江原豊政策部長は2020年1月10日、「診療報酬のマイナス改定に抗議し歯科医療の抜本改善を求める」とする談話を発表しました。全文は次の通りです。
【談話】
2020年度診療報酬改定の改定率が加藤勝信厚労相と麻生太郎財務相による大臣折衝で2019年12月17日に決定した。
改定率は診療報酬本体が0.55%と微増したものの、薬価等を含む全体では0.46%のマイナスとなった。自公政権の下では02年から8回連続のマイナス改定である。国民の命と健康を守る公的医療保険制度を軽視するマイナス改定に断固抗議する。
政府は診療報酬の引き下げなどを通じて社会保障費の伸びを5300億円から4100億円程度に抑制するとしている。マイナス改定に加え、後期高齢者の窓口負担増や受診時定額負担の導入、介護保険の利用者負担の引き上げなどを計画。その一方で20年度予算案では過去最大の軍事費や大企業向けの減税策などに多額の財源を投入する。
「消費増税は社会保障のため」とする政府の説明が国民を欺くものだったことが改めて明らかになった。嘘に嘘を重ねる安倍政権の体質が社会保障政策にも表れていると言わざるを得ない。
診療報酬本体の改定率の内訳は歯科0.59%、医科0.53%、調剤0.16%となった。本体のプラスは「保険で良い歯科医療」を願う歯科医療関係者と国民の運動を一部反映した結果と言えるが、いずれも前回の改定率を下回った。
改定財源の国費は600億円で歯科に限ると約40億円に過ぎない。これでは歯科医療の危機打開は不可能だ。わずかな財源では全体の底上げにはならず、施設基準による医療機関の差別・選別化や不合理な算定制限など診療報酬の歪みを拡大させかねない。
診療現場では低歯科医療費政策の下、金パラをはじめとする材料費の高騰や人件費の上昇、院内感染防止対策などへの対応が迫られ、経営難に追い打ちをかけている。長年据え置かれた基礎的技術料や基本診療料の抜本改善は待ったなしの状況だ。歯科技工士と歯科衛生士の処遇改善も急務だ。
協会は国民の命と健康を守り、会員の生活と権利を守るために、歯科診療報酬の大幅増と患者窓口負担の軽減を求めていく。いつでも、どこでも、誰もが経済的不安なく歯科治療が受けられるよう「保険で良い歯科医療」の実現をめざして運動を進める。
2020年1月10日
大阪府歯科保険医協会
政策部長・江原豊