単純な構造の、四角い折り紙ヒコーキは、折り代等を無視して近似すれば、重心位置を簡単に計算できます。
P:紙の長さ [mm]
N:おもりの枚数
B:おもり(バラスト)1枚の長さ [mm]
C:翼弦長(全長) [mm]
P=N*B+C
m:紙の質量[g]
CG:重心位置=前縁から重心までの距離/翼弦長*100 [%]
前縁まわりのモーメントを考えると、
紙の質量*前縁から重心までの距離 = 翼の質量*前縁から翼の重心までの距離 + おもりの質量*前縁からおもりの重心までの距離
m*(C*CG/100)=(m*C/P)*(C/2) + (m*B/P*N)*(B/2)
mとPを消去して整理すると、
CG=(N*(B/C)^2+1)/(N*(B/C)+1)*50 [%]
重心位置CGは、N(おもりの枚数)とB/C(おもり1枚の長さ/全長)により(B/Cが同じなら紙の長さに依存せず)決定されます。
B/C(おもり1枚の長さ/全長)は0%~100%の範囲なので、
B/C=0%(おもりなし)のとき、CGmax(最後方重心位置)=50[%]
B/C=100%(全部おもり)のとき、CGmax(最後方重心位置)=50[%]
B/Cは0%~100%の間に、CG(重心位置)[%]が最小になる値が存在し、
B/C=(sqrt(N+1)-1)/N のとき、
CGmin(最前方重心位置)=(sqrt(N+1)-1)/N*100=B/C*100 [%]
これは、最前方重心位置では、重心位置が、おもりの後端と一致することを意味します。
最前方重心位置よりも、おもりを長くすると、最前方重心位置よりも後方におもりを追加することになり、重心が後退します。
最前方重心位置よりも、おもりを短くすると、最前方重心位置よりも前方のおもりを除去することになり、重心が後退します。
最前方重心位置は、N(おもりの枚数)により決定され、おもりの枚数が多いほど、重心を前方に設定可能です。
長さP[mm]の紙を使用し、重心位置CG[%]に設計する場合、
重心位置CG[%]を実現可能な、おもりの枚数Nは、
N>=Nmin=(1/(CG/100)-2)/(CG/100)
Nmin以上の、おもりの枚数Nを採用すると、
翼弦長(全長) C=P*((1+N*CG/100)/(1+N)+sqrt((CG/100)^2*N+CG/50-1)/(1+N)) [mm]
おもりの長さ B=P/(1+N)*(1-CG/100+sqrt((CG/100)^2-(1-CG/50)/N)) [mm]
(例) A5サイズの紙(長さ210mm)で製作する場合、
・希望する重心位置[%]を実現可能な、おもりの枚数Nの最小値が存在します。
・それ以上の、おもりの枚数で、希望する重心位置[%]を実現可能ですが、
・おもりの枚数を多くするほど、希望する重心位置[%]での全長を長く(翼面荷重を小さく)でき、沈下率では有利になります。
・おもりの枚数を多くすると、折りに伴う歪みが増加するため、折りと調整の難易度が高くなり、競技の待ち時間での変形も大きくなりそうな感じがします。
滞空競技用として、重心位置 CG=25%に設計する場合、
Nmin=(1/(25/100)-2)/(25/100)=8
おもりの枚数 は、8枚以上が必要になります。
おもりの枚数 N=8を採用すると、P=210mmなので、
翼弦長(全長) C=210*((1+8*25/100)/(1+8)+sqrt((25/100)^2*8+25/50-1)/(1+8))=70 [mm]
おもりの長さ B=210/(1+8)*(1-25/100+sqrt((25/100)^2-(1-25/50)/8))=17.5 [mm]
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