1.10/05:導入
投稿日: 2012/10/30 15:16:10
2012-2-音響文化概論-1.1005-導入-memo
1.音響テクノロジー史の概観
◯すること
この授業では、19世紀以降の音響記録複製テクノロジー―レコード、電話、ラジオ、テープ、CD、MP3―の歴史と、それを取り巻く諸問題を学ぶ。
音楽や音響メディア史に関する基礎的な知識を得ることで、今日の聴覚文化のなりたち―今日の「レコード音楽(の転換期)」など―を考察できるようになるだろう。
また、自分が日常的に接する音楽メディアや音響メディアに対して、歴史的で批判的な視点を持てるようになるだろう。
◯音楽のインターフェース
音楽をきくということは、必ず、何かの「メディア」を介して聴くもの。
コンサートホールしかり、自動ピアノ然り、音響記録複製テクノロジーしかり。それらは「音楽とのインターフェース=私たちが音楽と付き合うやり方」といえる。
この授業は、そうした音楽とのインターフェースの変化を考えるために、音響テクノロジーの歴史を学ぶ。
◯「レコード音楽」、モノとしての音楽
それは「レコード音楽」の歴史を考えることでもある(書く音楽としてのWAMに対して)。
あるいは、音楽を「モノ≒小売り商品」として扱うようになった歴史を知ることである。
◯常識:レコードの発明
1857 フォノトグラフ
1877 フォノグラフ
1887 グラモフォン →円筒型フォノグラフの映像
◯基本的パースペクティヴ
「音楽」はモノになった後、”再び”「モノではない何か」になった!
◯導入トピック:「缶詰音楽」
→配布資料「野村長一「蓄音機フアンの手記」 『音楽と蓄音機』大正13(1924)年11巻11号:5-「缶詰音楽」肯定に向かう言葉-配布用」
◯導入トピック:「録楽」について:三輪眞弘のテキスト
→配布資料「三輪眞弘-「録楽」への言及(「逆シミュレーション音楽とは何か」より)
◯導入トピック:その他
音のモノ化のおおまかな流れ:音の記号化と視覚化→物質化、実在化→音のデジタル情報化
「音楽を所有する」という言葉の意味の変化
「音楽を消費する」という行為の変化
◯授業方法などについて
基本は、講義授業。テキスト資料と視聴覚資料を多く使いたい。
また、できれば最後の数回は、学生に発表してもらいたい。
テーマは、けっこう自由にやってもらっても構わないが、とりあえずは「音響メディアを活用する作品について」。
:「音響メディアの一般的な使用法とは異なる使用法の可能性について」:なぜその使用法は一般化しなかったか、その可能性はどのように面白そうか、なぜ一般的な使用法は一般的なものとして流通したか、ひいては、今日の私たちの文化とどのような関係にあるか といったことをまとめて授業して欲しい。
また最後にレポート出してもらう。たぶん「来年度のシラバス」を書いて、一回分の授業内容を作成してもらう。
ポピュラー音楽の授業ではない(ヒット曲なども音響テクノロジーの産物だが、中川は、もっと美的な問題に関心がある)。
◯ところで、この授業の目的は
「自分が日常的に接する音楽メディアや音響メディアに対して、歴史的で批判的な視点を持てるようになること。/自分が属する文化を、聴覚的な側面から、改めて理解し直す機会を持つこと。」
である。 そこで本授業では「電子音楽の一般化」というトピックにも触れる
2.電気音の一般化
「電気の音」=19世紀以降に私たちのサウンドスケープに新たに加わった音だ
現時時点では、電気の音や電子の音を使う音響実践の歴史に触れる予定
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9.電子音の一般化:電気の音:カミナリの音、singing arc、電信、電話
10.電子音の一般化:電子楽器の歴史:テルミンとシンセサイザー
11.電子音の一般化:具体音楽と電子音楽
12.電子音の一般化:電子楽器の身体性
13.電子音の一般化:サウンドスケープ論とその射程
14.電子音の一般化:アマチュアの変化