土質力学2
土粒子の大きさ
土粒子の大きさ
土粒子は,教科書にあるように大きさによって分類されています.土粒子の直径が75mm以上のものが石,0.005mm未満のものが粘土です.その間に,礫・砂・シルトがありますが,μmからmのオーダーまで,非常に広い範囲の値を扱うことになります.したがって,粒径の分布状況をグラフ化するとき,粒径は対数の値を用いるのが一般的です.対数をとるときの底は,10の常用対数です.数値をイメージしやすいからです.土を手で触れば,サラサラの砂質土か,ネバネバの粘質土かを感覚的に判断できますが,それを数値で表現するのが粒径加積曲線です.
上の図は,粒径加積曲線の例です.横軸は,粒径(mm),縦軸を通過百分率(%)です.2mmの粒径までは,ふるいを用いてそれぞれのふるいに残った土の質量を測ることでグラフ化できます.2mm以下の粒径となると,ふるいの目を利用することは困難ですから,水の中に粒径2mm以下の土を入れて撹拌し,その水の比重の時間的な変化で粒径分布を推定します.撹拌直後は,大きい粒径から小さい粒径まで一様と見なせますが,時間経過に伴い,大きい粒径のものから沈降するので比重が小さくなっていきます.これを釣りで使うウキのような比重浮標を使って測ります.詳しくは教科書で確認してください.
粒度試験を行った後,上の図のような片対数グラフに手書きでデータをプロットするには,目測でもできますが,できるだけ正確にプロットするとなると,定規で実際に横軸と縦軸の長さを測り,プロットする値は,何センチになるか,計算する必要があります.
図の赤色で示された幅を図ったとすると,縦軸の20%が,Ly(cm)の時,Y(%)は何cmに相当するか.単純な比の計算で,Ly * (Y / 20)で計算できます.横軸はどうなるでしょうか?横軸の10(mm)が,Lx(cm)です.底が10なのでLog10=1で,その時Lx(cm)ですから,X(mm)は単純に,Lx * Log(X)となります.例えばX=0.05mmの時は,Lx * (-1.301)となり,マイナスですから1から左にLx * (1.301) (cm)のところにプロットすれば良いことになります.
現在は,コンピュータを用いて自動でグラフが描ける便利な時代ですが,大学生ならコンピュータがなくとも様々なグラフが手で描けるくらいの力は持っておいてください.
粒径加積曲線は,粒度分布を一目で理解できるので非常に便利です..砂質土から粘質土まで分布しているか,どこかの粒径に偏りがあるのかを判断できます.均等係数や曲率半径は,その判断材料になる指標です.
均等係数や曲率半径を求めるときは,10%粒径,60%粒径,30%粒径を求めておく必要があります.例えば60%粒径は,通過百分率が60%のところが,粒径何mmに相当するかを求めれば良いので,粒径1mmからの長さを測り,それがL60(cm)だったとすると,先の逆変換になるので,10^ (- L60 / Lx) で計算できます.なおL60は,1より左側なので,マイナスの値になることを忘れないようにしてください.