いよいよ2025年が始まります。今年はコープさっぽろ60周年であり、同時に関連会社の魚長も80周年を迎えます。また今年は国連が決めた「国際協同組合年」であり、世界的にも協同組合の社会的価値の向上を推進していこうという記念すべき年となっています。

 しかしながら、毎日のニュースやSNSで見聞きする情報からは、地球上で起こっている戦争という暴力が横行しているだけでなく、自然災害などの直接的に解決しがたい環境問題の深刻さに話題を欠くことはない状況があります。さらには過去30年間で経験してこなかった円安と連続する物価の高騰によって生活上の不安感だけが拡大しているような閉塞した雰囲気に依然として飲み込まれているのではとつくづく実感しています。

 昨年の小樽商科大学で実施した第2期の寄付講座「北海道未来学」に山崎亮さんにご講演をいただきました。建築学で「コミュニティデザイン」の研究者でもある彼が世に出した本に、「縮充する日本」PHP新書(2016年)があります。毎年1月に次年度の方針を作るのですが、そんな情勢の悩み多き、課題山積の今年だからこそ、私たちがどうするかの方向を明確に決めていかなくてはなりません。そこで「縮充の可能性」をメインテーマとしました。著者によると「縮充」は織物の言葉で「毛織物をアルカリ性の液体の中で揉むと、毛が絡まって縮みながら肉厚な生地になる。これが肌触りもよく保温性が高いことから重宝されるようになった。昔は縮絨と書いた」とあります。日本という国や地域全体が過疎化・少子高齢化の中で縮小を余儀なくされている中で、どうやったら私たちの生活の質を高め充実させることができるのか?という課題は、避けて通れない課題だと思いました。だから「縮充」なのです。これは、停滞した日本の30年が経過する中で、先送りされてきた様々な法制度や仕組みを見直しつつ、官民の区分を超えて、地域の一人ひとりの知恵と参加によって問題解決をしていくことが極めて重要になっているからです。

 2015年の50周年から、この10年間に、私たちは小売業として店舗事業での競合と闘いながらも、「つなぐ」をテーマに、地方自治体の訪問を継続して行政の困りごとの解決を進めてきました。「買い物難民対策」「資源リサイクル事業」「子育て支援事業」「再生エネルギー事業」「小中学校でのスクールランチ事業」「食品産業の再生事業」さらには昨年から本格化した「健診事業」そして今年スタートする「学童保育事業」など、この北海道での課題解決に着手し実践してきました。「縮充の可能性」とは、こうした私たちの社会課題解決の実践を、今年から始まる60周年行事を基点として、進化させて、さらに組合員さんの事業参加を今まで以上に広げながら、生活の質を向上させることを追求することです。この北海道で私たちの存在価値をしっかり表現して、生協の可能性を、私たちと組合員さん、そしてお取引先、行政にかかわるすべての皆さんと一緒に、これからの新しいステージを作っていきたいと思います。