戦場のヴァルキュリアをやっていると、やはり、どうしても気になってしまうのがこの話です。戦場で使われているのは、偵察兵であればライフル、狙撃兵で あれば狙撃銃、突撃兵であればサブマシンガン、あるいは突撃銃に相当するものです。対戦車槍に関しましては考証3に譲りますが、これらの武器はだいたい 5~10mm程度の口径を持つものです。
現実の世界では、初速の早いライフルや狙撃銃であれば、一発で体に大きな傷を作ることができますし、サブマシンガンはそこまでの威力はありませんが、大 量の弾をばらまきます。突撃銃は威力に関しても連射能力に関しても、ライフルとサブマシンガンの中間程度。手足ならともかく、胴体や頭部に食らえばただで は済まないでしょう。
ところがこの世界では、体に何発か銃弾を食らっても、平気なんですね。ヘッドショットであっても一発くらいは耐えられたりする。流石に耐えられない大けがを負って瀕死になっても、衛生兵さえ呼べば数ターン後には復帰できたりします。
そうかと思うと、一発の銃弾であっさり死ぬ人もいたりします。他ならぬイサラ・ギュンターがその一人ですし、序章で少人数の帝国兵に一方的に攻撃された、避難民の皆さんがその後どうなったかも気になります。ストーリー的には死亡したように見えますが…
え~まあ正直、ゲームバランスと言ってしまえばそれまでですし、私はゲームバランスを無視してまで現実に忠実にし、その結果第7小隊の皆さんがばたばた死んでいくようなゲームはプレイしたくありません。でも気になるので、できるだけこじつけてみます。
まず気になるのが武器と防具のバランス。この世界では何らかの理由で武器の威力が弱く、防具の性能がいいのでは?というところです。たとえば、銃弾の装 薬が火薬ではなく、何かラグナイト技術をもとにしたもので、その結果、現実の火薬を使った銃より初速が低く、結果として威力が低い、ということであれば、 どうでしょうか?
これは結構有力ですが、これに立ちふさがったのが射程と集弾率の問題です。初速が低いのであれば有効射程は短く、集弾率も悪くなるはず。確かにライフル やマシンガンの射程は結構短めなのですが、スナイパーライフルは、ガリア軍のものは普通に1000m以上。現実の狙撃銃と同等です。集弾率は、全弾集弾す る範囲の円、としてこのゲームでは明確に示されます。現実の火器の集弾率を見たことはありませんが、それでもゲームの方が随分いいような印象を受けます。
あえてまた、この問題にこじつけるとすれば、集弾率の良さは反動が小さいため、射程の問題は、ガリア軍の狙撃銃は、自国内で産出する豊富なラグナイトを ふんだんに使った強装薬状態のため、射程が長い、ということはできそうです。帝国軍の狙撃銃は射程短いですし。アリシアみたいな射撃能力の高い人は、銃の 癖も知り尽くしているんでしょうね…
防具の方は…正直第7小隊の皆さん、ヘルメットかぶっていないだけでも突っ込みどころなんですよね…突撃兵は申し訳程度に鉄を使った戦闘服を着ています が、鉄の部分の面積があの程度ではほとんど役に立たないでしょうし、かといって鉄の部分を多くしたら重くて動けません。対戦車兵は、左肩から垂れている大 きな鉄板をうまく生かした防御態勢を取れば、確かにちょっとした防御効果はありそうですが、あれ、本当に鉄だったら、動ける動けない以前に肩の骨折れます よ…しかも後ろから撃たれたりしたら全く効果がありません。
もう一つ別の視点から。こと銃撃によって、人が生きるか死ぬかとなると、別の要素が絡んできます。現実の世界で、たとえば、同等の体格・年齢の人が、同 じ状況で、同じ銃から同等の銃弾を、体の全く同じ場所に撃ち込まれたとします。勿論、現実には完全に同じ状況はあり得ませんが、これでも、生き残る人と、 死ぬ人が、出てきてしまうんですね。
このような場合での生死の境は、何で決まってしまうのか。簡単に言ってしまうと、気合いの差です。
このご時世に精神論ですか?と言われそうですが、これが意外と馬鹿になりません。ちょっと真面目な言い方を言うと、ショック症状(神経原性ショック)を 起こすか起こさないか、という話になりますが、私は医療の専門家ではないので簡単かついい加減に言いますと、銃撃されて傷を受けた際に、その事実に対し て、心の方でもうだめだ!と思ってしまうと、このショック症状に陥った結果動けなくなり、死に至ります。逆に、まだ大丈夫、と冷静であったり、あるいはな にくそ!とアドレナリン放出状態になっていたりすると、銃撃を受けたまま行動を続けることも可能なんですね。
傷が大きければショック症状に陥りやすいので、何がどこに命中しようが大丈夫、なんてわけにはいきませんが、たとえば心臓に直撃弾を受けて血液の循環が なくなったとしても、ショック症状にさえ陥らなければ、体の各部に残っている酸素で、人間は数十秒、動き続けることができるんだそうです。勿論そのあとは 助からないでしょうが、数十秒あれば、反撃で一斉射浴びせるくらいのことは十分できそうですね。リアル死に芸、と言ってしまうとちょっと不謹慎ですが。
当然当たった場所が、より致命傷にならない場所であれば、手当で一命を取りとめるわけで、その場合はショック症状に陥るか否かが生死を分けます。おそら く、第7小隊の皆さん…に限らず、この世界で歩兵として戦っている皆さんは、戦場で傷を受けてもショック症状に陥らないよう、特別な訓練を受けているので はないか、というのが私の推測です。ですから皆さん、瀕死になっても3ターンは頑張れるわけですね。ちなみに、流石に脳が破壊されてしまうと、ショック症 状云々以前に即死ですので、やはり完全な説明には、なっていないのですが。
一方、イサラは何らかの理由で、その訓練を受けていなかった。戦車の操縦手は戦闘中は車内にいるため、その必要はない、という軍の判断かもしれませんし、もしかしたらイサラは個人的な体質か何かの関係で、ショック症状に陥りやすい人だったのかもしれません。
イサラが撃たれたときの状況からして、頭部に命中弾を受けて、脳が破壊されたわけではありません。にもかかわらず、周囲の隊員はしっかりしろ!というば かりで、ラグナエイドも使わなければ衛生兵も呼んでいない。これは、小隊の皆さんが、イサラはショック症状に陥りやすく、そこから回復できなければラグナ エイドを使っても無駄、ということを、知っていたから…というのは、ちょっと深読みしすぎですかねえ?