紙飛行機/三角胴の座標計算
-- 紙飛行機の展開図作成 --
手投げ紙飛行機の胴体に、三角胴を使用しています。
村山さんのまねをした、2重構造の三角胴ですが、機首に向かって四角形に変形させている点が異なります。
以前は、定規を使って使用する紙に直接展開図を記入していたのですが、やはり精度が不十分でした。
昨年、A3用紙用のプリンターを購入したので、プリンターで印刷できるように、専用ソフト(PPPrint)を作成しました。
ソフトの仕様確認もあり、三角胴の展開図の座標計算について、まとめてみました。
三角胴のイメージ
計算する三角胴の、完成時のイメージと断面形状は、こんな感じです。
主翼前縁位置が、胴体の最大幅になっています。
最大幅位置から、胴体後端まで、断面は相似形状の三角形(角度が同じ)になっています。
最大幅位置から、胴体の先端に向けて、細くしながら三角形から四角形に変形させます。
胴体の先端には保護用のゴムスポンジを装着しますが、スポンジ後端で流れが乱れないように、カウルを装着しています。胴体の表面積は、カウルにより増加しそうなので、滑空時には抵抗が増加するかもしれません。
胴体は、アウターとインナーの2重構造ですが、機首部分にはカウルやトップカバーが付き、少し複雑になります。カウルは2重構造の胴体に接着されますが、間に空洞ができるので、胴体の補強効果はあまり期待できないと思います。
手投げ用の胴体グリップはありません。小型機なので、保護スポンジを持ち主翼に指をかけて投げますが、投げやすいように自分に合った機首の長さに設計しています。大型機ではカウルの位置にグリップが必要になりますが、カウルは中空構造で強度が弱いので、このままでは問題がありそうです。
展開図と名称
展開図にすると、こんな形状になり、名前をつけたポイントの座標を計算します。
機首部分は、合わせの関係で、左右非対称の部分があるので、製作時には注意が必要です。
三角断面の寸法差
折り曲げ時の変形を考慮する方法がわからないので、単純に計算しています。
正確な計算式があれば、誰か教えてください。
座標の計算式
外形
- WSw=WTw/2/Sin(P/2) ;サイド最大幅
- WSt=WTt/2/Sin(P/2) ;サイド後端幅
- WTm=WTt+(WTw-WTt)*LB/(LB-XW) ;トップ仮想最大幅
- WSm=WSt+(WSw-WSt)*LB/(LB-XW) ;サイド仮想最大幅
内外の差
- DTp=Tp/Tan((90-P/2)/2)
- DSp=Tp/Tan(P/2)
アウターの幅
- WTno=WTn ;トップの先端幅
- WTnoR=WTn-Tp ;トップの先端幅(R)
- WTnoL=WTn-Tp*2 ;トップの先端幅(L)
- WSnoR=WSn-Tp*3 ;サイドの先端幅(R)
- WSnoL=WSn-Tp*4 ;サイドの先端幅(L)
インナーの幅
- WTwi=WTw-DTp*2 ;トップの最大幅
- WTti=WTt-DTp*2 ;トップの後端幅
- WSwi=WSw-DTp-DSp ;サイドの最大幅
- WSti=WSt-DTp-DSp ;サイドの後端幅
- WTni=WTn-Tp*2 ;トップの先端幅
- WTniL=WTn-Tp*3 ;トップの先端幅(L)
- WTniR=WTn-Tp*4 ;トップの先端幅(R)
- WSniL=WSn-Tp*6 ;サイドの先端幅(L)
- WSniR=WSn-Tp*7 ;サイドの先端幅(R)
センターラインからの角度
- Pt=ATan((WTw-WTt)/2/(LB-XW)) ;トップパネル
- Ps=ASin((WSw-WSt)/2/(LB-XW)*Cos(Pt)) ;サイドパネル
アウターの座標
- xTo7=LB
- yTo7=0
- xTo6=xTo7
- yTo6=WTt/2
- xTo8=xTo7-CH
- yTo8=0
- xTo5=xTo8
- yTo5=yTo6+(xTo6-xTo5)*Tan(Pt)
- xTo9=XW+CW
- yTo9=0
- xTo4=xTo9
- yTo4=yTo6+(xTo6-xTo4)*Tan(Pt)
- xTo3=XW
- yTo3=yTo6+(xTo6-xTo3)*Tan(Pt)
- xSo4=xTo6+WSt*Sin(Pt+Ps)-WSt*Cos(Pt+2*Ps)
- ySo4=yTo6+WSt*Cos(Pt+Ps)+WSt*Sin(Pt+2*Ps)
- xSo3=xTo6+WSt*Sin(Pt+Ps)-(LB-XW)/Cos(Pt)*Cos(Pt+2*Ps)
- ySo3=yTo6+WSt*Cos(Pt+Ps)+(LB-XW)/Cos(Pt)*Sin(Pt+2*Ps)
- xSo2=xSo3-(XW/Cos(Pt)-WTn/2*Tan(Ps))*Cos(Pt+2*Ps)
- ySo2=ySo3+(XW/Cos(Pt)-WTn/2*Tan(Ps))*Sin(Pt+2*Ps)
- xSo1=xSo2-WTn/2*Sin(Pt+2*Ps)
- ySo1=ySo2-WTn/2*Cos(Pt+2*Ps)
- Pb=Pt+2*Ps-ArcTan((ySo1-ySo3)/(xSo3-xSo1)) ;//ノーズボトム
- xTo2R=xSo1-WSnoR*sin(Pt+Ps)
- yTo2R=ySo1-WSnoR*cos(Pt+Ps)
- xTo2L=xSo1-WSnoL*sin(Pt+Ps)
- yTo2L=ySo1-WSnoL*cos(Pt+Ps)
- R=Sqrt((xTo3-xTo2R)^2+(yTo3-yTo2R)^2)
- PnTR=ATan((yTo2R-yTo3)/(xTo3-xTo2R))
- PnR=ATan((WTw-WTn)/2/R) ;ノーズトップの角度(R)
- xTo1R=xTo2R-WTnoR*Sin(PnTR+PnR)
- yTo1R=yTo2R-WTnoR*Cos(PnTR+PnR)
- xTo10R=xTo1R+yTo1R/Tan(PnTR+2*PnR)
- yTo10R=0
- L=Sqrt((xTo3-xTo2L)^2+(yTo3-yTo2L)^2)
- PnTL=ATan((yTo2L-yTo3)/(xTo3-xTo2L))
- PnL=ATan((WTw-WTn)/2/L) ;ノーズトップの角度(L)
- xTo1L=xTo2L-WTnoL*sin(PnTL+PnL)
- yTo1L=yTo2L-WTnoL*cos(PnTL+PnL)
- xTo10L=xTo1L+yTo1L/Tan(PnTL+2*PnL)
- yTo10L=0
インナーの座標
- xSi6=LB/cos(Pt)-WSti
- ySi6=0
- xSi5=LB/cos(Ps)+WSti*Sin(Ps)
- ySi5=WSti*Cos(Ps)
- xTi5=xSi5+WTti/2*Sin(2*Ps+Pt)
- yTi5=ySi5+WTti/2*Cos(2*Ps+Pt)
- xTi4=xTi5-(LB-XW-CW)*Cos(2*Ps+Pt)
- yTi4=yTi5+(LB-XW-CW)*Sin(2*Ps+Pt)
- xTi3=xTi5-(LB-XW)*Cos(2*Ps+Pt)
- yTi3=yTi5+(LB-XW)*Sin(2*Ps+Pt)
- WTci=WTti+(WTwi-WTti)*(LB-XW-CW)/(LB-XW)
- xSi4=xTi4-WTci/2*Sin(2*Ps+Pt)
- ySi4=yTi4-WTci/2*Cos(2*Ps+Pt)
- xSi3=xTi3-WTwi/2*Sin(2*Ps+Pt)
- ySi3=yTi3-WTwi/2*Cos(2*Ps+Pt)
- :xSi4=xSi5-(LB-XW-CW)/Cos(Pt)*Cos(2*Ps)
- :ySi4=ySi5+(LB-XW-CW)/Cos(Pt)*Sin(2*Ps)
- :xSi3=xSi5-(LB-XW)/Cos(Pt)*Cos(2*Ps)
- :ySi3=ySi5+(LB-XW)/Cos(Pt)*Sin(2*Ps)
- xSi7=XW/Cos(Pt)
- ySi7=0
- xSi1=WTni/2*Tan(Ps)
- ySi1=WTni/2
- xSi2R=xSi1+WSniR*Sin(Ps)
- ySi2R=ySi1+WSniR*Cos(Ps)
- xSi2L=xSi1+WSniL*Sin(Ps)
- ySi2L=ySi1+WSniL*Cos(Ps)
- R=Sqrt((xSi3-xSiR)^2+(ySi3-ySi2R)^2)
- PnTR=ATan((ySi2R-ySi3)/(xSi3-xSi2R))
- PnR=ATan((WTwi-WTni)/2/R) ;ノーズトップの角度(R)
- xTi1R=xSi2R-WTniR*Sin(PnR-PnTR)
- yTi1R=ySi2R+WTniR*Cos(PnR-PnTR)
- xTi2R=xTi1R+((xTi3-xTi1R)*Tan(2*Ps+Pt)+yTi3-yTi1R)/(Tan(2*PnR-PnTR)+Tan(2*Ps+Pt))
- yTi2R=yTi1R+(xTi2R-xTi1R)*Tan(2*PnR-PnTR)
- L=Sqrt((xSi3-xSiL)^2+(ySi3-ySi2L)^2)
- PnTL=ATan((ySi2L-ySi3)/(xSi3-xSi2L))
- PnL=ATan((WTwi-WTni)/2/L) ;ノーズトップの角度(L)
- xTi1L=xSi2L-WTniL*Sin(PnL-PnTL)
- yTi1L=ySi2L+WTniL*Cos(PnL-PnTL)
- xTi2L=xTi1L+((xTi3-xTi1L)*Tan(2*Ps+Pt)+yTi3-yTi1L)/(Tan(2*PnL-PnTL)+Tan(2*Ps+Pt))
- yTi2L=yTi1L+(xTi2L-xTi1L)*Tan(2*PnL-PnTL)
カウルの座標
- xBc1=0
- yBc1=WTn/2
- xBc2=10*Cos(Pb)
- yBc2=yBc1-10*Sin(Pb)
- xBc3=xBc2+2.5*Sin(Pb)
- yBc3=yBc2+2.5*Cos(Pb)
- xBc4=XW/Cos(Pt)-WTn/2*Tan(Ps)
- yBc4=0
- xBc5=xBc4+WSw+DTp+DSp
- yBc5=0
- Pbc=ATan((yBc3-yBc4)/(xBc4-xBc3))
- xTc4=xBc4+(WSw+DTp+DSp)*Sin(Pbc-Pb+Ps)
- yTc4=yBc4+(WSw+DTp+DSp)*Cos(Pbc-Pb+Ps)
- WSc=WSn-Tp+(WSw+DTp+DSp-WSn+Tp)*10/XW
- xTc5=xBc3+WSc*Sin(Pbc-Pb+Ps)
- yTc5=yBc3+WSc*Cos(Pbc-Pb+Ps)
- LC=Sqrt((xTc4-xTc5)^2+(yTc4-yTc5)^2)
- Pct=ASin((2.5-DTp)/LC)
- Pc=ATan((yTc5-yTc4)/(xTc4-xTc5))
- xTc6=xTc5+2.5*Sin(Pc+Pct)
- yTc6=yTc5+2.5*Cos(Pc+Pct)
- xTc1=xTc6-10*Cos(Pc+Pct)
- yTc1=yTc6+10*Sin(Pc+Pct)
- LC=Sqrt((xTc4-xTc1)^2+(yTc4-yTc1)^2)
- Pc=ATan((yTc1-yTc4)/(xTc4-xTc1))
- Pn=ASin((WSw/2+DTp-WTn/2)/LC)
- xTc2=xTc1+WTn/2*Sin(Pc-Pn)
- yTc2=yTc1+WTn/2*Cos(Pc-Pn)
- xTc3=xTc4+(WTw/2+DTp)*Sin(Pc-Pn)
- yTc3=yTc4+(WTw/2+DTp)*Cos(Pc-Pn)
- xSc4=xTc5-Tp*Sin(Pbc-Pb+Ps)
- ySc4=yTc5-Tp*Cos(Pbc-Pb+Ps)
- xSc3=xSc4-2.5*Cos(Pbc-Pb+Ps)
- ySc3=ySc4+2.5*Sin(Pbc-Pb+Ps)
- xSc2=xSc3-5*Cos(Pbc-Pb+Ps)
- ySc2=ySc3+5*Sin(Pbc-Pb+Ps)
- xSc5=xBc3+Tp*Sin(Pbc-Pb+Ps)
- ySc5=yBc3+Tp*Cos(Pbc-Pb+Ps)
- xSc6=xSc5-2.5*Cos(Pbc-Pb+Ps)
- ySc6=ySc5+2.5*Sin(Pbc-Pb+Ps)
- xSc1=xSc6-5*Cos(Pbc-Pb+Ps)
- ySc1=ySc6+5*Sin(Pbc-Pb+Ps)
補強材の座標
- WTh=WTt+(WTw-WTt)*(LB-XW-CW)/(LB-XW)-DTp*4 ;補強材トップ幅
- WSh=WSt+(WSw-WSt)*(LB-XW-CW)/(LB-XW)-DTp*2-DSp*2 ;補強材サイド幅
- xSh1=0
- ySh1=WTh/2+WTh/2*Tan(Pt)
- xSh2=WTh/2
- ySh2=WTh/2+WSh*Cos(Pt+Ps)+WSh*Sin(Pt+Ps)*Tan(Pt+2*Ps)
- xSh3=xSh2+WTh
- ySh3=WTh/2-WTh*Tan(Pt)
- 主翼カバーの座標
- xTw1=0
- yTw1=0
- xTw2=WTw/2/Tan(30)
- yTw2=WTw/2
- xTw3=xTw2+CW+WTh
- yTw3=yTw2-(CW+WTh)*Tan(Pt)
- xTw4=xTw3+yTw3/Tan(30)
- yTw4=0
トップカバーの座標
- xTb1=0
- yTb1=WTn/2
- xTb2=WSn
- yTb2=WTn/2
- xTb3=xTb2+XW+Tp
- yTb3=WTw/2
- xTb4=xTb3+yTb3/Tan(30)
- yTb4=0
製作手順の概要
- 材料を切り出し、曲げるところは、定規と千枚通しなどを使って折れ線を付けます。
- 切り出しと折れ線の精度が重要です。
- 定規などを利用して、正確に折り曲げます。
- 折り曲げ精度は、折れ線でだいたい決定されますが、紙の強度を落とさないように気をつけて折り曲げます。
- 折り曲げ方向は、好みによりますが、インナーと補強材は印刷面が外側になるように、それ以外は印刷面が内側になるようにしています。
- インナーの主翼後縁部分で、内側に補強材を接着します。
- アウターとインナーを接着します。
- 接着材が乾燥するまで、ポリシート(コンビニ袋)をかけた平らな台の上に胴体を置き、その上からアルミのアングル材などで押えておくと、曲がらずに固定できます。セメダインCで接着する場合は、アルミは接着されないので、後で簡単に剥がせるようです。
- カウルを接着します。
- 主翼と尾翼を胴体に接着します。
- 主翼は、上反角の折り曲げ部分を、あらかじめ補強しておきます。
- 胴体の糊代部分を広げて、接着面積を確保して接着します。
- 胴体に取り付ける部分の、主翼の前縁と後縁を削って薄くしておくと、後で主翼カバーを取り付けやすいようです。主翼の厚さにより、段差が発生すると、ここで主翼カバーを折り曲げて取り付けることになります。強度が不連続になる所が破損しやすく、それを防止するための主翼カバーなので、段差を無くして取り付けたほうが有利です。
- 主翼カバーを上面に接着します。
- 主翼カバーの最大幅位置を、胴体の最大幅位置と一致させます。
- バラストを整形し、機首先端から軽く挿入して、仮の重心合わせを行い、バラストを調整します。
- バラストを紙で巻いて、接着剤を付けて機首先端から挿入して固定します。
- トップカバーを接着します。
- バラストを紙で巻いているので、直接バラストが見えることはありませんが、さらにトップカバーで保護されます。
- 塗装して、乾燥後、保護スポンジを取り付けます。
- 最後の重心調整を行います。
- トップカバーと保護スポンジにより前が重くなり、塗装により後ろが重くなっているので、仮の重心合わせのときよりも、最終的には、少し前が重くなる場合が多いようです。ゴムスポンジを片側はがして、機首の横から3mmくらいのドリルでバラストを削り、重心位置を調整します。バラストが見えないように、紙を貼ってからゴムスポンジを戻せば完璧です。 ドリルは、ピンバイスに付いたシンプルな物が、安全に加工でき、調整もしやすいようです。
Copyright(C) 2003-05-11 桝岡秀昭