紙飛行機/V0311B製作記録

V0311Bは、三角胴の小型ハンドランチです。

木村杯で2位になったV0309Aの改良型です。

(もちろん、V尾翼です)

設計

PPSimで設計し、PPPrintで印刷して作っています。

  • PPSim用ファイル:v0311b.ppp(4KB)
  • PPPrint用ファイル:v0311b.txt(2KB)
  • 設計方針
    • 初速を重視し、投げやすいように小型軽量化(10g以下)します。
    • 紙飛行機は消耗品なので、製作工数と部品点数を削減します。
    • 紙からの部品の取り方も配慮します。
    • 紙代は、1機あたり14円程度の計算になりますが、プリンターのインク代のほうが高そうです。
    • V0309Aは、フルパワーで投げたときの挙動が不安定だったので、翼幅を短くしました。
    • 安心して投げれるように、剛性感を向上させるため、V0309Aよりも厚い紙を使用します。

PPSimで作成した三面図(実際には三角胴です)

保護スポンジを除く全長=215mm、展開翼幅=220mm、質量=9.2g

製作

部品を切り出したところ

ハサミを使っていますが、ハサミで切ると部品がねじれるので、切ってすぐに、ねじれを直しておくのがポイントです。

使用している紙は、

主翼:FIFTY55(465g)

主翼補強:FIFTY25(205g)

水平尾翼:FIFTY35(305g)

胴体:カラーケント(200g)

FIFTYは、セキレイのカラーケント紙で、いろいろな厚さが用意されています。

川崎の東急ハンズで取り寄せてもらいました。

胴体に、定規と千枚通しで折れ線を付けます。

この精度で胴体の合わせ精度がきまります。

折れ線にそって三角に折り曲げます。

胴体のインナー材と内側補強材は、折り曲げやすいように、ラインを外側にして折り曲げています。

胴体のアウター材と、機首カウルは、ラインが見えないように、ラインを内側にして折り曲げています。

胴体の内側補強材をインナー材の主翼後縁部分に貼り付けます。

この後の接着も含め、接着剤はすべてセメダインCです。

セメダインCは、硬くなりすぎて、もろくなる場合があり、あまり好きではないのですが、競技会のルール上、しかたのないところです。

接着の信頼性や、耐衝撃性の点では、もう少し柔らかい接着剤が好ましいと思っています。

手持ちの接着剤では、セメダインCよりもエポキシのほうが硬化後にも弾力があり、好きなのですが、競技ルール上禁止されている場合が多いので使っていません。

エポキシのほうが耐候性が良く、変形しにくいし、柔らかいので、安全だと思うのですが。。。

機首の上側の糊代を貼りあわせます。


胴体の合わせ確認のため、アウター材の中にインナー材を入れてみたところ。


胴体を貼り合わせて、平らな台の上で、アルミのアングル材で固定します。

台は15mm厚ベニアで、接着剤が付かないようにポリシートで巻いてあります。

アングル材は、胴体のサイズに合わせて、テーパーにカットしてあります。

固定には、洗濯バサミを使用しています。

紙のように、柔らかいものを固定する場合、適度な力があり、軽量なので安定して固定できます。

工作用のクランプは、重すぎる感じがします。

胴体が60度、アルミアングルが90度なので、押さえるときにグラグラしないよう、一番手前の洗濯バサミで、90度の切り込みを入れた木片を挟んでいます。

主翼の後縁上面を削ります。

主翼は、左右を切り離して加工しています。

厚い紙の場合、中央で折り曲げるよりも、切り離して接着するほうが、繊維へのダメージが小さく強度や精度が出る感じがします。

削る時間を短縮するため、豆カンナで荒削りして、紙ヤスリで仕上げています。

主翼と同形状の、4mm厚ベニアの上で作業しています。

主翼の前縁は紙ヤスリで丸く仕上げます。

主翼補強は、段差を小さくするため周囲の下面を削ってから、主翼と接着します。

削った面を貼りあわせると、周囲が浮き上がる場合があったので、削っていない面を貼りあわせています。

キャンバーを付けた後で接着するため、中央の前縁部分には切り込みを入れてあります。

補強材は、前縁から2mm後退させています。

前縁に接着剤を付けると、硬くなって、人にぶつかった場合に危ないためです。

特に、セメダインCは硬くなる感じがします。

主翼中央部分の、上下に補強材を接着します。

上面は4mm幅、下面は6mm幅のFIFTY35を使用しています。

下面用は、中央で折り曲げていますが、上面用はフラットなまま貼り付けています。

上面の補強材は、胴体への取り付けの関係で、翼弦よりも少し長くしてあります。

設計した上反角に保持して乾燥します。

この台は、カタパルト機用のものを流用しているので、少し小さいです。

角度可変式になっていますが、固定角度のものを数種類用意したほうが便利そうです。

乾燥後、主翼中央の後縁下側を削ります。

主翼を胴体に接着して、その上に主翼カバーを接着したとき、後縁部分の段差で主翼カバーが折れ曲がるのを防止するためです。

削る時間を短縮するため、紙ヤスリではなく、

NT DRESSER L-20 (中目)

を使っています。

主翼上面の補強材の先端を胴体に差し込んで接着します。

乾燥するまでの固定には、やはり洗濯バサミを使っています。

主翼の上に主翼カバーを接着します。


機首カウルを接着します。


尾翼も、紙ヤスリで前後縁を削り、折れ線を付けて折り曲げておきます。

後ろにあるのは、紙ヤスリで削るときに使用する、尾翼と同形状の、4mm厚ベニアです。

紙ヤスリは、12mm厚ベニアに貼り付けて使っています。

胴体に尾翼を接着します。

機体軸と平行になるように、注意が必要です。

前後から良く見て、固まる前に修正します。

尾翼は軽いので、洗濯バサミでの固定は行っていません。

上反角をチェックしながら乾燥します。

乾燥後、重心の仮調整をして、バラストのサイズを決定し、機首に挿入できるように整形します。

バラストには、ハンダを使っています。

機首の形状は、このハンダに合わせた設計になっています。

バラストを紙で巻き、接着材を付けて機首に差し込みます。

紙は、4mm幅のFIFTY25です。

もう少し薄い紙でも良さそうです。

この状態でも、バラストは露出していません。

トップカバーを接着します。


主翼と尾翼のねじれを修正してから塗装します。

ねじれたまま塗装すると、ねじれが固定されてしまい、調整がずれやすい機体になります。

小型機なので、スプレー塗料では無駄が多く、ビン入りの塗料を使っています。

塗料は、アルキド系のクリアーラッカーを50%程度に薄めています。

耐水性や耐候性では、アクリル系のほうが良いらしいのですが、入手できていません。

小型機なので、塗装用のハケではなく、プラモデル用の平筆(大)を使っています。

乾燥後、1000番の紙ヤスリで磨いて、もう1回塗装します。

以前は、3回塗装していましたが、最近は2回に省力化しました。

乾燥後、機首に保護スポンジを取り付けます。

安全重視で、機首部分のスポンジを2重にするため、まず、先端に小型のスポンジを取り付けます。

(厳密には、ルール違反になるのかもしれません。)

保護スポンジは、機首カウルに少しオーバーラップして取り付け、カウル内にピンセットで押し込みます。

保護スポンジは、競技会指定の「防音戸当たりテープ」です。

厚さ2.5mm、幅15mmの片面粘着テープですが、幅7.5mm、長さ35mmにカットすると、ちょうど合うようにカウルを設計しています。


この状態で、重心の最終チェックを行います。


前が重いときは、機首の横からピンバイスでバラストに穴を開け、穴の深さで微調整します。

電動ドリルよりも、ピンバイスのほうが安全で、微調整もしやすいようです。

逆に、前が軽いときは、カウル内にバラストを追加します。

反対側のスポンジも機首カウルに押し込んで完成。


こんな感じになります。


フライト

うまく投げれた場合で、デジカメ動画から単純計算した初速は100km/h程度、滞空時間は30秒から35秒程度です。

PPSimの計算結果(34秒)とだいたい一致しています。

トレーニングとフォーム改造で、120km/hが出せれば、44秒程度になる計算ですが。。。

Copyright(C) 2003-12-06 桝岡 秀昭