土質力学11
斜面の安定性
斜面の安定性
斜面が安定な状態なのか,不安定な状態なのかを安全率を用いて評価するのが斜面安定解析です.
斜面安定解析において重要な点は,すべり面を想定することです.想定したすべり面が,現実と合っていなければ,解析結果は信用できません.すべり面の形状が,直線的なのか,円弧状なのか,それらが組み合わさった非円弧なのかを見極める必要があります.土圧計算では,すべり面(破壊面)を直線とし,すべり面と水平面とのなす角度は,45°±φ/2としていました.しかしそれは,土が擁壁に対してどれくらいの圧力をかけているか,逆に擁壁が土にどれくらいの圧力をかけているかを計算するものでしたので,安定解析におけるすべり面とは,考え方が異なります.
斜面に対してボーリング調査を行うと,深さごとに土の状態が異なりることが分かります.掘り進めると最終的には基岩に到達します.土の状態が変わる境界や基岩との境界は,すべり面となることが多いようです.地すべりは,すべり粘土という薄い粘土層がすべり面となってゆっくり動く現象です.がけ崩れや斜面崩壊は,基岩との境界や樹木の根の届かない部分がすべり面となって一気に崩れる現象です.何れにしてもすべり面の想定が重要なのです.
安定解析では,想定したすべり面に対して,安全率が1を越えれば安定,それを下回れば不安定とみなします.安定解析の基本は,すべりを抑制する力Nとすべらそうとする力Tの比で表します.
安全率Fs = N/T となります.
円弧すべりや非円弧すべりの場合は,計算を単純にするため鉛直方向に分割し,分割された土の範囲ごとにNとTを求め,最終的にΣNとΣTから安全率を求めます.具体的な計算手法は,下を参考にしてください.