第25回
都知事選を終えて
都知事選を終えて
都知事選を終えて
7月7日に東京都知事選が行われました。私は、24話に「革新都政をつくる患者・障害者の会」代表として書かせていただいたので、経過と思いを書かせていただきます。結果は、ご存じのように、小池百合子氏が3選を果たし、市民と野党の共闘で推された蓮舫氏は128万票余りを獲得しましたが、及びませんでした。私は非常に残念で、一瞬「これからの都政は、どのようになるのだろう」と不安に感じました。しかしすぐに、冷静に見て、これからの東京の障害者運動を考えていかねば、と思いました。
市民と野党の共闘が
今回の都知事選、私たちにとって大きなことは、市民と野党の共闘が成立したことです。
これも、一夜にして成立したのではありません。実は、4年前の都知事選の前に「都政転換をめざす呼びかけ人会議」がつくられました。個人を含めて、都政転換を願う人たちが結集しよう、というものです。私も、運営委員になりました。これが4年前の都知事選に宇都宮健児さんを擁立する力になりました。呼びかけ人会議はその後も継続し、私も月1回の会議に出ていました。2年前には「都知事選折り返し集会」を、昨年は「都知事選1年前集会」を開きました。そして今年1月にいち早く、中野ゼロホールで「キックオフ集会」を開きました。これが、広く市民と野党の共闘で「候補者選定委員会」が作られ、蓮舫氏擁立となりました。みなさんに、こうした経過があることを知っていただきたいと思います。
大きくボケた選挙に
今度の都知事選では、50人を超える立候補者がありました。もちろん、立候補の自由は保障されなければなりませんが、大切な「都政をどうする」がボケたのは確かです。点字公報の作成も、それを読む視覚障害者にも大きな障害になったのではと思います。選挙公報などを見て学習しいている知的障害者のお話を聞きます。この人たちにも障害になったのではと思います。
石丸伸二前安芸高田市長が、蓮舫さんより上の2位になったことに驚かれた方も多いと思います。私も、あ然としました。「政治屋の一掃」とか「政党のしがらみがない」などを売り物に、街頭演説がテレビなどで放映されたのが、裏金問題などの自民党政治や小池都政の不満を吸収したのでは、と思います。具体的な政策も裏付けもなく、これも、大切な「都政をどうする」が大きくボケた選挙にしたのは確かです。私たちは、大切な選挙で争点を誤魔化され歴史を進められなかった経験を何回もしています。2017年の総選挙で、当時の安倍内閣が進めようとしていた戦争への道や経済格差拡大への道を阻止しようとした国民の声に、希望の党なるものを立ち上げ野党の共闘を分断し、争点を誤魔化した小池百合子氏の罪は重い、と私は今でも思っています。
自治体の役割を
今回の都知事選を含めて何が足りないか、私は、自治体の役割をもっと知らせるべきだと、私の自戒を含めて思っています。革新都政をつくる患者・障害者の会の決起集会で永山利和さん(呼びかけ人会議代表・元日本大学教授)は、「美濃部革新都政は憲法25条を東京において実現しようとした」と話されました。革新都政時代「国の悪政から住民を守る自治体の役割」とさかんに言われました。だから、障害児の希望者全員就学が実現し、障害者福祉手当・医療費助成制度・手話派遣制度がその時代に創設されました。今日、障都連の要請行動で東京都から「国制度に従い行っています」と言う回答ばかりです。「国の悪政から住民を守る東京都の役割」をもっと強調して運動を強め、障害者や家族、都民に知らせていかねばと思っている私です。
余談かもしれませんけど、私は、「ふるさと納税」が大嫌いです。民主主義を破壊する最悪の制度と思います。払うべき税金は正当ならば払い、その代わり自分の住む自治体を投票することを含め良くするために努力する、民主主義の基本です。それを返礼品で気を逸らす、主権者意識を奪い取るものです。まして、国技である大相撲の元横綱が中間業者のコマーシャルに出る、最低です。私は、あの元横綱を「日本を悪くした一人」としています。
今回の都知事選の投票率は、60.62%です。前回より5%上回ったとは言えまだまだ低いと思っています。郵便投票制度拡大など障害者や高齢者等への投票権保障を進めるとともに、主権者として「東京を良くしよう」という人を増やす努力が今から必要です。
今日から準備を、そして運動を
都知事選が終わりました。オリンピックではないので「4年後をめざして」と言うわけにはいきません。今日から準備を始めなければなりません。今回の都知事選で私が悔いに残るのは、候補者擁立が遅かったこともあり、多くの障害者団体と対話ができなかったことです。障害者団体同士の要求や運動の交流は進んでいるので、都政を考える交流を進めたいと思います。
障都連の夏期要請行動が始まりました。都議会で継続審査となっている障害者福祉手当支給額値上げの問題や医療費助成制度対象拡大の問題に、さっそく取り組んでいかねばなりません。来年は、都議会議員選挙もあります。