大阪大学・ミクロ経済学の考え方(2020年1学期)

ミクロ経済の考え方

    • 場所/スケジュール:豊中総合学館302/月曜日・3限(13:00 - 14:30) ←当面の間はウェブ講義になります。

    • オフィスアワー:木曜日12:30-13:30 文法経本館338号室 ←当面の間はメールまたはZoom等で対応します。

    • 担当教員 --- 安田洋祐:yosuke.yasuda <at> gmail.com

最終更新日:2020年7月9日

お知らせ

  • [2020/4/15] --- 当面の間、授業はウェブ講義になります。毎週、講義日までにCLEに各回の動画をアップロードしますので、そちらを各自(いつでも構いませんが、できるだけ早めに)視聴して下さい。また、3~4講義に1回程度の頻度で、理解度をチェックする簡単な課題も(同じくCLE経由で)出す予定です。

  • [2020/4/9] --- この講義ウェブサイトを作成しました。

講義概要・目的

    • 英語の「Economy」という言葉は、「家計を管理するもの」というギリシャ語に由来します。社会には限られた資源しかないため、人々が手に入れたいすべての財・サービスを生産・消費することはできません。経済学(Economics)とは、社会が限られた資源をいかに管理・利用するかを研究する学問です。

  • 本講義で扱うのは、「ミクロ経済学」と呼ばれる分野の基礎レベルです。ミクロ経済学では、家計や企業などの経済主体がどのように意思決定を行うかという問題や、需要量と供給量が等しい水準に達した状況である「市場均衡」でどのようにして価格が決定されるかを考察します。また、市場均衡における買い手と売り手の経済的利益や、租税や価格規制などの政策介入が入ったときの資源配分の変化を分析します。また、市場で解決できない問題である「市場の失敗」も考察します。

  • 財の入手、産業活動、失業、租税といった、人々の生活が関わる問題を議論する際には、とかく感情的になりやすいですが、経済学を学ぶ者には「冷静な頭脳と温かい心(cool head but warm heart)」を持つことが重要とされます。経済学においては、冷静な考察の基礎を与える科学的手法が確立されており、例えば、「費用」や「合理性」などの用語には正確な定義があります。これらを適用することで、政策介入の正確な効果(当初の意図とかけ離れたものも含めて)も、科学的に分析することができます。

  • 本講義では、今後経済学を学んでいく皆さんが、経済問題を正しく考察することができるようになることを目的とします。「ミクロ経済学の考え方」と「マクロ経済学の考え方」を受講することによって、経済学の基礎的な知識が獲得できます。

成績評価

  • 宿題(30%)と期末試験(70%)で評価します。

教科書

    • マンキュー経済学 I:ミクロ編 [第4版], 東洋経済新報社, 2019. Amazon

      • 入門レベルの世界的なベストセラー教科書。少し冗長ですが、分かりやすさは折り紙付きです。

      • 冒頭の「経済学の十大原理」を理解するだけでも、世界が今までとは違って見えるはず!

      • 講義ではスライド資料を使いながら1章ずつ内容を解説していきます。

講義日程

講義タイトル横に書かれている数字は、教科書の該当章です。

各回の講義はスライドとディスカッションを中心に進めます。

イントロダクション

  • 1. 経済学の十大原理 4/20

  • 2. 経済学者らしく考える 4/27

      • 補助スライド「経済学の目的と方法」 --- 神取:第0章

  • 3. 相互依存と交易(貿易)からの利益 5/11

市場はどのように機能するか

  • 4. 市場における需要と供給の作用 5/18

  • 5. 弾力性とその応用 5/25

  • 6. 需要・供給・および政府の政策 6/1

市場と厚生

公共部門の経済学

  • 10. 外部性 6/29

    • 補助スライド「外部性」 --- 神取:第4章1節

  • 11. 公共財と共有資源 7/6

    • 補助スライド「公共財」 --- 神取:第4章2節

    • 12. 税制の設計 7/13

企業行動と産業組織

    • 15. 独占

期末試験

    • 形式については検討中

ミクロ経済学の関連文献

  • 参考教科書(本講義の後で読むのにオススメ)

    • レヴィット ミクロ経済学 基礎編, 東洋経済新報社, 2017. Amazon

      • 学部入門~中級レベルのミクロ経済学を幅広く、懇切丁寧に解説した名著です。

      • 復習問題の解答(全部)、演習問題の解答(*のみ)、参考文献はこちらからダウンロードできます。

      • レヴィット ミクロ経済学 発展編, 東洋経済新報社, 2018. Amazon

      • 不完全競争や一般均衡理論など、独学が難しいトピックも非常に丁寧に説明している点が特徴です。

    • 尾山大輔・安田洋祐編著, [改訂版] 経済学で出る数学 高校数学からきちんと攻める, 日本評論社, 2013. Amazon

      • 数学・経済数学が苦手な人でも、高校数学からゆっくり、じっくり勉強できます。

    • 神取道宏, ミクロ経済学の力, 日本評論社, 2014. Amazon

      • 学部中級から大学院までのミクロ経済学を深く、分かりやすく解説した名著です。

    • 林貴志, ミクロ経済学 [増補版], ミネルヴァ書房, 2013. Amazon

      • 理論的な関心の強い方に特におすすめ。

  • おすすめの入門書・啓蒙書

    • 大竹文雄, 経済学的思考のセンス お金がない人を助けるには, 中公新書, 2005. Amazon

    • 坂井豊貴, ミクロ経済学入門の入門, 岩波新書, 2017. Amazon

    • 瀧澤弘和, 現代経済学-ゲーム理論・行動経済学・制度論, 中公新書, 2018. Amazon

    • 松井彰彦, 市場って何だろう, ちくまプリマー新書, 2018. Amazon

      • 伊藤秀史, ひたすら読むエコノミクス, 有斐閣, 2012. Amazon

    • パーサ・ダスグプタ, 経済学(〈一冊でわかる〉シリーズ), 岩波書店, 2008. Amazon

      • ジョン・マクミラン, 市場を創る バザールからネット取引まで, NTT出版, 2007. Amazon

    • バトラー・ボードン, 世界の経済学 50の名著, ディスカヴァ―21, 2018. Amazon

    • 一橋大学経済学部, 教養としての経済学 生き抜く力を培うために, 有斐閣, 2013. Amazon

    • ジャン・ティロール, 良き社会のための経済学, 日本経済新聞出版社, 2018. Amazon

  • ミクロ経済学の代表的・特徴的な教科書(下に行くほど難易度アップ)

    • 安藤至大, ミクロ経済学の第一歩, 有斐閣, 2013. Amazon

    • 木暮太一, 今までで一番やさしいミクロ経済学, マトマ出版, 2012. Amazon

      • 経済学者が書く(典型的な)教科書と違い、つまずきやすい箇所の説明がとても丁寧。

    • ヨラム・バウマン、グレディ・クライン, この世で一番おもしろいミクロ経済学, ダイヤモンド社, 2011. Amazon

      • マンガで学べる個性的な教科書。

    • 八田達夫, ミクロ経済学Expressway, 東洋経済新報社, 2013. Amazon (Kindle)

      • 初歩的なミクロ経済学のツールを政策に応用するためのノウハウが凝縮された、実践的な入門教科書。

      • 日本における応用事例を多数紹介している貴重な1冊で、特に公務員や政治家(志望)の方は必読。

    • クルーグマン ミクロ経済学(第2版), 東洋経済新報社, 2017 Amazon

    • スティグリッツ ミクロ経済学, 東洋経済新報社, 2013. Amazon

    • 梶井厚志、松井彰彦ミクロ, 経済学 戦略的アプローチ, 日本評論社, 2000. Amazon

      • ゲーム理論をベースに説明される新しいミクロ経済学

    • ハル・ヴァリアン, 入門ミクロ経済学, 勁草書房, 2015. Amazon

      • 中級レベルミクロ経済学教科書の世界的なベストセラー。

    • 武隈慎一, ミクロ経済学 [増補版], 新世社,1999. Amazon

      • 公務員試験対策の定番テキスト。本書と合わせて演習本もぜひ解きたい。

    • 奥野正寛, ミクロ経済学, 東京大学出版会, 2008. Amazon

      • 『ミクロ経済学の力』とほぼ同じレベル。演習本(第2版)も出版されているのが嬉しい。

  • 大学院向けの教科書(下に行くほど難易度アップ)

    • T. Koopmans, Three Essays on the State of Economic Science, 2013. Amazon

      • 1957年に出版された非常に分かりやすい市場理論の解説書(第1章)。

    • 西村和雄, ミクロ経済学, 東洋経済新報社, 1990. Amazon

    • 奥野正寛、鈴村興太郎, ミクロ経済学1, 岩波書店, 1985. Amazon

    • H. Varian, Microeconomic Analysis, 1992. Amazon

    • 長名寛明, ミクロ経済分析の基礎, 知泉書館, 2011. Amazon

      • 一般均衡理論の体系を日本語でイチからきちんと理解したい人向けの上級書。

    • G. Debreu, Theory of Value: An Axiomatic Analysis of Economic Equilibrium, 1972. Amazon

      • 1959年に出版された一般均衡理論の金字塔。

    • J. Riley, Essential Microeconomics, 2012. Amazon

    • G. Jehle、P. Reny, Advanced Microeconomic Theory, 2011. Amazon

    • A. Mas-Colell、M. Whinston、J. Green, Microeconomic Theory, 1995. Amazon

      • 世界中の大学院生が読む(読まざるを得ない)バイブル的なザ・教科書。

    • D. Kreps, Microeconomic Foundations I: Choice and Competitive Markets, 2012. Amazon

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