02.04/19:小宮正安:コンサートホールの文明史 ~音響空間を通じてヨーロッパの文化・思想が見えてくる~

投稿日: 2012/04/12 11:00:27

(教員の都合で、平倉先生と交代して先に担当してもらいました。平倉先生は、4/26に担当していただきます。)

1870年に作られたウィーン・フィルハーモニーのためのコンサートホールをきっかけに、コンサートホールの文化史的背景を、ギリシャのパルテノン神殿的なものを理想とする古典主義的思想から、18世紀的な王侯貴族の社交場としてのコンサート空間、19世紀的な市民社会が創出したコンサート・ホール、そしてハンス・シャロウンによるベルリン・フィルのコンサートホールにおける民主社会主義的な思考まで辿る、という射程の長いエネルギッシュな授業でした。

乱暴ながらもあえて簡単にまとめてしまうと、「音楽そのもの」じゃなくて「音楽が演奏される空間」の変遷をたどる話でした。主役の変化に従って、音楽が演奏される空間も変化していったわけです。なぜ、指揮者やオーケストラの位置は変化したのか、というのはポイントでしょうね。

◯18世紀的な王侯貴族の社交場としてのコンサート空間の画像が見つからなかったので、ハイドン《天地創造》演奏時(1808年)の画像

もうけっこう中心にいますが、これ以前には、オーケストラたちはもっと隅っこにいたようです。

◯ウィーン・フィルハーモニーのコンサート・ホール(1870年)

◯ベルリン・フィルのコンサート・ホール(1963年)