第一次産業について
農業は第一次産業と言われていますが,多くの農業は既に二次産業になっています.
種や苗を購入し,肥料も購入,消毒薬も購入,そして種を取ることもしません.
したがって,原料を購入して加工する第二次産業となっているのです.
タネの多くは,アメリカなどから輸入している実態を見ると,心配でなりません.
そしてそのタネは,実をつけずタネを残さないものも多いのです.
普通ならタネをとって,来年にまた植えることができそうですが,品種改良されたものは,それができないことが多いのです.
したがって自給率は,非常に小さいと言えるでしょう.
地域内で全て賄える本当の一次産業が確立できれば,災害に強い産業になります.
農業について
現在の農業は,品種ごとに栽培方法が確立されていて,それに沿ったやり方に強いられます.
現代的なハウス栽培では,温度・二酸化炭素濃度・液肥などを自動制御で管理する植物工場となっていってます.
味と収量そして高価格を重視すると,こうなるのでしょうが,イニシャルコストとランニングコストが大きくなります.そして,その地域で生産する意味がなくなってしまいます.工場化してしまうわけですから.
一方で,自然に任せて楽に育てる農業もあって良いはずです.
土地にあった植物を自生させ,適当な草引きだけで済むような農業が理想です.
種の保存について
今,一番気がかりなのが,在来種が無くなりそうなことです.
私はそれをカボチャで知りました.
妻が昨年取った在来種のカボチャのタネを植えていたとき,周囲で栽培されていた別の種と交雑してしまい,変なカボチャができてしまったのです.
こうなると在来種は,消滅してしまいます.恐ろしいバイオハザードを感じました.
伝統的な種は,今後閉ざされた空間で何とか栽培していかなければ,絶滅してしまいそうです.
水田について
本来,水田の管理は畑地に比べると非常に大変です.しかし,田植機やコンバインが導入され,肥料や除草剤も使うようになり,比較的楽な農業となっています.
水田には大量の水が必要です.現在は「かんがい事業」によって水路が張り巡らされていますし,農地の区画も「圃場整備」によって広くなり,大型機械も入れるようにしています.
かなり無理をして楽に水田の管理ができるようにしているのです.
昔の農民にとっては,年貢を納める必要があったので,水田の適地性がないところでも水路を引いて水田を作っていたようです.本当に大変なことだっと思います.
水路をめぐる水利権は,今も争いの元となっているようです.
山間部の棚田の景観は美しく感じますが,地形や地質の特性をみた時,私には無理しすぎていると感じる部分もあります.
もちろん,水田に適した棚田もあるので,そのような水田こそが美しい景観と言えるでしょう.
コメは日持ちがするので,貨幣と並んで価値の高いものだったのは分かりますが,もっと広い視野で地域を見て,総合的な植物生産の場としての里山を目指したいところです.
有用植物について
山間地域には,自生している有用植物がたくさんあります.
そんな植物を暮らしに取り入れば,非常に豊かになります.
あぜ道には,そんな植物がたくさん生えています.
しかし地域の人々にとっては雑草でしかないので,定期的に刈り取られてしまいます.
私が管理させてもらっている範囲は,選別しながら草引きをし,有用植物の自生域を拡大させています.
おかげで,フキ,ミツバ,ギボウシ,ユキノシタ,草イチゴ,カンゾウ,ホタルブクロなどが,毎年収穫できています.本当に豊かな恵みです.
森林について
現在の森林は,人工林にしても二次林にしても管理されていないものが大半です.
特に人工林の林床は暗いので,有用植物はほとんど見当たりません.
木は樹種ごとに特徴があり,その特徴を暮らしに取り入れれば豊かになります.