自然数って自然でない?
まず始めに,1って何でしょう?ちゃんと説明できますか?
数えるときや測るときの共通単位であると言えるでしょうか.
数えるときに使うのが自然数と習った記憶があります.
人が作り出したものは,簡単に数えられます.鉛筆とか,消しゴムとか.
でも新品の鉛筆ばかりではないはず.
半分使ったものは,0.5と数えたくなりますよね.そうなると実数?
人数を数えるのも,子供を0.5としたりしています.
お金ですら,銀行では円ではなく銭の単位まで扱っているようです.
そして自然のものは,さらに数えることが困難になります.木とか,山とか.
例えば,実際に大学敷地内の木の数をどう数えますか?
木のように大きい草があります.草のように小さい木もあります.
つまり木というものの共通の概念が共有できてないと困ります.
或は,誰かが木と分類したものだけを数えるとか.
その分類が,前にも述べたように人間の都合ですから,訳分からなくなります.
算数と数学
中学に入ると,算数から数学に変わります.
算数では,数値の後ろに様々な単位が付いていました.鶴亀算は,足の本数を計算するものでした.旅人算でも植木算でも,何かしら実世界との繋がりがあったのです.
数学になると,単位がなくなります.突然現実から遠ざかり,抽象化された世界に入らされたのです.マイナスの世界が出てきて,高校では虚数の世界まで出てきます.
考えてみると,算数の世界でも三角形や四角形,円といった図形の概念が出てきました.人間が作るモノには積極的に取り入れられている図形ですが,自然界にはあまり存在しないものです.
満月が円に見えて,星が点に見えます.星と星を線で結んで星座を想像することもできます.そこから発展して図形という概念が生まれ,モノづくりへと繋がったように思われます.
現在のモノづくりは,CADを使って設計することが多いですが,図形がベースになっています.
数値と単位
理科で出てくる数値には,必ず単位が付いています.距離ならm,質量ならKg,時間ならsec.分かりやすい数値です.
ただ,その単位も何を基準として表現された数値なのか?という部分は知っておく必要があります.長さを表す単位でもメートル,フィート,尺など様々なので,基準を知っておかなければイメージできません.
現在の距離の基準は,光の速さから定義されています.光の速度は,真空中で299792458 m/s .したがって,1mは,光が1 / 299792458 秒間に進む距離と定義できるわけです.
質量の定義は,2018年に改定されました.キログラム原器で規定されてから,130年目にしてプランク定数で規定される事になったのです.
プランク定数といえば,電磁気学で習ったE=hνという式を思い出します.光子ひとつのエネルギー(E)は,プランク定数(h)に光の周波数(ν)を乗じたもので表せるという式です.
この式から質量に関するイメージは湧いてきませんが,E=mc^2 (cは光速)というアインシュタインの導いた式を用いれば,質量と関連させることができます.
量子レベルの非常に小さな世界での話のようで,宇宙までつながっていると感じられる不思議な世界です.
つまり質量と距離と時間が関係性を持った事になります.「数式はともかく,それってどんな関係?」って考えると,なんだか余計に頭が混乱してきます.ただ,そこには何かまた新しい発見がありそうで,ワクワクします.
今後も計測機器の発達によってプランク定数の精度がさらに上がって来る事でしょう.新しい理論も次々登場しそうです.
角度と視力
測量では,角度を度分秒で表します.時刻と区別するため,記号として分は’,秒は”を用います.1°は60',1'は60"です.
小数点以下を読み上げる時,度分秒なら分かりやすい利点もあります.
緯度経度も度分秒で表すことが多いですね.
さて視力1.0とは,1'の角度を読み取ることができることに相当します.
視力検査の時,Cの隙間がどの方向を向いているか尋ねられますが,視力1.0ではCの隙間の間隔が,1'の角度になっています.
視力0.5の人は2'角以上の隙間でなければ認識できず,視力1.5の人は,1/1.5=40"角の隙間も認識できることになります.
月の大きさは,見かけの直径が約0.5°=30’ですから,視力が0.1の人でも月が円盤のような形をしていることは認識できていると思います.月は,満月を見ると,結構大きそうですが,案外小さいものです.
測量で使うトランシットやトータルステーションは,5"角を読み取るものが多く,高級な機器になると,1"角を読み取れます.
金星は,近づくと50"くらいになりますから,測量の器械でもその大きさを測ることができそうです.
木星や土星が40"ですから,測量の器械で模様や輪っかが見えるかもしれません.