みと美しさに引き込まれた。
逢いたくても逢えない人がいる人、帰りたくても帰れない場所がある人に見て欲しい。

バフマン・ゴバディ『サイの季節』2012年公開
http://rhinoseason-espacesarou.com/about.php



6年前にDUTY FREE SHOPP.(知花竜海)とカクマクシャカの「民のドミノ」を聴いた時、
理不尽としか言いようのない沖縄の現実に対する、叫びという叫びが封じ込められた沈黙から、
怒号の礫をつかみだして投げ付けるようなヒップホップの言葉とビートに衝撃を受けた。

知花竜海の1stソロアルバム『新しい世界』で歌われているのは、
たとえば、どこにでもある「かとりせんこう」だったりするのだが、日本地図を指差して沖縄を
俯瞰した気になっている本土の人間に、もうすぐ燃え尽きそうな「かとりせんこう」の匂いと共に、
落日の色に染まっていく沖縄の空と海を見せてくれる。

聴くひとの心をたゆたって感情のしこりをほどき、優しさや信頼というようなものを象って、
再びたゆたう知花竜海の歌が、うつむくひとの心に流れますように――。

知花竜海『新しい世界』2012年



他者の苦痛に近づけるのも、他者の苦痛から遠ざけるのも「眼差し」だということを、
ムンジウの映画を観るたびに感じる。映像の眼差しによって、生きること死ぬことそのものに
触れられるのは、小津安二郎、テオ・アンゲロプロス、イングマール・ベルイマン、そして、
クリスティアン・ムンジウ、恐るべき才能だ。

クリスティアン・ムンジウ『汚れなき祈り』2013年公開
http://www.magichour.co.jp/kegarenaki/intro-story.html



人との関係の絶望的な隔たりと、隔たりの向こうから聴こえる声
読みながら、耳を塞ぎたいのに耳を澄ましてしまう
地震が過去をも揺さぶって、時間がこみ上げてくる

岡映里『境界の町で』リトル・モア、2014年4月
http://www.littlemore.co.jp/store/products/detail.php?product_id=888



みうらひろこさんの詩は、言葉を失うような悲しみ、怒りの最中で、その状況を言葉でなぞっているのではない。
娘さん夫妻を相次ぐ事故で亡くされても、原発事故によって住み慣れた場所から隔てられても、生きることを
放棄しない以上、そこに待ち受けているのは、日常である。痛苦に支配されると、視野が狭まるものだが、
『渚の午後』の中の日常の状景は、水をたっぷり含ませた筆で描いた水彩画のような広がりがある

みうらひろこ『渚の午後 ふくしま浜通りから』コールサック社、2015年8月
http://www.coal-sack.com/syosekis/渚の午後



『土徳流離』を観ると、故郷喪失者の、故郷に対する心情の磁場を感じることができる。
大きな被害に遇った土地を故郷に持つ人間が、故郷の死者と共に流転し蘇生して生きる物語が映し出されているのだ。

青原さとし『土徳流離』2016年公開
http://ryuri.dotoku.net/



私たち人間の生きる歓びは、性であれ、友情であれ、子育てであれ、他者からの働きかけによってもたらされる。
自己が揺さぶられるのが感動であり快楽である。他者からの働きかけが度を越し、全てを破壊してしまう瞬間を、
深田晃司監督は、二人の登場人物に赤い服を着せることによって見事に描き出した。 映画を観ていて、
こんなに心拍が激しくなったことはない。残酷で、鮮明で、静かな映画だ

深田晃司『淵に立つ』2016年公開
http://fuchi-movie.com/



子どもは、いつも目の前に存在するものに対する驚きの感覚で漲っている。見るもの全てが新しく、
見ること全てが冒険である。大人になるに従って、全てを当たり前のように受け容れ、驚きの感覚が
萎んでいく。『昆虫の家』には、藪の中で、土の中で、空中で、心の中で呼び交わされる無数の声が交響している。
その声が奪われる瞬間の息を呑むような驚きと、驚きの後にひたひたと訪れる謐けさの中から、
根本昌幸の詩は生まれる。にぎやかで無口な、おかしくて悲しい詩の群れである

根本昌幸『昆虫の家』コールサック社、2017年6月
http://www.coal-sack.com/syosekis/昆虫の家



小川真利枝は、辿る道も無ければ行き着く場所も定まらない、亡命者の幾たびもの旅立ちと別れの瞬間に密着している。
その苦しみと悲しみを描きながら、決して暗い作品になっていないのは、日々の暮らしの中にあるささやかな幸せや
歓びの生地を丹念に描いているからである。
小川は、ラモツォという1人の妻であり母親の存在を明るみに立たせることによって、わたしたちに「国家とは何か?」
という大きな問いを投げ掛ける。
観るものの良心を眠らせることを許さない映画である。

小川真利枝『ラモツォの亡命ノート』2017年公開
https://www.facebook.com/lhamotso2017/



「復興なんて中退してしまえばいい!」
小松理虔は、「復興」という大車輪で「被災地」の掛け替えのないものが踏み荒らされていく様を、
論理と実証によって明るみに出し、復興からの転回と再出発への道筋を試行(思想)する。
小松が理想とするのは、異なる意見を持つ他者を排除して「仲間同士」で濃縮するのではなく、
積極的に異と他を招き入れ、食や祭や芸術によって共歓する場を創り出す地域社会である。
いままさに、転流時である。 『新復興論』を読んで、潮目を見定めてほしい。

小松理虔『新復興論』ゲンロン、2018年9月
https://genron.co.jp/books/shinfukkou/



根本昌幸さんは、不慮の事故によって娘夫婦を亡くし、
原発事故によって故郷浪江を追われ、70代で高校生の孫を
育てている。それでも、『桜の季節』は、不幸せではなく、
幸せについての詩集である。根本さんの書く幸せは、見る、
聴く、働く、食べる、飲む、育てる、話す、交わる、懐かしむ、
出会う、別れる、悲しむ、苦しむ、秘める、思う、願う、
祈る――、生を満たす様々な行為と出来事の全てである。

根本昌幸『桜の季節』竹林館



深田晃司『よこがお』2019年7月26日
https://yokogao-movie.jp/



飴屋法水『ブルーシート』2021年



ラース・フォン・トリアー『ダンサー・イン・ザ・ダーク』2021年公開