突然ですが、
あなたは長さ1.2m、重さ3kgの棒の端の方を両手で持って振り回したことがありますか?
1.2mの長さって想像がつきますか?3kgの実感がわかない人はコンビニに行って1.5リットルのペットボトルを探してみて下さい。それ1本が大体1.5kgですから、2本で3kgですね。
中が一杯入っているペットボトルの口の部分を持って振り回すのは結構大変です。棒を両手で持つのなら持ちやすくはなりますが、重さは2倍、長さが延びますから重心は手元から離れます…想像できますか?振り回すことはできても、自在に操るのは難しいと思います。
何でこんなことを質問したかというと、実は、バスタード・ソード(bastard sword)、あるいはハーフ・アンド・ア・ハーフ・ソード(half-and-a-half sword)と言われている剣の長さと重さが大体このくらいなんです。片手でも両手でも扱える剣で、片手で扱える剣の中では最も大きくて重い、また両手で 扱える剣では小さくて軽い部類に入ります。まあ、3kgといえばバスタード・ソードの中では重い方なんですが。
ところが、ゲームやアニメ等の中では平気でこれを操ってるんですね。まるでプラスチックのパイプかなんかを振り回すみたいに。勿論バスタード・ソー ドなんて書いてないことがほとんどですが、キャラクターの身長からすると1.2m、いやもっと長いだろうと推測できる剣はあちこちで見受けられます。長さ がこのくらいで、剣の刃の部分の幅が3cmもあれば、鉄製なら重さは自動的に3kgくらいになるはず。もっと幅の広い剣なら重さはそれ以上です。
画面の中でくり広げられている「手に汗握る斬り合い」の不自然さ…ここまでくれば気がつくと思います。
「おいおい、あれはゲーム。現実と一緒にするなよ」と思った方、それは正しい。私が問題にしたいのは「リアル」に対する感覚なんですね。今述べたような「不自然」なゲームに綺麗な映像と音響をつけて、平気な顔して「リアルなバトル」と宣伝する…それが現状です。
確かに、画面の中では剣は長く大きくないと振り回してもよくわかりません。またあまりゆっくりブルンブルン振り回しているようでは戦闘にスピード感 がないから、いきおい動きは素早くしてしまう。まあ、それはそれでいいんです。そうじゃないと面白くない。ただ、この動きは「面白いけれどリアルじゃな い」んですね。
まあ、こういうゲームなりアニメなりを「リアル」と宣伝しても別にPL法に引っかかるわけでもないので、それは宣伝する方の勝手です。が、その宣伝 を見る私達の方は、その宣伝に引っかかって「あ~本当にリアルだ~」と誤解しない、そういう分析眼を持つ必要があります。この話、ゲームだけに限りません よ。特にこれからの情報が氾濫する時代ではね。