11.06/28:川添裕:日本伝統文化の音
投稿日: 2012/05/31 9:13:03
今日は、ケンガリ(鉦)の一発で始まりました。
いろいろなアイス・ブレイクの方法があるもんです。
今回は、「日本の音楽」というものすごく大きな話を90分で話してもらったのでかなり単純化された話でしたが、だからこそ逆に「日本の音楽」についてあまり知らない中川にとっては、分かりやすく面白かったです。
古代と中世には打楽器と笛が基本だった雅楽や能楽に、三味線が加わることで、音や音楽として色々な描写が可能になり音楽の担い手も庶民レベルにまで拡大した。また明治維新後には西洋音楽がそこに接触することになった。おおきくはこういう流れだったとまとめることができるでしょう。
「打の律動と笛の世界」に「三味線革命」が生じた、ということです。
最後に近代音楽受容にかかわる問題(あるいは日本音楽の受容に関わる問題)がとりあげられていました。明治維新後に海外に渡航した軽業師や曲芸師(初めてパスポートを取得したのは軽業師たちで、当時渡航した日本人の半数以上を占めていたそうです)が海外に持ちだした下座音楽(見世物の伴奏)は、海外ではかなり不評だった、という事例をとりあげ、音楽と文化との不可分な関係性について語っていました。
音楽とは文化のシステムの上に成立しているものだからこそ、「ベースに打楽器と笛があり、そこに三味線が加わった日本の下座音楽」が明治維新後に西洋音楽と接触したとき、互いの文化圏に属する人間にとって異文化の音楽は不評だった、という事態が生じたわけです。
なので、ポイントのひとつは、「三味線革命」とはどういうものかということでしょう。三味線が可能としたことは何か? どのような場面で使われるようになったか? どのようなジャンルを生み出したか。説明できるようにしておいてください。
またもうひとつのポイントは、「日本の音楽(と西洋音楽との接触)」は、「音楽はそれが属する文化に大きく影響を受けるものだ」ということを示す格好の事例である、ということでしょう。これについては、前回の小川先生の授業での中川のまとめも参照してください。おそらくは教育システムや記譜システムが強力で伝播力の強いものだったからこそ、西洋音楽は世界中に浸透し得たのかもしれないと考えられるわけです。
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以下、授業中に確認した音源をYoutubeにあるだけのせておきます。
ここの音源の詳しい情報は、授業時配布のレジュメを参照してください。
A.打percussion, gongの律動、そして笛pipe
◯東アジアの音:導入
1.屋台(やたい、家台)囃子:太鼓と鉦(かね)と篠笛
2.歌舞伎の舞台でお祭りを表現するのに使っているもの
前半:聖伝(しょうでん):見つけられませんでした
後半:四丁目(しちょうめ):
3,4.韓国の祝祭的な音:チャング(長鼓)、プク(太鼓)、ケンガリ(鉦:授業開始時に叩いたもの)、ラッパ(チャルメラ)
韓国伝統打楽器 チャング:http://www.youtube.com/watch?v=ssLLlZ-X5D0
プンムルノリ(農楽):2010.10.16 大阪韓国文化院 男寺党(ナムサダン)公演
これはサムルノリというグループが「音楽」としてヒットさせたそうです。
5.中国:京劇の演目『覇王別姫』:打楽器乱打!
◯日本の古層:古代と中世
6.古代:雅楽 奏楽
三管=笙(しょう)、龍笛(りゅてき、横笛)、篳篥(ひちりき)、三鼓=鞨鼓(かっこ)・鉦鼓(しょうこ)・太鼓(たいこ)
7.中世:能楽:「清経」
:大鼓、こづつみ、能管など
◯まとめ
以上をまとめると、一番の基本はパーカッションと笛だった、ということになる。
ところがここに「三味線革命」が生じる!
B.三味線革命 Japanese String Revolution
◯遊郭、遊所
8.江戸の遊郭:「下品」「大騒ぎ」:見つけられませんでした
9.京都の遊郭:「上品」:見つけられませんでした
10.新内流し(しんないながし)
◯盛り場
11.竹巣の合方:見世物小屋を描写するときの音:見つけられませんでした
12.八人芸:「一人で”八人分の芸”を見せる大道芸」を描写するときの音:見つけられませんでした
◯社寺
13.宮神楽(みやかぐら):神社の場
14.磬入合方(きんいりあいかた):お寺の場:磬と三味線と木魚(磬は、読経で打ち鳴らす銅製の鉢、仏具)
◯庶民感情
15.四つ竹節:「義理と情けが浮世になくば、胸にたたんで知らぬ顔」
16.人に立てられ:見つけられませんでした
17.四丁目合方(しちょうめあいかた):見つけられませんでした
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◯参考文献補足:日本近代音楽(受容)史
三原文 2008 『日本人登場ー西洋劇場で演じられた江戸の見世物』 東京:松柏社。
三原 文