「口腔崩壊」の児童・生徒の事例
養護教諭から寄せられた「口腔崩壊」の児童・生徒の事例(2017年度調査)では、小学校で「上の歯がほとんどない状態」「ペースト状にした給食をつくってもらい食べている」など深刻な実態が明らかになっています。
中学校では経済的理由で永久歯のむし歯を放置している事例や、マスクで口腔崩壊を隠している女子生徒のケースなどが報告されました。
高校では「口腔崩壊」の生徒が一校に5人以上いる事例が報告されるなど、口腔内の健康格差の広がりが見受けられました。
養護教諭から寄せられた事例(2017年度調査、抜粋)
【小学校】
・1 年男児、むし歯17 本。上の歯はほとんどない状態。給食などは食べづらい様子があるがなんとか食べている。
・口腔内の崩壊だけでなく、骨折していてもなかなか病院に連れて行ってもらえず。骨折が分かっていても通院が続かず、治りが悪い。
・口腔内の状況は率直に「う歯(むし歯)だらけ…」という状態です。4 名ほど家庭そのものの様子も気になるのに加え、児童自身も落ち着きがあまりない。
・乳歯の未処置歯が多数であるが、歯髄が化膿し、顔が腫れても放置状態であったため、何度も保護者に連絡を取るなどしたが、受診に向かない。
・給食を食べることが難しいため(咀嚼困難)、ペースト状にしたものを特別に作っていただき食べるようにしている。ペースト状にできないものがある際は食事の時間がとても長くなってしまう(残すことも)。
・1~2 回口腔内の痛みを訴えてきた。歯医者への受診を連絡帳で勧めたが、おそらく受診はしていない。素人が見ても分かるほど、歯が溶けてなくなっていたり、黒ずんでいる。
【中学校】
・むし歯が12 本ある中3 の生徒がいます。中1 の時から受診を勧めていますが、未受診です。高熱でインフルエンザ様症状でも経済的理由で受診できません。食材に困るときは同級生の母親が差し入れしたりしています。歯磨き指導以上に踏み込めません。
・14 本むし歯があるにもかかわらず歯医者に行かない。保護者に電話したり、懇談の際にお話ししても「子どもが行きたがらない」とあまり関心がない。
・歯槽骨まで達するものもあり、6 月から10 月までかけて処置を終えた。前歯のう歯が大きい女子生徒は常時マスクをしている。
【高校】
・入学時より口腔内が崩壊状態の3 年生の女子生徒。歯列咬合も非常に悪く、何度も個人的に呼び出し、指導しているが受診に結びつかない。アルバイトのせいで通院する時間がないと言い、保護者もあまり関心がない様子。
・(口腔崩壊の)3 人とも授業や友人トラブルで問題はないようにみられる。3 人のうち2 人は経済的に困難な生徒であり、保護者が子供の健康に関心を向ける余裕がないように感じる。
・う歯未処置10 本以上の生徒が7 名。