Taxonomic reexamination of Auricularia specimens based on updated morphological criteria

 国立科学博物館(茨城県つくば市)に収蔵されているAuricularia属の子実体標本を観察し,更新された分類基準に基づく種同定を行うとともに,日本におけるAuricularia spp.の分類と分布の再検討を行った.

 Auricularia auricula-judaeとされていた10標本のうち4標本は,子実体の髄層,背毛,担子胞子などの形態的特徴に基づいて,A. americana(1),A. cornea(1),A. villosula(2)の3種に再同定された.残りの6標本は,種分類において重要な形態的特徴が観察されず,種レベルでの同定はできなかった.これまでA. minorとされていた5標本のうち2標本は,担子胞子の大きさから本種とは別種と考えられた.残りの2標本とタイプ標本は状態が悪く,担子胞子を十分に観察することができなかった.Auricularia polytrichaとされていた9標本のうち3標本は,形態的特徴に基づいてA. corneaに再同定された.残りの6標本はA. polytrichaとは別種と考えられた.Auricularia polytricha f. leucochromaA. polytricha f. tenuisのタイプ標本は状態が悪く,担子胞子を十分に観察することができなかった.

 今後も,既存の標本を最新の分類基準に照らして再検討することにより,日本におけるAuricularia spp.の分類と分布情報を更新していく必要がある.

図.Auricularia americanaに再同定された標本

Kusamoto M., Shirouzu T., Hosaka K., Hosoya T.

Taxonomic reexamination of Auricularia specimens based on updated morphological criteria.

The Bulletin of the Graduate School of Bioresources Mie University, 47, pp1–11, 2021

Abstract