別の項で延々書いてきた劇場版シナリオ予想ですが、劇場版公開により答えが出ました。
戦車戦は、大洗+知波単VS聖グロリアーナ+プラウダのエキシビジョンマッチ大洗市内戦と、実質高校選抜の大洗女子学園VS大学選抜の二本立て
西住しほとの関係は、しほの大洗復活のための尽力、及び大洗の優勝をまぐれと言われたことに対して「戦車道にまぐれ無し、あるのは実力のみ」と断言することによる解決
エリカとの関係は、(エリカだけに限りませんが)短期間とはいえ大洗女子学園に籍を置き、大洗の制服に腕を通し、大洗のために戦うことで解決
西住まほとの関係は、実家でのシーンや最後のみほ車との連携等々盛りだくさん
「希望」「信じる心」は大洗復活に対するもの、「友情」は過去の対戦チームの友軍としての参加、「王道」は西住流の戦い方を地で行く、こっつん作戦、「裏切り」は文科省学園艦教育局局長の口約束の反故、「絶望」は大洗女子廃校による絶望。「分断工作」「引き抜き」…??
「後継者」は島田愛里寿
大洗防衛戦は、大洗町役場前で敵戦力を拘束して、その間にフラッグ車に向かう敵戦力を減らすためのもの
継続高校はエキシビジョンマッチでの解説役?と大学選抜戦へのBT-42での参加
と言ったところでしょうか。
1.は、2校VS2校と、相手が大学生になる、という可能性は別個に候補には出ていたのですが、まさか両方やるとは思いませんでしたね。というのも、TV版のときには「迷彩塗装を出したらレンダリング時間3倍」とか、OVAのアンツィオ戦では「戦車のモデルを増やせばCV33の砲力を上げたバージョンを出せるけど増やせない」というレベルの話をしていたので、迷彩やった上でとモデル数も大幅に増やしてくるというのはできないものだと思ってました。劇場版ともなるとそこまでお金と時間をかけられる、ということでしょうか。
カールについても、マウスを出した以上それを超えるものを出すとしたら、というところで名前には上ってくる車両ではありますが、ただの自走砲でオープントップ、というところから、無理だろうと思ってました。出たとしてもあれ、完全に非装甲ですから、あんな難しい倒しかたをしなくても、普通に遠距離からヘッツァーは徹甲弾、89式とBT-42は榴弾でも撃っていれば、野戦砲システムというのはそれなりに精密な機械部品を組み合わせてできているので、どこかのパーツが徹甲弾により曲げられたり、可動部分に榴弾の破片が噛み込んだりすれば、簡単に動かなくなるんですよね。そういう意味では護衛のパーシングもあんな近くに張り付くより、もっと離れた周囲を捜索・掃討することをする必要があるのですが…まあこのあたりを知らない一般の人から見れば、大きい車体にでっかい砲つけていれば、装甲も堅い重戦車なんだろう、と考えるでしょうし、実際、自動装填というとんでもない魔改造を行っていますので、装甲くらい追加していてもおかしくないのかもしれません。それでも一部、機械部品剥き出しのところは見て取れましたので、榴弾の破片は有効に見えましたが…
2.~4.の解決は見事でしたね。まず2.は、戦車道にまぐれ無し~の台詞により、しほが大洗の優勝を、みほ率いる大洗女子チームの実力であると認める、裏を返すと黒森峰が実力で負けたことを認める台詞になるわけで、ただ局長に言い返したという以上に重い台詞です。3.は、もしエリカがTV版5話で言ったとおり、「大洗女子学園は戦車道のイメージダウンにつながり、大会に出場するべきではない弱小校である」との認識を堅持しているのであれば、そんな高校が廃校になるかどうかなんてどうでもいいか、むしろ邪魔なのが消えて好都合、くらいにしか考えないでしょうし、ましてやそんな高校に自分が、一時的とはいえ籍を置くなんて屈辱以外の何ものでも無いわけで、大洗女子の制服を着て公然と試合の場に出て来たことで、みほや大洗女子に対する考え方の変化もわかるというものです。4.は見所が多くて書き切れませんが、西住家のシーンで妹に対する思いやりを見せ、カチューシャに対して「信じるのと崇拝するのは違う」と言い放ったことで、一部二次創作で生まれた「妹を盲目的に溺愛する姉」のイメージに釘を刺し、最後に見事な連係プレーを示しています。
5.の「分断工作」と「引き抜き」は未だに謎です。大洗廃校により風紀委員は半ば自暴自棄になりましたが、これは分断工作の成果とは言えないでしょう。むしろ生徒会長の角谷杏が、文科省と戦車道連盟に分断工作と引き抜きを仕掛けて、戦車道連盟を味方につけた、という方がまだましな解釈ですが、分断工作はともかく、戦車道連盟という組織に対して引き抜きというのも不自然ですし、別に彼らを大洗女子学園の職員にしたわけではないので、引き抜きという言い方はおかしいでしょう。
引き抜きで一番あり得そうなのは、あのライバル校の主要メンバーが続々と大洗に加わるところで、確かにこれなら、短期ではあっても転校という形で大洗女子学園に籍を移しているので、引き抜きと言えば引き抜きなのかなあという気もしますが、ではその引き抜きを仕掛けたのが誰かというと謎です。劇中ではダージリンがオレンジペコを使って電信を発していますが、その電文の内容は、まさにダージリンが喋ったとおりの詩の一節ですし(劇場の前の方で見ると、エリカが持っている紙の内容を読むことができます…勿論劇場にもよりますが)、あの内容だけで大洗に転校して試合に参戦してください、という意味になるのか?というのは大いに疑問です。おそらくその前に根回しのようなことがあったのではないかと思うのですが、その根回しを誰がやったのかと言われますと…やはり可能性が高いのはダージリンでしょうか。これを大洗の誰かが根回しした(例えば角谷杏とか)、ということであれば引き抜きと言うことはできるのかもしれませんが…はっきりしたことは言えません。
8.の継続高校は、TV版の全国大会で解説役だった聖グロリアーナの面々が対戦相手側に回ったため、新たな解説役として登場した、というようなポジションに見えます。それにしてもダージリンといいミカといい、この世界の解説役は変わり者でないと務まらないようですね。
おまけ。twitterにも書きましたが、大洗再興のための試合を角谷杏が生徒に知らせるシーンで、杏が見せた念書のサインは、
文部科学大臣 牟田正志
学園艦教育局局長 辻康太
戦車道連盟理事長 児玉七郎
大学戦車道連盟理事長 島田千代
高校戦車道連盟理事長 西住しほ
この5人です。twitterのときには一部肩書きが間違っていましたので、ここでは修正しました。
文科省側の二人は、何か牟田口と辻を想像させますね…そしてこの局長が、今回の悪役を一手に引き受けている人。日本戦車道連盟理事長は、あの頭と和服姿が印象的な男性ですが、児玉源太郎から持ってきた名前でしょうか。戦車道は陸の方なので、山縣とか大山の方がしっくりくるような気もしますが…
おまけ2。個人的に大きな謎として残っているのが、
最後のみほまほVS愛里寿のシーンで、愛里寿がヴォイテク(熊の乗り物)に気を取られて勝機を逃すシーンがありますが、その後愛里寿は撃破されるまで、ずっとヴォイテクが頭に残って本来の指揮能力を発揮できないままでいたのか、あるいはすぐに立ち直って普段の状態に戻ったにもかかわらず、みほまほがそれを上回ったのか。
勿論戦闘中に関係ないものに気を取られること自体は糾弾されてしかるべき行為である一方、愛里寿の年齢を考えると強くも言えない、というところなのでしょうけど、それが一瞬だけの問題なのか、負けるまで引きずり続けるのか、という差は、愛里寿の指揮官としての能力の、大きな差につながります。まあ、それでもボコミュージアムを再興させた島田千代は、「犠牲なくして勝利はない」という西住しほより、娘に甘い親のような気もしますが…ここも娘の年齢の差は考えるべきですかね。