折り紙ヒコーキの翼型解析
滞空競技用折り紙ヒコーキの設計用に、翼型の空力特性を、XFoilで解析中です。
風圧による紙の変形は測定も計算も困難なので、計算結果の判断は難しいところですが、設計の参考になると思います。
滞空競技用折り紙ヒコーキの設計用に、翼型の空力特性を、XFoilで解析中です。
風圧による紙の変形は測定も計算も困難なので、計算結果の判断は難しいところですが、設計の参考になると思います。
数日間、折り紙ヒコーキの翼を板で挟んで平面矯正した後、翼をカットして断面(翼型)を写真撮影していますが、折り重ねた部分は湾曲して楕円形に近い広がりが見られ、折り重ねていない部分にも湾曲が見られます。
折りのバラツキの影響も大きく、どのようにモデル化するのが合理的か、悩ましい感じです。
折り紙ヒコーキの翼型ファイル(座標)を計算し、XFoilを制御(空力特性を計算)するソフトを作成中です。
翼型モデルは暫定で、エレベーターの幅と高さを追加で指定できます。
折り重ね後端に発生する隙間により、XFoilでの計算が収束しない場合があるため、折り重ね部分の後端は円弧で滑らかに埋めています。
XFoilの起動、ポーラー計算、XFoilの終了、グラフ表示などが可能です。
折り重ねに伴う応力で紙が湾曲するとモデル化が悩ましいため、まず、紙に湾曲が無い場合を計算しました。
接着剤などで紙を貼り合わせながら、隙間なく、ネジレなく折った場合に相当します。
「折り重ねなし」(比較用)
「翼の下側に折り重ね」
「翼の上側に折り重ね」
「翼の上下に折り重ね」(対称翼)
の4種類の翼型で計算し、比較しました。
「折り重ねなし」(迎角の大きい所では計算が収束しませんでした)
「翼の下側に折り重ね」
「翼の上側に折り重ね」
「翼の上下に折り重ね」(対称翼)
同じ迎角での揚力係数は、
「翼の上下に折り重ね」は、「折り重ねなし」と同等か、やや大きい
「翼の下側に折り重ね」は、「翼の上下に折り重ね」よりも大きい
「翼の上側に折り重ね」は、「翼の上下に折り重ね」よりも小さい
揚抗比(揚力係数/抗力係数)は、
「翼の上下に折り重ね」は、「折り重ねなし」と同等か、やや良い
「翼の下側に折り重ね」は、「翼の上下に折り重ね」よりも良い
「翼の上側に折り重ね」は、「翼の上下に折り重ね」よりも悪い
(注)翼型の抗力係数を計算しているため、翼の誘導抗力係数や、胴体や翼端板の抗力係数を含んでいません。
抗力係数は、揚力係数=0付近で、4種類とも同等なので、うまく投げ上げできれば同等の獲得高度を期待できそうです。
負の傾きでモーメント係数=0になる揚力係数は、3種類とも0.43程度で同等。
→エレベーター調整なしのとき、重心位置=25%なら、揚力係数=0.43で定常滑空する。
(注1)定常滑空速度は同じでも、滑空比は揚抗比に依存し、沈下率も変化します。
(注2)実際には、胴体や翼端板の影響でモーメント係数が上下に変化し、定常滑空での揚力係数も変化します。
揚力係数=0でのモーメント係数は、
「翼の上下に折り重ね」と「折り重ねなし」は、0 → 投げ上げで、直線で上昇する
「翼の下側に折り重ね」は、負 → 投げ上げで、逆宙返り傾向
「翼の上側に折り重ね」は、正 → 投げ上げで、宙返り傾向
揚力係数=0でのモーメント係数を、速度を変更して計算すると、速度による変化は小さく、
「翼の上下に折り重ね」と「折り重ねなし」は、投げ上げ速度全域で直線
「翼の下側に折り重ね」は、投げ上げ速度全域で、逆宙返り傾向
「翼の上側に折り重ね」は、投げ上げ速度全域で、宙返り傾向
折り紙ヒコーキの滞空競技では、真上に投げ上げて直線的に上昇させるため、宙返りや逆宙返りになる機体はエレベーター調整が必要になります。エレベーターを調整すると、当然、空力特性が変化します。
エレベーター調整なしでの定常滑空では、「翼の下側に折り重ね」が有利という計算結果になりましたが、エレベーター調整後の特性比較が重要です。
滞空競技では、真上に上昇するように、エレベーターを調整した後の性能が重要です。
エレベーターを変更して繰り返し計算を行い、揚力係数=0のときモーメント係数=0になるエレベーター設定を見つけ、特性を比較します。
実際の折り紙ヒコーキと、一部条件が異なります。
・胴体や翼端板が無い状態で、エレベーター調整します。
・翼幅全体で、均一に、エレベーター調整します。
また、
・計算している翼型形状では、高速時にXFoil計算が収束しなくなる。
・高速時には風圧で紙が変形し、翼型も変化するが、風圧での変形を計算できないため、高速では実際と一致しなくなる。
・速度により空力特性が変化するため、初速から滑空速度までの、すべて速度範囲で直線で上昇するように調整することはできない。
という問題があり、20秒の滞空時間を想定した、
・初速(17.5m/s)と滑空速度(2.5m/s)を平均した、10m/sでエレベーター調整の計算を行いました。
エレベーター(幅4mm)調整の結果は、
・「翼の上下に折り重ね」「折り重ねなし」エレベーター後縁高さ=0mm
・「翼の下側に折り重ね」エレベーター後縁高さ=0.085mm(エレベーターアップ)
・「翼の上側に折り重ね」エレベーター後縁高さ=-0.078mm(エレベーターダウン)
エレベーター調整なしと同様の傾向ですが、差が小さくなっています。
エレベーター調整なしと同様の傾向ですが、差が小さくなっています。
エレベーター調整なしと異なり、負の傾きでモーメント係数=0になる揚力係数に差が見られます。
・「翼の下側に折り重ね」揚力係数=0.465
・「翼の上下に折り重ね」揚力係数=0.436
・「翼の上側に折り重ね」揚力係数=0.416
同じ重心位置なら、「翼の下側に折り重ね」の定常滑空速度が小さく、沈下率を改善できそうです。
定常滑空速度は、重心位置により変更できますが、同じ定常滑空速度になるように重心を調整した場合、「翼の下側に折り重ね」では、他の翼型よりも重心が前方になるため、投げ上げの直進性や再現性の点で有利と思われます。
揚力係数=0でのモーメント係数を、速度を変更して計算し、滞空時間20秒を想定した速度と高度の関係から、横軸を高度に換算表示しています。
エレベーター調整なしの場合と異なり、揚力係数=0でのモーメント係数に、高度(速度)依存が見られ、エレベーター調整の速度(10m/s)に対応した高度(7.1m)前後で、モーメント係数の正負が反転しています。
・「翼の上下に折り重ね」全域で直線で上昇
・「翼の下側に折り重ね」投げの前半では宙返り傾向、後半では逆宙返り傾向
・「翼の上側に折り重ね」投げの前半では逆宙返り傾向、後半では宙返り傾向
投げた直後は宙返り傾向のほうが投げやすいため、「翼の下側に折り重ね」のほうが良さそうな感じがします。
軽く投げ上げながら調整し、しだいに初速を大きくする場合、特定の速度での宙返り/逆宙返りの遷移の無い、対称翼が魅力的です。
真上に上昇するように、エレベーターを調整した後の性能でも、「翼の下側に折り重ね」が有利という計算結果になりました。
滑空比の差は3.2%程度、同じ重心位置での滑空速度の差は5.6%程度、になるため目標の滞空時間20秒に対して、
・同じ重心位置なら、滞空時間の差は1.8秒
・同じ滑空速度になるように重心を調整すれば、滞空時間の差は0.6秒
程度になりそうです。
Copyright(C) 2024-05-31 桝岡 秀昭