土質力学10
土圧
土圧
土圧の計算は,擁壁や矢板を設計する際に必要です.土が擁壁や矢板にかかる圧力が主働土圧,擁壁や矢板が土にかかる圧力が受動土圧です.土圧なので,土が主体となった用語であることをまず念頭においてください.
土圧計算は,クーロンとランキンがそれぞれ考案したものが利用されています.クーロンは,力の釣り合いを考えて計算し,ランキンはモールの応力円を考えて計算しています.ランキンの計算には粘着力に関する項が含まれています.粘着力のある土だと,粘着力のない土に比べて,擁壁にかかる圧力は小さくなりますから,安全性を考慮すれば粘着力を無視して設計しておいた方が良さそうです.ランキンの式の方が汎用性は高いのですが,今もクーロンの式を適用する場合は多いようです.
粘着力を考慮しなければ,ランキンの式でもクーロンの式でも同じ式になります.土圧Pは,
P = 1/2・γt・ H^2・ K これが基本式となります.
γtは土の湿潤密度(kN/m^3),Hは天端までの高さ,Kは土圧係数です.
主働土圧の時の土圧係数Ka は,tan^2(45° - φ/2)
受動土圧の時の土圧係数Kp は,tan^2(45° + φ/2)
となります.45°±φ/2は,前回出てきた破壊面に相当する角度から導かれるもので,このページの下の参考資料を見て理解してください.この資料は,クーロン土圧から説明しています.理解しやすいからです.また,加法定理に基づいた式の単純化についても解説を加えました.なぜこの式になるかについても確認できます.
そして教科書には,擁壁の天端が水平の時の土圧だけでなく,傾斜している場合も解説していますから複雑な式となっています.複雑な式を覚えておく必要はありませんが,どのような考え方で導かれたのかは理解してください.