<や>漢方処方





射干散《寿世保元》《古今方彙》

「升麻・桔梗・射干・昆布・連翹・甘草」水煎し熱服すれば汗出でてたちど ころに癒ゆ。

◎耳王風とは耳腫れて痛みを作し牙関緊急、乍ち寒く乍ち熱し、飲食下らず、是 れなり。之を主る。

◎併せて面腫れ、牙痛み、咽喉痛むを治する。



射干湯[1]《東醫寶鑑》

「半夏2銭、杏仁・陳皮・桂心・枳実各1銭、射干・当帰・独活・麻黄・紫 ・甘草各5分、姜5片」水煎服。

◎酷寒・酷暑に潜休し、咳嗽で息がしにくい者。


射干湯[2]《医学入門》《古今方彙》

「射干・升麻各2銭、芒硝・馬勃(ホコリタケ)各1銭4分」水煎。

◎風熱にて咽喉腫痛するを治す。


射干麻黄湯[1-1]《金匱要略》

「射干13枚(一云3両)、麻黄4両、生姜4両、細辛3両、紫3両、款冬 花3両、五味子半升、大棗7枚、半夏(洗)大者8枚(一法半斤)」

右九味、以水一斗二升、先煮麻黄両沸、去上沫、内諸薬煮取三升、分温三 服。

◎而上氣、喉中水聲、射干麻黄湯主之。

射干麻黄湯[1-2]《金匱要略》《中薬臨床応用》

「射干6g、麻黄3g、生姜3g、細辛1.5g、五味子1.5g、紫9g、款冬花6g、 製半夏6g、大棗6g」水煎服。

◎して上気し、涎沫を吐し、喉中水鶏の声ありて、心下に停飲有り、目の下微 腫する者は、射干麻黄湯之を主どる。《医聖方格》

◎此方は後世のいわゆる哮喘に用いる。《勿誤薬室方函口訣》

◎水鶏声は哮喘の呼吸を形容するなり。

◎射干・紫・款冬花は肺気を利し、麻黄・細辛・生姜の発散と半夏の降逆、五 味子の収斂、大棗の安中を合して一方の妙用をなす。《勿誤薬室方函口訣》

◎按ずるに、これ小青竜湯の変方なり、その紫、款冬花、射干を用いるは咽喉 不利を主とするなり。《雑病論識》

◎《汪機》曰く、射干麻黄湯、外寒内熱を包み、嗽喘胸高、喉中水鶏声の如し、 その用は「華蓋散」と同じ。ただしその邪やや甚だし、故に此の治法も亦外寒 を散ずるを主と為すに宜し。《雑病論識》

◎久咳止まず、或いは産後の喘咳、頸項に痰歴を生じ、累々として貫珠の如き者 を治す。細辛、五味子を去りて射干を倍し、皀角子を加えれば効あり。南呂丸 を兼用する。《類聚方広義》




射干麻黄湯[1-3]《金匱要略》《漢方治療の実際》

「射干2.5、麻黄・生姜・五味子各3、細辛・紫苑・款冬花・大棗各2、半 夏4」

★適応症及び病名(五十音順)

[1]気管支炎:

☆咳嗽で痰が多い、息苦しい。

☆喘息性気管支炎

☆気管支炎等にして、熱性症候著しからざる者《奥田謙蔵》

[2]気管支喘息:

☆気管支喘息、及びその類似疾患。《奥田謙蔵》

[3]喘鳴:

☆して上気し、喉中がゴロゴロ或いはヒューヒュー鳴り或いは犬の 遠吠えの如き音がする者。《龍野ー漢方処方集》

☆脈浮にして上逆し、咳嗽を発し、咽喉に喘鳴あり、呼吸促迫甚だし き証。《奥田謙蔵》

匂いが分からない:

☆鼻、香臭をきかず、余症なき者に、此方を用いて、まま効を得る《福 井楓亭》

[4]肺気腫:

[5]百日咳:

☆私はかって、この方を気管支喘息に用いたが効無く、しばらく使用 しなかった。後になって、山田業広が、この方は百日咳に用いて大 効があると述べているので、小青竜湯・麻杏甘石湯などを使用して 効のない百日咳に用いて効があった、《大塚敬節》

☆小児の百日咳は古人、頓嗽と名づけたり。治方は《金匱要略》の射 干麻黄湯の類方が千金方にありて小児の咳嗽を治することを云へ り、因って射干麻黄湯を用ふるに大効あり《椿庭夜話》





約精丸《東醫寶鑑》

「新韭子(霜が降り立て)1斤を(酒浸)1晩、白竜骨2両」作末し酒・餅米に 混ぜて梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で30丸服用。

◎小便に精が混じって排泄するときの特効薬。


益智飲[1]《勿誤薬室方函口訣》

「香、益智、木香」

「三味湯《本朝経験》」に同じ。

◎傷食の主方とす。


益智飲[2]《臨床常用中薬手冊》

「益智仁、党参、茯苓、半夏、車前子、橘皮」


益智固真湯《寿世保元》《古今方彙》

「黄蓍・甘草(生)・黄連各1銭半、人参・巴戟各3銭、白芍薬(酒)2銭、白 ・茯神・当帰・酸棗仁・山薬・益智仁・麦門冬・沢瀉・黄・蓮蕊鬚・ 知母各1銭、黄柏(酒)7分、升麻5分、五味子12粒(夏は16粒)」水煎、 空心に服す。

◎夢精にて滑精するを治す。


益智仁湯《厳氏済生方》

「益智仁、乾姜、甘草、茴香、烏頭、生姜、青皮」




益智和中湯《東醫寶鑑》

「白芍薬1銭半、当帰・黄蓍・升麻・甘草(炙)各1銭、柴胡・葛根・益智・ 半夏各5分、桂皮4分、肉桂・乾姜(炮)各2分」煎服。

◎腸下血の路が黒紫で、腹痛・悪寒するとき。



益母丸《医学入門》

「益母草、当帰、赤芍薬、木香」


益母湯 《万病回春》《古今方彙》

「当帰・川・白芍薬(酒)・熟地黄(生姜)・黄・陳皮・香附子(醋)・阿膠 (蛤粉炒)各1銭、益母草・白朮各1銭半、玄参・蒲黄(炒)各8分、甘草4 分」水煎。

◎婦人の血崩を治す。日久しきは虚寒に属する者成り、宜しく温補すべし。



夜光育神丸《東醫寶鑑》

「熟地黄・生乾地黄・遠志・牛膝・菟絲子・枸杞子・甘菊・枳殻・地骨皮・ 当帰」各等分に作末し梧子大の丸剤。空腹時に50~70丸、酒で飲む。

◎老人の眼昏。


野蚕湯《本朝経験》

「馬明湯[2]《本朝経験》石膏甘草、乳香」