<か>漢方処方
開竅通関剤
牛黄清心丸《和剤局方》
安宮牛黄丸《温病條辨》
至宝丹《和剤局方》
紫雲丹《和剤局方》
通関散《丹溪心法附餘》
蘇合香丸《和剤局方》
【漢方か】
火欝湯《万病回春》《古今方彙》
「山梔子・柴胡・乾葛・川芎・白芍薬・連翹・地骨皮各1銭、甘草3分」水 煎温服。
◎火欝症を治す。
◎凡そ火欝の者は則ち熱欝なり。小便赤渋、五心煩熱、口苦舌乾、脈数なり。
快胃片【中成薬】
「烏賊骨・延胡索」
◎腹痛
快気湯[1]《東醫寶鑑》
「香附子3両半、縮砂8 銭、炙甘草4 銭」を細かく切って、塩湯を点服す る。
◎気が昇降しないために起こる、上気・喘息。
快気湯[2]《東醫寶鑑》
「人参末を温水で1日5~6回濃く煎じて服用。
快気湯[3]《東醫寶鑑》
「白芥子1升を作末して布袋に入れ、酒2升に漬けておいたのを、7日目 に3合ずつ、1日2回温めて飲む。
◎上気に。
快透散《小児痘疹方論》
「紫草、蝉蛻、木通、芍薬、甘草」
快班散[1]《医学入門》《古今方彙》
「紫草・蝉退・人参・白芍薬各5分、木通1分」水煎。
◎痘出でて快からざるを治す。
快班散[2]《医学入門》《古今方彙》
「紫草・蝉退・人参・白芍薬各5分、穿山甲」水煎。
◎痘已にでて風を被りて復た入るを治す。
槐黄丸《東醫寶鑑》
「槐花(炒)・黄連(酒炒)各4両を作末し、猪大腸1尺のなかに入れて、 韮薬2斤と煮て韮は捨て、腸をついて梧子大の丸剤。米飲で80~90丸呑 む。
◎腸風・臓毒・痔瘻・便血に。
槐黄湯《東醫寶鑑》
「槐花(炒)・生地黄・樗根白皮(炒)各1銭、防風・当帰・白芍・荊芥穂・ 川芎・黄連・枳穀各8分、地楡・烏梅・甘草各5分」煎服。
◎腸風・臓毒を治す。
槐花散[1]《東醫寶鑑》
「当帰・地楡各1銭、槐花(炒)・枳穀・阿膠珠各8分、生地黄・白芍・黄蓍 ・升麻各7分、防風・側柏葉各5分」煎服。
◎臓毒を治す。
槐花散[2]《東醫寶鑑》
「槐花(炒)・柏葉(焙)・荊芥・枳穀」等分を作末し、毎回2銭づつ服用。
◎腸風・臓毒を治す。
槐花散[3]《東醫寶鑑》
「槐花(炒)2銭、蒼朮・厚朴・陳皮・当帰・枳殻各1銭、烏梅肉・甘草(炙) 各5分」剉作1貼に水煎服用。
◎胃腸が脹って下血する症状。
槐角丸《和剤局方》《中薬臨床応用》
「槐角9g、地楡12g、当帰6g、防風6g、黄芩3g、枳穀3g」水煎服。
◎痔の炎症
◎痔の出血
◎血便
槐角元《東醫寶鑑》
「槐角4両、地楡・黄芩・防風・当帰・枳穀各2両」を作末して酒糊で梧 子大の丸剤。空腹時に米飲で50~70丸呑む。
◎五痔と諸痔を治す。
槐子丸《東醫寶鑑》
「槐実2両、覆盆子・酸棗仁・柏子仁(炒)・車前子・蔓荊子・茺蔚子・鼠粘 子(炒)・白殭蚕(炒)各1両」作末し、蜜で梧子大の丸剤。酒で30丸服用。
◎風邪で瞳がかすむ者。
槐楡煎《中薬臨床応用》
「槐花米(炒)9g、地楡炭9g、黄芩9g、桃仁9g、麻子仁9g、枳穀6g、生甘 草3g」水煎服。
◎痔出血
海青丸[1]《東醫寶鑑》
「海粉1両、青黛3銭、黄芩2銭、神麹5銭」を作末し、神麹糊で梧子大の 丸剤。空腹時に、白湯で20~30丸服用。
◎痰積下痢を治す。
海青丸[2]《東醫寶鑑》
「訶子皮・海蛤粉・瓜蔞・青黛・半夏(製)・便香附各1両」作末し姜汁浸蒸 し餅で緑豆大の丸剤。姜湯で30~50丸飲む。
◎火嗽・欝嗽、肺脹で苦しいとき。
海金散《中薬臨床応用》
「海金砂9g、肉桂3g、赤茯苓15g、白朮9g、沢瀉9g、白芍9g、滑石9g、 石葦9g」細末を灯心草煎液で、空腹時に服用。
◎急性尿道炎
◎尿路結石
◎尿量減少
◎排尿困難
◎排尿痛
海金沙散[1]《東醫寶鑑》
「海金沙・滑石各1両、甘草2銭半」を作末し、毎回1銭を、麦門冬・灯 心草の煎湯で服用。
◎膏淋(小便が濁ること膏に似て、浮いて固まる)を治す。
海金沙散[2]《東醫寶鑑》
「海金沙・雄黄・木香・当帰(酒洗)・牛膝(酒洗)・大黄(酒浸)各5銭を作 末し、毎回2銭を就寝時に、酒で服用。」
◎五淋を治す。
海金砂散[1]《東醫寶鑑》
「当帰(酒洗)・大黄(酒浸)・牛膝(酒洗)・木香・雄黄・海金砂各5銭」作末 し、毎回2銭を就寝時に酒で調服。
◎五淋を治す。
海金砂散[2]《東醫寶鑑》
「黒丑頭末(半分炒・半分生)1両半、白朮1両、甘遂5銭、海金砂3銭」作 末し毎回2銭を倒流水で煎じて1杯を食前に調下する。
◎脾湿で肥りすぎ、腫れて喘急する者を治す。
海金砂散《証治準縄》《古今方彙》
「海金砂・肉桂・甘草各2銭、赤茯苓・猪苓・白朮・白芍薬各3銭、沢瀉5 銭、滑石7銭、石葦1銭、燈心草30茎」水煎。
◎諸淋渋痛するを治す。
海蛤散《東醫寶鑑》
「海蛤粉・滑石・甘草各1両、芒硝5銭」を作末し、毎回2銭を鶏で服用。
◎婦人の傷寒で、血が胸につかえて、堪えられない程痛む症。
海青丸《東醫寶鑑》
「海粉1両、青黛3銭、黄芩2銭、神麹5銭」作末し、別途に神麹糊で梧子 大の丸剤。空腹時に白湯で20~30丸飲む。
◎痰積の下痢。
海藻玉壷湯《医宗金鑑》《古今方彙》
「海藻・貝母・陳皮・昆布・青皮・川芎・当帰・半夏・連翹・甘草・独活各 1銭、海帯5分」水煎。
◎単純性甲状腺腫(癭瘤)
◎癭瘤の初起、或いは腫れ、或いは硬く、或いは赤く、或いは赤く成らずして但 だ未だ破れざる者を治す。
海藻玉壷湯加減《中薬臨床応用》
「海藻9g、浙貝母9g、連翹6g、昆布9g、法半夏6g、青皮3g、海浮石9g、 当帰6g、川芎3g、海帯9g」水煎服。
◎甲状腺腫
海藻栗殻湯《中薬臨床応用》
「海藻12g、昆布9g、屈頭鶏9g、風栗殻6g」煎服。豚肉(赤身)を加えて煎 じた方がよい。
◎慢性リンパ腺炎
海藻連翹湯《証治準縄》
「海藻、連翹、陳皮、半夏、茯苓、黄芩、天南星、牛蒡、柴胡、三稜、莪朮、 昆布、白殭蚕、羗活、防風、桔梗、夏枯草、川芎、升麻、黄連」
海底柏湯《中薬臨床応用》
「海底柏15g、葛根9g、木香6g(後下)、炙甘草3g、肉豆蔲5g」水煎服。
◎赤痢・腸炎の下痢。
海底椰湯《中薬臨床応用》
「海底椰12g、紫9g、款冬花9g、川貝母12g、阿膠9g(溶解)、旱蓮草12g、 鵝管石12g、沙参24g、甘草6g」水煎服。
◎肺熱の肺結核
◎乾咳
◎嗄声
◎痰に血が混じる
海蜇荸薺方《中薬臨床応用》
「海蜇60g、荸薺60g」水煎し、1日2回服用。
◎硅肺
海桐皮酒《中薬臨床応用》
「海桐皮60g、苡仁60g、牛膝30g、川芎30g、羗活30g、地骨皮30g。五 加皮30g、生地黄300gを酒1000ccに1ヶ月ぐらい浸け、1日1~2回30cc づつ食前に服用。
◎関節リウマチ。
海馬湯《中薬臨床応用》
「海馬12g、枸杞子12g、魚螵膠12g(溶解)、紅棗30g」水煎服。
◎腎陽虚による夜間頻尿
◎白色帯下
海貝散(烏貝散)《中薬臨床応用》
「烏賊骨90g、浙貝母30g」細末にし、1日3回3~6gづつを食前に、ぬる ま湯で服用。
海浮散《外科十法》《中薬臨床応用》
「製乳香・製没薬」各等分。微粉末を外用。
◎感染による外傷が癒合しない時
海竜湯《中薬臨床応用》
「海竜9g、冬菇18g(根が付いたまま)、紫菜9g、大棗30g」水煎服。
◎慢性リンパ腺炎
◎リンパ腺結核
◎単純性甲状腺腫
回金丸《東醫寶鑑》
「黄連6両、呉茱萸1両」作末して、蒸し餅で梧子大の丸剤。
空腹時に白湯で30~50丸服用。
◎肝火を治す。
回首散[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》
「烏薬順気散羗活・独活・木瓜」水煎服。
◎頭項がまわらず、筋がひっぱる症。
◎肩こり
①首がまわりにくい。
①気鬱から起きる肩こり。
烏薬順気散に羗活、独活、木瓜を加えたもので、万病回春に“頸項強急し、筋痛み、或いは頸を挫(くじ)きて項を転ずることを得ざるを治す”とあるように寝違えの疼痛に用いる(漢方診療医典)
回首散[1-2]《漢方治療の実際》
「烏薬順気散木瓜3」
回春散《東醫寶鑑》
「明礬1銭8分、胡椒(細研)2分、焔硝1分」を好錯でまぜ、手で塗る。
◎陰冷を治す。
回春凉膈散《東醫寶鑑》
「連翹1銭2分、黄芩・山梔子・桔梗・黄連・薄荷・当帰・生地黄・枳穀・ 赤芍・甘草各7分」水煎服。
◎三焦の火がおきて、口舌に瘡ができる症。
回生散[1]《奥田家方》
「熊胆2.0、麝香1.0、葛紛20.0」(葛紛は、今、澱粉を用いる)
右3味、各別に研磨し、混和して散と為し、白湯or冷水で、1回0.2~0.5 服用。
◎諸般の虚脱証候を治す。
回生散[2]《医学入門》《東醫寶鑑》
「藿香・陳皮各5銭」水煎温服。
◎霍乱・吐瀉の激しい者。
回生丹《万病回春》
「藜蘆2両、青礞石2両、猪胆汁、片脳」
葱菅の藜蘆2両、河水1桶を用い、煮て汁となし、青礞石2両を火にて き通紅ならしめ、汁の内に投入する。かくの如くすること数次、濾して浄 め、雄猪胆汁10箇をもって汁を取り、煎汁の内に攪拌し、再び重湯で煮 て膏と成す。温かい間に片脳末1銭5分を入れ、陶器の壺に入れて、黄 で口を封じる。つかう毎に黄豆1大粒を用いて新汲水に化して開き、男は 左、女は右の鼻孔に吹き入れると、その痰を自ら吐き出す。
◎卒中昏倒して、人事不省、牙関緊急する者。
回生養胃丹《東醫寶鑑》
「蒼朮(換泔浸6日)・蓮肉(酒浸)各4両、猪肚1個を壁土でにぎってきれい に洗い、朮と蓮を入れて縫い、固く結んで酒で煮て搗いて小餅子をつくっ て焙って乾燥したもの、天南星を細切りにし、姜汁に漬け、一夜おいたの を伏竜肝で炒って土は捨て、半夏湯で洗って醋で7日間漬けておいたもの、 橘紅を伏竜肝で炒って土は捨て栗米を姜汁に漬けて蒸して焙ったもの各4 両、人参・白朮・白茯苓・厚朴・莪朮・三稜二味並醋炒・撥茄・縮砂・ 白豆蔲・穀芽炒・麦芽炒・甘草各1両、丁香・木香・沈香各5銭」作末 し、稀麺糊で梧子大の丸剤。米飲で60~70丸呑む。
◎痰涎があって大便が難渋・小便が赤い・酸水を吐く、反胃と結腸を治す。
回乳四物湯《医宗金鑑》《古今方彙》
「四物湯麦芽」
◎産婦にして乳を吃う児が無く、乳汁致(キワ)まりて腫脹し堅硬疼痛し、忍びが炊 き者を治す。
回陽救急湯《傷寒六書》《古今方彙》
「附子、乾姜、人参、肉桂、半夏、五味子、茯苓、甘草(炙)、白朮、陳皮、 生姜、大棗」水煎。
◎傷寒の初起、頭痛なく、身熱なく、便ち就中、寒を怕れ四肢厥冷し、或いは肘 膝を過ぎ、或いは腹痛、吐瀉、或いは口に白沫を吐し、或いは冷涎を流し、或 いは戦慄し、面は刀を刮が如く、衣を退い踡臥し、渇せず、瀉し、脈遅にして 力無きは即ち是れ寒が陰経に中たる真の寒症にして陽経より伝え来るにはあら ず。
◎嘔吐止まざるには:「姜汁」
◎泄瀉止まざるには:「升麻黄蓍」
◎嘔吐、涎沫、小腹痛あれば:「呉茱萸(塩炒)」
回陽救逆湯《傷寒六書》
「附子・乾姜・人参・肉桂・半夏・五味子・茯苓・甘草(炙)・白朮・陳皮・ 生姜・大棗」水煎する。
◎傷寒の初起、頭痛なく、身熱なく、便ち就中(ナカンズク)、寒を怕(オソ)れ、四肢厥 逆し、あるいは肘膝を過ぎ、あるいは腹痛・吐瀉、或いは口に沫を吐し、或い は冷涎を流し、或いは戦慄し、面は刀を刮が如く、衣を引きて踡臥し、渇せず、 瀉し、脉遅にして力無きは即ち是れ寒が陰経に中たる真の寒症にして陽経より 伝え来るにはあらず。
【加減方】
<1>嘔吐止まざる・・・姜汁。
<2>泄瀉止まざる・・・升麻・黄蓍。
<3>嘔吐・涎沫、小腹痛・・・呉茱萸(塩炒)。
回陽玉竜膏《外科正宗》
「生姜(炒)3両、草烏(炒)3両、赤芍薬(炒)3両、白1両、南星1両、肉 桂5銭」細末にし熱酒で調合し患部に塗布。
回陽三建湯《外科正宗》《古今方彙》
「附子・人参・黄蓍・当帰・川芎・茯苓・枸杞葉・陳皮・山茱萸肉各1銭、 木香・甘草・紫草・厚朴・蒼朮・紅花・独活各5分、姜」水煎。
◎陰疽発背を治す。
◎初起疼まず腫れず熱せず紅硬せずして牛皮の如く、堅くして頑石の如く、十日 の外にて脈細、身涼しく、肢体倦怠し、皮は鼈甲の如く、色は土砂栗に似て項 に多く孔に血を流し、根脚は平に散じ、軟陥して膿無く又皮は腐を作らず、手 は熱し足は涼しき者は倶に急ぎ之を服せ。
回陽湯《外科枢要》《古今方彙》
「補中益気湯乾姜・附子」
◎脾腎虚寒にて瘡は純陰に属し、或いは薬が元気を損じ腫痛せずして腐潰せず、 或いは腹痛泄瀉、嘔吐厥逆し或いは陽気脱陥する等の症を治す。
回陽返本湯《傷寒六書》《古今方彙》
「附子()・乾姜(炮)・甘草(炙)・人参・麦門冬・五味子・陳皮・臘茶・生 姜・大棗」煎じ服するに臨み「蜜2匙」入れ頓に之を冷服する。
◎陰極まりて躁を発し、微しく渇し、面赤く、泥水の中に座せんと欲し、中脉は 沈遅にして力無く、或いは脉全く無く絶せんと欲する者は涼薬を服すべからず。 もし誤りて熱症なりと認めて涼薬を用うれば死す。復び生きるべからず。熱薬 を服し而して躁止まざる者は宜しく再び服すべし、自ら定まる。
◎嘔する者:「姜汁・半夏(炙)」。
廻生神膏《東醫寶鑑》
「牡蛎陳粉・乾姜(炮)各1両」を作末し、男は女のつばで調合したもの を、手のひらで熱が出るまでもんだ後、睾丸にかぶせ、汗が出ると治る。 女には男のつばで調合して、熱が出るまでもんだ後、両乳房にかぶせ、汗 が出ると治る。」
◎陰症で、大小便が不通になり、危急の者。
廻陽救急湯《東醫寶鑑》
「人参・白茯苓・陳皮・半夏・乾姜(炮)・肉桂・炮附子・五味子・炙甘草各 1銭を剉作1貼して、生姜7片を入れて水煎服。」
◎傷寒の陰症。陰毒で四肢厥冷・脈細沈・唇が青い・顔色が黒い症。
廻陽返本湯《東醫寶鑑》
「炮附子・乾姜(炮)・人参・陳皮・五味子・麦門冬・炙甘草・臘茶各1銭 を剉作1貼して、清泥漿2盞と煎じて、滓は捨て、蜜5匙を混ぜて冷して 服用し、汗を出すと治る。」顔の赤い者には葱白7葵・黄連を少し加える。
◎陰が盛んで陽を隔す症。
廻陽湯《東醫寶鑑》
「益智仁・青皮各2銭、川烏(生)・附子(生)各1銭、乾姜5分を剉作1貼し、 生姜7片、大棗2枚を入れ水煎服。」
◎中寒を治す。
潰堅丸《東醫寶鑑》
「潰堅湯に「海粉・瓦楞子・鱉甲(炒)」を加えて細末にし、阿魏を醋煮して 姜汁糊で梧子大の丸剤・50~70丸飲む。
◎五積・六聚・諸般の痞塊を治す。
潰堅湯《万病回春》《東醫寶鑑》
「当帰・白朮・半夏・陳皮・枳実・山楂子・香附子・厚朴・縮砂各1銭、木 香5分」を洗って汁を取り水煎、木香汁で調合して服用。
◎五積・六聚・諸般の痞塊を治す。
◎諸般の癥、痃癖、血塊の総司なり。
◎左脇塊あれば:「川芎」
◎右脇塊あれば:「青皮」
◎肉を食し塊をなす;「黄連(姜汁炒)」
◎粉食積には:「神麹」
◎痰塊には:「浮石括楼仁枳実」
◎壮健の人には:「莪朮」
◎痩人には:「人参」
◎血塊には:「桃仁紅花官桂半夏山楂子」
潰瘍出血湯《中薬臨床応用》
「白芨9g、陳棕炭9g、当帰(炭)9g、阿膠9g(溶解)、党参9g、黄蓍12g」水 煎服。
◎胃潰瘍
改定三痺湯
「人参・白朮・茯苓・甘草・当帰・芍薬・川芎・黄蓍・桂心・炮烏頭・防風 ・防已・細辛・生姜・大棗」
改定三痺湯《張氏医通》《古今方彙》
「人参・黄蓍(酒炒)・白朮・当帰・川芎・白芍薬・茯苓各1銭、甘草(炙)・ 桂心・防已・防風・烏頭(炮)各5分、細辛3分、生姜3片、大棗2枚」
◎風寒湿気の合病で気血凝滞し、手足拘攣するを治す。
解急蜀椒湯[1-1]《晋唐名医方選》
「蜀椒200粒、乾姜半両、附子1枚、半夏12枚、甘草1両、大棗20枚、 粳米半升」 人参・膠飴無し。
解急蜀椒湯[1-2]《漢方治療の実際》
「蜀椒・乾姜・甘草各2、半夏4、人参・大棗各3、附子0.6、粳米8」
解急蜀椒湯[1-3]《外台秘要方》
「乾姜4g、人参2g、蜀椒1g、炮附子0.3g、半夏8g、甘草1g、大棗3g、玄 米7g」
◎寒疝気、心痛刺すが如く、臍をめぐり腹中ことごとく痛み、自汗出て絶せんと 欲するを主とす。
◎「大建中湯附子粳米湯」。本人参無し。今大建中湯に従う。《勿誤薬室方函 口訣》
◎寒疝心腹に迫り切痛する者を主とする。《勿誤薬室方函口訣》
◎「烏頭桂枝湯」とその証髣髴たれども、上下の分あり。且つ烏頭桂枝湯は腹中 絞痛、拘急轉側を得ざるが目的とす。「解急蜀椒湯」は心腹痛、水気有って腹 鳴するを目的とす。
◎心腹激痛・嘔吐・腹鳴。《龍野一雄》
★適応症及び病名
[1]イレウス
[2]胃痙攣:
☆腹部にかかりて必ず雷鳴があって痛む症。《済世薬室》
[3]痛
[4]寒疝:
☆寒疝の心腹に及ぶ者を治す。
☆寒疝、腹痛、腹満、雷鳴して嘔吐するに「附子粳米湯」のゆく処あり。 然れども「解急蜀椒湯」は彼よりその症強し。
[5]腹痛:
☆附子粳米湯の症にして痛心胸に連なる者を主とす。
☆心腹痛困急、死せんとするを療す。結を解き寒を逐う。上下痛甚だし き者に良い。《雑病翼方》
解労散[1-1]《楊氏》《漢方後世要方解説》
「柴胡6、芍薬・別甲各4、枳殻・茯苓各3、大棗・生姜・甘草各2」
◎労、積気堅硬、胸腹に噎塞し、背に引いて徹痛するを治す。
◎「四逆散別甲茯苓」
◎此方は心下部硬く緊張し、硬結ある者に用いる。
◎結核症の初期にこの腹証によって用いることがある。
◎痃癖の症とて肝、腎、脾、腹膜等に塊状をなし、背に徹して痛む者に屡々用い られる。
即ち、胆石症、胆嚢炎、膵臓炎、胃潰瘍、腹膜の硬結等において、心下部全 体に硬く塞りたる実証の腹証の者によい。
◎柴胡=胸腹部、脇下痛みを治す
芍薬=結実して拘攣、腹痛、腹満を治す。
別甲=癥結を破り、熱毒を消す
枳殻=気を破り、胸膈を利す
茯苓=気を導き、水を行らす。
解労散[1-2] 《漢方治療の実際》
「柴胡4、枳実・甘草各2、芍薬4、土別甲・茯苓・大棗・生姜各3」
解労散[1-3]《楊氏》《龍野一雄》
「柴胡6g、鼈甲・枳実各2g、芍薬4g、甘草3g、茯苓・大棗3g、干姜1g」
◎腹部腫塊・背部の牽引痛、或いは発熱。
◎解労散(体がだるくて、時々激しい腹痛があり、臍の左斜め上方4横指あたり を押さえると抵抗・圧痛がある)
★適応症及び病名(五十音順)
[1]胃潰瘍
[2]顔色悪い
[3]胸脇苦満
[4]結核性腹膜炎
[5]肩背強急
[6]痃癖
[7]心下部の疼痛
[8]膵臓炎
[9]胆石症
[10]胆嚢炎
[11]手足冷たい
[12]疲労倦怠
[13]腹痛<右側の上腹部の劇痛>
[14]腹膜炎
解噤丸
開欝正元散《医学入門》《古今方彙》
「白朮、陳皮、青皮、香附子、山楂子、海粉、桔梗、茯苓、延胡索、神麹、 砂仁、麦芽、甘草、生姜」煎服。
◎痰飲にて血気欝結、食積、気は升降せず、積聚脹痛するを治す。
◎此は気を利し、血を行らし、脾を和して向導すべし。
開鬱四物湯《東醫寶鑑》
「香附子(米炒)・当帰身・白芍(薬酒炒)・熟地黄・白朮各1銭、川芎・黄 蓍・蒲黄(炒)・地楡・人参各5分、升麻3分」
◎崩漏。幸せ・裕福だった者が、急に不幸・貧困になり起こる者。
開欝導気湯《万病回春》《古今方彙》
「蒼朮・香附子(便)・川芎・白・茯苓・神麹・山梔子(黒)・滑石各1銭、 乾姜(黒)5分、甘草(少許)、陳皮5分」水煎温服。
◎一切の腹痛を治するの総司なり。
開欝導痰湯《寿世保元》《古今方彙》
「陳皮・枳殻・黄芩各1銭、前胡・檳榔子各8分、枳実・半夏・荊芥・羗活 ・射干・甘草・威霊仙各7分、桔梗・木香各5分、白殭蚕2分、香附子(便 炒)2分、生姜」水煎。
◎結核にて渾身手足倶に各ありて胡桃の如き者を治す。
◎併せて、胸中、胃、咽門に至りて狭窄して線の如くにしいて疼痛する者を治 す。
開気丸【中成薬】=舒肝丸【中成薬】
「芍薬・川楝子」
◎ストレスによる胃腸障害。
開胸散《医宗金鑑》
「柴陥湯枳実・桔梗・山梔子」
◎傷寒、結胸を治す。《傷寒翼方》
開襟散《医学心悟》
「人参、黄連、石菖蒲、丹参、石蓮子、茯苓、陳皮、陳米、冬瓜仁、荷葉蒂」
開音飲《中薬臨床応用》
「胖大海3~6g、菖蒲5g、薄荷2g」沸騰湯で服。
◎発生障害
◎急性の激しい炎症による嗄声
◎肺熱による失声。
開関散[1]《医学入門》(一名破棺散)《東醫寶鑑》
「天南星末2g 竜脳1字をまぜ、中指に末をつけて歯に、20 ~30回こす る。」
◎卒中風で口を閉じて開けられないとき。
開関散[2]《東醫寶鑑》
「蜈蚣1条炙、白彊蚕・天南星(炮)各1銭、麝香1字、猪牙皀角3銭を焼い て作末し、指先に姜汁をつけて薬末を歯にこすり、又は薬末2~3滴を 口中にたらす。
◎驚風で口の開かない者。
開関神応散《斉有堂医案》
「明浄腰黄 枯白礬 生蘆 猪牙皀角<焦がさないように黄色く炒め、筋 膜を去る>各等分」それぞれ作末して混和し、密封して保存。
使用方法⇒喉に吹き込む。
開気消痰湯《東醫寶鑑》
「香附子・桔梗・白彊蚕(炒)各1銭、陳皮・黄芩・枳穀各7分、前胡・半 夏・枳実・羗活・荊芥・檳榔・射干・威霊仙各5分、木香・甘草各3分、 姜3片」
◎胸中と胃から咽門に至るまで、通道が狭窄して線条と同じく、痛んで手足に 胡桃のような塊がある者。
開噤散《医学心悟》
「人参、川連、石菖蒲、丹参、石蓮子、茯苓、陳皮、陳米、冬瓜仁、荷葉、 荷蒂」
開噤湯《東醫寶鑑》
「砂糖7銭、細茶5銭、縮砂1銭、生姜5片」を水で煎じて、一晩露に当て、 次の朝、北に向かって温服し、木鼈子の殻をとったもの3銭、麝香2分を、 つき砕いて臍をふさぐと、すぐ食欲が出る。
◎噤口痢を治す。
開懐散《東醫寶鑑》
「柴胡・草豆蔲各1銭、三稜・莪朮(炒)・青皮・半夏・白茯苓・香附子・檳 榔・枳実・紅花・甘草各7分・生姜3片」水煎服。
◎心下の積塊・痞悶。
開結枳実丸《東醫寶鑑》
「黒丑頭末2両、皀角・旋覆花各1両、枳実・白朮・半夏・南星(炮)・苦 (炒)・白礬(焙)・大黄・青皮・木香各5銭を作末し、姜汁糊で梧子大 の丸剤。姜湯で30~50丸呑む。
◎凝結した症を治す。
◎痰飲を消化して滞気を昇降させ、三焦を通行させる。
◎心肺を良くし、肝腎を灌漑して腸胃を補助し、百脹を転行させる。
開結化痰湯《寿世保元》《古今方彙》
「陳皮・半夏・茯苓・茯苓・枳殻・貝母・括楼仁・黄連・黄芩・山梔子・紫 蘇子・桑白皮・朴硝・杏仁各等分、甘草半減」水煎し姜汁を入れ、木香を 磨し調服。
◎熱痰胸膈の間に在りて化せず、喀出して出でず、寒熱気急満悶して痛みをなる 者を名付けて痰結と曰う。此方に宜し。
開結舒経湯《東醫寶鑑》
「紫蘇葉・陳皮・香附子・烏薬・川芎・蒼朮・羗活・天南星・半夏・当帰各 8分、桂枝・甘草各4分、生姜3片」水で煎じて竹瀝・姜汁を入れて調服 する。
◎婦人の七情・六鬱により気が経絡に滞し、手足が麻痺する者。
開結導引丸(一名開鬱導飲丸)《東醫寶鑑》
「陳皮・白朮・沢瀉・茯苓・神麹・棗芽・半夏(姜製)各1両、枳実・青皮 ・乾姜各5銭、巴豆霜1銭半」を作末し、蒸餅で梧子大の丸剤。温水で50 ~70丸服用。
◎脚気で食積の流注による心下の痞悶に。
開心散《東醫寶鑑》
「定志丸茯神」
∴定志丸=人参・白茯苓・石菖蒲・遠志・朱砂。
◎健忘症。
疥癬摺薬
「巴豆・大黄・麻子・黒胡麻各等分」
右四味、細かに刻み、麻布に之を包み、熱酒に漬して之を打つことしばし ばなれば、2時間或いは1時間にして麻疹の如く発疹す。発疹すれば、湯 水を以て洗うことを禁ず。此の如くすること67日許りにして入浴すらば、 則ち疹白く尽きて癒える。
◎疥癬は、新久を問わず、必ず之を打ちて奇効あり。面部、両乳、及び前後の陰 辺は、之を打つ可らざる也。
孩児散《東醫寶鑑》
「熊胆5分、孩児茶2分、片脳1分」を作末し、人乳で調合して塗る。
◎脱肛・熱腫に。
艾錯湯《東醫寶鑑》
「好醋で艾葉を煎じる」
◎半配呑んで腹が痛かったら、妊娠している。
艾附暖宮丸《沈氏尊生書》
「艾葉・香附子・当帰・続断・呉茱萸・川芎・白芍・黄蓍・地黄・官桂」
外感風滞方《中薬臨床応用》
「穀芽15g、藿香6g、蝉退5g、防風5g、茯苓9g、蘇梗15g、薄荷3g(後下)、 黄連2g」水煎服。
◎小児の感冒性消化不良症。
外敷膏《東醫寶鑑》
「熱水で「甘草」を囓って水を飲み下し、漬けた「大戟・芫花・甘遂・海藻」 を等分に作末し醋で調合して腹上に塗る。
◎腹脹が固く石の様になった者を治す。
外敷神膏《東醫寶鑑》
「大黄・朴硝各4両、麝香1銭」作末し2両を「大蒜」と混ぜ膏を作って患 部に塗る。
◎積聚・脹満・血蠱。
咳奇方《和田東郭》《勿誤薬室方函》
「麦門冬・阿膠・百合・乾姜・白朮・地黄・五味子・甘草・桔梗」
◎肺痿の咳嗽。
◎此方と「四陰煎」《景岳》と伯仲する。
◎もし熱に属する者は:「人参養栄湯」《聖済総録》
咳血一方《寿世保元》《古今方彙》
「当帰・白芍薬・知母・桔梗・麦門冬各1銭、生地黄1銭半、括楼根1銭半、 茯苓8分、貝母1銭2分、甘草5分」水煎。
◎嗽に因りて痰を去り、痰の内に血のある者を治す。
咳血方《丹渓心法》《中薬臨床応用》
「山梔子(炭)9g、青黛粉3g(冲服)、括蔞仁12g、海浮石9g、訶子2.5g」水 煎服。
◎肺熱による喀血。
咳血方加減《中薬臨床応用》
「海浮石9g、訶子9g、括蔞仁9g、山梔子(炭)6g、生地黄12g、玄参9g、甘 草6g」水煎服。
◎熱痰の咳嗽
◎慢性咳嗽
◎粘稠な痰
◎喀出しにくい
◎痰に血が混じる
咳嗽一方[1]《医宗必読》《古今方彙》
「百部膏1味烏梅・檳榔子」
◎一男子、3年久しく嗽し薬を服して効無く、飢えたる時は胸中大いに痛み、上 唇の白点が(セイ、砕いた米)の如きを治す。
咳嗽一方[2]《医宗必読》《古今方彙》
「麻黄、杏仁、半夏、前胡、桔梗、陳皮、紫蘇子、甘草」水煎。
◎一男子あり、経年咳嗽し、更に医数十人而して病反って増劇す。右の寸脉浮大 にして滑なり、これ風痰未だ解せず、必ず多く酸収(五倍子や五味子のこと)を 服し久しくして、いよいよ甚だしきを治す。
咳嗽一方[3]《明医雑著》《古今方彙》
「杏仁、茯苓、陳皮、五味子(生)、桔梗、甘草(炙)」水煎温服。
◎咳嗽を治するの要方なり。
◎春は多く上升の気あり、宜しく肺を潤にし、肝を抑えるべし:「川芎・芍薬 ・半夏・黄芩・知母・麦門冬」
◎春に若し風に傷れて咳を致し鼻に清涕を流すには:「防風・薄荷・紫蘇葉・ 黄芩・麦門冬」
◎夏は多く火熱炎上す、宜しく金を清し火を降ろすべし:「桑白皮・黄芩・知 母・石膏・麦門冬」
◎秋は多く湿熱が肺を傷る、宜しく熱を清し湿を瀉すべし:「蒼朮・桑白皮・ 防風・山梔子・黄芩」
◎冬は多く風寒外感す、宜しく表を解し痰を行らすべし:「麻黄・桂枝・半夏 ・防風・乾姜」
瘧飲《寿世保元》《古今方彙》
「蒼朮・草果・桔梗・青皮・陳皮・良姜・白・茯苓・半夏・枳殻・桂心・ 乾姜各3銭、紫蘇葉2銭、甘草(炙)3銭、川芎2銭」水煎し、塩少し許り 入れて服用。
◎久瘧にて癥(腹中の硬結)をなし、癖が胸脇の間にありて諸薬にて癒えざる者 を治す。
化散《東醫寶鑑》
「蘇木・当帰尾各3銭、大黄・紅花各2銭、を末にし、毎回3銭を温酒と童 便で調下する。」
◎杖打がひどく、血が心を打ち気絶する症。
化塊丸《東醫寶鑑》
「海粉(酒煮)・三稜・莪朮(並醋煮)・紅花・桃仁・五霊脂・香附子各1両、 石5銭を作末し、醋糊で梧子大の丸剤。白朮湯で30~50丸呑む。
◎痞塊・血塊を治す。
化気湯《東醫寶鑑》
「莪朮・乾生姜・陳皮・丁香皮・茴香(炒)・甘草各5銭、縮砂・桂心・木香 各2銭半、胡椒・沈香各1銭を作末し、毎回2銭を生姜・紫蘇・塩少し 入れて煎じ湯で調下する。
◎息積が腹や肋骨の下で病み、片方が脹満、飲食には差し支えないが、諸薬の効 なきとき。
化血丹《医学衷中参西録》
「三七、花蕊石、血余炭」
化積丸《沈氏尊生書》
「三稜・莪朮・阿魏・海浮石・香附子・雄黄・檳榔・蘇木・瓦楞子・五霊 脂を細末にして、水を数滴加え丸剤にして、温服」
化積湯《済世全書》《古今方彙》
「当帰、川芎、生地黄、熟地黄、延胡索、赤芍薬、青皮、貝母、半夏、三稜、 莪朮、香附子、白芍薬、陳皮、桃仁、木香、紅花、生姜」水煎。
◎婦人の気積、血塊、癥、左右に拘わらず治す。
化痰降火湯《医学正伝》《古今方彙》
「陳皮、半夏、黄柏(酒炒)、知母(酒炒)、沢瀉、茯苓、甘草各等分」
◎痰火にて尾骨節痛むを治す。
化痰清火湯《万病回春》《古今方彙》
「天南星、半夏、陳皮、黄連、黄芩、山梔子、知母、石膏、蒼朮、白朮、白 芍薬各等分、甘草半減、生姜」水煎。
◎雑、短あり、火動に因る者を治す。
化疔内消散《外科正宗》《古今方彙》
「皀角刺、金銀花、知母、貝母、括楼根、穿山甲、白芨、乳香、赤芍薬、半 夏、甘草、蚤休各1銭」水酒で煎服。
◎疔瘡の初起、或いは已に針し、又已に灸したる後に之を服し能く内消せしむ。
化毒丸《漢方治療の実際》
「乳香10、軽粉1、大黄・雄黄・乱髪霜各3」米糊で丸剤とし、辰砂の衣を かける。1回量2。1日1回。
化毒清表湯《医宗金鑑》
「葛根・薄荷葉・地骨皮・牛蒡子(炒って末にする)・連翹(心を去る)・防 風・黄芩・黄連・玄参・生知母・木通・生甘草・桔梗・灯心草・生姜水煎 服」
化毒丹《東醫寶鑑》
「草烏(糊浸炮)・浮石(赤く焼くこと7回、別に研いで)各1両、乳香・没薬 各5銭の別研、巴豆(去皮)49個の別研末を醋麺糊で豌豆大の丸剤。冷酒 で5~7丸呑む。
◎100種の悪瘡・毒腫の初発を治す。
化毒湯《寿世保元》《古今方彙》
「紫草5銭、升麻・甘草各2銭半、糯米」水煎。
◎痘瘡已に出て痘毒太盛なれば此方を以て毒を消す。
◎方考には、陳皮あり。
化斑解毒湯《外科正宗》《古今方彙》
「知母、黄連、連翹、人中黄、升麻、石膏、甘草、牛蒡子、玄参」各等分。 竹葉20片と水で煎服。
◎漆瘡にて面熱して腫れ、遍身痒痛する者を治す。
化斑湯[1-1]《温病条弁》
「生石膏・知母・甘草・玄参・犀角・粳米」
化斑湯[1-2]《古今方彙》
=「白虎加人参湯」
◎傷寒にて汗吐下後、発斑、脈伏するを治す。
化痞丹《東醫寶鑑》
「大黄4両(醋に漬けること7日間、日に晒し夜は露に当てること7日間)、 穿山甲(土炒)2両、大鼈子(去油)・香附子(童便炒)・桃仁各1両、紅花2 銭、青黛5分、を作末し、大黄を好醋で混ぜ糊を作って緑豆大の丸剤。 茅根煎湯で50~70丸呑む。
◎積塊を除く。
化癖如神丸《東醫寶鑑》
「蟾酥・黄蝋各2銭、巴豆肉1銭、羚羊角末・牛黄各5分、麝香3分、 硼砂・竜脳各1分」作末し、葵子大の丸剤。毎回1丸服用。
◎痞塊・積聚を治す。
化虫丸《医方集解》
「鶴虱・檳榔・苦楝根皮・胡粉(炒)・明礬・蕪・使君子」
◎蛔厥で腹が痛むとき。
化虫散
「雷丸2・檳榔2・鶴虱2銭、使君子肉7を作末し、軽粉⇒水銀粉1を入 れ、2回に分服。服用法は、猪肉1両を切って皀角汁に漬けて、一夜おい てから早朝弱火で香油を塗って焼き、上記の薬末を肉片にふりかけ、空腹 時にかんで食べる。
化虫湯《中薬臨床応用》
「鶴虱9g、苦楝根皮9g、蕪9g、使君子9g、雷丸9g」
水煎して早朝空腹時に2日間連続して服用。
◎回虫
◎蟯虫
◎条虫
華蓋散《和剤局方》《古今方彙》
「紫蘇子・赤茯苓・陳皮・桑白皮・麻黄・杏仁各1銭、甘草5分」水煎温服。
◎肺が風邪に感じ、咳嗽上気、胸膈煩満、項背拘急、頭目昏眩、鼻塞がり声重く 痰気利せざるを治す。
華蓋散《漢方治療の実際》
「麻黄・杏仁各4、茯苓5、橘皮・桑白皮・蘇子各2、甘草1」
華蓋散《和剤局方》《龍野一雄》
「紫蘇子・茯苓・陳皮・桑白皮・麻黄・杏仁各3.5g、甘草2g」
◎肺風寒に感じ、咳嗽上気胸膈煩満項背拘急頭目昏眩鼻塞声重痰気不利するを治 す。
◎発熱・咳嗽・上気、胸満、肩や首筋が強くこる、めまい、鼻閉、声が出にくい。
★適応症及び病名
悪寒
咳嗽<激しい>
☆胃腸の弱い乳幼児のせき。
気管支喘息
くしゃみ
肩こり<肩背強>
感冒
項強
自汗
喘鳴
肺炎
肺気腫
発熱
百日咳
鼻汁
鼻閉
のぼせ
目眩
流感
華蓋散《東醫寶鑑》
「麻黄2銭、赤茯苓・蘇子・陳皮・桑白皮・杏仁各1銭、甘草(炙)5分」剉 作1貼し、「姜3片、棗2枚」入れ水煎服。
◎肺に寒邪を感じ、咳をし上気して鼻が詰まり、声がしゃれる者。
華佗愈風散《華元化》
「荊芥穂<少し焙って作末する>を毎回12gを、酒あるいは童便といっしょに 服用。歯を食いしばっていれば、こじ開けて注ぎ込む。」
花蕊白芨散《中薬臨床応用》
「花蕊石()12g、白芨12g、乱髪霜6g」極細末にし1日3回、3~6g湯冷 ましで沖服。
◎喀血。
香川解毒剤[1-1]《香川修徳》《漢方後世要方解説》
「山帰来・木通各4、茯苓5、川芎・忍冬各3、甘草・大黄各1」
◎此方は香川氏江州の民間より伝え得たという経験方で、梅毒通治の一般薬であ る。
◎此方に荊芥、防風、連翹各3を加えて梅毒の初期硬結、横痃、梅毒疹等に応用。
◎山帰来=梅瘡家一切必要の薬、風湿を除く。
忍冬=熱を散じ、毒を解す、瘡瘍の要薬。
川芎=血を破り、気血を順らす、梅瘡を治す。
香川解毒剤[1-2]《香川修徳》《勿誤薬室方函口訣》
「川芎7分、茯苓・木通各6分5厘、遺糧・忍冬各6分、大黄4分5厘、甘 草3分」
◎黴瘡、便毒、下疳、結毒、発漏、筋骨疼痛、諸の壊証、及び癬、下腿潰瘍、諸 々の悪瘡、膿淋を療す。
◎香川の解毒剤は一切の瘡瘍の毒を小便に分泌する効あり。諸瘡の臭気を去るに は妙なり。
★適応症及び病名
顔面神経麻痺
梅毒が原因のものに用いる。これに桂枝加苓朮附湯を合して用いることがある(漢方診療医典)
[1]下痢:
☆臭気甚だしきものは、必ず結毒に因るなり:「桂枝・芍薬・当帰」 《雑病翼方》
[2]身体疼痛:「桂枝・附子・牽牛子」。
[3]帯下:
☆白帯下、臭気甚だしき者:「軽粉丸」《雑病翼方》
[4]痛風:
☆毒深く一処に凝結して痛をなす:「桂枝・附子・牽牛子」。且つ痛 処に芫菁膏を貼る。《橘窓書影》
[5]毒淋:
☆淋菌性尿道炎:「車前子・滑石・阿膠」。
[6]梅毒:
☆初期硬結:「荊芥、防風、連翹各3」《矢数道明》
☆梅毒性神経痛:「桂枝3、牽牛子2、附子0.5」《矢数道明》
☆淋疾患で、膿血淋瀝、劇痛する者:「阿膠3、滑石4、車前子3」。《矢 数道明》
☆2期3期の体の冷える者:「桂枝・附子・牽牛子」《済世薬室》
☆湿眼(梅毒性角膜炎):「菊花1.5、車前子・桔梗・防風各3、滑石4」 《矢数道明》
☆32歳の主婦。3年前に梅毒に感染していることを知った。その後、 今日までずっと医師にかかっているが、まだ血液検査は陰性とならず、 次のような症状がある。
肩凝り・頭痛・眼底が痛む・腰痛・足冷・右下腹部の疼痛・帯下・ 尿意頻数・月経は正常、外痔核があって稀に痛む。
脈は沈で、腹診上、左下腹で腸骨の部分に圧に対して敏感な索 状物を触れる。すなわち少腹急結である。
私はこれに解毒剤桂枝茯苓丸を与えた。患者は辛抱強く、3年近 く服薬した。これによって、肩凝り、眼痛、頭痛、帯下、腰痛は皆良 くなり、痔核は赤小豆ぐらいの小さい物が1つ残り、苦痛はなくなっ た。その間、血液検査は2回ともに陰性であった。《大塚敬節》
[7]横痃(よこね):
☆「荊芥、防風、連翹各3」《矢数道明》
樺皮散《東醫寶鑑》
「樺皮(焼)・枳穀(麩炒)各2両、杏仁・荊芥穂各1両、炙甘草2銭半」作 末し、毎回2銭を1日2回温酒で調下する。
◎肺臓の風邪で、満身疹でかゆく、瘡が出来て、疥瘡になる症。
嘉禾散《和剤局方》《古今方彙》
「人参、白朮、苡仁、神麹、山楂子、杜仲、半夏。桑白皮、麦芽、石斛、 茯苓、陳皮、枇杷葉、藿香、大腹皮、檳榔子、白豆蔲、青皮、沈降、砂仁、 木香、甘草(炙)、生姜」水煎。
◎脾胃和せず、胸膈痞悶し、気逆し、痰を生じ飲食進まざるを治す。
◎膈噎反胃の如きも並びに治す。
◎五膈には:「乾柿」
◎膈気吐逆に:「薤白紅棗」
◎古方には、丁香、五味子、訶子ありて、山楂子、白豆蔲無し、草豆蔲に易(カ) える。
膈気散《和剤局方》《古今方彙》
「三稜・莪朮・檳榔子・陳皮・枳殻・益智仁・肉桂各10両、乾姜・厚朴・ 木香・青皮・肉豆蔲・甘草(炙)各5両、生姜、大棗」水煎。
◎五種膈気、三焦痞塞し心腹膨張し、背膂引痛し、脇肋刺痛し、噎塞通ぜず、嘔 吐痰逆呑酸するを治す。
◎気を順らし、中を寛ぎ、痃癖積聚を消し、驚憂気を散ず。
薤白粥《東醫寶鑑》
「薤白3茎、卵白3個分、栗米3合」を煮て粥をつくり、別に人参1両を切 って水1升で3合まで煎じ、1両を取って前の粥と混ぜて頓服する。
◎嘔逆を治す。
鵝管石湯《中薬臨床応用》
「鵝管石30g、胡桃肉10個、杏仁9g、子12g、甘草3g」水煎服。
◎気管支喘息。
芎朮丸(一名麹丸)《東醫寶鑑》
「白朮3両、山楂肉2両、蒼朮・川芎・神麹(炒)・便香附子・陳皮・半夏・ 白茯苓・枳実・黄連(酒炒)・当帰(酒洗)各1両、梔子(炒)・連翹・蘿葡子 (炒)・木香5銭を作末し、姜汁泡で搗いた餅で梧子大の丸剤。姜湯で50 丸呑む。
◎鬱を開き、気を運行させ、積を消し、熱を散らす。
蝸牛散《東醫寶鑑》
「蝸牛1個に片脳・麝香を少しづつ瓦器内に入れておくと、おのずと溶けて 水になる。これを塗る。」
◎痔瘡の腫脹に。
家韭子元《東醫寶鑑》
「家韭子(略炒)6両、鹿茸(燎去毛)4両、肉蓉(酒浸)・牛膝(酒浸)・熟地 黄・当帰(酒洗)各2両、菟絲子(酒製)・巴戟各1両半、杜仲(炒)・石斛(酒 洗)・乾姜(炮)・桂心各1両」作末し酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に温酒or 塩湯で100丸飲む。
◎腎陽が衰退しが冷え、遺尿・不禁する者。
核桃馬蛇子湯(天津和平区衛生局)
「馬蛇子粉0.6~0.9g(冲服)、胡桃肉6g、大棗5g」水煎服。
◎慢性気管支炎
括子仁湯《外科枢要》《古今方彙》
「苡仁4銭、桃仁・牡丹皮・括楼仁各1銭」水煎。
◎産後の悪露或いは経行血にて痛みを作し、或いは腸癰を作すを治す。
◎「白芍薬」=苡仁湯《外科正宗》
括石湯《医学入門》《古今方彙》
「括楼仁9銭、滑石1銭半、天南星・蒼朮・赤芍薬・陳皮各1銭、黄連・黄 柏・黄芩・白各5分、甘草2分、生姜」煎服。
◎破傷風にて発熱するを治す。
括呂湯《漢方治療の実際》
「括呂実・桂枝・半夏各4、橘皮・厚朴・薤白各3、枳実2、生姜・桔梗各2」
括呂根湯《漢方治療の実際》
「括呂根・百合・知母・括呂仁各3、苡仁10、柴胡5、黄芩3、甘草1」
藿香安胃散《東醫寶鑑》
「橘紅5銭、人参・丁香・藿香各2銭半を作末し、毎回2銭を姜3片と煎じ て温服。
◎脾胃が弱くて嘔吐する。
藿香安胃湯《医学正伝》《古今方彙》
「人参・陳皮・藿香各1銭、丁香半銭」水煎。
◎嘔吐悪心、飲食する能わざる者を治す。
藿香正気丸【中成薬】《和剤局方》《中薬臨床応用》
「藿香・紫蘇葉・半夏・白・大腹皮・茯苓・白朮・陳皮・厚朴・桔梗・甘 草を含む。1日1~2回、1丸づつを生姜・大棗の煎湯で服用。
◎急性胃炎
◎生もの、冷たいものなどの飲食で上腹部が脹って苦しい、発熱、疲労感、嘔吐、 下痢、口臭
藿香正気散[1-1]《万病回春》《古今方彙》
「大腹皮・紫蘇葉・藿香・白・茯苓各6分、厚朴・白朮・陳皮・桔梗・半 夏各4分、甘草2分、生姜、大棗」水煎。
◎四時感冒、頭痛、憎寒壮熱、或いは風湿気、霍乱吐瀉、内傷外感を挟む物を治 す。
◎四時風寒雨湿に感冒し、或いは腹痛吐瀉、頭疼憎寒、嘔逆悪心、胸膈痞悶する を治す。《寿世保元》
藿香正気散[1-2]《和剤局方》《東醫寶鑑》
「藿香1銭半、紫蘇葉1銭、白・大腹皮・白茯苓・厚朴・白朮・陳皮・半 夏(製)・桔梗・炙甘草各5分を剉作1貼して生姜3、大棗2を入れ水煎 服。」
◎傷寒陰症で頭痛・身疼して表裏を分弁できないとき、この剤で経絡を導引して 変動しないようにする。
◎乾霍乱という症は、気がなかにあって痞悶し、吐下出来ず、正気を壅塞し陰陽 を関格し、煩躁・喘脹すると必ず死ぬ。「急いで、吐法を使い、委中に鍼をし、 兼ねて治中湯or藿香正気散を服用する」
藿香正気散[1-3]《和剤局方》《漢方後世要方解説》
「白朮・半夏・茯苓各3、厚朴・陳皮各2、桔梗1.5、蘇葉1、藿香1、白1.5、 甘草・大棗・生姜各1」
◎傷寒、頭痛、憎寒、壮熱、上喘、咳嗽、五労、七傷、八般の風痰、五般の膈気、 心腹冷痛、反胃嘔悪、気瀉霍乱、臓腑虚鳴、山嵐瘴瘧、遍身虚腫、婦人産前産 後血気刺痛、小児癇傷並びに皆之を治す。
◎此方は内傷と外感を兼治し、発散の力がある。夏月に多く、内生冷に傷られ、 外暑湿に感じ、胃腸内に食毒、水毒滞り、ために腹痛下痢、嘔吐、心下痞え、 頭痛発熱して汗無き者によい。
◎平胃散の去加方である。
◎本方の虚証は「清暑益気湯」である。
◎食滞による小児の明け方の咳嗽、眼疾、牙痛、少年性疣に転用される。
◎紫蘇・藿香・白=表を解す
厚朴・大腹皮=胃を開き、腹満感を去る。
藿香・白朮・茯苓・陳皮・甘草・半夏・厚朴・桔梗・大腹皮=皆中を調える
藿香正気散[1-4]《和剤局方》《龍野一雄》
「大腹皮・藿香・白・茯苓各4g、厚朴・白朮・陳皮・桔梗・半夏・紫蘇 葉・大棗各3g、甘草1.5g、干姜1g」
◎傷寒、頭疼、憎寒、壮熱、腹痛、霍乱を治す。
◎「不換金正気散半夏厚朴湯桔梗大腹皮」《勿誤薬室方函口訣》
◎此方はもと《嶺南方》にて、山嵐瘴気を去るが主意なり。夫れ夏月、脾胃に水 湿の気を蓄へ、腹痛縁して頭痛悪寒の外症を顕す者を治す。《勿誤薬室方函口 訣》
◎世に「不換金正気散」と同じく夏の感冒薬とすれども方意大いに異なり。
◎発熱・頭痛・悪寒、或いは嘔吐・下痢・腹痛。
★適応症及び病名
[1]イボ:
☆少年の顔面手足に多発するイボ「苡仁大量」《矢数道明》
[2]咽痛
[3]嘔吐
[4]悪寒
[5]咳嗽:
☆小児の食滞咳嗽《矢数道明》
☆小児などで他に原因がなくて朝時にせきする者《矢数道明》
[6]感冒<夏かぜ>
☆外感:「蒼朮・羗活各3g、白朮」《龍野ー漢方処方集》
☆春寒く、夏冷え、秋暑く、冬温なるは四時不正の気である。時気に当 たったものは皆これを用いて良い《矢数道明》
[7]急性胃腸炎:
☆過食し、或いは美食に過ぎ、或いは堅硬のものを摂取、或いは飲料水 にあてられ、吐瀉腹痛する者《矢数道明》
☆夏の寝冷え、または寒冷なものにあたって、下痢、腹痛、嘔吐するものによい(漢方診療医典)
[8]急性熱病:
☆湿熱による霍乱・転筋・煩渇・悶乱:「黄連・藿香」《龍野ー漢方処 方集》
☆中暑、暑さにあてられた者《矢数道明》
[9]下痢(腹痛・下痢・嘔吐)
☆消化不良:「香附子6g・縮砂2g」《龍野ー漢方処方集》
☆米穀不消化:「神麹2g・麦芽3g」《龍野ー漢方処方集》
☆肉食不消化:「山楂子3g」《龍野ー漢方処方集》
☆裏急後重:「枳穀2g」《龍野ー漢方処方集》
[10]口渇
☆口渇・下痢・小便不利:「五苓散」《龍野ー漢方処方集》
[11]呼吸困難
[12]歯痛:
☆耳の腫痛に用いることがある。食鬱による《矢数道明》
[13]食欲不振
[14]心下痞
☆心下痞悶:「香附子6g・縮砂2g」《龍野ー漢方処方集》
☆心下痞:「枳実2.5g・青皮3g」《龍野ー漢方処方集》
☆誤った薬を服んで、胃が疲労し、心下に欝滞して快くない者《矢数 道明》
[15]心腹疼痛
☆心腹絞痛:「木香1.5g」《龍野ー漢方処方集》
[16]頭痛
[17]発熱
☆発熱:「麦門冬8g・竹茹2.5g」《龍野ー漢方処方集》
[18]疲労倦怠
[19]腹痛 :
<産前産後の神経性腹痛>
☆腹痛:「芍薬5g」《龍野ー漢方処方集》
☆寒痛:「桂枝3g」《龍野ー漢方処方集》
☆冷甚だしい者:「乾姜3g」《龍野ー漢方処方集》
[20]のどが痛い:
(口を開けて寝るために、朝のどが痛む)
☆夜口を開いて眠り、咽喉の痛む者《矢数道明》
[21]浮腫:
☆湿気にあてられて浮腫を来した者《矢数道明》
[22]無汗
[23]目が痛い
藿香湯《奥田家方》
「藿香・益智仁・縮砂各3.0」三味を一包とし、水一合を以て、煮て六勺を 取り、滓を去り頓服する。
◎頭痛、眩暈を発する諸病にして、熱性症候なく、或いは下肢寒冷にして頭面熱 し、或いは宿酔にして嘔気、嘔吐を発し、頭重き、身体倦怠を覚える者を治す。
藿香平胃散[1]《医学正伝》《龍野一雄》
「陳皮3.5g、神麹1.5g、縮砂1.5g、厚朴・藿香各3.5g、古立蒼朮4g」
◎飲食停滞・嘔吐。
★適応症及び病名
胃カタル
胃拡張
胃下垂
食傷
藿香平胃散[1]《医学正伝》《古今方彙》
「陳皮1銭、神麹半銭、砂仁半銭、厚朴1銭、甘草3分、蒼朮1銭半、藿香1 銭、生姜」水煎温服。
◎内、飲食に傷つき、脾湿り、壅滞して吐をなすを治す。
藿香平胃散[2]《東醫寶鑑》
「蒼朮2銭、藿香・厚朴・陳皮各1銭半、縮砂・神麹各1銭、炙甘草7分、 姜3、棗2」煎服。
◎脾胃の虚弱・嘔吐。
藿香養胃湯《医学入門》《古今方彙》
「藿香・烏薬・白朮・神麹・茯苓・半夏(麹)・砂仁・苡仁各1銭半、澄 茄・甘草各1銭、生姜、大棗」煎服。
◎胃虚にて食ぜず、四肢痿弱、行立能わず、皆陽明胃虚に由り宗筋養う所無く、 遂に痿躄となるを治す
◎入門には、「藿仁養胃湯」と名づく。
藿香連翹飲《中薬臨床応用》
「藿香6g、連翹6g、製半夏6g、陳皮3g」
◎熱射病・日射病で発熱・煩熱・悪心・嘔吐。
藿香和中湯《古今方彙》
「藿香、紫蘇葉、香附子、蒼朮、厚朴、山楂子、川芎、羗活、砂仁、麦芽、 白、陳皮、甘草(炙)、生姜」水煎。
◎寒に感じて停食吐瀉する者を治す。
藿朴夏苓湯
「藿香・厚朴・半夏・茯苓」
藿朴夏苓湯《温病条弁》
「藿香、沢瀉、猪苓、半夏、淡豆豉、赤茯苓、杏仁、苡仁、白豆蔲仁、厚 朴」
廓清飲《景岳全書》《勿誤薬室方函》
「厚朴1銭5分、大腹皮1銭、、沢瀉1銭、茯苓2~3銭、橘皮1銭、枳実 2銭、白芥子7分、蘿葡子1銭」
◎三焦壅滞し、気道清からず、小便不利・通身腫脹する者を治す。
◎此方は導水茯苓湯より簡にして効多し。《勿誤薬室方函口訣》
◎三子養親湯の症にして中焦壅実する者を治す。
角石散《備急千金要方》
「角石1味、酒服する。」
◎腰痛。《勿誤薬室方函口訣》
鶴頂丹《東醫寶鑑》
「明白礬1両、心紅5銭」を作末し、1匙ずつ取って容器に入れ、熔化させ、 桜桃大に丸め、薄荷の煎湯で毎回1丸服用。
◎痰熱が咽喉を防ぎ、痰が胸膈につまって痛むのを治す。
鶴柏湯《中薬臨床応用》
「仙鶴草30g、側柏葉12g、白芨15g、藕節30g、大薊12g」水煎服。
◎吐血。
馘鬼散《東醫寶鑑》 (馘=カク・くびきる)
「黄連・胡桐涙・荊芥穂・薄荷・升麻・羊脛骨灰」各等分に、「麝香少々」 入れて作末しすりつける。
◎胃熱歯痛。
楽令建中湯[1-1]《和剤局方》《古今方彙》
「前胡・細辛・黄蓍・人参・肉桂・陳皮・当帰・白芍薬・茯苓・麦門冬・甘 草各1両、半夏7銭半、生姜、大棗」煎服。
◎臓腑虚損、身体消痩、潮熱自汗、まさに労を成るを治す。
◎虚熱を療退して血気を生ず。
楽令建中湯[1-2]《和剤局方》《勿誤薬室方函》
「黄蓍・芍薬・桂枝・麦門冬・橘皮・甘草・当帰・細辛・人参・柴胡・茯苓 各2両、半夏2両半、大棗20枚、生姜5両」
「黄蓍建中湯当帰・人参・麦門冬・細辛・前胡・茯苓・半夏・橘皮」
「調中益気湯白朮桂枝細辛麦門冬半夏」
◎臓腑虚損・身体痩せ・潮熱自汗し・まさに労にならんとするを治し、虚熱を 退く。
◎虚労不足、四肢煩疼、食を欲せず、食せば即ち脹り、汗出ずるを治す。
◎虚労寒熱ある者の套剤とす。
◎但し肺痿寒熱ある者には効なし。肺痿には人参養栄湯《聖済総録》を用いるべ し。《勿誤薬室方函口訣》
加減湯[1]《通俗傷寒論》
「生12g、生葱白3枚、桔梗6g、東白薇4g、淡豆豉12g、薄荷4g・甘 草2g、紅棗2枚」
加減湯[2]《通俗傷寒論》《中薬臨床応用》
⇒「加減玉竹湯」
「玉竹9g、桔梗9g、白薇3g、淡豆豉12g、薄荷3g(後下)、炙甘草15g、大 棗3g」
◎陰虚の感冒
◎風熱咳嗽
加減胃苓湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》
「蒼朮1銭半、陳皮・沢瀉・白朮・赤茯苓・木瓜各1銭、厚朴・猪苓・神麹 ・檳榔各8分、山楂肉。縮砂各7分、香附子(姜汁炒)・大腹皮各6分、炙 甘草3分」を剉作1貼し、姜3・灯心草1を入れ水煎服。
◎浮腫を治す。
加減胃苓湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》
「陳皮・猪苓・赤茯苓・沢瀉・目下・白朮各1銭、厚朴・神麹・檳榔子各8 分、大腹皮・香附子(姜炒)各6分、山楂子・砂仁各7分、蒼朮1銭半、甘 草(炙)3分、生姜、燈心草」水煎。
◎水腫を治す。
加減胃苓湯[2]《東醫寶鑑》
「胃苓湯桂枝、藿香・半夏・大腹皮・山楂子・蘿葡子・三稜・莪朮・青 皮各5分、生姜3、大棗2」水煎服。
◎黄疸で食物がまずく、歩行のだるい者。
加減胃苓湯《寿世保元》《古今方彙》
「蒼朮、陳皮、厚朴、猪苓、沢瀉、白朮、白茯苓、藿香、半夏、大腹皮、三 稜、莪朮、山楂子、青皮、甘草、蘿葡子、生姜、大棗」煎服。
◎黄胖(貧血して動悸強き者)にて飲食味無く、四肢無力、行歩倦怠、脈濡、或 いは腹に積聚ありて腸満するを治す。
加減温胆湯《万病回春》《東醫寶鑑》
「茯神・半夏(製)・陳皮・枳実・山梔子(炒)・白朮・麦門冬・黄連各1銭、 当帰・酸棗仁(炒)・竹茹各8分、人参6分、辰砂末5分、甘草3分、生姜3 斤、大棗2枚、烏梅1個を入れて、水煎し竹瀝半杯・辰砂末5分をまぜて 服用。
◎痰が心竅をふせぎ、神が離れ、憂が鬱結して驚恐・傷心・いつも不安でびくび くし・怔忡・煩悶・悲歌・叫罵・奔走し、他人の事は省みないとき。
◎痰躁痰語驚、志神を失し舎(イエ)(心臓)を守らざるを治す。
痰躁=痰にて胸が躁いで落ち着かないこと。
痰語=痰にて心臓を包み籠らせうろうろして胸苦しくうわごとを言う。
加減益気湯《東醫寶鑑》
「白朮・白芍・陳皮各1銭、当帰7分、黄蓍・人参・沢瀉・縮砂・地楡各5 分、升麻・木香・白豆蔲・御米穀(錯炒)・炙甘草各3分」空腹時に水煎服。
◎久痢で衰弱したとき。
加減越脾湯《張氏医通》
加減甘露消毒丹
「茵蔯・山梔子・黄芩・石菖蒲・藿香・白豆蔲・薄荷・滑石・木通・枳穀」
加減揆雲散《東醫寶鑑》
「羗活2両2銭半、甘菊1両9銭、木賊・白藜各1両1銭半、防風・柴胡 ・蒼朮・枳殻・川芎・甘草各1両1銭、荊芥・薄荷各1両、蝉退7銭半、 石決明(製)・密蒙花各4銭」作末し毎回2銭を薄荷湯で食後服用。
◎諸般の眼病を治す。
加減芎辛湯
(頭風で目が痛むとき)
加減玉竹湯=加減湯
「玉竹9g、桔梗5g、白薇3g、淡豆豉12g、薄荷3g(後下)、炙甘草15g、大 棗3g」水煎服。
加減銀翹散《温病条弁》
「金銀花、連翹、玄参、麦門冬、犀角、竹葉、薄荷葉」
加減五積散《古今方彙》
「五積散乾姜羗活、牛膝、生姜、葱白」
◎婦人たまたま経行の時に身し沿いて疼痛し、手足麻痺し、或いは寒熱を生じ、 頭痛目眩等の症を治す。
◎これ経が感冒に触されたるなり。
加減五苓散《済世経験良方》
加減香苓散《東醫寶鑑》
「枳穀・陳皮・香附子・蒼朮・麻黄・猪苓・沢瀉・木通・滑石・車前子・三 稜・莪朮・川楝子・延胡索・甘草各7分剉作し、姜3・葱白2茎を入れ水 煎服。
◎偏墜気が初めて起きたとき。
加減芎辛湯《東醫寶鑑》
「川芎・細辛・白・石膏・藁本・皀角・羗活・防風・荊芥・桔梗・蔓荊子 ・甘菊・薄荷・甘草各5分」水煎服。
◎頭風で目が痛むとき。
加減解毒湯《寿世保元》《古今方彙》
「柴胡・知母・羗活・山梔子・黄芩・人参各1銭半、黄連1銭2分、防風・ 当帰・連翹・乾葛・生地黄・甘草各1銭」水煎、温服。
◎傷寒、かって汗下を経たる後、熱退かず、頭疼みて清からず、脈数実、身なお 煩躁し、渇止まず、是れ陰陽交わりたるなり。此症甚だ危うし、その人平素積 熱あり。或いは心事火を起こすに因るなり。
加減香苓散《万病回春》《東醫寶鑑》
「枳穀・陳皮・香附子・蒼朮・麻黄・猪苓・沢瀉・木通・滑石・車前子・三 稜・蓬莪朮・川楝子・延胡索・甘草各7分、生姜3、葱白2」水煎服。
◎偏墜気が初めて起きたとき。
加減香苓散《万病回春》《古今方彙》
「枳殻、陳皮、香附子、蒼朮、麻黄、香薷、猪苓、沢瀉、木通、滑石、車前 子、三稜、莪朮、川楝子、延胡索、甘草、生姜」煎服。
◎疝気が暑月に発する者を治す。
◎多く是れ暑が膀胱に入るなり。
◎偏墜気の初起に憎寒壮熱するを治す。
加減紅綿散《東醫寶鑑》
「麻黄・荊芥穂・全蝎・天麻・薄荷・紫草茸・蝉退各5分を剉作し、1貼に 葱白1茎を入れ水煎服。
◎痘疹が発しようとしたら、まずひどい熱が出て搦する。発散させるために本 方を使う。
加減虎骨散《東醫寶鑑》
「虎骨3両、没薬5銭」を作末し、毎回2銭を温酒で服用。
◎白虎歴節痛が昼夜止まない者。
加減固本丸⇒二参丹(一名二老丹)《東醫寶鑑》
「丹参・熟地黄・天門冬各1両半、麦門冬・白茯苓・甘草各1両、人参・遠 志・石菖蒲・朱砂各5銭」を末にし、梧子大の蜜丸。空腹時に、愈風湯で 服用。
◎老人の昏忘・中風後の健忘症。
加減犀角地黄湯《寿世保元》《古今方彙》
「犀角・生地黄・当帰・黄連・苦参・枳殻・桔梗・赤芍薬・紅花・牡丹皮・ 甘草・生姜」服するに臨み藕汁を入れ、もし無くば韭汁にても亦可なり。
加減柴苓湯[1-1]《寿世保元》《古今方彙》
「柴胡、黄芩、半夏、猪苓、沢瀉、蒼朮、青皮、檳榔子、草果、烏梅、甘草、 生姜、大棗」水煎温服。
◎諸瘧にて寒熱交作し、陰陽を分たず、口乾、渇を発し、小便赤渋、或いは吐瀉 をなす者を治す。
加減柴苓湯[1-2]《医学入門》《古今方彙》
「柴胡、半夏、茯苓、甘草、白朮、沢瀉、猪苓、山楂子、茘枝核、山梔子各 等分、生姜」煎服。
◎諸疝を治す。
◎気を順らし、疝を消し、湿熱を治すの剤なり。
加減柴苓湯[1-3]《東醫寶鑑》
「柴胡・沢瀉各1銭、半夏・赤茯苓・白朮・猪苓・山楂子・山梔子・茘枝核 各7分」を作末し、水煎服。
◎疝による湿熱・腫痛を治す。
加減三奇湯《医学入門》《東醫寶鑑》
「半夏2銭、桔梗・陳皮・青皮・人参・桑白皮・紫蘇葉・杏仁・五味子各1 銭、甘草5分」剉作1貼し、姜3片を入れ水煎服。
◎咳喘で上気し、痰涎の不利する者。
加減三拗湯[1]《東醫寶鑑》
「麻黄2銭、陳皮1銭半、杏仁・橘紅各1銭半、乾生姜・桂皮・甘草各1銭」 剉作1貼し、紫蘇葉3片を入れ水煎服。
◎寒喘を治す。
加減三拗湯[2]《医学入門》《古今方彙》
「麻黄1銭、杏仁・桑白皮各7分、甘草5分、紫蘇子・前胡各3分、生姜」 水煎。
◎風寒に因る喘を治す。
加減酸棗仁湯《中薬臨床応用》
「酸棗仁24g、茯神12g、朱砂0.5g8(冲服)、党参9g、白芍12g、知母9g、 川芎3g、百合花9g、夜交藤15g、炙甘草3g」
◎神経衰弱
不眠
心臓神経症
動悸・不安・自汗・盗汗
加減四君子湯《東醫寶鑑》
「四君子湯茯苓、人参・黄蓍・香附子各1銭、姜3片入れて吸い煎服。」
◎長患いによる胃弱。飲食を受け付けず、食臭を嗅ぐとすぐ吐く者。
加減四物湯[1]《婦人大全良方》
「四物湯莪朮・三稜・桂心・乾漆」
加減四物湯[2]《東醫寶鑑》
「側柏葉・生地黄・当帰・川芎各1銭、枳穀・荊芥・槐花(炒)・炙甘草各5 分、姜3、烏梅1」水煎服。
◎血便・腸風を治す。
加減四物湯[3]《医学入門》《古今方彙》
「生地黄、当帰、白芍薬、山梔子、牡丹皮、貝母、知母、黄柏、陳皮、白朮、 甘草、玄参、麦門冬」水煎。
加減四物湯[4]《寿世保元》《古今方彙》
「香附子・熟地黄各1銭、当帰・白芍薬(酒炒)・川芎・枳殻・柴胡各8分、 黄芩・陳皮・三稜(醋炒)・莪朮(醋炒)各6分、延胡索・小茴香(酒炒)・白 朮・青皮・砂仁・肉桂・白・甘草各5分」水煎熱服。
◎室女56歳にして経脈通ぜず、日夜寒熱し、手足麻痺し、飲食少し進み、頭疼 み、悪心し嘔吐し、腹中に忽然として一塊を結びて痛む者を治す。
◎誤って生冷を食し傷るる所なり。
加減瀉青丸《雑病証治新義》
「防風・竜胆・山梔子・大黄・黄芩・川牛膝」
加減瀉白散[1]《東醫寶鑑》
「桑白皮1銭半、地骨皮・赤茯苓各1銭2分、人参8分、陳皮・五味子各5 分、青皮・甘草各3分、粳米一握り」水煎服。
◎嘔逆して喘促する。
◎陰気が下にあり、陽気は上にあって咳をし、嘔逆して喘促する者を治す。
加減瀉白散[2]《東醫寶鑑》
「桑白皮・地骨皮・知母・桔梗・陳皮・青皮各1銭、片芩・甘草各5分」水 煎服。
◎喘急。
加減瀉白散[3]《古今方彙》
「桑白皮・桔梗・括楼仁・升麻・杏仁・地骨皮各1銭、甘草5分、生姜」水 煎。
◎咳嗽喘急、脇痛胸満気促、肺経の湿熱等の症を治す。
◎肺火咳嗽の要方なり。
加減十全大補湯《済世全書》《古今方彙》
「黄蓍、人参、白朮、茯苓、当帰、川芎、芍薬、熟地黄、柴胡、黄芩、陳皮、 甘草、生姜、大棗」水煎温服。
◎人、虚弱にして久しく瘧し、寒熱多からずして但だ微熱の者を治す。
加減薷苓湯[1-1]《寿世保元》《東醫寶鑑》
「天花粉2銭、赤茯苓1銭、猪苓・沢瀉・香薷・乾葛各7分、黄連・白朮・ 甘草各5分を剉作し、1貼に姜3片を入れ煎服。
◎霍乱の熱渇を治す。
加減薷苓湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》
「猪苓・沢瀉・香薷・乾葛各7分、赤茯苓1銭、括楼根2銭、白朮・黄連各5 分、甘草3分、生姜」水煎。
◎霍乱、身熱口渇を治す。
◎熱極まれば:「石膏知母」
◎泄極まれば:「升麻滑石」
◎腹痛には:「芍薬(炒)肉桂」
加減潤燥湯[1-1]《万病回春》
「天南星(姜)、半夏・白朮・茯苓・天麻各1銭、防風・桃仁各6分、紅花(酒)4 分、黄芩(酒)8分、薄桂6分、白芍薬(酒)2銭、黄柏(酒)3分、酸棗仁(炒)8 分、甘草(炙)4分、川芎1銭、陳皮(塩水)8分、水煎し、服するに臨み、 竹瀝、姜汁少しばかりを入れる。
◎中風にて左半身不随、手足、及び語言に力を費やし、呵欠(あくび)、噴嚔 (フンテイ=くしゃみ)、面目口眼斜、寛弛、頭目眩暈、痰火熾盛、筋骨時に痛み、 頭痛、心悸するを治す。これ血虚と死血に属するなり。
【加減方】
<1>手の不随には・・・黄芩、薄桂を倍加する。
<2>足の不随には・・・竹瀝、牛膝を倍加する。
加減潤燥湯[1-2]《東醫寶鑑》
「白芍(酒炒)2銭、当帰1銭2分、川芎・白茯苓・白朮・天南星・半夏・ 天麻各1銭、生地黄(酒炒)・熟地黄(姜汁炒)・陳皮(塩水洗)・牛膝(酒 洗)・黄芩(酒炒)・酸棗仁(炒)各8分、桃仁・羗活・防風・薄桂各6分、 紅花(酒洗)・炙甘草各4分・黄柏(酒炒)3分を剉作2貼して、水で煎じ 姜汁・竹瀝を少し入れ調服する。」
◎左半身の不随。
加減正気散[1]《東醫寶鑑》
「蒼朮2銭、藿香・厚朴・陳皮・縮砂(研)・香附子・半夏・甘草各1銭を剉 作1貼して、姜3、棗2、灯心草1団を入れて煎服。
◎初めて行った地方で、水が合わず霍乱になって吐き、下痢する者。
加減正気散[2]《中薬臨床応用》
「大腹皮9g、厚朴6g、茯苓皮9g、神麹9g、麦芽112g、陳皮6g、茵蔯蒿12g」 水煎服。
◎慢性肝炎
◎消化不良
◎上腹部が脹って苦しい
◎大便がすっきり出ない
加減正気散[3]《万病回春》《古今方彙》
「藿香・厚朴・陳皮・砂仁・香附子・半夏・甘草・蒼朮各等分、生姜、大棗、 燈心草」水煎温服。
◎異郷にある人初めて他方に至り、水土を服せず(土地変わり水変わりて)或いは 吐し、或いは瀉し胸腹飽悶し、或いは腫脹して吐瀉せざる者は此方に宜し。
◎瀉すれば:「白朮山薬烏梅炒米」
◎嘔吐:「白朮山薬烏梅炒米」
◎腹痛すれば:「木香小茴香」
◎飽悶には:「益智仁大腹皮」
◎発腫気喘:「紫蘇子桑白皮木通猪苓大腹皮木香甘草」
◎小水短赤:「木通猪苓山梔子車前子半夏甘草」
◎胸腹脹飽或いは四肢浮腫し、吐瀉せざる者:「蘿葡子枳殻大腹皮木通半夏 甘草」
◎内熱にて煩渇する:「乾葛黄連山梔子烏梅半夏甘草」
◎内熱、手足冷え、脈沈細:「乾姜官桂」
加減逍遥散[1]《世医得効方》《古今方彙》
「当帰・芍薬・白朮・茯苓・柴胡・生地黄・遠志各中、蘇木・紅花・桃仁各 大、甘草少、姜」水煎。
◎婦人癲疾にて歌唱時無く、上屋の踰墻(踰=ユ、超えるのぼる)(墻=ショウ、かき) する者を治す。乃ち栄血が心胞に迷い致す所なり。
加減逍遥散[2]《寿世保元》《東醫寶鑑》
「逍遥散胡黄連・麦門冬・地骨皮・黄芩・秦艽・木通・車前子を等分」に 剉作して、灯心一握りを入れ煎服。
◎子(ね)・午(うま)の潮熱を治す。
加減逍遥散[3]《寿世保元》《勿誤薬室方函口訣》
「当帰、芍薬、白朮、柴胡、茯苓、胡黄連、麦門冬、甘草、黄芩、秦艽、木 通、地骨皮、車前子」
◎子午潮熱ある者。
◎婦人血熱、時を期して発する者、奇効あり。《高階枳園》
◎此方は婦人血熱固着して骨蒸状に似たる者効あり。なかんずく小便不利或いは 淋瀝する者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
加減逍遥散[4]《寿世保元》《龍野ー漢方処方集》
「牡丹皮・白朮各4.0g、当帰・芍薬・桃仁・貝母各3.0g、山梔子・黄芩各2.0g、 桔梗・青皮各1.5g、甘草1.0g」
◎熱性の吐血喀血。
加減小柴胡湯[1]《東醫寶鑑》
「小柴胡湯香附子・黄連・前胡」水煎服。
◎手のひら、足の裏に、熱があってたまらない症。
加減小柴胡湯[2]《万病回春》《古今方彙》
「柴胡・黄芩・山梔子・柿蔕・陳皮・砂仁・半夏・竹茹各1銭、藿香8分、 茴香5分、沈香(磨)・木香(磨)・甘草各3分、烏梅1個、生姜」水煎温服。
◎身熱し、煩渇してを発するを治す。
加減除湿湯《万病回春》《古今方彙》
「人参8分、当帰1銭、白朮1銭2分、茯苓・陳皮・半夏各1銭、桔梗・防 風各8分、枳殻・蒼朮各1銭、川芎・白9分、烏薬・羗活・赤芍薬・黄 連(酒)・黄芩(酒)各1銭、甘草5分、生姜、水煎温服。
◎中風にて右半身不随、手足及び筋骨疼痛するを治す。
◎これ気虚と湿痰に属するなり。
【加減方】
<1>身痛には・・・・欝金。
<2>脚痛には・・・・牛膝・防已・威霊仙。
加減茹苓湯《寿世保元》《古今方彙》
「猪苓・沢瀉・香薷・乾葛各7分、赤茯苓1銭、白朮・黄連・甘草各5分、 括楼根2銭、生姜」水煎。
◎夏秋の月に霍乱、吐瀉、身熱口渇するを治す。
◎熱極まるには:「石膏知母」
◎瀉極まるには:「升麻」
◎腹痛には:「芍薬肉桂」(寒痛:朮)
加減腎気丸《東醫寶鑑》
「熟地黄2両、牡丹皮・白茯苓・山茱萸・五味子・沢瀉・鹿茸・山薬各1両、 肉桂・沈香各5銭」作末し、蜜で梧子大の丸剤。空腹時に塩湯で70~80 丸呑む。
◎腎消で口が燥し、煩渇して、両足が痩せる。
加減清脾湯《東醫寶鑑》
「小柴胡湯人参養栄湯」
◎寒が多く熱少ない:養栄湯を多く使い。熱が多く寒少ない:小柴胡湯を多く使 う。毎貼に姜3・棗2・桃枝2寸・柳枝2寸を入れ、空腹時に水煎服。
◎すべての瘧を治す。
加減続命湯《傷寒六書》《古今方彙》
「防風・芍薬・白朮・川芎・防已・桂枝・麻黄・甘草・蒼朮・羗活・生姜・ 大棗・燈心草」水煎。
◎脚気、傷寒に類し、頭疼・身熱・悪寒・肢節痛み、便閉、嘔逆、脚軟屈し、転 動する能わず、ただ脚膝にて起つのみ。補剤及び淋洗を用うるを禁ず。この湯 に宜し。
【加減方】
<1>寒中三陽が冷え、脉遅・・・・附子。
<2>湿が原因、脉弱・・・・・・・牛膝・木瓜。
<3>風が原因、脉浮・・・・・・・独活。
<4>元気を虚する・・・・・・・・人参。
<5>大便実・・・・・・・・・・・大黄。
加減冲和湯《古今方彙》
「羗活、防風、白朮、川芎、白、黄芩、生地黄、細辛、甘草、黄蓍、生姜、 葱白」水煎。
◎春夏秋、感冒時に非らざるに寒に暴れ又頭疼悪寒身熱、脈浮緩、自汗あるを治 す。
加減駐景丸[1]《和剤局方》《中薬臨床応用》
「車前子60g、当帰15g、熟地黄15g、五味子30g、枸杞子30g、楮実子30g、 蜀椒30g、兎絲子240g」細末を蜜で小豆大の丸剤。毎回30丸、空腹時に 塩湯で服用。
◎老人性白内障。
加減駐景丸[2]《易簡方論》
「枸杞子 五味子 車前子 楮実子 蜀椒 熟地黄 当帰 兎絲子」
加減駐景元《東醫寶鑑》
「兎絲子8両、枸杞子・五味子・車前子・楮実子・川椒(炒)各1両、熟地 黄・当帰身各5銭」蜜で梧子大の丸剤。空腹時に温酒、又は塩湯で50~70 丸服用。
◎肝腎ともに弱く、目に黒花・視界が暗い・障が出来る者。
加減調中湯《医学入門》《古今方彙》
「白芍薬、茯苓、白朮、麦門冬、生地黄、陳皮、桔梗、烏梅、甘草」水煎、 温服。
◎冬温かく及び春暴かに煖飼う、煩躁し、眠食安からず、
◎或いは脱して傷風に状をなさんと欲する者を治す。
◎体盛んなれば:黄芩。
◎痰あれば:貝母。
加減鎮心丹《東醫寶鑑》
「天門冬・黄蓍(蜜炙)・当帰身(酒炙)・熟地黄各1両半、麦門冬・生乾地黄 ・白茯神・山薬各1両、五味子・遠志(姜汁製)・人参各5銭」作末し、緑 豆大の蜜丸。朱砂で衣をつけ温酒又は米飯で50~70丸服用。
◎気血の不足、心神の虚損を治す。
加減珍珠粉丸《東醫寶鑑》
「黄柏(半生半炒)・蛤粉各3両、滑石2両、樗根白皮1両、青黛・乾姜(炒 褐色)各5銭、炒神麹糊で梧子大に丸め、空腹時に温酒で70~100丸呑む。 黄柏は陰火を降ろし、湿熱を除し、蛤粉は補腎、滑石は利竅し、樗根白皮 は湿熱を乾かし、青黛は鬱を解かして火を降ろし、乾姜は肺気を収め下降 させ、陰血を治す塩を少し黒くなるまで炒って使う。
◎赤・白濁と白淫を治す。
加減天麻湯《万病回春》《古今方彙》
「半夏8分、白朮7分、川芎7分、黄蓍・人参・甘草・蒼朮各3分、生姜、 大棗」水煎し食遠に服す。
加減当帰補血湯《万病回春》《古今方彙》
「当帰・生地黄・熟地黄・芍薬各3銭、人参5分、白朮・茯苓・山梔子・麦 門冬・陳皮各8分、烏梅1個、炒米100粒、甘草3分、大棗肉」水煎し、 辰砂(研末)を入れ温服。
◎心中血少なく、而してする者を治す。
加減導痰湯[1-1]《万病回春》《松田ー回春解説》
「人参(去蘆)・陶器(酒洗)・木香各5分、肝臓3分、南星・陳皮(去白)・枳 実(麩炒)・桔梗(去蘆)・黄連(姜汁炒)・黄芩(去朽)・白茯苓(去皮)・瓜蔞 仁(去殻)・半夏(1味、牙皀・白礬・生姜の煎湯を用い、浸し透し、炒り 乾燥)・白朮(去蘆)各1銭」
◎中風、痰喘壅盛、言語すること能わず、牙関緊急、熱ある者を治す。
加減導痰湯[1-2]《万病回春》《古今方彙》
「人参・当帰各5分、白朮1銭、茯苓・陳皮・天南星・枳実・半夏各1銭、 木香5分、括蔞仁・黄芩・黄連(姜炒)各1銭、甘草3分。生姜、水煎、服 するに臨み、竹瀝・姜汁を入れ同服す・
◎中風にて痰涎壅盛し、言語する能わず、牙関緊急し熱ある者を治す。
加減導痰湯[2]《東醫寶鑑》
「天南星・半夏を皀角・明礬・生姜の煎じ湯に浸して炒って乾かし、白茯苓 ・陳皮・白朮・桔梗・枳穀各1銭、黄連・黄芩・瓜蔞仁・人参・当帰・木 香各5分、甘草3分を剉作1貼して生姜3・大棗2を入れた水で煎じ、竹 瀝・姜汁を入れ調服する。」
◎中風で痰が多く、言葉が出ず、熱のある症。
加減内固丸《東醫寶鑑》
「巴戟・肉蓉・山茱萸・兎絲子各3両、破故紙2両半、石斛・胡蘆巴各2 両、茴香1両、附子5銭」を作末し、梧子大の蜜丸。温酒又は塩湯で50 ~70丸呑む。
◎命門の火が衰え、腎が冷たく、陰痿して立たない者。
加減二陳湯[1]《寿世保元》《古今方彙》
「陳皮・茯苓・枳実・黄芩各1銭、半夏1銭半、香附子(便)1銭、貝母1銭 半、白朮1銭2分、括楼根7分、防風5分、連翹5分、甘草3分、生姜」 水煎。
◎痰は湿に属す。乃ち津液の化す所、風寒湿熱に感ずるに因り或いは七情が飲食 に傷るる所気逆を致すを以て液は濁変し、痰厥と為る。故に痰は火動降火に因 り先ず火と為る。気逆に因り気を順らすを要となす。
加減二陳湯[2]《万病回春》《古今方彙》
「茯苓・陳皮・羗活・防風・人参・当帰・白朮・枳実・天南星・川芎・括楼 仁・桔梗各等分、甘草少し」水煎し、竹瀝・姜汁入れる。
◎眩暈して倒れる者を治す。これ風痰なり。
加減二陳湯[3]《東醫寶鑑》
「橘紅を塩水で浸して焙ったもの1銭2分、枳実・黄芩(炒)各1銭、白朮 ・貝母(炒)・香附子各9分、白茯苓・天花粉の塩水で炒めたもの各7分、 防風・連翹各5分、甘草3分」煎服。
◎老痰・燥痰・熱痰。
加減人参白虎湯《万病回春》《古今方彙》
「人参5分、甘草3分、白朮・陳皮各7分、石膏・知母各1銭半、茯苓・芍 薬・香薷・梔子・麦門冬各1銭、白扁豆8個、蓮肉10個、烏梅1個」水 煎。
◎熱極まりて所謂温経湯便遺尿して止まざるには:「黄柏(炒)」
◎煩躁する:「辰砂酸棗仁」
◎腹痛嘔、吐瀉飽悶する:石膏を使わないこと。
加減寧神湯《東醫寶鑑》
「生乾地黄1両半、当帰・白芍・白茯神・麦門冬・陳皮・貝母(炒)各1両、 遠志(姜製)・川芎各7銭、酸棗仁(炒)・黄連・甘草各5銭を作末し、緑 豆大の蜜丸。朱砂で衣をし、棗湯で50~70丸服用。
◎心血不足・驚悸・怔忡・健忘・恍惚・一切の痰火。
加減敗毒散《寿世保元》《古今方彙》
「防風、荊芥、羗活、独活、前胡、升麻、乾葛、赤芍薬、桔梗、川芎、白、 薄荷、牛蒡子、甘草、柴胡、生姜、葱白」煎服し、汗を出す。
◎衆人、一般に天行時疫を病む。その症は顔面腫大し、咽喉不利、舌乾口燥、憎 寒憎熱、時気流れ伝わり、四時の瘟疫を問わず通して此方を用いる。
加減排風湯《東醫寶鑑》
「天麻2銭、蒼朮1銭、防風・川芎・羗活・独活各8分、麻黄7分、白鮮皮 ・当帰・白芍・白朮・半夏・赤茯苓・黄芩・杏仁・甘草各4分を剉作1貼 して生姜3片を入れて、水煎服。」
◎五臓の風を通治する。
加減薄荷煎元《東醫寶鑑》
「薄荷葉8両、防風・川芎・白豆蔲各1両、縮砂・甘草各5銭、竜脳5分、 桔梗2両」を作末し、蜜にまぜ1両を30丸につくって、毎回1丸をい つも口に含んで徐々に飲み下す。
◎風熱と咽喉腫痛。
加減白通湯《東醫寶鑑》
「炮附子2銭、乾姜(炮)・肉桂・草豆蔲()・半夏・人参・白朮・炙甘草各1 銭を剉作1貼して生姜5片、葱白5茎を入れ水煎服。
◎沈寒痼冷・臍腹冷痛・大便自利・足脛の寒逆の症。
加減白虎湯《東醫寶鑑》
「石膏2銭半、知母1銭、人参・黄柏各7分、玄参・甘草各5分、五味子10 粒」剉作1貼し、粳米100粒を入れ水煎服。
◎消渇。良く食べながら渇く。
加減白朮散《東醫寶鑑》
「乾葛2銭、人参・白朮・白茯苓各1銭、木香・知母・黄柏・甘草各5分、 五味子9粒」水煎服。
◎消渇。食べられずに渇く。
加減八珍湯《済世全書》《古今方彙》
「人参・陳皮各8分、白朮・芍薬各1銭半、茯苓・冬季・半夏・神麹・沢瀉 ・阿膠各1銭、黄連(酒炒)2銭、砂仁・防風各7分、甘草(炙)5分、川芎6 分、生姜」水煎。
◎食積痢あるいは時に赤痢し或いはときに水瀉し或いは完穀倶に出る者を治す。
加減八味丸《東醫寶鑑》
「熟地黄2両、山薬(少炒)・山茱萸各1両、沢瀉(酒蒸)・牡丹皮・白茯苓各8 銭、五味子(炒)1両半、肉桂5銭、を作末して、梧子大の蜜丸。早朝 と就寝前に、塩湯または温酒で50~70丸服用。
◎腎水を治す。
加減八味丸料車前子・牛膝《薛立斎十六種》《古今方彙》
「六味丸五味子・肉桂」
◎老人陰痿にて色を思いて精出でず、而して内敗れ、小便道渋痛して淋の如く、 或いは大小便道牽痛し、痛むと便意起こり、便せんと欲すれば痛む者を治す。 応ぜざれば急いで附子を加える。
加減八味元《東醫寶鑑》
「
◎強中症。
加減八物湯《万病回春》《古今方彙》
「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・生地黄・人参・白朮・茯苓・山薬・杜仲(酒 炒)・香附子各等分、甘草半減、烏梅1個、生姜、大棗」水煎。
◎赤白帯下にて気血の虚に属する者を治す。
◎肥人には:「半夏」
◎痩人には;「黄柏」
◎飽悶には:「砂仁人参」
◎腹痛には:「小茴香延胡索人参」
◎冬季には:乾姜()を使う。
加減撥雲散《東醫寶鑑》
「羗活2両2銭半、甘菊1両9銭、木賊・白各1両1銭半、防風・柴胡 ・蒼朮・枳穀・川芎・甘草各1両1銭、荊芥・薄荷各1両、蝉退7銭半、 石決明(製)・密蒙花各4銭」を作末し、毎回2銭を薄荷湯で食後服用。
◎諸般の眼病。
加減不換金正気散《寿世保元》《古今方彙》
「蒼朮、陳皮、厚朴、藿香、半夏、枳実、白朮、茯苓、黄連(姜汁炒)、白豆 蔲、甘草(生)、生姜」水煎温服。
◎噎食(物を食べた後にゲップに連れて食が出てくること)を治す。
◎転食(食べた物のそのまま口中へ転び出ること)を治す。
加減復脈湯《温病条弁》
「甘草(炙)、生地黄、白芍薬、麦門冬、阿膠、麻子仁」
加減茯苓丸《東醫寶鑑》
「半夏3両を、白礬・皀角・生姜各1両の煎じ湯で、7日間浸し、陳皮(塩 水炒)・白芍(酒炒)・黄蓍(塩水炒)各2両、白茯苓1両半、朴硝1両半、 海桐皮(酒洗)・姜黄・木瓜各1両、薄桂・甘草各5銭」を作末し、姜汁 竹瀝汁で梧子大の丸剤。白湯で100丸飲む。
◎湿痰がたまって経絡に通らず、両腕の痛むとき。
加減茯苓半夏湯《万病回春》《古今方彙》
「藿香8分、小茴香7分、丁香・官桂・砂仁各5分、沈香・木香・甘草各3 分、陳皮・柿蔕・茯苓・半夏・乾姜(炒)・厚朴各1銭、生姜」水煎。沈香 ・木香は磨し、同服す。
◎水寒が胃に停り、を発するを治す。
加減平胃散《東醫寶鑑》
「白朮・厚朴・陳皮・各1銭2分、桃仁・人参・黄連・阿膠・赤茯苓・各7 分、甘草9、木香・檳榔各5分、生姜3、大棗2片」水煎服。空腹時に服 用。
◎脾胃が弱り、血が四肢に流れず、胃に入って血痢となった者。
加減補陰丸《東醫寶鑑》
「熟地黄8両、兎絲子・牛膝各4両、白芍・当帰・鎖陽・亀板各3両、虎骨 ・黄柏・山薬・杜仲・人参・黄蓍各2両、破故紙・枸杞子各1両半を作末 し、猪の脊髄に蜜を入れて丸を作り、塩湯で100丸呑む。」
◎陰虚を治す。
◎陰を補い、陽を扶ける。
加減補心湯[1-1]
「陳皮・白茯苓・当帰・白芍・生地黄・遠志(製)・麦門冬・酸棗仁(炒)・知 母と知母の酒で炒ったもの各5銭、人参・白朮・石菖蒲・甘草各3銭」水 煎服。
◎すべての虚症と健忘。
加減補心湯[1-2]《寿世保元》《古今方彙》
「人参、白朮、茯苓、陳皮、冬季、生地黄、白芍薬(酒炒)、遠志、菖蒲根、 麦門冬、酸棗仁、知母、黄柏(酒炒)、甘草、生姜、大棗」水煎。
◎諸虚にて健忘、及び驚悸、怔忡等の症を治す。
加減補中益気湯[1]《寿世保元》《古今方彙》
「黄蓍・白朮各1銭半、仁治・茯苓・当帰各1銭、陳皮・半夏・厚朴各7分、 柴胡・山楂子・枳実各5分、甘草4分、生姜、大棗」水煎。
◎五積、六聚、七癥、八、或いは左、或いは右、或いは上、或いは下、或いは 腹中に特にあり、攻めれば疼痛し、諸医は誤りて攻撃大過を持って治し、以て 面黄、肌痩、四肢困倦を致し、飲食を思わざる等の症を治す。
加減補中益気湯[2]《寿世保元》《古今方彙》
「補中益気湯柴胡白芍薬、沢瀉、木香、砂仁、白豆蔲、地楡、御米殻(醋 炒)」(御米殻=ケシの実の外殻)
◎下利にて赤白膿血相雑じり、腹痛、裏急後重、昼夜度無く、日久しく癒えずし て起床する能わず、飲食を思わず疲倦甚だしく、
◎或いは寒涼峻剤を服するの過ぎたる者を治す。
加減保和丸《東醫寶鑑》
「白朮2両半、山楂肉・香附子・厚朴・神麹・半夏・茯苓各1両半、陳皮・ 連翹・蘿葡子・黄芩・黄連各1両、蒼朮・枳実各5銭]を作末し、姜汁糊 で梧子大の丸剤。毎回70~80丸を茶湯で服用。」
◎消食・化痰・脾胃気を保つ。
加減木香散《東醫寶鑑》
「木香・良姜・升麻・檳榔・人参・白朮各2銭半、神麹(炒)2銭、肉豆蔲() ・呉茱萸(湯洗)・乾姜(炮)・陳皮・縮砂各5分」を粗末にし、空腹時に、 毎回5銭を水煎服。
◎腸風泄・水穀痢を治す。
加減抑肝散《和田東郭》
「抑肝散川芎半夏・梔子・黄連・莎草」
加減理中湯[1]《東醫寶鑑》
「人参・白朮・赤茯苓・乾姜(炮)・陳皮・丁香・半夏・縮砂(研)・桂皮各1 銭を剉作し、1貼に姜3片・烏梅1個を入れ煎服。
◎胃が寒冷、清水と冷涎を嘔吐し、脈沈遅。
加減理中湯[2]《万病回春》《古今方彙》
「藿香・蒼朮・厚朴・砂仁・香附子・木香・枳殻・陳皮各1銭、甘草・乾姜 ・肉桂各分、生姜」水煎。
◎乾霍乱、心腹胞脹絞痛し、吐せず、瀉せず、脈沈にして絶せんと欲するを治す。
◎仲景の「四味理中湯」及び「附子理中湯」「姜附湯」「四逆湯」「備急円」類、 乾霍乱を治す急卒の捷方なり。
◎夏月、乾霍乱にて吐瀉せず胸腹絞痛、煩渇自汗するには生姜、肉桂を用いるべ からず。
◎心腹絞痛、面唇青く手足冷え、脈は伏し絶せんと欲する:「附子茴香蒼朮」
◎心腹飽悶、硬痛結実の者;「檳榔子枳実山楂子括楼仁蘿葡子甘草枳殻蒼朮」
◎胃寒にて嘔発するには;「附子藿香蒼朮」
加減六合湯《万病回春》《古今方彙》
「当帰・白朮・椿根(酒炒)・熟地黄各1銭、橘紅(塩水洗)・白芍薬各8分、 川芎(塩水浸)・茯苓・知母(酒炒)各6分、黄柏(酒炒)・貝母(糯米拌炒)・ 半夏各7分、甘草(炙)4分、生姜」水煎。
◎上は痰火あり、下は白帯、腹痛在る者を治す。
◎痰火盛んなれば:「黄芩」
加減六君子湯《寿世保元》《古今方彙》
「人参・白朮・茯苓・砂仁・黄蓍各1銭、山薬2銭、甘草5分、大棗」水煎。
◎脾疳(結核性腹膜炎にて体が痩せて腹部のみ膨大せり状態)を治す。
◎泄瀉、痢疾にて気虚に属する者を治す。
◎腹痛には:「乾姜(炒黒)、木香、烏梅」
加減竜薈丸《東醫寶鑑》
「草竜胆(酒洗)・当帰(酒洗)・山梔子(炒)・黄芩・青皮各1両、大黄(酒蒸) ・青黛・柴胡各5銭、蘆薈・牛胆・天南星各3銭、木香2銭半、麝香5分」 を作末し、神麹に蜜で緑豆大の丸剤。姜湯で1日3回20丸づつ呑み、 再び鍼砂酒で気を通させる。
◎痰火による耳鳴り。
加減竜虎散《東醫寶鑑》
「虎脛骨3両、没薬5銭」作末し毎回2銭を温酒で調下する。
◎白虎歴節風が昼夜止まない者を治す。
加減凉膈散[1-1]《万病回春》
「大黄・黄芩・桔梗・石膏・薄荷・連翹・山梔子・甘草」に「桔梗・防風・ 菊花・木通・車前子」を加える。
◎此方は凉膈散よりは用い易く、口舌を治するのみならず諸病に活用すべし。《勿 誤薬室方函口訣》
◎古人凉膈散を調胃承気湯の変方とすれども、その方意は膈熱を主として瀉心湯 諸類に近し。故に凉膈散の一等劇しき処へ三黄加芒硝湯を用いるなり。《勿誤 薬室方函口訣》
◎三焦火盛んに、口舌瘡を生じる者。
◎口内炎、舌炎《龍野ー漢方処方集》
加減凉膈散[1-2]《万病回春》《古今方彙》
「連翹、黄芩、山梔子、桔梗、黄連、薄荷、当帰、枳殻、芍薬、生地黄、甘 草」各等分、水煎し食遠に服用。
◎三焦の火盛んににて口舌に瘡を生じるを治す。
加減凉膈散[1-3]《漢方治療の実際》
「連翹・黄芩・梔子・桔梗各3、黄連・薄荷各1、当帰・芍薬・地黄各4、 甘草・枳実各1.5」
◎凉膈散《和剤局方》の大黄・芒硝を去って黄連・当帰・枳殻・芍薬・地黄を際 得たものであるから、その応用の目標は似ている。ただ、《和剤局方》の凉膈 散は《万病回春》の加減凉膈散より実証で、便秘している者を目標にして用い る《大塚敬節》
加減凉膈散[1-4]《万病回春》
★適応症及び病名
[1]口内炎:
☆口内炎で炎症がひどくて、疼痛の激しい者には:「山豆根3.0」を用 いる。呑むにくくなるが良く効く《大塚敬節》
☆50歳女性。5日前より突然、口内が荒れて、食事が出来ず、物を言 うにも、涙がこぼれるほど痛くなった。近所の医師は、含嗽薬をくれ たが、口に含むとひどくしみて1回で止めてしまったという。体温を 測ると37、8℃。口腔粘膜から舌にかけて、赤くただれ、所々に潰 瘍がある。顎下リンパ腺が腫れている。次男の結婚式があと5日に迫 っているのに、こんなことでは困るから、至急治してほしいという。 私はこれに加減凉膈散山豆根を与えたが、3日の服薬で大半は治し、 無事に結婚式に臨むことが出来た。
[2]鼻疾患:
☆鼻紅白:「加減凉膈散葛根・石膏・白・竹葉」
[3麻疹:
☆麻毒内攻劇しき者を治す。紫円を兼服する。
☆発疹その形蚊跡の如く、熱甚だしき者:「凉膈散石膏」を服すれば 表裏双解して余毒のうれいなし。
☆疹すでに発して失音する者《麻疹心得続録》
加減凉膈散(一名桔梗湯)《東醫寶鑑》
◎六経の熱をさまし、又熱の上焦にある症を治す。
加減羚羊角散《雑病証治新義》
「羚羊角・天麻・釣籐鈎・竜胆草・桑寄生・川牛膝・鶏血藤・白彊蚕<蜈蚣< 焼いて粉にする>・全蠍<焼いて粉にする>」煎剤をつくり、それに羚羊水 磨液・蜈蚣末・全蠍末を加えて服用。
加減六欝湯《万病回春》《古今方彙》
「紫蘇葉茎・枳殻・貝母・川芎・陳皮・連翹・山梔子・神麹・蒼朮・茯苓・ 甘草・香附子(便炒)各1銭」水煎。
◎諸欝を解し、火を清し痰を化し気を順らし胸膈を開くなり。
◎血欝には:「桃仁紅花」
◎湿には:「白朮羗活」
◎気には:「木香檳榔子」
◎食積には:「山楂子砂仁」
加剤除湿湯《東醫寶鑑》
「赤茯苓・乾姜各2銭、蒼朮・白朮・甘草各1銭、橘紅・桂皮・厚朴各5分、 を剉作1貼し、生姜3・大棗2を入れ、水煎服。」
◎湿にあたって身重・腰痛・四肢の冷え・嘔吐・下痢する者。
加味遺糧湯《済世外科経験》
「捜風解毒湯《本草綱目》」に同じ。
加味遺糧湯《外科正宗》《古今方彙》
「川芎・当帰・防風・苡仁・木瓜・金銀花・木通・白鮮皮・蒼朮・威霊仙 各1銭、甘草5分、皀角刺5個、仙糧(山帰来)1両」水煎。
◎楊梅瘡の初起に筋骨疼痛し、及び已に成りて数月延綿として已まず、并びに楊 梅風毒に誤りて軽粉を服しにて骨疼みて動履する能わざるを治す。
◎瘡久しく気虚する者:「人参」
◎腿脚の下には:「牛膝」
加味胃苓湯《嬰童類萃》《龍野ー漢方処方集》
「白朮・猪苓・沢瀉・蒼朮各3.0g、香附子・茯苓各6.0g、厚朴・橘皮各2.5g、 木香・蘇葉・干姜各1.5g」
◎一切の水腫脹満を治す。証に随い加減功効神の如し。
◎此方は水穀不化より来る水気を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎傷寒差後に用いることあり。
◎痢後風には別して効あり。
◎浮腫、腹水。
★適応症及び病名
脚気
心臓病
腎臓炎
肝臓病
結核性腹膜炎
加味茵蔯五苓散《寿世保元》《古今方彙》
「茵蔯、白朮、茯苓、猪苓、沢瀉、蒼朮、山梔子、滑石、肉桂、甘草、燈心 草」水煎温服。
◎黄疸は専ら湿熱に属す。
加味烏荊元《東醫寶鑑》
「川烏(湯で3~5回洗焙)・荊芥穂各4両、薄荷2両半、当帰(洗浸3日焙 乾)8両」作末し、錯で煮て、糊で梧子大の丸剤。温酒で50~70丸呑む。
◎疹が頭面に出来て赤く腫れてかゆく、瘡となって皮がむける。
加味烏薬湯《女科準縄》
「烏薬・縮砂仁・木香・延胡索各40g、香附子80g(毛を除く)、甘草60g、 生姜3片 煎服」
加味温胆湯[1-1]《東醫寶鑑》
「香附子2銭4分、橘紅1銭2分、半夏・枳実・竹茹各8分、人参・白茯苓 ・柴胡・麦門冬・桔梗各6分 、甘草4分、生姜3、大棗2」煎服。
◎驚悸。痰涎が気と相まって病症を起こす者。
◎心と胆が事物にふれると良く驚き、痰涎が気と相まって病症を起こす時に使う。
加味温胆湯[2-1]《東醫寶鑑》
「半夏3銭半、陳皮2銭2分、竹茹・枳実各1銭半、酸棗仁(炒)・遠志・五 味子・人参・熟地黄・白茯苓・甘草各1銭、生姜5、大棗2」水煎服。
◎心胆が怯え、驚きやすく、夢寝が安らかでない。
加味温胆湯[2-2]《万病回春》《古今方彙》
「酸棗仁・遠志・熟地黄・人参・五味子各1銭、半夏3銭5分、枳実・竹茹 各1銭半、陳皮2銭2分、茯苓・甘草各1銭1分、生姜、大棗」水煎。
◎病後虚煩し、臥するを得ず及び心胆虚怯、事に触れて驚き易く、痰気悸乏する を治す。
◎凡そ虚煩する者は心胸煩擾し而して寧からざるなり。
加味温胆湯[2-3]《万病回春》《松田邦男ー解説》
「半夏(泡7次)3銭半、陳皮2銭2分、竹茹・枳実(麩炒)各1銭半、酸棗仁 (炒)・遠志(去心)・五味子・熟地黄・人参各1銭、茯苓・甘草各1銭1分」 剉作1剤、姜棗にて煎服。
◎病後に虚煩し、臥すことを得ず、及び心胆虚怯、事に触れて驚きやすく、短気、 悸乏する者を治す。
加味温胆湯[2-4]《漢方治療の実際》
「温胆湯酸棗仁5、黄連1.5」
★適応症及び病名
[1]胃下垂
[2]息切れ
[3]ウツ病(鬱病)
[4]驚悸
[5]恐怖
[6]健忘症
[7]上腹部振水音
[8]心悸亢進
[9]心下痞 <心下の痞塞感>
認知症(アルツハイマー型)
「有用・・・遠志が重要な役割」(北里大学・北里生命科学研究所の山田陽城教授)
[10]ノイローゼ
[11]疲労倦怠
[12]不安感(オドオドしている)
[13]不眠症:
☆ストレスで不眠・・・黄連《衆方規矩》
☆大病後、疲れて眠れない者に用いる。神経過敏になり、些細なことに 驚き、安眠を得ず、時に気鬱の状となり、或いは息切れがしたり、食 が進まないものがある。
私はこれに酸棗仁5.0、黄連1.0を加えて加味温胆湯として用いる ことにしている。
又、遠志2.0、玄参2.0、人参2.0、地黄3.0、酸棗仁3.0を加えた加 味温胆湯もある。《大塚敬節》
☆箕輪亀山老候は、歳0余。かって、御奏者番を勤めている時、営中で 眩冒(頭に何かかぶさっているようで、めまいがする)を訴えた。こ の眩冒は辞職の後も治らず、心下に動悸があり、夜間安眠する事が出 来ない。その上、時々めまいがして卒倒しそうになる。
辻元為春院がこれを数年治療したが、効がないのですててあるとい う。余はこれに《備急千金要方》の温胆湯黄連酸棗仁を与えた。眩 冒の時は小烏沈散(烏薬・人参・沈香・甘草)を服せしめた。すると、 数10日たって、夜は快眠出来るようになり、多年の持病を忘れ、亀 山に移住した。《橘窓書影》
☆四谷荒木町の角、油舗、三河屋長九郎という者は、気分が沈んで鬱々 として楽しまず、心下が虚痞し、飲食が進まない。その上終夜眠られ ないので、ひどく痩せ、衆医の治を経て寸効がないという。
余はこれに《備急千金要方》の温胆湯黄連酸棗仁を与えたところ、 睡眠がとれるようになった。ただ気分が欝塞してのびないので、加味 寧癇湯を与え、全快した。《橘窓書影》
☆56歳、主婦。
1人息子を亡くしてから、ひどい不眠症になり、いったん睡眠剤を使って治ったことがあるが、フトしたおりに再発してからは、なかなか前のように治らない。いつもこめかみあたりがシビレた感じで、食事も1日2回、極少量ずつしか食べたくないという。
漢方医が診てみると、いわゆる反応性抑鬱という神経病の1つで、体も胃下垂の傾向があった。加味温胆湯を飲み始めたところ、気分が良くなり、食欲も徐々に出始めるとともに、あれほど頑固な不安不眠も2ヶ月足らずで、治ってしまった。《山田光胤》
[14]浮腫:<四肢の浮腫>
[15]慢性胃炎
[16]夢をよく見る(多夢)
加味温胆湯[3-1]《万病回春》《古今方彙》
「人参・白朮・茯神・生地黄・酸棗仁・麦門冬・半夏・黄連・枳実・竹茹・ 山梔子各等分、甘草3分、辰砂5分(服するに臨み研末)、生姜、大棗、烏 梅、竹瀝」水煎。
◎驚悸にて痰火に属し、而して気虚を兼ねて驚不眠する者を治す。
加味益気湯《東醫寶鑑》
「羗活1銭半、人参・黄蓍・防風・柴胡各1銭、白朮・陳皮・当帰各7分、 甘草5分、升麻・黄柏(酒炒)各3分を剉作1貼して生姜3片を入れ、水 煎服。熱がひどいときは、黄芩(酒炒)3分を加える。」
◎疲労して(傷寒を)外感。
加味益気湯《寿世保元》《古今方彙》
「黄蓍1銭半、人参・当帰・茵蔯・蒼朮・山梔子・猪苓・沢瀉・黄連・赤茯 苓・滑石各1銭、白朮2銭、陳皮8分、柴胡・升麻各5分、甘草(炙)4分、 生姜」水煎服用。16味を以て丸となし、「蒼朮・白朮・茵・黄柏各2 両」を加えて丸となし、相兼ねて之を進む。
◎五疸にて病延びて日久しく、医誤りて寒涼を以て之を過り、元気と脾胃を損傷 し致すを以て身体黒く痩せ、四肢困沈、憎寒発熱し、飲食を思わざる等の症を 治す。
加味益気湯《万病回春》《古今方彙》
「黄蓍・人参・白朮・陳皮・当帰各1銭、升麻・柴胡・木香各5分、香附子 ・青皮・川芎核8分、桂枝(少許)、甘草3分、生姜、大棗」水煎。
◎麻は是れ渾身の気虚なり、此方、之を主る。
加味益気湯《済世全書》《古今方彙》
「補中益気湯黄柏・知母・香附子・半夏・・川楝子」
◎婦人赤白帯下を治す。
加味益母丸《東醫寶鑑》
「益母草半斤・当帰・赤芍・木香各2両を作末し、梧子大の蜜丸。白湯で 100丸呑む。
◎100日呑むと妊娠する。
加味槐角丸《東醫寶鑑》
「槐角・生乾地黄各2両、当帰・黄蓍・黄連・黄芩・枳穀・秦艽・防風・連 翹・地楡・升麻各1両、阿膠・川芎・白各5銭を作末し、酒糊げ梧子 大の丸剤。温酒又は米飲で、50~70丸呑む。
◎諸痔と腸風・臓毒に通用する。
加味槐花散《本事方》《中薬臨床応用》
「槐花米6g、側柏葉6g、荊芥穂(炒炭)6g、枳穀6g、厚朴5g、木香5g(後下)、 葛根9g」水煎服。
◎潰瘍性大腸炎による出血。
加味藿香散《外科正宗》
「藿香、甘草、桔梗、青皮、陳皮、柴胡、紫蘇、半夏、白朮、茯苓、白、 夏枯草、厚朴、川芎、香附子、生姜、大棗」
加味麹丸《東醫寶鑑》
「蒼朮を漬けた姜汁を炒って蕪・便香附子・神麹(炒)・山梔子(炒)各4両、 陳皮(去白)・白朮(炒)各1両半、山楂肉(蒸)2両を作末し、糊で梧子大の 万歳。白湯で50~60丸呑む。
◎すべての鬱を解かし、胸膈を開き、食欲を増進させる。
加味陥胸湯《東醫寶鑑》
「桔梗・枳穀各1銭5分、半夏・黄連・黄芩・苡仁・麦門冬各1銭、生姜5 片」水煎服。
◎熱痞で胸膈が痛む症。
加味含紅合剤《中薬臨床応用》
「鮮含羞草根90g、鮮紅背葉60g、鮮茜草根30g」水煎服。弱火で6時 間煎じる。(煎じる時間が短いと、服用後にめまい等の副作用が起こる)朝 夕2回、温服。
◎老人の慢性気管支炎
加味甘麦大棗湯《中薬臨床応用》
「甘草(炙)・大棗各12g、浮小麦18g、菟絲子・桑螵蛸(炙)・益智仁()各9g、 竜骨6g」水煎服。
◎小児の夜尿症。
加味枳朮丸《東醫寶鑑》
「白朮3両、枳実・蒼朮・猪苓・麦芽(炒)・神麹(炒)・半夏各1両、沢瀉 ・赤茯苓・川芎・黄連・東堕土(同炒)・白螺殻()各7銭、縮砂・草豆 蔲・黄芩・東壁土砂・青皮・蘿菖子(炒)・乾生姜各5銭、陳皮(去白)・便 香附・苡仁・厚朴・檳榔各3銭、木香・甘草各2銭を作末し、青荷葉泡 湯に粳米粉を浸して糊をつくり、梧子大の丸剤。清米飲で100丸を呑み下 す。」
◎痞満・悪心・雑・噫気・呑酸・嘔吐・脾痛。
加味枳朮湯《医学入門》《古今方彙》
「半夏・茯苓各3分、枳実・白朮・紫蘇葉・肉桂・陳皮・檳榔子・桔梗・木 香・五霊脂各1分、甘草3分、生姜」水煎。
◎気が痰飲のために所を隔て心下堅脹するを治す。名付けて気分と曰う。
加味蓍桂五物湯《雑病証治新義》
「黄蓍・桂枝・白芍・当帰尾・桃仁・牛膝・生姜・大棗」煎服。重症には 虫・大黄を加える。
加味橘皮竹茹湯 《東醫寶鑑》
「橘皮・竹茹・赤茯苓・枇杷葉・麦門冬・半夏各1銭、人参・甘草各5分を 剉作し、1貼に姜3を入れ水煎服。
◎胃熱による渇症と嘔吐・食べられない者。
加味橘皮竹茹湯 《医学入門》《古今方彙》
「赤茯苓・橘皮・枇杷葉・麦門冬・竹茹・半夏各1銭、人参・甘草各5分、 生姜」煎じ温服。
◎胃熱にて渇多く嘔して食せざるを治す。
加味帰脾湯[1-1]《内科摘要》
「帰脾湯《厳氏済生方》柴胡・山梔子」
◎貧血不眠、発熱盗汗、或いは思慮過度、健忘、胸さわぎ、驚悸、或いは嗜臥少 食、或いは憂鬱微熱、或いは肢体疼痛、便秘、或いは月経不順、暮方発熱、或 いはリンパ腺腫脹等ですべて熱候をおびた者。 《龍野ー漢方処方集》
◎欝結して脾を傷つけ、月水通ぜざるを治す《薛立斎十六種》
◎脾経欝結し、而して血が経に帰らざるを治す《薛立斎十六種》
加味帰脾湯[1-2]《東醫寶鑑》
「帰脾湯《厳氏済生方》柴胡・山梔仁各1銭」
「黄蓍・人参・白朮・茯苓・酸棗仁・竜眼肉各4g、当帰・遠志・大棗各2g、 甘草・木香・干姜各1g」
◎肝脾が欝し、月経不通を治す。
加味帰脾湯[1-3]《漢方治療の実際》
「帰脾湯柴胡3、梔子2」
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]イライラ
胃弱
[2]遺精
陰部掻痒症:
☆婦人もと、鬱悶し、牝戸(女性の外陰部)痛痒を覚え、時に水液浸出し、 飲食少思、肢体怠なる者に宜し。《先哲医話》
[3]ウツ病(鬱病)
[4]思い過ごし(思慮過度)
[5]顔色が悪い
[6]感情の起伏が激しい
[7]驚悸
[8]経閉(精神的疲労による)
[9]月経不順
[10]血小板無力症
[11]健忘症
[12]更年期障害
[13]再生不良性貧血:
☆《大塚敬節》
“昭和33年の7月に某大学で再生不良性貧血と診断されれた少年を診 に行った。その患者はその前年から体をだるがっていた。はじめ医師 は肝臓が悪いというので、その手当を受けていたが、よくならず、だ んだん貧血が現れてきたので、某大学病院に入院した。そこでも、再 生不良性貧血と診断せられ、輸血を唯一の治療としていたが、治療を 担当している医師が、漢方薬を飲んでみたらどうだろうと云うことで、 私に往診を依頼してきたのであった。
診察したところ、輸血のためか血色は悪くない。元気もある。何処 を診てもつかまえどころがない。そこでこれにも加味帰脾湯を与えて みた。ところで大学の血液検査の結果はだんだんよいということで、 8月から輸血をやめてしまった。これまでは輸血を休むとすぐ悪くな るのに、今度はちっとも悪化して来ないから、薬が効いているだろう ということであった。それで、この薬方をずっと飲み続けたところ、 昭和34年の元旦に届いた先生からの葉書には、次のようにかいてあ った「ちょうど診察していただきました頃から、輸血の間隔が次第に 伸び、現在は8月以降、まったく輸血をせずに赤血球350万、白血球 4000万、血小板2万を保持しております」
この患者はその後次第によくなり、休薬してから2年あまりになる が、まったく健康で通学している”
[14]嗜臥少食
[15]肢体疼痛
紫斑病
☆電撃性にきて、出血が止まず、脾腫のあるものに(漢方診療医典)
[16]出血(種々の)
☆《矢数道明》
“初診は昭和11年10月25日。患者は41歳の女。生来虚弱な体質で 20年前、男児1人をあげただけである。今から6年前は甚だしい血 尿を起こし、T大病院で左側腎臓を剔出(てきしゅつ)してもらった。当時の病名 を尋ねたが患者には分からない。以来、顔色は全く白のようで、歩 行時、階段の上下等には心動悸・呼吸促迫を訴えていた。その頃から すでに右側腎臓も腫脹し圧痛を覚えていたという。2年前のことであ るが、患者の夫が眼疾にかかり、ほとんど失明状態になったので、以 来患者は心身共に労苦の限りを舐め尽くし、疲労困憊の極いよいよ現 在の病状を起こしたようである。
現在症、10月2日。突然39℃を超える高熱を発し、悪寒戦慄を 訴え、時に40℃を超える熱が10日間も続いた。その間右側の腎臓 は驚くべきほど腫大し、疼痛を訴え、血尿はぶどう酒のようで混濁し ている。それが1日10回以上も頻発する。2週間目頃医者を変え、 解熱の注射というのを数回受け、次第に体温は下降したが一般状態は すこぶる不安で、患者は自ら死を覚悟したと言う。私の初診は発病後 すでに3週間を過ぎ、激しい症状は過ぎ去った時である。しかし尿は 依然としてぶどう酒の様で1日10回以上である。さて当時の患者の 主訴は①尿血の頻数不快 ②食思まったく不振 ③右側腎臓の腫大疼 痛 ④体動によって心動悸・息切れを覚え ⑤全身の脱力感 ⑥不眠 等である。
診ると、患者の顔色は①蒼白蝋の如くで ②色つやは全くない ③ 唇もまた血の気が無く ④舌は苔なくまた色あせている ⑤眼光は無 力で ⑥言語応答に物憂いようで ⑦頭髪は赤く薄く散乱として生気 がない。診ると脈は6脈沈微でやや数しており、腹状は右側の腎臓は 肝臓とともに腫脹し、心下から腸骨にまで及んでいる。どこを圧し ても痛む。しかし全身症状の割合には腹は虚弱ではなく、相当の抵抗 感がある。聴診、打診上、両肺とも異常は無く、心音は貧血性雑音が 著明に聴取できる。当時の体温は最高37.3℃である。大便は1日 1回である。
診断。以上で、私は先ず《金匱要略》の黄土湯を考えたが、思うに 本患者の食思不振、四肢倦怠、言語軽微、唇蒼白、心動悸等をもって、 脾経出血、心室血虚の証とし、すなわち熱状あるところから加味帰脾 湯を与えた。すなわち脾気を振り起こして、出血を抑制し、造血作用 を鼓舞させようと企てた訳である。西洋医学的には尿中タンパク強陽 性、膿球、白血球強陽性、大腸菌強陽性、結核菌陰性で腎臓腎盂炎の 出血による全身衰弱状態というところであろう。
経過、初日及び翌日は1日わずか1貼を3回分服。第3日に1貼半 を服用すると、食欲がにわかに進み、全身の元気が充実した感があり、 4日目の朝は血尿は全く止み、日ごとに体力は回復の一途をたどった。 6日目から1日3服し、私は8日目に再び往診したのであったが、患 者は床の中に仰臥して、編み物をしていた。顔色は一変して色つやは 良くなり、言語応答も別人のようで、食欲も大いに進み、平熱となり、 私を紹介した知人の云うところによれば唇の色も良くなったという。 腹診すると腎臓は初診の時に比べて半分に縮小し、圧痛も減少、昨今 では、自分で便所も云っても大した疲労を覚えないという、驚くべき 回復ぶりである。”
[17]食欲不振
[18]自律神経失調症
[19]神経衰弱
[20]神経性胃炎
[21]神経性心悸亢進症:
☆不眠、思慮過度、胸騒ぎ、嗜臥小食
[22]心臓神経症
[23]舌質<湿潤>
[24]舌苔<微白苔>
[25]多夢
[26]血の道症
[27]低タンパク血症
[28]盗汗
吐血:
☆《梧竹楼方函口訣》
“一男子、20歳あまり、平素から虚弱なたちであったが、12月に なって、ある朝、早く起きて商売の帳尻を合わせたところ、取引を 間違えて余程損になっている事が分かり、ひどく心配した。すると 急に顔色が悪くなり、胸の気持も悪くなって、その夜血を沢山吐い た。それからは、物事に驚きやすくなり、動悸がしたり、眠れなか ったりするようになった。そこで帰脾湯に梔子と柴胡を加えた加味 帰脾湯を与えたところすっかり良くなった。”
熱病の回復期
ノイローゼ:
☆心身の過労により、全身が衰弱し、不眠、健忘、精神不安などを訴える 者。
[29]のぼせ
[30]白血病
☆出血の傾向、貧血、疲労倦怠、脾腫、肝臓肥大などを目標に用いる。
加味帰脾湯紫根・・・紫根は悪性腫瘍に用いて、ときに效を見るのでこれを加える。1日量10g。
[31]発熱<夕暮れから>
[32]ヒステリー
[33]脾臓機能亢進症
[34]微熱
[35]疲労倦怠
[36]貧血症:
☆原因不明の貧血
☆悪性貧血
☆再生不良性貧血
☆《大塚敬節》
“昭和16年、患者は28歳のの婦人で、1男1女があり、数ヶ月前から 病院に入院していたが、病勢は次第に悪化し、あと1ヶ月の命があびな いと云われたという。
病室に入った私は吸呑みで口を湿らせている血色の悪い婦人をみた。 口渇はあるが、水を飲んでも、すぐ吐くので、1口ずつ口に含んで吐き 出し、ただ口を湿らせているだけでこらえているという。舌には乳頭が なくなって、赤く爛れている。脈をみると沈小弱で、体温は38℃7分、 腹部は陥没していて、臍部では動悸が亢進し、下半身には浮腫がある。
以上の病状から薬方を考えると、四逆湯加人参、附子理中湯なども頭 に浮かんだが、貧血がひどいので、帰脾湯とし、これに柴胡と梔子を加 えた。しなわち加味帰脾湯である。これを飲むと頑固な嘔吐が止み、そ の夜は尿がめずらしくたくさん出た。4、5日たつと、体温も37℃ぐ らいに下り、食欲も出てきた。7日後に、患者は自宅に帰って、私の薬 だけで治療することを決心したので、その日の夕方、私は患家に往診し た。この日は、もう下肢に浮腫もなく、顔に生気があふれていた。こん な状態で貧血の方もぐんぐん良くなり、5ヶ月ほどの服薬を続けて休薬 した。それから20年になるが、この患者はこれといって重い病気もで ずに元気にいるという”
[37]不安神経症
[38]不正性器出血
[39]不眠症:
☆精神の過労がもとでノイローゼ気味となり、記憶力が減退して不眠を訴 える者。
☆老人・虚弱者で平素から胃腸が弱く、貧血気味で疲れやすく、物忘れす る者で不眠を訴えるものに用いる。
☆この方は帰脾湯の証で熱状の有る者に用いる。さて帰脾湯は貧血・健忘 ・動悸・神経過敏・不眠などのある者に用いるが、老人などで、物忘れ をして困るというものによく、この症状があって眠れないものに用いる。 老人でなくても、虚弱な者を目標にする。また、軽い中風で、物忘れを し、言語のもつれる者に用いる《大塚敬節》
☆43歳男性。腹膜炎に罹った事があり、元来、虚弱な体質であるが、4、 5年前から朝・夕に頭痛があり、そのとき悪心を訴える。疲れると背が 痛む。甘い菓子を好む。脈は弱く、腹力もなく、腹部で振水音を証明す る。
私はこれに半夏白朮天麻湯を与えた。これで、やや睡眠状態は良いよ うであったが、3週間ほど飲むと、また逆転して眠れなくなり、背が張 るという。そこで枳縮二陳湯にしてみたが、これも効かない。桂枝加竜 骨牡蛎湯、甘草瀉心湯、神効湯など、次々と用いたが、どれもあまり効 かない。
そこで、加味帰脾湯にした。のぼせ、頭痛、不眠、疲労感と胃腸虚弱 な点を考慮して、この処方を選んだ。これを飲み始めてから、2週間ほ どたつと安眠出来るようになり、血色もよくなった。《大塚敬節》
☆54歳女性。数年前、胃潰瘍を病んだ。主訴は胃部膨満不快、肩背急痛、 逼迫感、腰痛、神思鬱々として、いわゆる婦人更年期の訴えをことごと く備えていた。
患者は今まで2回ほど狭心症の発作のように肩背強痛、心絞窄の苦悶 を起こしたことがある。
私は初診以来、当帰芍薬散、抑肝散、茯苓補心湯等といろいろ試みた が、結局、香砂六君子湯が最も良かった。患者はこの方を1日1貼ぐら い飲むと気持ちよく立働くことが可能となっていた。
ところが、去る10/27、孫が急性肺炎で危機に瀕し、その看護に精魂 を傾けたため、前症がにわかに拾頭し、心臓部苦悶、動悸、息切れ、食 思まったく不振に陥った。
本患者の病因はすなわち脾胃虚弱で、常に顔面蒼白、皮膚枯燥、貧血 状態であった。脈は沈遅で力薄く、腹は虚軟で臍傍・臍中の動悸がたか ぶっている。私は例に因って香砂六君子湯を与えたが、こんどは効かな い。頑固な不眠症を起こし、ほとんど眠られないとのことであった。
そこで思慮過度、心脾労傷の致すところとして、加味帰脾湯を与える と、これが非常な好結果で、不眠も食思不振も、心思鬱々も治り、顔色 もまたいままでになく良くなった。《矢数道明》
☆32歳男子。
「2年ほど前、ある事件で神経衰弱気味となり、それ以来不眠症になってしまった。あちこちの神経科や精神科を訪ねて睡眠剤をもらったら、はじめはそれなりに効いても、3~4日もすると、効かなくなってくる。
睡眠薬の量が増えてそれでも寝付かれなくなって、夜中になると布団の上に座り込んだり、町の中をうろつき回るようになった。
本人は、甘いものを食べたり、油や肉の多いものを食べた日は、不安と不眠が特にひどくなる。
漢方医から加味帰脾湯をもらって飲んだところ、たちまち気分が安定してきて、夜眠られなくても、静かに横になっていることが出来るようになった。少しずつ心身の状態が安定を取り戻し、3ヶ月すぎ頃からは、ほとんど普通と変わらないところまできた。」《山田光胤》
[40]便秘
[41]ほてり
[42]慢性胃腸炎
[43]慢性淋疾患
[44]胸苦しい
[45]胸騒ぎ
[46]憂鬱(ゆううつ)
[47]リンパ腺腫脹
注意・・・[血中AG]が上昇することがある
加味芎帰湯《万病回春》《古今方彙》
=「活名芎帰湯」《寿世保元》
「川芎、当帰、自死亀板(醋炒)1個、乱髪霜1握り」作末し、毎服5銭水煎 服用。
◎交骨開かず(=骨盤狭窄)、生産する能わざるを治す。
加味芎湯《三因極一病証方論》《古今方彙》
「川芎、当帰、白芍薬、百合、荊芥」各等分。毎に4銭を服す。水1盞酒半 盞、同じく7分に煎じて服用。 (盞=サン、さかずき)
加味姜附湯《寿世保元》《古今方彙》
「茵蔯2両、附子1枚、乾姜1両半、甘草(炙)1両」
◎発黄にて脈沈細而して遅、肢体逆冷し、腰以上自ら汗する者を治す。
加味姜附湯(一名四順附子湯)《東醫寶鑑》
「炮附子・乾姜(炮)・人参各1銭半、炙甘草7分」
◎激しい霍乱で、手足が冷え、六脈の沈伏した者。
加味彊黄丸《東醫寶鑑》
「大黄(酒煮)4両、白彊蚕2両、蝉退6銭半、姜黄3銭半」を作末し、姜 汁糊で混ぜ、1両で10丸作り、大人は1丸、小児は半丸を蜜水で飲む。
◎大頭瘟、蝦蟆を治す。
加味羗活散《東醫寶鑑》
「羗活・前胡各1銭2分、人参・桔梗・枳穀・川芎・天麻・赤茯苓・甘草各7 分、蝉退・薄荷各5分、生姜3片」水煎服。
◎疹でかゆい症。
加味金花丸《東醫寶鑑》
「黄連(酒炒)・黄柏(酒炒)・黄芩(酒炒)・山梔子各1両、大黄()・人参・ 半夏・桔梗各5銭」等分を作末し、水をたらして梧子大の丸剤。茶清で30 丸服用。
◎三焦の火を鎮め、嗽を止め、厥をなくし、頭目をはっきりさせる。
加味駆風豁痰湯《寿世保元》《古今方彙》
「人参、白朮、茯苓、半夏、陳皮、枳実、当帰、川芎、白芍薬(酒炒)、生地 黄、桔梗、天南星、括楼仁、附子、白殭蚕、天麻、遠志、黄芩(酒炒)、黄 連(姜汁炒)、甘草、生姜」水煎。
◎癲狂、五癇、眩暈時に作こり、時に止み、痰涎壅盛、心神昏するを治す。
◎これ気血の虚に属ず。
◎而して風痰と欝火を挟みたるなり。
加味荊黄湯《医学入門》《古今方彙》
「荊芥・大黄各5銭、牛蒡子・甘草各1分」水煎。
◎肝を血が壅ぎて両瞼上下栗米の如きを生じ、或いは赤く或いは白く、甚だし くは疼痛せず、堅硬の者を治す。
加味解毒湯《寿世保元》《古今方彙》
「黄芩、黄連、黄柏、山梔子、柴胡、茵蔯、竜胆、木通、滑石、升麻、甘草、 燈心草」水煎。
◎発黄の症にて身口倶に発して金色の如く、小便は膿煎したる黄柏汁の如くにし て諸薬の効かざるを治す。
◎大便実なれば:「大黄」
◎目黄には:「竜胆倍加」
加味解毒湯《寿世保元》《古今方彙》
=「滌腸湯」《厳氏済生方》
「大黄、黄連、黄芩、黄柏、山梔子、赤芍薬、連翹、枳殻、防風、甘草」水 煎。
◎大便下血し、大腸痛み忍ぶべからず。
◎肛門腫起する者を尚s。
◎これ下焦の熱盛なり。
◎外用に金鳳花を水煎し、頻りに肛門を洗えば腫痛たちどころに消える。
加味牽正散《中薬臨床応用》
「全蝎3g、白彊蚕5g、製白附子6g、釣籐鈎9g、天麻9g、黄蓍9g、当帰9g」 水煎服。
◎脳卒中による半身不随
◎顔面神経麻痺
◎脳血管障害後遺症
◎実証
加味香薷飲《万病回春》《古今方彙》
「香薷飲人参・白朮・茯苓・白芍薬・陳皮・甘草・烏梅・炒米」
◎夏月暴瀉して水の如く、面垢れ脈虚、煩渇自汗するを治す。
加味香蘇散《医学入門》《古今方彙》
「陳皮・枳殻・川芎・槐花各5分、檳榔子・木香・桃仁・紫蘇茎・香附子・ 甘草各2分半、生姜、大棗」煎服。
◎気痔(心配、怒り、恐れ等の場合に肛門分が急に腫れて、気を使うことが止む と又もとの通りにおさまるもの)を治す。
加味香蘇散(一名橘皮湯)《東醫寶鑑》
「陳皮・川芎・槐花各1銭、紫蘇茎・檳榔・木香・桃仁・香附子・甘草各5 分、生姜3、大棗2」煎服。
◎気痔を治す。
加味香連丸[1]《東醫寶鑑》
「黄連4両を呉茱萸の煎じ湯に浸して炒り、木香1両、阿芙蓉2銭、を作末 し、陳米糊で緑豆大の丸剤。毎回20~30丸を蓮肉を煎じた湯で呑み下す。」
◎虚痢と久痢を治す。
加味香連丸[2]《東醫寶鑑》
「黄連(炒)2両、呉茱萸(炮炒)1両、木香1銭、白豆蔲()1銭半、乳香・ 没薬各1銭、を作末し、烏薬を水で浸したものの肉で梧子大の丸剤。毎回30 丸服用。」
◎一切の痢疾を治す。
加味虎潜丸《東醫寶鑑》
「熟地黄4両、牛膝2両、人参・黄蓍・白芍(炒)・黄柏(酒浸炒)・当帰・山 薬各1両、破故紙(炒)・五味子各5銭、兎絲子・亀板・虎骨・枸杞子・鎖 陽(酥炙)各5銭を作末し、煉蜜に猪の脊髄を入れ梧子大の丸剤。毎回100 丸を温酒又は塩湯で呑む。
◎虚労を治し、心・腎を補う。
加味固本丸《東醫寶鑑》
「生乾地黄・熟地黄・当帰・黄柏(蜜炙)・白茯苓各1両、天門冬(塩炒)・麦 門冬(塩炒)・知母・訶子・阿膠珠各5銭、人参3銭、烏梅15個、人乳・ 梨汁各1椀を作末し、黄豆大の蜜丸。訶子湯又は蘿菖湯で80~100丸呑 む。
◎声音がなめらかでない。
加味五加皮散《医方考》《古今方彙》
「五加皮・地骨皮・生姜皮・大腹皮・茯苓皮各等分、姜黄、木瓜、燈心草」 水煎温服。
◎水病にて腰以下腫れる者を治す。
◎一方に「地骨皮桑白皮橘皮」あり。
加味五香湯《古今方彙》
「沈香、木香、乳香、丁香、藿香、升麻、葛根、連翹、木通、大黄」水煎。
◎小児の瘡、無名の腫毒を治す。
加味五積散《万病回春》《古今方彙》
「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・陳皮・半夏・蒼朮・茯苓・厚朴・羗活・独活 ・枳殻・桔梗・白各8分乾姜・肉桂・麻黄・甘草各5分、穿山甲1銭、 生姜、大棗、麝香(少許)」水煎。
◎四肢骨節の痛みが虚寒に因る者を治す。
加味五苓散[1]《東醫寶鑑》
「沢瀉・猪苓・茯苓・白朮・桂皮・当帰・枳穀・牛膝・木通・甘草梢各等 分。灯心草ひとにぎり入れて、空腹時に煎服。」
◎小便の不通を治す。
加味五苓散[2]《東醫寶鑑》
「加味五苓散[1]に「木香・茴香・川楝子・檳榔・黒丑・破故紙・木通・青 皮・三稜・莪朮」を加えた煎じ湯を、青木香元で飲む。
◎寒疝を治す。
加味五苓散《万病回春》《古今方彙》
「白朮・茯苓・猪苓・沢瀉・山薬・陳皮・蒼朮・砂仁・訶子・肉豆蔲各8分、 官桂・甘草(炙)各5分、生姜、烏梅、燈心草」水煎。
◎湿瀉の者は水を瀉すこと多く、而して腹痛まず、腹響き雷鳴し、脈細なり。
加味犀角地黄湯《万病回春》《勿誤薬室方函》
「《備急千金要方》犀角地黄湯当帰・黄連・黄芩」
◎一切の吐血・衂血・咳血・喀血・唾血。
◎此方は、諸失血に用い易し。
◎方後に若吐紫黒血塊胸中気塞加桃将とあれども。此の如きには桃核承気湯を用 いるを優とする。
加味犀角地黄湯《万病回春》《古今方彙》
「犀角・当帰・黄連・黄芩各1銭、生地黄2銭、牡丹皮1銭半、赤芍薬1銭 半」水煎し茅根汁を入れる。
◎一切の吐血、衂血、咳血、喀血、唾血を治す。
◎吐血には:「天門冬山梔子阿膠蛤粉」
◎衂血には:「山梔子阿膠」
◎喀血、唾血には:「山梔子麦門冬黄柏知母熟地黄」
◎凡そ紫黒血塊を吐して胸中の気塞がる:「桃仁大黄」
加味柴胡湯《東醫寶鑑》
「柴胡2銭、黄芩・半夏・人参・枳穀・大黄・甘草各1銭を剉作し、1貼に 姜3、棗2を入れ水煎服。
◎山嵐等の毒気に感染して、蘊瘧寒熱になる者。
加味柴胡湯《万病回春》《古今方彙》
「人参、半夏、柴胡、黄芩、百合、知母、甘草、竹茹1団、粳米(炒)、食塩1 撮み、姜汁(少許)」水煎。
◎百合病、その病寒に非らず、熱に非らず、食を欲して食せず、行かんと欲して 行かず、坐せんと欲して坐せず、薬を服すれば吐し、小便赤きを治す。
◎鬼を見る如き是れなり。
加味柴平湯《東醫寶鑑》
「柴胡・黄芩・半夏・蒼朮・厚朴・陳皮・山楂肉・青皮・枳穀・神麹・三稜 ・莪朮各7分、甘草5分を剉作し、1貼に姜3、棗2を入れて水煎服。
◎積塊に熱のある者。
加味柴苓湯《東醫寶鑑》
「柴胡・沢瀉各1銭、半夏・赤茯苓・白朮・猪苓・山楂子・山梔子・茘枝核 各7分」水煎服。
◎疝による湿熱・腫痛。
加味三拗湯《東醫寶鑑》
「麻黄2銭、陳皮1銭半、杏仁・五味子各1銭2分、桂皮1銭、甘草5 分を剉作し、1貼に姜3片を入れ水煎服。
◎寒喘を治す。
加味散毒散《東醫寶鑑》
「人参敗毒散1両に、大黄・蒼朮各1銭、生姜3片、薄荷7葉」水煎服。 ◎三陽経に脚気が流注し、脚踝が赤く腫れる者。
加味滋陰散《寿世保元》《古今方彙》
「当帰・川芎・芍薬・熟地黄・陳皮・半夏・茯苓・甘草各5分、升麻・柴 胡・白朮・牛膝・知母(酒炒)・黄柏(酒炒)・蒼朮各1銭」水煎し一宿を 露す。
◎諸淋久しく止まざる者を治す。
加味四斤元《東醫寶鑑》
「牛膝(酒浸)1両半、川烏・虎脛骨・肉蓉各1両、乳香・没薬各5銭、 木瓜1個(蒸熟)」を作末し、木瓜膏に入れ、酒糊で梧子大の丸剤。 温酒又は塩湯で70丸服用。
◎肝・腎ともに弱くなり、脚・膝の疼痛・痿弱。又は風寒湿の気で脚痛に。
加味四君子湯[1]《外科正宗》
「四君子湯白扁豆・黄蓍・生姜・大棗」
◎痔瘡・痔瘻、下血止まず、面色痿黄、心松、耳鳴、脚弱、気乏及びいっさいの 脾虚、口淡く、食に味を知らざるを治す。
◎又中気虚し、血を摂する能わず、便血禁ぜざるを致す者を治す。
◎此方は、下血止まず、面色萎黄、短気心する者を治す。
◎「四君子湯」と「理中湯」は下血虚候の者に効あり。
加味四君子湯[2]《王海蔵》
「四君子湯杏仁・桑白皮各等分 半夏<半量に減ず>」
加味四君子湯[3]《東醫寶鑑》
「四君子湯肉豆蔲()・訶子(炮)各1銭、生姜3・大棗2」空腹時に、 水煎服。
◎気虚下痢を治す。
加味四君子湯[4]《東醫寶鑑》
「人参・白朮各1銭3分、甘草1銭、当帰8分、赤茯苓・陳皮・厚朴・縮 砂・紫蘇子・桑白皮各6分、沈香・木香各5分を水で洗って汁を取り、 剉作1貼し、姜3、棗2を入れ水煎し、二香の水磨汁を調合して食べる。
◎気喘を治す。
加味四君子湯《朱丹渓》《古今方彙》
「人参・白朮・茯苓・陳皮・半夏・甘草、水煎す。竹瀝・姜汁を入れ温服 し、或いは天南星・枳実・烏薬・羗活等を加えるも可なり。
◎右半身不遂し、手足の者は気虚と湿痰に属するなり。
加味四君子湯《万病回春》《古今方彙》
「人参・白朮・茯苓・陳皮・砂仁・厚朴・当帰・甘草各等分、生姜、大棗」 水煎。
◎一死の気虚にて病をなす者を治す。
◎気虚甚だしいとき;「黄蓍」
加味四君子湯《万病回春》《古今方彙》
「人参・白朮・茯苓・黄蓍・当帰・川芎・陳皮・半夏・天麻・桔梗・白 各等分、甘草半減、生姜、大棗」水煎。
◎肥人で気虚し湿痰、頭眩するを治す。
加味四君子湯《仁斎直指方》《古今方彙》
「人参・白朮・白茯苓・白芍薬・黄蓍・白扁豆(炒)各2銭、甘草(炙)1銭、 水2鐘、生姜5片、紅大棗2枚」煎じて1鐘を服す。
◎色疸及び久疸癒えざるを治す。
加味四君子湯《三因極一病証方論》《古今方彙》
「四君子湯黄蓍、白扁豆」
◎五痔下血、面色萎黄、心耳鳴、脚弱気乏、口淡にて食するの味を知らざる者 を治す。
加味四君子湯《寿世保元》《古今方彙》
「人参1銭、附子1分、茯苓5分、蒼朮・羗活各3分、炮姜4分、甘草(炙)4 分、白朮6分、生姜、大棗」水煎。
◎慢脾の症で面赤額汗、舌短、頭低く眼合して開かず、睡中に揺頭し舌を吐し、 頻りに腥臭を嘔し、噤口咬牙し、手を床にし、足は微しくして収まらず、或 いは身冷え有為は温き者を治す。
◎蓋し慢驚の後、吐瀉して脾を損じ、病伝わりて已に極まり、総じて虚に帰する 処は惟れ脾の受くる所なり。故に慢脾風と曰う。
加味四順清凉飲《中薬臨床応用》
「山梔子9g、連翹15g、防風9g、当帰18g、赤芍9g、羗活6g、生甘草9g、 生黄蓍45g、生地黄15g、黄柏9g」水煎服。
◎熱傷の感染性発熱。
加味四七湯[1]《東醫寶鑑》
「半夏(製)2銭、赤茯苓・厚朴各1銭2分、茯神・紫蘇葉各8分、遠志(姜 製)・炙甘草各5分、生姜7片、大棗2枚、石菖蒲半寸」水煎服。
◎心気が鬱滞する症状。
加味四七湯[2]《東醫寶鑑》
「半夏・陳皮・赤茯苓・各1銭、神麹(炒)・枳実・天南星(炮)各7分、青 皮・厚朴・紫蘇葉・檳榔・縁砂各5分、白淡豆豉・益智仁各3分、姜3 分、大棗5片」
◎痰気が鬱結して咽喉間にふさがり、吐いても出ず、飲み下すことも出来ない症 状(⇒梅核気)に。
加味四七湯[3]《東醫寶鑑》
「紫蘇葉・半夏・赤茯苓・陳皮・枳実・天南星・縮砂・神麹各1銭、青皮7 分、白豆蔲6分、檳榔・益智仁各3分、生姜5片」水煎服。
◎梅核気を治す。
加味四七湯《寿世保元》《古今方彙》
「半夏5両、茯苓4両、厚朴3両、紫蘇葉・桔梗・枳実各2両、甘草1両、 生姜、大棗」煎服。
◎七情の気結ばりて痰涎となり、状は破絮(=古綿)の如く、或いは梅核が咽喉の 間にあるが如く、咯けども出でず、嚥めども下らず、或いは中痞悶し、気は 舒快ならず、或いは痰喘壅盛、上気喘急、或いは痰飲に因り、悪心嘔吐する等 を治す。
加味四七湯《世医得効方》《古今方彙》
「四味四七湯茯苓・遠志・石菖蒲・甘草」
「半夏、茯苓、紫蘇葉、厚朴、遠志、石菖蒲、甘草」
◎心気欝滞するを治す。
◎痰を豁き驚を散ず。
加味四七湯《万病回春》《古今方彙》
「茯苓・蘇梗・半夏・橘紅・青皮・枳実・縮砂・天南星・神麹・厚朴各1 銭、白豆蔲・檳榔子・益智仁各5分、生姜」水煎し臥するに臨み服す。
◎七情の気が結んで痰気となり、状、梅核の如く、或いは破絮(=古綿)の如く、 咽喉の間にありて咯けども出でず、嚥めども下らず、或いは中痞悶し、或い は中痞悶し、気舒快ならず、或いは痰喘壅盛して上気喘急し、或いは痰飲に 因り、悪心嘔吐する者を治す。
加味四聖散《医学入門》《古今方彙》
「紫草・木通・木香・黄蓍・川芎・甘草・人参各等分、蝉退半減」水煎。
◎痘出でて快駆らず、及び変陥倒靨(=痘膿後に痂皮を作らず、かえって腐爛し 脱皮する)し、小便赤渋して余熱除からざる一切の悪候、或いは痘出でて風吹 を被り復見われずに皮膚に入り、内熱欝して散らざるを治す。
◎便閉すれば、:「枳殻」
◎便調えば「糯米」
加味四物湯[1-1]《医学正伝》
「当帰・麦門冬・黄柏・蒼朮・各1匁、地黄3分、芍薬・川芎・各7分、 五味子9粒、人参・黄連各5分、知母・牛膝各3分、杜仲7分半」
◎諸痿症、四肢軟弱・挙動不能。
加味四物湯[1-2]《医学正伝》《漢方治療の実際》
「当帰・川芎・芍薬・熟地黄・朮各3、麦門冬5、人参・牛膝各2、黄柏 ・五味子・黄連・知母・杜仲各1.5」
◎麻痺
加味四物湯[1-3]《医学正伝》《古今方彙》
「当帰1銭、地黄3銭、芍薬・川芎各7分半、五味子9枚、麦門冬1銭、 人参半銭、黄柏1銭、黄連半銭、知母3分、杜仲7分半、牛膝3分、蒼 朮1銭」水煎温服。
◎諸痿にて四肢軟弱にして挙動する能わざるを治す。
◎肥えて痰あれば:「半夏」
◎痩せて血虚すれば:「当帰地黄」
加味四物湯[1-4]《医学正伝》《龍野一雄》
「当帰・黄柏・麦門冬・白朮各2.5g、熟地黄8g、芍薬・杜仲・川芎各2g、 人参・黄連各1.5g、知母・牛膝・五味子各1g」
「或いは、人参を去り羚羊角を加える」
◎諸痿、四肢軟弱、挙動し能わざるを治す。
◎此方は滋血、生津、清湿の3功を兼ねて諸痿を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎此方は「大防風湯」とは陰陽の別あり。
<1>大防風湯:専ら下部を主とする。
<2>加味四物湯:専ら上焦の津液を滋して下部に及ぼす。
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]下肢の麻痺:
☆痿症の初起には:痿証方《秘方集験》に宜し。
☆凝固して動き難き者:痿躄湯(=亀板湯)
☆筋痙攣甚だしき者:二角湯
☆壊症になった者:加味四物湯
[2]筋萎縮。
[3]脊椎カリエス
加味四物湯[2-1]《万病回春》《古今方彙》
「当帰・黄柏(蜜炙)・知母・括楼根・川芎各1銭、桔梗・甘草各3銭、熟 地黄・白芍薬各1銭2分」水煎し「竹瀝」を入れて同服す。
◎虚火上升して喉痛するを治す。
◎并して喉瘡、喉痺、熱毒を生ずるを治す。
◎最も能く火を降ろす。甚だ効あり。
加味四物湯[2-2]《万病回春》《漢方治療の実際》
「当帰・黄柏・知母・川芎・天花粉各2、桔梗・甘草各4、地黄・芍薬各3」
原方には竹瀝があるが、今これを入れない。
◎この方は咽頭痛に用いる。
◎この方は、滋陰降火湯によく似た処方で、浅田宗伯は、加味四物湯を用いるよ うな咽痛には、滋陰降火湯を用いる《大塚敬節》
加味四物湯[2-3]《万病回春》《東醫寶鑑》
「桔梗・甘草各1銭半、熟地黄・白芍各7分、当帰・川芎・黄柏(蜜水炒) ・知母・天花粉各5分」を水で煎じて、竹瀝1鐘を入れて服用。
◎喉痺・喉痛・喉瘡。
★適応症及び病名 (五十音順)
咽頭痛:
☆咽痛の症で虚症になった者に用いる《大塚敬節》
☆発汗したり、下したりして効が無く、そのくせ熱があって、脈が虚数 になった時に、この方を用いる。このような場合には、他に用いる方 がなく、附子剤でもなく、甘桔湯などを用いてもダメなときに用いる。 《有持桂里》
加味四物湯[3-1]《万病回春》《古今方彙》
「当帰・川芎・白芍薬(炒)・生地黄・熟地黄・黄蓍・人参・白朮・陳皮・ 茯苓・荊芥・甘草(炙)各等分、大棗、烏梅」水煎。
◎血虚眩暈、卒倒するを治す。
◎艾灸をすべからず。
◎驚哭、叫動、動すれば虚に乗じて死す。
◎飽悶には:「香附子砂仁黄蓍白朮」
加味四物湯[3-2]《万病回春》《東醫寶鑑》
「当帰・白芍・川芎・生地黄・熟地黄・黄蓍・人参・白朮・陳皮・白茯苓 ・荊芥穂・甘草各7分、大棗2枚、烏梅1個」煎服。
◎貧血でめまい。
加味四物湯[4]《万病回春》《古今方彙》
「当帰・川芎・白芍薬(酒炒)・熟地黄・陳皮・黄芩・山梔子・天麻・茯苓 各等分、人参・甘草各半減、松香、大棗」水煎温服。
◎肥人で気虚し、湿痰、頭眩するを治す。
加味四物湯[5-1]《万病回春》《古今方彙》
「黄柏(酒炒)・知母(酒炒)・黄芩(酒炒)・黄連(酒炒)・当帰・生地黄・蔓 荊子・山梔子・川芎各等分」
◎血虚にして陰火上に冲(ノボ)りて頭痛するを治す。
加味四物湯[5-2]《万病回春》《東醫寶鑑》
「当帰・川芎・生乾地黄(黄酒炒)・黄柏(酒炒)・知母(酒炒)・黄芩(酒炒) ・黄連(酒炒)・蔓荊子・山梔子(炒)各7分」水煎服。
◎血虚による頭痛。
加味四物湯[6]《福井》
「当帰・地黄・知母・黄柏・黄連・蔓荊子・山梔子・川芎」
◎梅毒壮熱ある者、先ず此湯を用いてその熱を解し、後に奇良剤を用いる。
◎此方は能く黴毒の壮熱を解す。《勿誤薬室方函口訣》
加味四物湯[7]《東醫寶鑑》
「四物湯4銭、人参・呉茱萸各1銭、姜3、棗2」水煎服。
◎月経がなくなって何年か後に、又月経があって、それが崩漏となって腹痛と寒 熱がある。
加味四物湯[8]《朱丹渓》《古今方彙》
「当帰・芍薬・川芎・熟地黄・桃仁・紅花」水煎し、「竹瀝・姜汁」少し 許り入れ温服。
◎左半身不遂し、手足の者は血虚と死血に属す。此方に宜し。
加味四揚湯[1]《薛立斎十六種》《古今方彙》
「四物湯山梔子、柴胡、牡丹皮」
加味四揚湯[2]《東醫寶鑑》
「熟地黄2銭、当帰身・麦門冬・黄柏・蒼朮各1銭、白芍・川芎・杜仲各7 分、人参・黄連各5分、知母・牛膝各3分、五味子9粒」水煎服。
◎湿熱による両脚の痿軟・無力。
加味四苓散[1]《万病回春》《古今方彙》
「白朮・茯苓・猪苓・沢瀉・蒼朮・山薬・芍薬・陳皮・山梔子各1銭、烏梅 1個、甘草(炙)5分、燈心草」水煎。
◎火瀉(熱瀉)の者は腹中が一陣(ヒトシキリ)痛み、一陣瀉四物湯、後は去ること熱湯 の如く、後重し滞るが如くにて、赤色を瀉下し、小水短赤、煩渇、脈数なり。 此方に宜し。
◎飽悶には:「厚朴砂仁山薬」
◎腹痛には:「厚朴砂仁木香小茴香白朮」
◎嘔悪心には:「藿香烏梅蓮肉縮砂人参」
◎小水短赤には:「木通車前子沢瀉」
◎口燥煩渇には:「黄連麦門冬蓮肉烏梅乾葛沢蒼朮」
◎瀉多く元気虚脱し昏倦する:「人参黄蓍蒼朮沢瀉」
◎夏月に暴瀉にはあ:「香薷白扁豆」
◎瀉多く煩躁する:「黄連人参辰砂奪い蒼朮沢瀉」
◎瀉多く止まざるには:「肉豆蔲烏梅人参沢瀉山梔子」
◎発熱脈数には:「柴胡黄芩烏梅」
加味四苓散[2]《寿世保元》《古今方彙》
「人参、白朮、赤茯苓、猪苓、沢瀉、香薷、蓮肉、麦門冬各等分」水煎し、 空心に服す。
◎心経暑に伏し、小便赤濁するを治す。
加味七気湯《済世全書》《古今方彙》
「半夏、茯苓、厚朴、蘇梗、香附子、生姜」水煎。
◎七情の傷るる所、憂思欝結し腑臓の気が和平せず、心腹痞悶するを治す。
加味磁朱丸《東醫寶鑑》
「磁石(を醋淬すること7回)、朱砂研1両、沈香5銭を作末し、神麹末2 両で糊をつくって梧子大に丸め、塩湯又は米飲で30~50丸空腹時に服用。
◎眼昏に常服。
加味紫草散《医学入門》《古今方彙》
「紫草、白芍薬、麻黄、甘草各5分」水煎温服。
◎痘出でて未だ透らざるを治す。
加味貝散《東醫寶鑑》
「白・貝母・天花粉・金銀花・皀角刺・穿山甲(土炒)・当帰尾・苡仁・ 甘草節各1銭」酒と水を半分ずつ入れて煎服。
◎乳癰の腫硬で痛む症。
加味瀉白散《中薬臨床応用》
「桑白皮12g、地骨皮9g、甘草3g、粳米6g、知母6g、黄芩4.5g、桔梗3g、 薄荷1.5g(後下)」水煎服。
◎小児の急性気管支炎。
加味小胃丹《東醫寶鑑》(一名導痰小胃丹・又、竹瀝化痰丸)
「小胃丹天南星・半夏」
白礬・皀角を姜汁で15回煮て各2両半、蒼朮を米・白礬・皀角と水の 泡に漬け、紅花(酒蒸)・陳皮・枳実と白礬水泡に半日漬けて炒り、白朮・ 白芥子(炒)各1両を作末して、姜汁・竹瀝・神麹を煮て、緑豆大の丸剤。 20 ~30丸を姜湯で服用。
◎風痰・痞積・眩暈・喉痞・不語。
加味小陥胸湯[1]《勿誤薬室方函》
「小陥胸湯枳実・山梔子」
◎火、その痰を動かし雑するを治す。
◎此方は雑に奇効あり。
◎胸のやけることなり。
加味小陥胸湯[2]《証治大概》《龍野一雄》
「半夏8g、瓜呂仁3g、枳実・山梔子各2g、黄連1.5g」
◎むねやけ・胃部疼痛。
★適応症及び病名
胃潰瘍
胃酸過多症
胃痛
胆石症
加味小建中湯《東醫寶鑑》
「白芍(酒炒)3銭、桂心1銭半、炙甘草・遠志(姜汁炒)各1銭、生姜5、 大棗2」水煎服。
◎心腹痛で堪えられず、押すと痛みが止まる・虚寒症。
加味小柴胡湯《本朝老医伝》《勿誤薬室方函》
「小柴胡湯竹茹・麦門冬・黄連・滑石・茯苓」
◎暑疫、協熱利を治す。
◎此方は一老医の伝にて、夏秋間の傷寒恊熱利に経験を取りし方なれども、余は 常に「滑石」として、人参飲子(=小柴胡湯麦門竹葉)の邪勢一等重く煩熱 心悶する者を治す。人参飲子は小柴胡湯の邪勢甚だしきに用い、此方は更に 重い。《済世薬室》
◎竹茹温胆湯の症にして往来寒熱する者を治す。
★適応症及び病名
泄瀉:
☆最初より下痢あり、恊熱利に似て熱消し難きものあり、此方を用いて 意外の効を得たり。《橘窓書影》
☆その人、大便不調、邪気忽ち裏に乗じ、便ち煩渇となる。一に平時の 如く稀糞を泄瀉して色敗れず、その色ただ焦黄のみ。これ伏邪裏に伝 え、胃に稽留し能わず、午後に至って潮熱し、便泄瀉となる。加味小 柴胡湯能く之を治す。もし潮熱未だ除かず利止まざる者は「小承気湯」 を以てその余邪を徹するに宜し。《雑病翼方》
加味十奇散《東醫寶鑑》
「当帰・肉桂・人参・黄蓍・川芎・防風・白・桔梗・甘草・乳香・没薬」 各等分を作末し、毎回3銭を温酒で調服。
◎老人・虚弱者の癰疽。膿に成ったか、ならないかに関わらない。
加味十全大補湯[1]《東醫寶鑑》
「十全大補湯柴胡1銭、黄連5分」
◎虚労による気血の衰弱。
加味十全大補湯[2]《寿世保元》《古今方彙》
「十全大補湯附子、沈香、木香、烏薬、牛膝、杜仲、木瓜、防風、羗活、 独活、苡仁」
加味上清丸《東醫寶鑑》
「白砂糖8両、薄荷葉4両、柿霜4両、玄明粉・硼砂・寒水石・烏梅肉各5 銭、片脳5分を作末し、甘草水を煮て膏を作り、実大に丸め、毎回1 丸を茶湯で解かして呑む。
◎声音がなめらかでない。
◎清声・潤肺・止咳・爽気などに有効。
加味承気湯《傷科補要》
「大黄80g、朴硝80g、枳実4g、厚朴4g、甘草20g、当帰4g、紅茶4g、酒 と水各一杯で飲む。」
加味承気湯《万病回春》《古今方彙》
「大黄・芒硝各2銭、枳実・厚朴・当帰・紅花各1銭、甘草5分」酒水にて 煎じる。
◎血内に停りて胸腹脹痛し或いは
◎大便通ぜざる等の症を治す。
加味順気散《厳氏済生方》《古今方彙》
「人参・白朮・茯苓・半夏・青皮・陳皮・川芎・白・枳殻・桔梗・烏薬・ 細辛・防風・白殭蚕・乾姜・麻黄・甘草・生姜・大棗」水煎す。
◎風はまず気を理し、気順(メグ)れば則ち痰は消え、除ろにその風を理すれば庶(オ オ)くは効を収む可し。
◎気を理すれば気滞・気欝・肩膊麻痛の類を治す。これ七情なり。
加味潤下丸《東醫寶鑑》
「橘紅8両、半夏(擘)2両、を塩湯で煮て乾かした後、天南星・黄芩・黄連 ・甘草各1両を作末して、姜汁に漬け、蒸し餅で緑豆大の丸剤。白湯で50 ~70丸服用。
◎痰火(熱痰)を下降させる名薬。
加味消毒飲《東醫寶鑑》
「人参敗毒散1両に、大黄・蒼朮各1銭を加え剉作し、姜3片、薄荷7葉を 入れて煎服。
◎三陽経に脚気げ流注し、脚踝が赤く腫れる者。
加味生脈散《医学入門》《東醫寶鑑》
「五味子3銭、人参・麦門冬・杏仁・陳皮各2銭剉作1貼し、姜2片、棗5 を入れ煎服。
◎脉がなく、喘促して手足の厥逆のとき。
◎手足厥逆、脉伏し、喘促の者を治す。危殆(キタイ、あやうい)これを以て之を救 う。《古今方彙》
加味朮附湯[1]《東醫寶鑑》
「炮附子2銭、白朮・赤茯苓・炙甘草各1銭半を剉作1貼し、生姜7片・大 棗2を入れ、1日2回、水煎服。
◎中湿の諸症を治す。
加味朮附湯[2]《東醫寶鑑》
「炮附子・白朮各1両、肉豆蔲()2個、木香・炙甘草各5銭を作末し、 毎回2銭に姜3、棗2を入れ水煎服。
◎吐瀉の後、変じて慢驚になり、又は下痢する者。
加味寿星丸《東醫寶鑑》
「半夏(姜製)6両、天南星(炮)3両、朱砂(水飛)1両、琥珀・白礬枯各5銭、 母真珠1銭」作末し、姜汁麺糊で梧子大に丸め、朱砂で衣をつけて、毎 回30~50丸生姜湯で服用。
◎痰がつまり、清神が安定せず、健忘と恍惚を兼ね、手足がだるいとき。
加味正気散《古今方彙》
「陳皮、半夏、厚朴、藿香、蒼朮、芍薬、黄連、木香、檳榔子、枳殻、甘草 (炙)、生姜」水煎。
◎痢にして飲食酔飽によりて得たる者を治す。
加味逍遥散[1-1]《内科摘要》《中薬臨床応用》
=「丹梔逍遥散」
「牡丹皮6g、山梔子6g、柴胡9g、当帰12g、白芍薬9g、白朮9g、茯苓9g、 甘草(炙)3g、薄荷3g(後下)、生姜3g」水煎服。
◎発熱、午後ひどくなる。
◎盗汗、自汗
◎頭痛、目に充血
◎頬の紅潮
◎口乾
◎月経不順
加味逍遥散[1-2]《内科摘要》《中薬臨床応用》
=「丹梔逍遥散」
「牡丹皮6g、山梔子6g、柴胡9g、当帰12g、白芍9g、茯苓9g、炙甘草3g、 薄荷3g(後下)、生姜3g」水煎服。
◎逍遥散証で熱候又は上部に充血症状がある者。《龍野ー漢方処方集》
◎此方は清熱を主として上部の血症に効あり。故に逍遥散の症にして、頭痛面熱、 肩背強ばり、鼻衂などあるに佳なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎肝分の虚火を鎮むる手段なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎下部の湿熱を解す。婦人淋疾、竜胆瀉肝湯などより一等虚候の者に用いて効あ り。
★加味逍遥散(顔面紅潮、四肢倦怠、疲労、発熱盗汗、口乾、嗜臥不眠、手掌煩 熱、不定期な熱感、月経異常)
【腹証】
加味逍遥散[1-3]《女科撮要》《漢方治療の実際》
「《和剤局方》の逍遥散牡丹皮・山梔子各2」
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]頭のふらつき
[2]イライラ:
☆63歳の婦人。
「2年前、胃潰瘍で吐血し、入院したことがある。1ヶ月前に風邪を引き、頭重・全身倦怠・肩こり・のぼせ・悪寒・便秘・発汗などがあり、イライラするという。食欲は普通、ゲップが出る。
初診時には血圧が(140-90)。以前は低血圧であったとのことである。脈はやや弱く、腹を診てみると、軽度の胸脇苦悶が認められた。。舌にコケはない。
加味逍遥散エキスを15日分服用すると、諸症状が好転し、血圧も(120-80)となり、続けてさあ飲んだところ、経過はますます良好となった」《矢数圭堂》
[3]胃潰瘍
[4]咽喉神経症
[5]咽喉痞塞感
[6]陰戸腫
[7]陰部掻痒症
[8]ウツ病(鬱病)
[9]悪寒:<背部>
[10]往来寒熱:
☆此方の症にして寒熱甚だしく胸脇に迫り、嘔気等ある者は、「小柴胡 湯山梔子・牡丹皮」《勿誤薬室方函口訣》
[11]怒りっぽい
[12]外陰部(膣口)の腫痛
[13]咳血
[14]疥癬:
☆男子婦人遍身に疥癬の如きを発し、甚だ痒く諸治無効の者:「四物 湯」《勿誤薬室方函口訣》
[15]下肢疼痛
[16]鵞掌風:「地骨皮・荊芥」《華岡青州》
[17]喀血
[18]肩こり
①血の道症。
②のぼせ、頭痛
③めまい
④足が冷える。
☆血の道症で、いつも申分が絶えず、のぼせ、頭痛、肩凝り、めまい、 足冷などのある者に用いる《大塚敬節》
☆月経不順、帯下などの婦人病の症状があって、肩凝りを訴える者に用 いる《大塚敬節》
[19]過敏性大腸症候群
[20]肝炎
[21]肝硬変:<初期>
[22]肝臓肥大:<腫大>
[23]肝斑:
☆若い婦人の肝斑に有効《大塚敬節》
☆33歳未婚婦人。肺結核の既往歴あり。2年前過労と心労のため、不 眠症と食欲不振に悩まされ、手当たり次第に新薬を飲んだ。そのため か鼻翼の左右の低いところに大きな茶褐色の斑点が出来た。ところが その冬にスキーに行ったところ、斑点の色が濃くなり、ひどく人目を 引くようになり、医師の診察を受けると肝斑と云われ、その指示通り に手当を受けたが、斑点はますます拡大し、鼻と上唇との間にも、ひ げ剃りの痕のような斑点が出来た。
月経は順調だが、始まる前日に下腹痛がある。
私はこれに加味逍遥散を与えたが、1ヶ月の服用で斑点の着色が薄 れて人目を引かなくなり、疲れが減じ、勤務に出ても、あまり疲労を 感じないようになった。《大塚敬節》
☆42歳女性。卵巣嚢腫で手術の既往歴あり。2週間前にジンマシンが 出たが、それは数日で治った。1年ほど前よりこめかみの部分と前膊 に肝斑がある。便秘の傾向がある。喫煙が多い。月経は順調である。
私はこれに加味逍遥散を与えたところ、2ヶ月余りで、肝斑は消失 し、眉間に、ハタケ(顔面白癬)のようなものが出来た。そこで加味逍 遥散荊芥地骨皮を用い、これも1ヶ月足らずで全治した。《大塚敬 節》
[24]感情不安定
[25]眼精疲労
☆眼痛、頭痛、めまい、冷えのぼせ、不眠、疲れやすいなそ女性で愁訴の多いもの(漢方診療医典)
[26]顔面紅潮
[27]気の上衝<>
[28]逆上感 :<午後から>
[29]胸脇苦満<軽>
強皮症
☆種々の精神神経症状のある者に、加味逍遙散四物湯を長期間服用させるということがある(漢方診療医典)
[30]月経異常
[31]月経困難
[32]月経前緊張症
[33]月経不順
[34]眩暈
[35]肩背強急
[36]口乾
[37]口苦
[38]口内炎:
☆口舌爛瘡する者:茄子の黒焼きを塗布し、本方を内服する。
[39]高血圧
[40]更年期障害
[41]骨盤腹膜炎
[42]恐がり
[43]腹脹痛
[44]瘡
[45]産後の口内炎
☆産前産後に口内・舌にビランを生じ痛む。《中医処方解説》
☆産前後、口舌赤爛し痛する者:
<1>実証:「麦門冬湯石膏」「三黄石膏湯」
<2>虚実の間:加味逍遥散
<3>虚証:「附子湯当帰」《先哲医話》
☆産前後の口赤爛する者に効あるは、虚火上炎を治すればなり《勿誤 薬室方函口訣》
☆産前産後の舌が荒れる:「連翹桔梗」《目黒道》
[46]産後の便秘
[47]散大眼:
☆「密蒙花・五味子磁石丸」《備急千金要方》」
[48]残尿感
[49]色素沈着
[50]子宮内膜炎
[51]四肢倦怠・疲労
[52]湿疹:
☆貧血ぎみで足腰が冷える者の、慢性化し、乾燥してかゆみのあるもの。
☆血虚熱あり、遍身痒、あるいは口燥咽乾、発熱盗汗、食少に臥を嗜 み、小便渋滞などの症を治す。《雑病翼方》
☆身体掻痒とは周身かゆくなりて後には血の出るほどに掻てもまだ飽き たらず思うて掻く。是を身体掻痒という。一症には敗毒散あるいは川 芎茶調散の類よけれども、これらにて効無き時は加味逍遥散を用ゆべ し。是にて効をとること多し。是は肝経の欝熱より生ずるなり。故に 逍遙散にて効あるなり。《療治経験筆記》
[53]十二指腸潰瘍
[54]手掌角皮症
[55]手掌煩熱
[56]手術後の不定愁訴
[57]出血
[58]処女及び寡婦の気鬱病
[59]小便淋瀝(女子)
[60]小便:<色濃い>
[61]逍遥性熱感
[62]しろなまず(白癜風)
[63]嗜眠
[64]自律神経失調症
シミ:
☆41歳主婦。
「やせ形で貧血気味。頬にシミがたくさんある。1年前から月経が不順で、生理のないときに不快症状が起こる。頭がガンガンしてめまいがして、首筋が凝り、車に酔いやすく、不快なときは全身に流れるほど汗が出て、気分が悪くなる。少しのことにも腹が立ち、興奮しやすく、物事が気になって仕方がない。脈は普通。みずおちの当たりは薄く緊張している。
加味逍遥散を与えてみると、10日ほどで諸症状が好転し、40日分の服用で顔色もすっかり良くなり、シミも取れて、月経も順調になった。《矢数道明》
ジンマシン:
☆この方に四物湯を合したり、地骨皮、荊芥を加えたりしてジンマシン ・湿疹・頑癬に用いる《大塚敬節》
☆血風(ジンマシン)の症に加味逍遥散または四物湯に荊芥を加えて用いるこ とあり、痒きこと甚だしき者によし。《疎註要験》
☆43歳女性。10ヶ月前からジンマシンで出て、治らない。夕方から 夜間にかけて特にひどく出る。その他の症状は、足がだるく、のどが 乾く、大便は快通しない、尿中のタンパクは陰性、ウロビリノーゲン 反応は正常、月経は2年前から止まっている。腹診すると、右に胸脇 苦満が少しある。
そこで十味敗毒湯を与えた。10日間服用したが、何の反応もない。
そこで加味逍遥散四物湯を用いたところ、1週間後にはジンマシン は出なくなった。ところが服薬を中止すると又出るので、2ヶ月ほど 連用したところ、全治した。《大塚敬節》
☆44歳女性。平素から胃が弱く、便秘する。2ヶ月前からジンマシン で、夜間になると、全身に出て痒い、そのため安眠が妨げられる。医 師から注射をしてもらったが、よくならない。
私はこれに加味逍遥散荊芥地骨皮を与えた。加味逍遥散四物湯 を考えたが、この患者は胃腸が弱いので、地黄を考慮して四物湯を入 れなかった。これを飲むと大便が快通し、頭が軽くなり、5、6日た つと、ジンマシンが出たり消えたりするようになり、2週間ですっか りよくなった。《大塚敬節》
[65]心悸亢進
[66]心下痞
[67]神経症:(ヒステリー)
☆流産後や卵管結紮後に起こる各種の神経症状。
☆37歳女性。主訴、上逆、心悸亢進、意識障害。
11年前に人工妊娠中絶のため、掻爬術を2回受けたところ、それか ら、上衝、眩暈などが起きた。しかしこれらの症状は間もなく治った。 ついで10年前、卵管結紮の手術を受けたところ、その2年後から、 月経過少となり、結婚前には1週間ぐらいあった月経が1日しか見ら れなくなった。更にその1年後から、上衝や身体の震え、下ぬん、腰 痛、不眠、手のシビレ感などが起こり、肩背が甚だしく凝り、疲れや すく、しばしば不安になって、気が狂いそうな気持になった。女性ホ ルモンの注射を受けると、生き返ったように楽になったが、最近はそ れも効果がなくなった。また月経の際はことに症状が激しく、しばし ば興奮状態になり、正常な意識がなくなって、異常なことを口汚く口 走ると言う。
患者は、体格中等、肉つきはやや肥満、筋肉は軟弱、風邪を引きや すく、のぼせ症で疲れやすい。
脈は沈で右やや弦、腹部は心下部に抵抗圧痛があり、下腹が他覚的 に冷たい。
性格は温和だが、小心で、敏感、物事を気にしやすく、心配性であ る。これに加味逍遥散を投与したところ、1ヶ月後には全般的に好転 し、月経時に興奮状態を呈することはなくなった。
しかし、6/7日、悪心・食思不振・腹痛を覚え、某病院に受診し、 急性肝炎と診断された。この際は《大塚敬節》の茵蔯蒿湯の投与を2 0日間受けて全治した。
また、7、8年来、月経量は少なく、コーヒー滓様の固形のおりも のがあったのが、6月頃から経血は正常になり、2~3日間あるよう になったと言う。
9月下旬、大体調子は良いが、ときに具合が悪くなり、手がシビレ、 身体が硬くなり、夜中や早朝、目が醒め、気分が悪いと云う。
12月下旬、疲れは無くなったが、月経時に違和感があると訴えた。
その後も時々服薬を続けているが、日常生活は順調である《山田光胤》
[68]神経性胃炎
[69]神経性下痢
[70]頭痛:
☆血の道症の片頭痛。
☆頭が痛いというより重い感じが強く、同時に肩こり、めまい、月経 異常などがある。
☆血の道症の患者にみられる、のぼせ、頭痛、肩凝り、めまい、月経不 順などの有る者によい。便秘している者に用いて、大便を快通せしめ る力がある《大塚敬節》
☆頭が重いとか、頭に何かかぶさっていると訴える者に良い。《大塚敬 節》
☆28歳女性。3回妊娠中絶をしたという。主訴は頭痛で、いつも頭が 重く、肩が凝り、欠伸が出て、疲れやすく、仕事をする気力がないと 云う。大便は快通せず、下剤を飲むと腹が痛んで、渋り腹で、気持が 悪い。月経不順で、月経時に腹痛を訴える。
加味逍遥散を与える。これを飲むと、大便が気持ちよく出て、肩凝 りも頭痛も良いが、何となくサッパリしない。1ヶ月ほどたってから、 加味逍遥散に香附子3.0を加えたところ、1ヶ月ほどで、頭痛を忘れ、 からだがしっかりして、仕事がしたくなり、家庭が明るくなった。《大 塚敬節》
[71]舌質<紅>
[72]舌苔<微白~黄>
帯下:
☆当帰芍薬散で帯下が減少するが、今一歩というところで、全治しない 者に用いる《大塚敬節》
☆28歳主婦。約6ヶ月前から、黄色帯下をみるようになった。以前か ら月経時に下腹痛のあることが時々ある。特に大病にかかったことは ない。
体格は小柄で、肉付きは痩せ型、体質は冷え症、顔色蒼白で冴えな い。帯下は染色鏡検では雑菌しか認められない。理学的診断上、胸腹 部に著変を認めない。
脈小にしてやや弦。腹部は肉付き少なく、心下部に振水音を認める。 両側腹直筋攣急(特に右側が強い)し、左臍傍の動悸が亢進し、下腹 部が他覚的にも冷たい。
物事にこだわらない性格で、病気についての訴えも少ない。
経過。腹直筋の攣急と月経痛を目標に、当帰建中湯桂枝茯苓丸を3 週間投与したが、無効。当帰建中湯のみを2週間投与し、足の冷えが 好転したという。下腹の冷を目標に、当帰芍薬散に転方し、3週間投 与、帯下がやや薄くなったという。そこで加味逍遥散にしたところ、 帯下は急速に減少し、1週間後には帯下はほとんど消失したと言う。 《山田光胤》
☆帯下白き者には加味逍遥散白鶏冠花。帯下赤き者には加味逍遥散 赤鶏冠花を用いよ。《香月牛山》
[73]多夢
脱毛症:
☆抜け毛が多くて困るという婦人に用いて、効を得たことが数例ある。 《大塚敬節》
☆肝斑(シミ)があって、毛が抜けて困るという婦人に、これを用いて、 3ヶ月ほどで肝斑も良くなり、毛も抜けなくなった。《大塚敬節》
[74]胆嚢炎
[75]痰に血が混じる
[76]血の道症:
☆イライラして怒りっぽく、熱感と悪寒が交互に現れ、手足が不快にほ てり、顔面紅潮、頭重、めまい、寝汗、不眠、全身倦怠感、食欲不振 などの不定愁訴がある者。
☆27歳女性。10ヶ月ほど前に、死胎を分娩し、その後、頭痛、めま い、動悸、不眠、肩凝り、便秘を訴えるようになった。月経は不順で ある。体格中等度で、栄養も血色も悪くない。
私はこれに加味逍遥散15日分を与えた。これを呑むと、気分が軽 くなり、頭痛も、めまいも忘れた。便通も毎日つくようになり、治っ たように思った。
そこでしばらく休薬していたが、また頭痛がするようになったから といって、1ヶ月分の調剤を乞うた。こんなことを繰り返して、しっ かり全快した。《大塚敬節》
登校拒否
☆虚弱な体質の女子で、精神不安、憂うつ感などの精神神経症状があり、脈も腹も緊張が弱く、腹診上、軽度の胸脇苦満を認めるものを目標に用いる。血徴候あるいは月経異常が見られることが多い(漢方診療医典)
[77]凍瘡:《方読便覧》
[78]動脈硬化症
[79]にきび:
☆(月経前に増悪する)
[80]乳ガン:
☆初起に。《方読便覧》
[81]乳腺症
[82]乳房が張って痛む
[83]乳裂:
☆産後ごとに乳裂を患う者:茄子の裂けたものを焼いて灰にし、(研末) 水調して乳首に塗布する。そして加味逍遥散を内服する。《方読便覧》
[84]尿道炎
[85]ねあせ(盗汗)
[86]ノイローゼ:
☆虚弱な婦人で、頭痛、頭重、肩こり、のぼせ、めまい、不眠、動悸、 足腰の冷え、月経異常を訴える者。
[87]のぼせ:
☆のぼせはさほどひどくは無いが、肩こり・頭痛・めまい・不安感など ある者《大塚敬節》
[88]白帯
[89]バセドウ病
☆バセドウ病にかかると、月経不順になり、血の道症のときに見られるような精神症状を訴える者がある。めまい、肩こり、動悸、耳なり、のぼせ、足冷、頭重などのあるものによい。(漢方診療医典)
[90]発熱
[91]煩熱
[92]冷え症
[93]冷えのぼせ
[94]微熱(原因不明の)
[95]皮膚炎
[96]肥満:
☆肥満しているのに貧血気味で、顔色が冴えず、頭痛、肩こり、不眠を 訴える者。
[97]疲労倦怠
[98]不安感
[99]不定愁訴:
☆不定期の熱感
☆加味逍遥散は、年中、肩が凝るとか、頭が重いとか、めまいがすると か、足が冷えるとか、ぼせるとか、とかく訴えのたえない者に用いる。 《大塚敬節》
[100]不妊症:
☆結婚後6年間妊娠しない婦人に、頭痛、肩凝りを目標に用いたところ、 3ヶ月で妊娠し、それから連続して3人の子供が産まれ、もういらな いと苦情を云われたことがある。《大塚敬節》
[101]不眠症:
☆(眠りが浅い、夢が多い)
[102]浮腫
[103]吻瘡:
☆「地骨皮・荊芥」《方読便覧》
[104]便秘:
☆便秘の特徴:
①ケイレン性便秘。
②細い、こまぎれ、コロコロ便。
③しぶり腹。裏急後重。
☆大便秘結して朝夕快く通ぜずと云う者、何病に限らず此方を用いれば 大便快通して諸病も治すと云う。《勿誤薬室方函口訣》
☆平素胃が弱い女性。みずおちがつかえて鈍痛があり、おくびが出る。 それにときどき頭痛が来る。大便は軟くて、毎日ある。
半夏瀉心湯を与えたところ、胃のつかえや鈍痛は良くなったが、こ んどは便秘してジンマシンが出るようになった。そこで加味逍遥散 荊芥地骨皮を与えたところ、7日分を飲み終わらないうちによくなっ た。《大塚敬節》
☆婦人の患者で、大便が快通せず、大黄を用いると、少量を与えても腹 痛を起こして下痢する者がある。このような患者に、この方を用いる と腹痛を起こさないで自然便のように大便が快通する。《和田東郭》 はこの方に阿膠を加えて用いている。《大塚敬節》
☆1病婦、微熱があり、種々の雑症を患って4、5年も治らない。そこ で、大便秘結の傾向があるのみ眼をつけて、この方に阿膠を加えて用 いたところ、4、5年の痼疾がウソのように忘れるように治った《津 田玄仙》
☆1老婦、子を失った悲嘆ののち、腰が痛んだり、脚が痛んだりして歩 くことが出来なくなり、時には何も食べない日があり、大便は石のよ うに硬くて秘結し、或いは頭痛がしたりめまいgあしたり、卒倒した りして一定の病症がない。脈を診ると、微数で2年も治らない。そこ で大便が石のようだというところを目標にして、この方を用いたとこ ろ30貼ばかりで大半治った《津田玄仙》
☆これには別に下剤は入っていないのに、これで気持ちの良い通じのつ くことがあり、大黄の入って薬方で通じをつけると、腹の痛むような 便秘に用いる。《大塚敬節》
[105]ほてり
[106]膀胱炎
[107]膀胱神経症
[108]発作性自汗
[109]発作性灼熱感
[110]発赤
[111]慢性胃炎
[112]慢性肝炎:
☆疲労しやすく、手足だるく、頭重、めまい、不眠、怒りっぽい者。
☆体がほてる、顔面が紅潮することがある。
[113]慢性子宮内膜炎
[114]慢性頭痛
[115]慢性膀胱炎
[116]水虫
[117]無気力
[118]めまい(眩暈)
[119]ゆううつ(憂鬱)
[120]腰痛症
加味逍遥散[2]《和田東郭》
「《和剤局方》の逍遥散地黄・阿膠」
「加味逍遥散阿膠」
◎血虚、発熱止まず、労を成すを治す。
◎《張氏医通》に云う、もし室女、経水不調ならば、尤も当に開鬱を主と為すべ しと。此方ずなわち是なり。《雑病翼方》
加味逍遥散[3]《東醫寶鑑》
「牡丹皮・白朮各1銭半、当帰・赤芍・桃仁・貝母各1銭、山梔子・黄芩各8 分、桔梗7分、青皮5分、甘草3分」を煎服。
◎痰の中に血がまじる。
加味逍遥散[4]《医貫》《古今方彙》
「柴胡・芍薬・牡丹皮・陳皮・茯神・当帰・白朮・貝母各1銭、薄荷7分、 黄連5分」。毎両呉茱萸2銭、水に拌ぜて用いる。焦色に入り合して用う。
◎欝症にて瘧に似る者を治す第一の薬なり。
◎その寒熱は正瘧と異なることなし。但しその人、口苦く、青水或いは苦水を嘔 吐し、面青く脇痛み、耳鳴り、脉なり。
加味逍遥散合四物湯《漢方治療の実際》
「加味逍遥散川芎・地黄各3」
加味升陽除湿湯[1-1]《済世全書》《勿誤薬室方函》
「防風・芍薬各1銭半、茯苓・葛根各1銭、紫蘇葉・山楂子・独活・木香・ 乾姜・桂枝・生姜・蒼朮各1銭」
◎下利、大便裏急後重し、しばしば厠に至って便する能わざるを治す。
◎赤白膿血に拘わらず慎みて之を利する勿れ、その陽を升せば則ち陰火自ずから 退く。
◎此方は「桃花湯」「白頭翁湯」の“後重”にも非ず。
◎「大柴胡湯」「四逆散」の“裏急”にも非ず。
◎一種湿熱より来る処の類痢にて裏急後重する者に効あり。
◎後世、痢疾の初起後重甚だしきに、ただの升陽除湿湯を用いれども効なし。此 の場合は葛根湯にて発汗すれば後重ゆるむ者なり。《勿誤薬室方函口訣》
加味升陽除湿湯[1-2]《済世全書》《古今方彙》
「防風・芍薬(酒炒)各1銭半、茯苓・白朮・蒼朮・乾葛各1銭、甘草(炙)5 分、生姜」水煎。
◎下利にて大便裏急後重、数々厠に至り而して便する能わず、赤白膿血に拘わら ず慎んで之を利する勿れ、その陽を升せば則ち陰火は自ら退く。
◎冬には:「桂枝、紫蘇葉、柴胡、山楂子、木香、羗活、乾姜」
◎食積には:「麦芽」
加味除湿湯《東醫寶鑑》
「半夏・厚朴・蒼朮各1銭2分、藿香・陳皮・赤茯苓各7分、木香・桂皮・ 甘草各5分、生姜3片、大棗2片」空腹時に、水煎服。
◎下痢が黒豆汁のようなときに。
加味如神散《済世全書》《古今方彙》
「破故紙(酒)、小茴香(塩)、延胡索、当帰、牛膝、杜仲、黄柏(酒)、知母(酒)、 肉桂、生姜」煎服。
◎男婦一切の腰痛を治す。
加味神効括樓散《寿世保元》《古今方彙》
「括楼仁1個、白・括楼根1銭半、玄参・当帰尾・延胡索・連翹各2銭、 桔梗・柴胡・青皮・知母・木通・穿山甲各1銭、木鱉子2個、川芎8分、 升麻5分」水煎。
◎乳腫れて痛みを作し、癰毒を成らんと欲する者を治す。
加味腎気円(一名牛車腎気丸)《勿誤薬室方函》
「腎気丸牛膝・車前子」
加味腎気丸《東醫寶鑑》
「炮附子2両、白茯苓・沢瀉・肉桂・牛膝・車前子(炒)・山薬・山茱萸・牡 丹皮各1両、熟地黄5銭」作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に米飲で70 ~100 丸呑む。
◎腎が弱って水が運行せず、浮腫になった者。
加味腎気丸《厳氏済生方》《古今方彙》
「附子(炮)2両、白茯苓・沢瀉・山茱萸・山薬・車前子。牡丹皮各1両、肉 桂・牛膝・熟地黄各半両」作末し蜜丸にし、毎服70丸、空心に米飲にて 下す。
◎後人は「金匱腎気丸」と名づく。
◎腎虚にて腰重く、脚腫れ、小便不利するを治す。
◎《薛立斎十六種》には茯苓・熟地黄各4両附子5銭、余の薬は各1両。補中益 気湯と兼ねて用い、脾腎虚して腫脹するを治す。宜しく《薛氏》の案を考うべ し。
加味清胃散[1]《寿世保元》《古今方彙》
「当帰尾・生地黄・升麻・黄連・防風・石膏各等分」水煎。
◎一切の牙歯腫痛するを治す。
◎帯顴額半辺(=ひたいやこめかみ)が痛む者:「防風白羗活細辛」
(顴=ケン、ほおぼね)
◎牙脱し而して血を出す者:「柏葉黄芩荊芥山梔子」
◎虚損にして牙痛する:「黄柏知母人参甘草」
◎満口浮き而して痛みて嚼む力能わざる者:「連翹玄参芍薬」
◎小児の牙疳:「括楼根玄参白」
◎醇酒、厚味にて痛みを作し、或いは歯潰爛する:「犀角連翹甘草」
◎胃寒にて刺痛する:「草豆蔲細辛防風牡丹皮」
加味清胃散[2]《中薬臨床応用》
「牡丹皮6g、生地黄15g、当帰6g、黄連3g、牛膝6g、生甘草3g」水煎服。
◎歯根の腫痛
加味青蛾元《東醫寶鑑》
「破故紙6両(脂麻と同時に炒って、色が変わると脂麻は捨て)、杜仲6両、 姜汁(浸炒)・胡桃肉・沈香・玩薬各3両を作末する。肉蓉6両を酒に つけて膏を作り、薬をまぜてついて梧子大の丸剤。温酒又は塩湯で50~ 70 丸服用。
◎風寒と血気との相搏による腎腰の痛み。
加味青洲白元子《東醫寶鑑》
「白附子・天南星・半夏・白姜各2両、天麻・全蝎・白彊蚕各1両、川烏5 銭」を作末し、姜汁麺糊で梧子大の丸剤。姜湯で50~70丸随時服用。
◎中風の壅塞・斜・。(→病状:卒中)
加味清心飲[1]《東醫寶鑑》
「蓮肉・白茯苓各1銭半、益智仁・麦門冬・遠志・人参各8分、石菖蒲・車 前子・白朮・沢瀉・甘草各5分、灯心20」
◎心熱による小便の赤濁。
加味清心飲[2]《寿世保元》《古今方彙》
「白茯苓・蓮肉各1銭半、益智仁・麦門冬・人参・遠志・石菖蒲・車前子・ 白朮・沢瀉・甘草各1銭、燈心草20茎」水煎。
◎心中客熱、煩躁、赤濁、肥脂(尿の上にギラギラと油が浮く)を治す。
◎熱あれば:「薄荷(少許)」
加味銭氏白朮散《東醫寶鑑》
「乾葛2銭、人参・白朮・白茯苓・藿香・甘草各1銭、木香・柴胡・枳穀・ 五味子各5分」水煎服。
◎消渇で食べられないのを治し。又消中を治す。
加味銭氏白朮散《仁斎直指方》《古今方彙》
「銭氏白朮散枳殻、五味子、柴胡」
◎消渇にて食する能わざるを治す。
加味蒼朮膏《東醫寶鑑》
「蒼朮10斤をついて鍋に入れ、水2桶を強火で煎じ、10杯ぐらいになった ら絹で濾過して汁をうつして、人参・生地黄・熟地黄・黄柏・遠志・杜仲 ・川芎・胡桃肉・川椒・破故紙・当帰・姜汁各4両、青塩2両、朱砂1両、 旱蓮草汁2椀、白蜜2斤。各薬末を朮膏内に入れて鍋に入れ、固く封じて 水で煮て、7日間埋めておいて、毎回2~3匙、空腹時に温酒で、1日2回 服用。」
◎長期間常服すると、精満・気盛・髪は黒くなり・歯が更生する。
加味蒼柏散《東醫寶鑑》
「蒼朮1銭、白朮8分、知母・黄柏・黄蓍各6分、当帰・芍薬・生地黄各4 分、木瓜・防已・檳榔・羗活・木通・牛膝各3分、甘草1分、生姜3片」 水煎服。
◎湿熱脚気でいざりになる者。
加味蒼柏散《医学入門》《古今方彙》
「蒼朮1銭、白朮8分<湿を去る>、知母・黄柏・黄芩各5分<熱去る>、当帰 ・芍薬・生地黄各4分<血を調う>、木瓜・檳榔子<気を行らす>、羗活・独 活<関節を利し、風湿を散ずる>、木通・防已・牛膝<薬を引きて下に行ら し腫湿を消す>、各3分、甘草<和薬>1分、生姜」煎じ温服。
◎痰あれば:「竹瀝姜汁」
◎大便実すれば:「桃仁」
◎小便渋る:「牛膝」
加味太乙膏[1]《外科正宗》
「肉桂・白・当帰・玄参・赤芍・生地黄・大黄・土木鼈各80g、真阿魏12 g、軽粉16g、槐枝・柳枝各100本、乱髪霜40g、東丹160g、乳香末12g、 没薬末12g、真胡麻5斤」
加味太乙膏[2]《外科正宗》《漢方医学概論》
「肉桂・白・当帰・玄参・赤芍薬・生地黄・大黄・土木鱉各2両、真阿魏 3銭、軽粉4銭、槐枝・柳枝各100本、血余1両、東丹40両、乳香末3 銭、没薬末3銭、真麻油5斤」
先ず肉桂・柳枝などの10味を油に浸す(春5日間・夏3日間・秋7日間・ 冬10日間)薬ごとに清潔な大鍋に移し、とろ火で煮て、薬が枯れて浮き 上がったら火を止める。布袋で薬の滓を濾過し、油鍋を綺麗に拭き、さら に細かい古絹で油を鍋内に濾過して入れる。透明なほど良い。それから血 余を加え、とろ火で血余が浮き上がるまで煮て、膏が熔化したような状態 になれば、油はすでに熟しているからこれを水に滴らすと珠のようになる。 熟油1斤につき東丹(水飛)6両5銭を徐々に加え(夏秋は暑いので5銭多 く加える)、火力を強め、柳の棒で手を休めずにかき混ぜ、鍋内に初め青 い煙が昇り、のちに白い煙が出るまでしばしば回すと、膏が出来上がる。 膏を水中に滴下させて硬軟を試し、膏が薄ければ東丹を加え、膏が堅けれ ば熟油を加え、次第に火を強めてさらに煮て、硬軟を適度にする。煙が出 なくなり火から離した後、阿魏を膏面に薄く散らして敷くようににし、全 部溶けたら、さらに乳香・没薬・軽粉を加えてまんべんなくかき混ぜ、水 の中に傾けて入れ、柳の棒でかき混ぜて一塊とし、冷水を換えてこれに浸 して貯蔵しておく。
加味大承気湯(天津市南開医院)《中薬臨床応用》
「厚朴15~30g、莱服子(炒)15~30g、枳穀15g、桃仁9g、赤芍15g、大黄15g (後下)、芒硝9~15g(冲服)水煎服。」
◎急性の機能性腸閉塞。
加味大七気湯《勿誤薬室方函》
「大七気湯蘇木・紅花・呉茱萸」
大七気湯=三稜・莪朮・桔梗・桂枝・橘皮・藿香・甘草・莎草・益智仁。
◎気鬱・経閉・腹満を治す。
加味大醒脾散《寿世保元》《古今方彙》
「人参、白朮、茯苓、陳皮、丁香、木香、天南星、全蝎、天麻、白附子、山 薬、蓮肉、菖蒲根、肉豆蔲、砂仁、甘草、生姜、大棗」煎服。
◎小児慢脾にて内虚して昏迷醒めざるを治す。
加味大補湯《東醫寶鑑》
「黄蓍(蜜炒)・人参・白朮・白茯苓・当帰(酒洗)・川芎・白芍・熟地黄各7 分、烏薬・牛膝(酒洗)・杜仲(酒炒)・木瓜・防風・羗活・独活・苡仁各 5分、附子(炮)・沈香・木香・肉桂・甘草各3分、生姜3、大棗2」水煎 服。
◎左右の。
加味調中益気湯《東醫寶鑑》
「黄蓍(蜜炒)1銭、羗活・黄柏・甘草各7分、陳皮・当帰・川芎各5分、木 香・升麻・柴胡・細辛・蔓荊子各3分」水煎服。
◎気血ともに弱い頭痛。
加味調中飲《傷寒六書》《古今方彙》
「蒼朮・厚朴・陳皮・白朮・山楂子・神麹・枳実・草果(麩炒)・黄連(姜炒) ・甘草・乾姜(炮)・生姜」煎服。
◎食積、傷寒に類し、頭疼・発熱・気口の脉(左手寸口と關上の中間の脉)緊盛、 倶に身痛まず、此れと異なるとなすのみ。この湯に宜し。
【加減方】
<1>腹中痛む:「桃仁」。
<2>痛み甚だしく大便実熱:大黄を加えてこれを下し、「山楂子・草果・乾 姜・神麹・生姜・大棗、竹瀝・生姜汁」。
加味通心飲《東醫寶鑑》
「瞿麦・木通・山梔子・黄芩・連翹・枳穀・川楝子・甘草各2銭、を剉作し て灯心20茎・車前草5葉と同時に煎服。」
◎小腸の疝気で熱痛し、小便不通の者。
加味定志丸《東醫寶鑑》
「白茯苓3両、遠志・石菖蒲各2両、人参1両、琥珀・欝金各5銭」を作末 し、梧子大に蜜で丸め、朱砂をつけて米飯で、30丸ずつ服用。
◎痰による驚悸。
◎痰で苦しみ心膈が驚悸するとき。
加味導痰湯[1]《傷寒六書》《古今方彙》
「半夏1銭、天南星・茯苓・枳実各8分、黄芩・白朮・陳皮・黄連・括蔞仁 各5分、人参3分、甘草2分、桔梗4分、生姜・大棗」煎じ服るに臨んで 「竹瀝・姜汁」を入れ同じく服す。
◎憎寒壮熱、頭痛、昏沈迷悶、上気喘急、口に涎沫を出す。これ内傷により七情 痰を致すを以て心竅に迷いて神舎を守らず、神舎を出て空空として痰生ずるな り。鬼祟の如き症なり。
加味導痰湯[2]《寿世保元》《古今方彙》
「陳皮、半夏、天南星、枳実、茯苓、木香、沈香、甘草、生姜」水煎。
◎痰欝して胸膈不利し痰嗽出でず、脇肋痛み或いは喘満気急、脈沈滑なるを治す。
加味導痰湯[3]《寿世保元》《古今方彙》
「陳皮、半夏、茯苓、白朮、香附子、青皮、黄芩、黄連、括楼仁、砂仁、甘 草、生姜」水煎。
◎気の声が外に聞こえるは、気に因り胸膈が悶え痰ありて舌黒し、乃ち痰の症 なり。
加味二陳湯[1]《東醫寶鑑》
「半夏(姜製)・赤茯苓(塩水炒)・山梔子(炒黒)各1銭半、陳皮・白朮・桔梗 ・升麻(酒炒)・柴胡(酒炒)・甘草各1銭、石菖蒲7分、黄柏・知母各3分、 生姜3斤」空腹時に水煎服。
◎湿痰による遺精に。
加味二陳湯[2]《東醫寶鑑》
「半夏・陳皮・赤茯苓・枳穀・桔梗各1銭、黄芩・山梔子各7分、紫蘇子・ 白豆蔲仁・甘草各5分、姜3片」
◎気痰が咽喉につかえて梅核気。
加味二陳湯[3-1]《東醫寶鑑》
「半夏(製)・陳皮・白茯苓・当帰・枳実・桔梗・杏仁各1銭、良姜・縮砂各5 分、木香・桂皮・甘草各3分、姜5片」
◎痰厥を治す。
加味二陳湯[3-2]《万病回春》《古今方彙》
「陳皮・半夏・茯苓・当帰・枳実・桔梗・杏仁各1銭、良姜・砂仁各7分、 木香・肉桂・甘草各3分、生姜」水煎。
◎痰厥し運倒するを治す。
◎気逆には:「紫蘇子」
◎元気虚弱には:「枳実」
加味二陳湯[4]《東醫寶鑑》
「二陳湯《和剤局方》枳穀・桔梗・黄芩・山梔子・紫蘇子・白豆蔲各7分 を加え、1貼に生姜3片を入れ煎服。」
◎梅核気を治す。
加味二陳湯[5]《東醫寶鑑》
「二陳湯縮砂1銭、丁香5分」
◎胃が冷え嘔吐する者。
加味二陳湯[6]《万病回春》《古今方彙》
「陳皮・半夏・茯苓・甘草・人参・白朮・竹茹・砂仁・山梔子・麦門冬各等 分、烏梅1個、生姜、大棗」水煎し徐々に温服する。
◎痰火にて嘔吐するを治す。
加味二陳湯[7]《万病回春》《古今方彙》
「括楼仁・枳実・茯苓・桔梗・山梔子・陳皮・半夏・天南星・黄芩各1銭、 辰砂・木香各5分、甘草3分、生姜」水煎し、「竹瀝・姜汁」を入れる。
◎《寿世保元》には黄連ありて「加減導痰湯」と名づく。
◎諸て癇は痰涎併せて壅がる。此方に宜し。
加味二陳湯[8]《万病回春》《古今方彙》
「陳皮・半夏・茯苓・枳殻・牛膝・猪苓・山梔子・麦門冬・黄柏(酒)・車前 子・木通各等分、甘草半減、燈心草」水煎。
◎咳喘して小便通ぜざる者を治す。
◎是れ痰気閉塞の致す所なり。
加味二陳湯[9]《寿世保元》《古今方彙》
「陳皮・半夏・茯苓・白朮・蒼朮・砂仁・山薬・車前子・木通・厚朴・甘草 各等分、生姜、烏梅、燈心草」水煎。
◎凡そ痰瀉の者は、或いは痰多く或いは痰少なく、或いは瀉し或いは瀉せず、脈 沈滑なり。
◎瀉止まざれば:「肉豆蔲訶子厚朴」
◎当に「香砂六君子湯」加減を考えるべし。
加味二陳湯[10]《寿世保元》《古今方彙》
「陳皮・半夏・茯苓・黄連(姜炒)・枳実・山楂子・木香・青皮・砂仁・甘草 ・生姜」水煎温服。
◎之を按じて堅く而して軟く塊なきを痞となす。
(按すと堅き様なれど堅くなくて塊もないのを痞という)
◎多く痰気欝結し、或いは飲食停滞する者なり、此方これを主どる。
加味二母丸《東醫寶鑑》
「知母・貝母」を巴豆と炒って黄色くなったら巴豆は捨て、「白礬・白芨」4 味を等分に作末し、姜汁を蜜で混ぜ実大の丸剤。溶かして飲む。又は、 麦門冬・陳皮・阿膠珠を加えても良い。
◎久嗽・労嗽・食積嗽。
加味二妙丸《東醫寶鑑》
「蒼朮(泔浸)4両、黄柏(酒浸)2両、牛膝・当帰尾(酒洗)・・防已・亀 板(酥炙)各1両」作末し、酒麺糊で梧子大の丸剤。空腹時に姜塩湯で100 丸服用。
◎両腕が火にあぶられたようで、徐々に腰胯に及び、麻痺・痿軟する者。
加味人参紫散《東醫寶鑑》
「人参・五味子・紫茸・陳皮・紫蘇葉・貝母・桑白皮・白茯苓・各1銭、 杏仁・甘草各7分半、川芎・半夏麹各1銭、阿膠珠5分を剉作し、1貼に 姜5、棗2、梅1を入れ水煎服。
◎虚労の咳を治す。
加味寧癇湯《浅田家方》《勿誤薬室方函》
「寧癇湯橘皮・茯苓」
寧癇湯=「沈香降気湯《和剤局方》黄連・呉茱萸」。
◎此方は予が家の経験にて、沈香降気湯の症にして一等衝逆甚だしき者を寧癇湯 とす。寧癇湯の症にして一等衝逆劇しく胸中満悶するを此方とす。
◎橘皮・茯苓を加える所以は、茯苓飲《外台秘要方》と同じく胸中を主とするな り。
加味寧癇湯《漢方治療の実際》
「沈香・縮砂各2、香附子3、甘草1.5、呉茱萸2、黄連1、橘皮3、茯苓4」
加味寧神丸《東醫寶鑑》
「乾地黄1両半、当帰・白芍・白茯神・麦門冬・陳皮・貝母(炒)各1両、遠 志(姜製)・川芎各7銭、酸棗仁(炒)・黄連・甘草各5銭」作末し、蜜で緑 豆大に丸め、朱砂で衣をし棗湯で50~70丸服用。
◎心血不足・驚悸・怔忡・健忘・恍惚・一切の痰火。
加味敗毒散[1]《東醫寶鑑》
「羗活・独活・前胡・柴胡・川芎・枳穀・桔梗・赤茯苓・人参・防風・荊芥 ・蒼朮・赤芍・当帰・生地黄各6分、薄荷・甘草各3分、姜3、棗2」水 煎服。
◎瘟疫と発斑を治す。
加味敗毒散[2]《東醫寶鑑》
「人参敗毒散1両に「大黄・蒼朮各1銭」を加え剉作し「姜3片、薄荷7葉」 入れて煎服。
◎三陽経に脚気が流注し、脚踝が赤く腫れるとき。
加味敗毒散[3]《万病回春》《古今方彙》
「柴胡、前胡、羗活、独活、防風、荊芥、薄荷、枳殻、桔梗、川芎、天麻、 地骨皮」
◎初起発熱すれば即ち此の薬を服す。
◎古方では、人参、茯苓を除く。補を早め、火を助くるを恐るるためなり。宜し く、紫草、蝉退、紫蘇葉、麻黄、白殭蚕、葱白、帯根を加え、熱を解し汗を表 すべし。
◎泄瀉するには:「猪苓沢瀉紫草」
加味麹丸《東醫寶鑑》
「蒼朮(姜汁炒)・蕪・便香附・神麹(炒)・梔子(炒)各4両、陳皮(去白)・ 白朮(炒)・黄芩(炒)各1両半、山楂肉(蒸)2両」作末し糊で梧子大の丸剤。 白湯で50~60丸飲む。
◎すべての欝を溶かし、胸膈を開き、食欲を増進させる。
加味白朮散《東醫寶鑑》
「参苓白朮散に陳皮・半夏各1銭を加えて剉作し、1貼に姜3片、桑白皮7 寸を入れ、水煎服。
◎気虚で食欲のない喘息。
加味白通湯
加味八正散《古今方彙》
「沢瀉、木通、車前子、蓄、瞿麦、黄芩、山梔子、厚朴、滑石、大黄、燈 心草」水煎。
◎水腫にて目赤く、口乾き煩渇して飲を引き、小便赤渋、大便秘結し、脈数の者 を治す。
加味八仙湯《万病回春》《古今方彙》
「当帰・川芎・熟地黄・半夏各7分、茯苓1銭、白芍薬・陳皮各8分、人参 ・牛膝・秦艽各6分、防風・羗活各5分、白朮4銭、柴胡4分、桂枝3分、 甘草(炙)4分、生姜、大棗」水煎食遠に服す。
◎手足麻木するを治す。
◎(長く座っているとシビレる・水ぶとり)
加味八脈散[1-1]《勿誤薬室方函》
「猪苓・沢瀉・茯苓・木通・地黄・藁本・山梔子・杏仁・知母・黄柏」
◎鼻に悪臭常にあり、累年癒えざるを治す。
◎此方は鼻淵脳漏の如く臭水を流すに非ず、ただ鼻に一種の悪臭を覚えて如何と もし難き者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎鼻塞香臭を通ぜざる者に用いることあり。
加味八脈散[1-2]《勿誤薬室方函》《龍野ー漢方処方集》
「猪苓・沢瀉・茯苓・木通・熟地黄・杏仁各3.0g、藁本・山梔子・知母・黄 柏各2.0g」
◎鼻悪臭、鼻塞、臭覚障碍。
★適応症及び病名
悪臭性萎縮性鼻炎:
☆鼻腔内萎縮、結痂、悪臭を3大徴候とする《矢数道明》
臭鼻症:
☆真性臭鼻症《矢数道明》
嗅覚消失
蓄膿症
梅毒:
☆婦人の多く青春期に屡々発し、遺伝梅毒と関係がある《矢数道明》
☆梅毒性オツェーナ
鼻づまり
加味八物湯《済世全書》《古今方彙》
「人参・白朮・当帰・熟地黄各1銭半、芍薬・陳皮・麦門冬各1銭、茯苓・ 貝母・括楼仁各8分、川芎・紫蘇葉・知母(酒)・黄柏(酒)各7分、五味子 15粒、甘草4分、生姜」水煎し温服。
◎四肢倦怠、気血虧損、咳嗽吐痰、喘急発熱し自汗するを治す。
加味八味丸《精要》《勿誤薬室方函》
「八味丸附子五味子」
◎癰疽、既発未発にして、渇する者を治す。
加味百合地黄湯《台州方鈴》
「麦門冬・阿膠・百合・乾姜・白朮・地黄・五味子・甘草・桔梗」
◎咳奇方《和田東郭》に同じ。
◎久咳方《医方問要》に同じ。
加味百花膏《東醫寶鑑》
「紫・款冬花・各1両、百部根5銭」を作末し毎回3銭を「姜3片・梅1 個」の煎じ水で、食後の調服。
◎久嗽。
加味七神丸
「肉豆蔲・補骨脂・呉茱萸・木香・白朮・茯苓・車前子」
加味附子理中湯《万病回春》《古今方彙》
「乾姜、官桂、人参、当帰、陳皮、厚朴、白朮、呉茱萸、附子、甘草、生姜、 大棗」水煎熱服。
◎寒に中たり厥し倒れるを治す。
加味附子理中湯《寿世保元》《古今方彙》
「白朮、茯苓、人参、乾姜、附子、砂仁、厚朴、蒼朮、甘草、生姜」水煎。
◎泄瀉にて肚腹疼痛し、四肢厥冷する等を治す。
加味茯苓湯
「人参・半夏(製)・陳皮各1銭半、白茯苓・香附子・益智仁各1銭、甘草5 分、姜3片、大棗梅1個」
◎痰による昏迷・健忘症。
加味茯苓湯《古今方彙》
「白朮3銭、蒼朮2銭、茯苓・当帰・黄芩各1銭、猪苓・沢瀉各8分、芍薬7 分、柴胡6分、升麻・肉桂各5分、甘草(炙・生)各5分」水煎温服。
◎水泄にて注下(水のように下ること)し日夜度無く、小便短少、口渇咽乾、腹中 疼痛、或いは変じて白痢となる者を治す。
(白痢=白色粘液便を下す者。気の障碍によって起こり、下痢で血液が混じな いもの)
加味平胃散[1]《東醫寶鑑》
「平胃散神麹・麦芽(炒)各7分」
◎宿食の消化されない症。
加味平胃散[2]《医方考》《龍野一雄》
「白朮・厚朴・陳皮・茯苓・沢瀉各3g、神麹・大棗・麦芽各2g、乾姜1.5、g 甘草1g」
◎水様性下痢。胃部につかえ・食欲不振・呑酸。
★適応症及び病名
胃カタル
胃弱
腸カタル
加味平胃散[3]《勿誤薬室方函口訣》
「平胃散神麹・麦芽・山楂子」
◎飲食に傷つけられ胸痞、腹脹、脾胃不和を治す。
◎能く宿食を散じ、滞気を除く。
加味平胃散《医方考》《古今方彙》
「陳皮、蒼朮、厚朴、神麹、山楂子、麦芽、甘草、生姜」水煎温服。
◎飲食に傷られ、胸痞し腹脹り、脾胃和せざる者を治す。
◎能く宿食を消し滞気を除く。
加味平胃散《医方考》《古今方彙》
「陳皮、蒼朮、厚朴、神麹、麦芽、甘草(炙)、生姜」水煎。
◎呑酸が食欝に因りて致す所を治す。
加味平胃散《古今方彙》
「蒼朮・厚朴・陳皮・茯苓・神麹・猪苓・沢瀉各1銭、乾姜5分、甘草2分、 生姜」水煎。
◎水瀉を治す。
◎凡そ水瀉の者は澄徹清冷なり。
加味防已黄蓍湯《医経会元》《勿誤薬室方函》
「防已黄蓍湯苡仁・独活」
◎風湿相打ち皮膚に客す。四肢無力・関節煩疼する者。
加味補陰丸《東醫寶鑑》
「黄柏・知母各4両、牛膝・杜仲・巴戟・熟地黄・山茱萸各3両、肉蓉・ 白茯苓・枸杞子・遠志・山薬・鹿茸・亀板各2両を作末し、梧子大の蜜 丸。塩湯で80~90丸呑む。
◎陰虚を補い、陰火を降ろす。
加味補心湯
加味補中益気湯[1]《寿世保元》《古今方彙》
「黄蓍・柴胡・黄芩各1銭、升麻・半夏各8分、陳皮6分、甘草5分、生姜、 大棗」水煎。
◎人、平素不足、兼ねて労役して以て肉を傷つけ、挟(メグ)りて寒暑を感じ、以 て瘧疾を致し、寒熱交錯、肢体倦怠、力乏しく気少なきを治す。
◎瘧を発して経年癒えず、則ち気血皆虚し、瘧邪深く入るは此湯に宜し。
◎汗あるには:「桂枝、黄蓍倍加」
◎熱盛んなれば:「柴胡黄芩倍加」
◎渇あれば:「麦門冬括楼根」
加味補中益気湯[2]《寿世保元》《古今方彙》
「黄蓍・白朮・茯苓各2銭、人参・蘿葡子・厚朴・当帰各1銭、白芍薬1銭 半、陳皮8分、枳実5分、柴胡4分、升麻3分、甘草(炙)2分、生姜」水 煎。
◎水腫、腫脹の症は内傷に因りて而して得たる者か或いは誤りて攻撃殺代の過を 服し以て元気と脾胃の虚損の極を致して腫脹尤も甚だし、これ気血両虚し、腎 水乾涸す。此方を用いる。《金匱要略》の腎気丸を以て兼ね進む。
加味保元湯《万病回春》《古今方彙》
「黄蓍2銭、人参1銭、山梔子・知母各1銭半、甘草5分、麦門冬2銭半」 水煎温服。
◎痘瘡、血痂し而して後に虚煩する者を治す。
加味麻黄湯《奇効良方》
「小青竜湯五味子附子」
◎悪寒発熱し、外因の心痛、五臓を内攻し、拘急して転側を得ず。これ恐らくは 外感、真心痛に非ざるなり。《雑病翼方》
加味養栄丸《東醫寶鑑》
「熟地黄・当帰・白朮各2両、白芍・川芎・黄芩・香附子各1両半、陳皮・ 貝母・白茯苓・麦門冬各1両、阿膠7銭、甘草5銭、黒豆(炒って皮を去 る)49粒を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に温酒又は塩湯で呑む。
◎月経が来る前に、外へ潮熱し、内に煩躁・咳嗽し飲食が減り、頭痛・めまいが し、帯下に血風・血気があって、妊娠出来ない症。胎動不安。
加味養臓湯《東醫寶鑑》
「真人養臓湯附子・青皮・烏薬・茯苓・生姜3・大棗2」
◎休息痢を治す。
加味理中円《三因極一病証方論》《勿誤薬室方函》
「理中湯乾葛・川芎」
◎虚証の衂血。
◎飲酒過多及び炙臠を喰らい熱食し、血を動かし発して鼻衂となる者を治す。
加味理中湯[1]《東醫寶鑑》
「人参・白朮・乾姜・甘草・赤茯苓・半夏・陳皮・細辛・五味子各1銭」を 剉作し、1貼に姜3、棗2を入れ水煎服。
◎肺胃が冷え、咳嗽する者。
加味理中湯[2]《備急千金要方》
「理中湯麦門冬・茯苓」
◎理中湯の症で、咳嗽・吐痰・煩渇・微腫する者。
加味理中湯[3]《東醫寶鑑》
「炮附子・人参・白朮・乾姜(炒)・肉桂・陳皮・白茯苓・炙甘草各1銭」を 剉作1貼して、生姜2を入れ水煎服。
◎痼冷の積寒を治す。
加味理中湯《傷寒六書》《古今方彙》
「乾姜、白朮、人参、甘草、肉桂、陳皮、茯苓、生姜、大棗」服するに臨ん で炙陳壁土1匙を入れ調服。土気を取り持って胃気を助く。
◎足の太陰脾経、症を受け、自利して渇せず、手足温、身に熱無く、脈来ること 沈にして無力、これ蔵寒に属し。法当に裏を温むべし。
◎厥陰消渇、気が心に上衝し、飢えて食を欲せず、即ち食すればを吐し、腹痛 し大便実する者は蜜少しばかりを加え之を理中湯す。
◎本経、腹は濡満、時に減じる者は:「甘草」。
◎本経、嘔吐する者:「半夏、生姜」。
◎本経、踡臥、沈重、足冷え、利止まざる者:少しく附子を加え、利後身体痛む 者は急に之を温む。
◎自利腹痛の者:「木香磨汁」。
加味理中湯《万病回春》《古今方彙》
「人参・白朮・乾姜(炒)各1銭、官桂5分、陳皮7分、甘草(炙)5分、藿香 ・茯苓・良姜各7分、烏梅1個、生姜、大棗、燈心草」水煎。
◎寒瀉の者は悠々腹痛し、瀉は休止なく、色は青く、脈沈遅なり。此方に宜し。
◎寒極まり手足冷え、脈沈細なる:「附子良姜官桂」
◎、悪心に:「丁香半夏良姜官桂」
◎瀉止まざる者:「蒼朮山薬」
◎瀉多く止まざる者:「訶子肉豆蔲附子良姜官桂」
◎虚汗には:「黄蓍藿香官桂」
加味理中湯《万病回春》《古今方彙》
「人参・茯苓・白朮・乾姜・陳皮・藿香・丁香・半夏・砂仁(炒)・官桂各等 分、生姜、烏梅」水煎。
◎胃寒嘔吐、清水冷涎を吐くを治す。
◎寒極まりで手足冷え、脈微、吐して出でざる者:「附子官桂」
◎煩躁には:「辰砂炒米」
加味理中湯《万病回春》《古今方彙》
「人参・白朮・乾姜(炒)・肉桂・茯苓・陳皮・附子各等分、甘草(炙)減半、 生姜、大棗」水煎。
◎痼冷の者は寒の甚だしきなり。此方これを主どる。
加味六君子湯[1-1]《万病回春》《東醫寶鑑》
「香附子1銭半、白朮・白茯苓・陳皮・半夏各1銭、人参7分、木香・縮砂 各5分、甘草3分を剉作し、1貼に姜3、棗2、紫蘇葉7片を入れ煎服。
◎突然、昏倒して口もきけず、四肢も挙げられない。
加味六君子湯[1-2]《万病回春》《龍野一雄》
「香附子6g、茯苓・白朮・陳皮・半夏各3.5g、木香・縮砂各1.5g、大棗・ 人参各2g、甘草・干姜各1g」
◎胃弱・食欲不振・倦怠・微熱疲労・咳痰・下痢。
★適応症及び病名
胃アトニー
胃カタル
胃拡張
胃下垂
疲労
腸カタル
低血圧症
加味六君子湯《方読便覧》
「六君子湯干姜・細辛・五味子」
◎肺脾虚寒、痰喘気喘する者を治す。
加味六君子湯《万病回春》《古今方彙》
「人参7分、香附子1銭2分、木香・砂仁各5分、甘草3分、茯苓・白朮・ 陳皮・半夏各1銭、生姜、大棗」水煎。
◎類中風、食厥の者は飲食を過ごし、胃気自ら傷れ、運化する能わず、故に昏冒 す。此方に宜し。
◎或いは「行気香蘇散」木香、青皮、山楂子に宜し。
加味六君子湯《寿世保元》《古今方彙》
「人参1銭、白朮1銭半、半夏・陳皮各8分、茯苓・山楂子各1銭、乾葛7 分、縮砂5分、甘草(炙)3分、生姜、大棗」水煎。
◎中気虚して胃弱く食を愛せず、及び食して肉を生せず力を長さず、
◎或いは常に微しく熱し、冷えに怯え神は疲れて倦怠し、
◎或いは痰嗽を帯びる等の症を治す。
加味六君子湯《証治準縄》《古今方彙》
「人参・白朮・茯苓・黄蓍・山薬・甘草。砂仁各1両、厚朴・肉豆蔲各7銭 半」作末し、飯湯にて調服。
◎一切の脾胃虚弱泄瀉の症
◎傷寒の病後に米穀化せず、腸中虚滑し、渇を発し微しく痛み久しくえざる者。
◎小児脾疳(=食疳と同じ結核性の腹膜炎のため痩せて腹だけ膨大する状態)
泄瀉し痢を得るを治す。
加味竜虎散《東醫寶鑑》
「蒼朮1両、全蝎5銭、草烏・附子(炮)各2銭、天麻3銭」作末し、毎回1 銭を空腹時に、豆淋酒で調下する。
◎風寒腰痛・筋骨のしびれ。
加味凉膈散《漢方治療の実際》
「凉膈散石膏10」
加味和中湯《寿世保元》《古今方彙》
「人参・白朮各1銭、茯苓・陳皮・全蝎各5分、半夏・天麻各7分、薄荷・ 甘草各2分、細辛3分、生姜、大棗」水煎。
母子倶に之を服す。
◎小児慢驚風を治す。
河間生地黄散《東醫寶鑑》
「枸杞子・柴胡・黄連・地骨皮・天門冬・白芍・黄芩・黄蓍・生地黄・熟地 黄・甘草各7分」煎服。
◎鬱熱・衂血・吐血・喀血・唾血。
夏枯草膏《医宗金鑑》
「夏枯草、当帰、玄参、烏薬、浙貝母、白殭蚕、昆布、桔梗、甘草、陳皮、 川芎、香附子、紅花、白蜜」
夏枯草散[1-1]《張氏医通》《中薬臨床応用》
「夏枯草15g、当帰12g、白芍9g、炙甘草3g、玄参9g」水煎服。
◎肝虚、目珠疼痛で夜になると激しく痛む。
夏枯草散[1-2]《張氏医通》
「夏枯草、香附子、甘草(炙)」
夏枯草散[2](一名補肝散)《東醫寶鑑》
「夏枯草2両、香附子1両、甘草5銭」を作末し、毎回2銭を茶清で食後服 用。
夏枯草は黒晴が痛み、夜にひどい症によい。
◎肝虚で瞳が痛い・冷たい涙があふれ・明るさを嫌う者。
夏枯草湯《外科正宗》
「夏枯草、貝母、桔梗、甘草、白、当帰、白芍、生地黄、紅花、柴胡、陳 皮、茯苓、白朮、香附子」
夏氏代匙散《中国民間験方》
「硼砂4g、薄荷2g。生石膏4g、胆礬2g、生甘草4g、製蚕2g、皀角<煙が出 なくなるまで炙る>2g、西黄2g」以上を、微細末にして、瓶に貯蔵して、 使用するまで、空気が入らないように密閉保存。
夏氏禽化丸《中国民間験方》
「川貝母2g、百草霜4g、甘草2g、軽粉⇒水銀粉1.6g、薄荷2g、硼砂2g、 柿霜20g、梅片0.8g微細末にし、白密で溶かして蓮の実の大きさの丸薬に して、口中に含んで溶かす。」
夏檳湯《勿誤薬室方函口訣》
「橘皮、半夏、白朮、木瓜、檳榔」
◎乳児の脚気。《済世薬室》
瓜子仁湯[1]《勿誤薬室方函》
「苡仁・瓜子各3銭、牡丹皮・桃仁各2銭」
◎腸癰湯《外科集験方》に同じ。
瓜子仁湯[2]《龍野ー漢方処方集》
「苡仁7.0g、桃仁・牡丹皮・瓜蔞仁各3.5g」
◎骨盤内器官の化膿、発熱疼痛。
★適応症及び病名
急性子宮付属器炎
急性虫垂炎
骨盤腹膜炎
腸腰筋炎
瓜蒂散[1-1]《傷寒論》
「瓜蒂(熬黄)1分、赤小豆1分」
以上2味、各別搗篩、為散已、合治之。取1銭匕、以香豉1合、用熱湯7 合煮作稀糜、去滓、取汁和散、温頓服之。不吐者、少々加得快吐乃止。諸 亡血虚家、不可與瓜蒂散。
◎病如桂枝證、頭不痛、項不強、寸脉微浮、胸中痞、氣上衝咽喉不得息者、此 為胸有寒也。當吐之、宜瓜蒂散。
《傷寒論》辨太陽病脉證治下第七。
瓜蒂散[1-2]《傷寒論》
「瓜蒂・赤小豆」
右2味、各等分、異搗篩、合内臼中、更治之、別以香豉1合、用熱湯7合、 煮作稀糜、去滓、取汁和散1錢匕、温頓服之。不吐者、少々加、得快吐乃 止。諸亡血虚家、不可與瓜蒂散。
◎病人手足厥冷、脉乍緊者、邪結在胸中、心下満而煩、飢不能食者、病在胸中、 當須吐之、宜瓜蒂散。
《傷寒論》辨厥陰病脉證治第十二。
瓜蒂散[1-3]《金匱要略》
「瓜蒂(熬黄)1分、赤小豆(煮)1分」
右2味、杵為散、以香豉7合煮取汁、和散1錢匕、不吐者、少加之、以快 吐為度而止。
◎宿食在上、當吐之、宜瓜蒂散。
《金匱要略》腹満寒疝宿食病脉證治第十。
◎温温として、吐せんと欲する者を治す。《方極》
◎凡そ瓜蒂を服するは、三分より五分(約1.2~2.0)に至る。多服するに宜しか らず。已にして、須臾に鳥羽或いは紙縄を以て、徐々に咽下を摩払し、以てそ の吐を挑促して可也。《類聚方集覧》
◎亡血家は、大に之を禁ずと曰ふ。《類聚方集覧》
◎卒中風、狂癇、暴厥、真頭痛、風眼、雷頭痛、痰癖、肩背臂膊の疼痛、霍乱、 胃翻等、病毒胸膈に在る者は、之を用ふれば皆効あり。但だ精気虚乏する者、 腹力脱弱する者は、之を与ふ可らず。《類聚方広義》
【腹証】
《腹診配剤録》
“胸中腫れて痞し、煩悶ことに甚だし、凡そ瓜蒂散を興ふるには、その証 を詳かにし、而して後に与ふ加し。苟も誤り治せば、即ち斃るるに至ら ん”
★適応症及び病名
[1]痿躄
[2]胃反
[3]咽喉の痞塞感
[4]咽喉腫痛
[5]黄疸
[6]嘔吐
[7]悪心
[8]咳嗽:
☆咳嗽、喀痰あり、胸背部攣痛して俯仰するを得ず、時に自汗出で、 その脈数なる証《奥田謙蔵》
[9]喀痰
[10]過食症
[11]篏頓ヘルニア
[12]亀胸
[13]亀背
[14]吃逆
[15]急性胃炎
[16]急性咽頭炎
[17]急性扁桃炎
[18]虚弱者<使わない>
☆虚弱者には・・・附子剤を前もって投与《龍野一雄》
[19]呼吸困難:
☆<テンカンなどの発作で呼吸困難>
[20]胸背の疼痛:
☆胸背不痞満して安からず、悪心、煩悶ありて飲食を欲せず、既に 日を経て治癒せざる証《奥田謙蔵》
☆外部に時々熱感あり、胸痛、背に徹し、背痛、胸に徹し、或いは 乾嘔し、或いは心煩する証《奥田謙蔵》
[21]胸中痞硬
[22]ジフテリア
[23]自家中毒
[24]子宮出血
[25]食滞
[26]食中毒
[27]食欲不振
[28]心下痞硬
[29]心煩
[30]頭項部に熱感・自汗:
☆頭部に熱感在り、心煩し、胸満して痛み、或いはその痛、背部に 及び、食欲なく、時に乾嘔し、或いは僅かに渇を覚え、四肢に微 冷を感ずる証《奥田謙蔵》
☆吐せず、下らず、頭頂部に大汗出で、胸部満悶して飲食を嫌悪し、 熱性症候を各証《奥田謙蔵》
☆発汗の後、頭部に熱感あり、胸痛し、煩悶し、或いは可能し、微 渇し、四肢厥冷する証《奥田謙蔵》
[31]頭痛
[32]精神病
[33]喘息
[34]喘満
[35]喘鳴
[36]帯下
[37]テンカン
[38]毒物の誤飲
[39]熱射病
[40]ノイローゼ
[41]発熱:<なし>
☆発熱があれば・・・十棗湯を考える。
[42]ひきつけ:
☆産後暈倒する者は、是れ血の逆攻也。故に此方を服す《類聚方 集覧》
[43]腹部膨満
[44]マラリア
[45]無月経
[46]淋病
[47]瘰癧(ルイレキ)
瓜蒂散《傷寒論》《中薬臨床応用》
「甜瓜蒂・赤小豆」各等量。作末し、毎回1.5~3gを「淡豆豉9g」と共 に煎じて服用。
◎毒物の誤飲
◎脳卒中
◎テンカン
瓜蒂散《古今方彙》
「瓜蒂・赤小豆・淡豆豉各5分」水煎。
◎腹満して吐さんと欲し、鼻燥き、脈浮なる者は此方に宜し。
◎酒疸にて吐せんと欲する者も同じ。
瓜丁散(一名細辛散)《東醫寶鑑》
「瓜蒂・細辛」等分を作末し、豆粒大にして綿でくるみ、鼻中をふさぐ。
◎臭と肉があって、香臭を嗅げない症。
⇒鼻づまり。⇒こぶの類。
瓜礬散《東醫寶鑑》
「瓜蒂4銭、甘遂1銭、明礬・蝉退灰・草烏尖各5分」を作末し、麻油で 丸剤。鼻孔に毎日1回、痔肉にくっつくぐらいに入れておくと、痔が水と なって流れ出る。
◎鼻痔を治す。
瓜蔞枳穀湯《東醫寶鑑》
「瓜蔞仁・枳穀・桔梗・川芎・蒼朮・香附子・杏仁・黄芩(酒炒)・貝母(炒) ・陳皮各1銭、縮砂・木香各5分、甘草3分を剉作し、1貼に姜3片を入 れ水煎服。
◎痰鬱を治す。
瓜蔞枳実湯[1-1]《万病回春》《龍野一雄》
「当帰・縮砂・木香各1.5g、甘草・干姜各1g、山梔子・黄芩・陳皮・瓜呂 仁・枳実・桔梗・茯苓・貝母各3g」
◎実証者の、粘痰喀出困難、胸痛、胸部の熱気。
瓜蔞枳実湯[1-2]《東醫寶鑑》
「瓜蔞仁・枳実・桔梗・貝母・黄芩・麦門冬・人参・当帰・紫蘇子各8分、 甘草3分を剉作1貼し、生姜3片を入れ、竹瀝と姜汁を温かくして飲む。」
◎破傷風で体熱・咳嗽・痰が出て・脈滑数の者。
瓜蔞枳実湯[1-3]《東醫寶鑑》
「瓜蔞仁・枳実・桔梗・赤茯苓・貝母(炒)・陳皮・芹苓・梔子各1銭、当帰6 分、縮砂・木香各5分、甘草3分」水煎し「竹瀝5匙、姜汁半匙」入れて 服用。
◎痰を吐いても出てこなく、胸膈が痛いとき。
瓜蔞枳実湯[1-4]《万病回春ー痰飲門》《《漢方後世要方解説》
「当帰・茯苓・貝母各3、瓜呂仁・桔梗・陳皮・黄芩各2、砂仁・木香・山 梔子・枳実・竹茹・甘草・生姜各1」
◎痰結喀吐すれども出でず、脇膈痛みをなし、転側すること能わざるを治す。或 いは痰胸膈に結んで満悶ぢて寒熱気急を作し、並に痰心竅に迷って言語する能 わざる者並に皆之を治す。
◎此方は小陥胸湯より出で、胃中の熱と食積によって生じた実熱による燥痰を潤 し降ろす方剤である。
喘急、呼吸促迫し、膠痰を吐き、胸痛甚だしく、臥すること能わず、咳嗽す れば呼吸止まる如く、小便赤く、脈滑腹に力あり、痰に風痰、湿痰、燥痰、熱 痰、寒痰、気痰の別あるが、寒痰の外は皆用いて良い。
特に燥痰が目的である。
◎雑病にも胸中に燥痰あって喀出困難のものに用いられる。
◎早朝より正午頃まで咳嗽強き者に特に効がある。
◎瓜呂・枳実・桔梗・茯苓・貝母・陳皮・生姜=痰飲を消却する。
黄芩・山梔子・竹茹=熱痰を清解する。
木香・砂仁=痰の滞留を散ず
当帰・甘草=気血を和す。
★適応症及び病名
[1]胃酸過多症
[2]肩こり:
☆乾痰のある者《矢数道明》
[3]急性気管支炎:
☆早朝より正午頃まで咳嗽強き者に特に効がある。《矢数道明》
[4]狭心症類似症:
☆飲食胸中に塞るもの。《矢数道明》
[5]せき:
☆胸中に燥痰あって喀出困難のもの。
☆特に午前中咳嗽烈しく、痰濃厚で喀出の困難な者《矢数道明》
[6]動脈硬化症
[7]脳溢血:
☆脳溢血で顔面赤く、乾痰が出にくく、言語強ばり健忘する者《矢数道 明》
[8]肺炎:
☆肺炎ー胸痛、呼吸困難、燥痰の出にくい者《矢数道明》
[9]慢性気管支炎:
☆喫煙家の咳嗽《矢数道明》
[10]胸がつまる:
☆飲食胸中に塞がる者《矢数道明》
☆胸焼け《矢数道明》
[11]肋間神経痛:
☆乾痰燥結して出にくく、胸痛ある者《矢数道明》
瓜蔞杏連丸《東醫寶鑑》
「瓜蔞仁・杏仁・黄連」各等分。作末し竹瀝・姜汁で糊をつくり、服用。
◎酒痰の咳。
瓜蔞丸《東醫寶鑑》
「瓜蔞実・半夏(麹)・山楂子・神麹各等分に作末し、瓜蔞と水でまぜ、竹 瀝・姜湯で50~70丸呑む。
◎食痰が壅滞して、喘息する。
瓜蔞実丸《厳氏済生方》
「小陥胸湯桔梗」
◎呼吸壅滞し、喘息妨悶し、胸膈痞痛、背に徹する者。《雑病翼方》
瓜蔞実丸《東醫寶鑑》
「瓜蔞仁・枳穀・半夏(製)・桔梗」各1両を作末し、姜汁糊で梧子大の丸 剤。姜湯で50~70丸服用。
◎噎膈・胸膈と痞痛がで背まで来てつっぱり、喘息がひどく煩悶する症。
瓜蔞散《東醫寶鑑》
「石膏2銭、青皮・瓜蔞仁1銭、没薬・甘草節・当帰尾・皀角刺
・金銀花・青橘葉各5分」酒水各半分で煎服。
◎乳癰の末潰の症は速く散らし、既潰の症を治す。
瓜蔞湯《勿誤薬室方函》
「瓜蔞根・牡蛎・甘草各1銭、連翹・羗活各2銭、反鼻8分」
◎結毒咳嗽して虚労の者。
花蕊石散《東醫寶鑑》
「花蕊石4両、硫黄1両」作末し、互缶の中に入れて塩泥で密封して乾燥 後、炭火でいぶって、朝食をしてはじめ徹夜した後、そのまま冷やして取 り出し、もう一度細末にし、毎回大さじ1杯を、童便と酒を煎じた熱湯で 服用。
◎刃傷・打撲による損傷。牛馬に噛まれ、蹴られて重傷のとき、早急ににこの薬 を貼るとよい。もし、臓腑の血があって、内に損傷が多く、悶絶して死にそ うなとき、この薬を飲むと黄水となって出、吐き出すか、または下痢する。
◎虚労による吐血。
◎五臓の破壊。
花蕊白芨散《中薬臨床応用》
「花蕊石()12g、白芨12g、乱髪霜6g」極細末にし、1日3回、3~6gづ つ湯冷ましで冲服。
◎喀血。
何首烏丸《医学入門》
「何首烏1斤を水に漬け、乾かしてさらしたものを切って、初産婦の乳を絞 って混ぜてさらす。そいて乾いたものを作末して、大棗肉とついて梧子大 の丸剤。空腹時に温酒または塩湯で飲む。1回に10~20丸服用、100丸 を越えないように。
何首烏丸《中薬臨床応用》
「何首烏15g、菟絲子9g、当帰9g、牛膝9g、補骨脂9g」作末し煉蜜で丸 剤。毎回9g薄い塩水で服用。
◎虚弱体質で
◎腰膝がだるい
◎頭がふらつく
◎目がかすむ
◎病的白髪
◎早期老化
◎遺精
◎帯下
訶子散[1]《蘭室秘蔵》《中薬臨床応用》
「訶子()9g、罌栗殻6g、乾姜5g、橘紅6g」細末にし、毎回6~9gを湯 で服用。
◎慢性の泥状便、虚寒の者。
訶子散[2]《東醫寶鑑》
「訶子皮3銭、桔梗5銭、甘草2銭、木通3銭、地黄汁」
◎咳と失語症。(咳・声が出ない)
訶子散[3-1]《素問病機宜保命集》
「訶子、黄連、木香、甘草」
訶子散[3-2]《東醫寶鑑》
「訶子皮1両(半生半熟)・木香5銭、黄連3銭、甘草2銭を作末し、毎回2 銭を作末し、白朮・白芍の煎じ湯で服用。」
◎久泄のとまらない者。
訶子散[4]《三因極一病証方論》《東醫寶鑑》
「訶子(炮)・厚朴・乾姜(炮)・草果・陳皮・良姜(炒)・茯苓・神麹(炒)・ 麦芽(炒)・甘草(炙)」各等分。粗末にし少しの水で煎じ、痛むとき頓服。
◎心脾が冷え、心下の急痛でたえられない者。
訶子皮散《東醫寶鑑》
「御米穀(蜜炒)・橘皮各5分、乾姜(炮)6分、訶子皮7分」を作末し、1貼 を、空腹時に水煎服。
◎赤白痢で脱肛。
訶子清音湯[1-1]《東醫寶鑑》
「訶子49個の核を去り、桔梗1両半、甘草2銭半を荒い粉にして、毎回7 銭を水煎し、滓を去り童尿1盃を入れ服用。3回飲めば快方に向かう。
◎諸風による失語症。(諸風の失音・中語を治す)
訶子清音湯[1-2]《中薬臨床応用》
「生訶子4個、桔梗・甘草各30g」細末にし、毎回6gを水煎服。
◎嗄声。
訶子清音湯[2]《東醫寶鑑》
「白朮2銭、人参・橘紅各1銭半、半夏麺1銭、白茯苓・桑白皮・天門冬各7、 甘草・青皮各3分、五味子20粒、知母・地骨皮・苡仁・桔梗各5分、 姜3片を入れて水煎服。夏には黄芩5分を加えて使うが、四物湯に童便・ 竹瀝・姜汁・黄柏(炒)を加えたものを、昼夜かわるがわる服用する。
◎乾咳嗽・声唖を治す。
訶朮散《東醫寶鑑》
「訶子皮・白朮各1銭半、陳皮・良姜・木香・白芍(薬酒炒)・肉豆蔲()・ 甘草各1銭を剉作し、1貼に姜5片を入れ水煎服。
◎妊娠中の下痢。
訶梨勒散《金匱要略》
「訶黎勒()10枚」為散、粥飲和、頓服。
◎気利、本方主之。
《金匱要略》嘔吐下利病脉證治第十七。
◎後重を治す。《勿誤薬室方函口訣》
訶黎勒丸[1]《東醫寶鑑》
「訶子皮5銭、海粉・括蔞仁・青黛・杏仁・貝母・便香附各2銭半、を作末 し姜汁で桜桃大の蜜丸。口に含んで徐々に呑む。
◎労嗽・乾嗽・肺脹・喘急。
訶黍勒丸[2]《東醫寶鑑》
「樗根白皮2両、訶子肉5銭、母丁香30粒」を作末し、醋糊で梧子大の丸 剤。陳米飲に錯を少し入れ、毎回50丸1日3回。
◎休息痢で百薬効なきとき。
訶黍勒丸《厳氏済生方》
「訶黎勒、附子、肉豆蔲、広木香、呉茱萸、竜骨(生)、白茯苓、撥」
河車大造丸《呉球方》
「紫河車、亀板、熟地黄、人参、天門冬、麦門冬、牛膝、杜仲、黄柏」
河車大造丸《扶寿精方》【中成薬】
「紫河車・肉蓉・熟地黄・生地黄・天門冬・黄柏・五味子・鎖陽・当帰・ 枸杞子・杜仲」朝晩の空腹時に、9gづつ湯で服用。
(腰膝がだるい・ふらつく・羸痩)
鰕汁方《東醫寶鑑》
「海老」半斤に醤油・葱・姜等の薬味を入れ煮て、まず海老を食べて、次に 汁を飲んだ後、鴟(とび)羽でさぐって痰を吐き出させる。海老が風を引 っぱり出す。」
◎風痰をはき出させる。
莪朮散《証治準縄》《中薬臨床応用》
「莪朮9g、川芎3g、当帰12g、熟地黄18g、白芍9g、小茴香3g、白3g、 甘草2.5g」水煎服。
◎月経不順
◎気滞血による月経痛
◎無月経
◎下腹部に腫瘤をふれる。
◎稀発月経
莪稜遂湯《中薬臨床応用》
「莪朮9g、三稜9g、紅花9g、丹参15g、鼈甲18g(先煮)、穿山甲(炮)15g、 党参9g、黄蓍9g、当帰9g、陳皮9g」水煎服。
◎気滞血による腹腔内腫瘤
◎肝硬変で、肝脾腫大、腹水。
莪稜通経湯《中薬臨床応用》
「三稜3g、莪朮3g、肉桂3g(冲服)、木香5g(後下)、熟地黄9g、白芍9g、 当帰9g、川芎9g、延胡索9g、桃仁(打砕)9g、紅花9g」水5杯で2杯まで 煎じ、滓を去り、2回に温服。
◎無月経
◎腹腔内腫瘤
◎月経痛
鶴柏湯《中薬臨床応用》
「仙鶴草30g、側柏葉12g、白芨15g、藕節30g、大薊12g」水煎服。
活血駆風散《東醫寶鑑》
「白(炒)・当帰・川芎・白・細辛・桃仁・半夏・槐潤・白芍・五霊 脂・甘草(生)各6分、蒼朮・杜仲・桂皮・苡仁・天麻・橘紅・檳榔・ 厚朴・枳穀各3分を剉作して1貼し、生姜5、大棗2を入れて水で煎じ、 乳香末を少し入れて空腹時に服用。
◎腎臓風・嚢下の湿痒と両脚に瘡癬の出る症。
活血解毒湯《浅田宗伯家方》
「解毒剤《香川修徳》当帰・紅花・荊芥」
◎此方は解毒剤の症にして血燥を帯る者に用いる。
◎総じて遺糧を用ゆる症、血気枯燥者、当帰、山梔子、紅花の類を加えざれば効 なし。
◎天刑病:「反鼻」
活血化堅湯《外科正宗》《古今方彙》
「防風・赤芍薬・当帰尾・括楼根・金銀花・貝母・川芎・皀角刺・桔梗各1 銭、白殭蚕・五霊脂・厚朴・陳皮・甘草・乳香・白各5分」水煎し、酒 1杯を加え服用。
◎一切の瘰癧及び癭瘤痰核(リンパ腺炎)で初起未だ潰えず膿ある者を治す。
活血散《東醫寶鑑》
「黒黄蓍・当帰・川芎・赤芍・白・続断・鹿茸・黄芩・細辛・炮附子」各 等分。作末し、各3銭を1日3回、温酒で服用。
◎刀槍の傷。腹が裂かれ内蔵が飛び出た者を治す。
活血散湯《外科正宗》《龍野ー漢方処方集》
「川芎・当帰・防風・芍薬・蘇木・連翹・天花粉・皀角刺・黄芩・枳殻各 3.0g、紅花1.0g、大黄1.0g」
◎臀部癰或いは肛門周囲炎の初期で発赤腫脹疼痛便秘の者。
活血散湯《外科正宗》《古今方彙》
「川芎・当帰・防風・赤芍薬・蘇木・連翹・括楼根・皀角刺・紅花・黄芩・ 枳殻各1銭、大黄2銭、水煎。
◎臀癰の初起赤腫痛し墜重して石(カタ)を加え及び大便秘渋するを治す。
◎便通じる者は:「大黄乳香」
活血散湯《外科正宗》《古今方彙》
「川芎・当帰尾・赤芍薬・蘇木・牡丹皮・枳殻・括楼仁・桃仁各1銭、檳榔 子6分、大黄(酒炒)2銭」水煎、空心時に服用。
◎産後悪露尽きず、或いは月経の後に血痛みを作四逆湯、或いは暴急奔走し、 或いは男子杖後に血流注四逆湯、腸胃痛みを作四逆湯、漸く内に癰を成し、 腹痛み、大便燥する者を治す。
活血止痛湯《傷科大成》《中薬臨床応用》
「落得打9g、乳香6g、没薬6g、赤芍6g、当帰尾9g、虫3g、三七末3g(冲 服)、茯神12g、陳皮6g、蘇木9g、紫荊藤12g、紅花3g、川芎3g」水煎服。
◎打撲捻挫による内出血
◎打撲捻挫による腫脹、疼痛。
活血潤燥丸《東醫寶鑑》
「潤腸丸皀角仁」
潤腸丸⇒杏仁・枳穀・麻子仁・陳皮・阿膠・防風
◎風秘・血秘で大便がいつも乾く者。
活血潤燥生津飲《医学入門》《古今方彙》
「当帰、生地黄、熟地黄、天門冬、五味子、括楼仁、麻子仁、甘草、括楼根 各等分」水煎温服。
◎裏病、消渇するを治す。
活血通経湯《衛生宝鑑》
「紅花、当帰、熟地黄、莪朮、三稜、肉桂、血竭、木香、蘇木、貫衆」
活血湯《万病回春》《古今方彙》
「当帰尾・赤芍薬・牡丹皮・桃仁・延胡索・烏薬・枳殻・香附子各1銭、川 芎7分、甘草2分、紅花・官桂・木香(別研)各5分、生姜」水煎。
◎痛み処を移さざるを治す。是れ死血なり。
活亀丸《東醫寶鑑》
「大烏亀を、柴火で地を熱くした所に座らせて出られないように蓋をしてお くと、亀がおならをするが、放屁したら縄で亀をしばって黄土を練って固 く封をし、灰火でし、肉をとって細く切り、その皮に牛骨髄を塗って5 ~7回焼いて透明になったら乾かし、作末し黄連1両で9回蒸し、9回晒 して当帰尾3銭3分を作末して、以上の諸品を合わせて搗いて梧子大の丸 剤。白湯で50~70丸呑む。
◎腸風・痔瘻を治す。
活虎丹《東醫寶鑑》
「蝎虎1個を四つ足と爪を切り血と一緒に細く切って、朱砂・片脳・麝香を 少しづつ入れて混ぜ、礞石散を使って痰涎を降ろした後薄荷湯で飲む。
◎積年の癲癇で、気血の不足する者。
活腎丸《東醫寶鑑》
「蒼朮(塩炒)1両、黄柏(酒洗)・枳実・滑石各7銭、天南星(炮)・半夏(製) ・山楂肉・神麹(炒)・白各5銭、昆布・呉茱萸各3銭」を作末し、酒糊 で梧子大の丸剤。塩湯で70丸呑む。
◎木腎の痛まない症。
活命金丹《東醫寶鑑》
「大黄1両半、桂心・芒硝各1両、真珠・牛黄・青黛・犀角・薄荷各5銭、 辰砂4銭(2銭は花にする)、麝香・竜脳各2銭、板藍根・貫衆・乾葛・甘 草各7銭」を作末し、蜜水に浸して蒸し餅でまぜ、毎回1両で10丸を作 り、乾く前に朱砂で衣をし、再び金箔40斤で衣をし、毎回1丸を服用。 もし風毒を治すには、清茶で化下するが、臘月に収合するのが良い。」
◎風が臓に入って、神が澄んでいない症。
活幼経験治痢方《古今方彙》
「黄連・黄芩・白芍薬(生)・山楂子各1銭2分、枳殻檳榔子・厚朴・青皮各8 分、当帰・甘草・地楡各5分、紅花(酒洗)3分、桃仁(炒)1銭、木香2分」 水煎温服。
◎壮実の人が下痢し或いは赤く或いは白く、或いは紅白相兼ね、裏急後重、身熱 し腹痛する者を治す。
◎単に白く紅無き者:「地楡桃仁木香倍加、陳皮」
◎滞渋(大便が滞り出ししぶる)甚だしき者:「大黄(酒)」
◎
活絡效霊丹《医学衷中参西録》
「丹参、乳香、当帰、没薬」
活絡丹《東醫寶鑑》
「川烏(炮)・草烏(炮)・天南星(炮)・地竜(焙)各1両、乳香・没薬各2銭2 分」を作末し、酒糊で梧子大の丸剤。空腹時に温酒で20~30丸服用。
◎一切の通風と筋脈の拘攣・沈痛・上衝する者。
活絡湯《医学入門》《東醫寶鑑》
「羗活・独活・川芎・当帰・甘草各1銭、白朮2銭、生姜5片」煎じて沈香 磨汁を少し入れて服用。
◎風湿臂痛にして諸薬効かざる者を治す。
活絡流気飲《医経会元》《勿誤薬室方函》
「木通・羗活・柴胡・升麻・白・桔梗・薄荷・当帰・川芎・紅花・甘草・ 連翹・皀角刺・木鼈子・威霊仙」
◎流注塊、或いは痛み、あるいは痛まざる者を治す。
◎此方は多味なれども流注毒頑固の者を動かすの力あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎もし膿潰の後は「桂枝加朮附湯」「托裏消毒飲」の類に宜し。
活竜散《東醫寶鑑》
「活地竜4条(洗って裂く)、姜汁・薄荷汁・蜜各1匙」水でまぜて潅入(服 用)する。熱があると片脳を少し加える。
◎陽毒の結胸に。陽毒発狂に。
喀血一方《済世全書》《古今方彙》
「当帰・芍薬・桃仁・貝母各1銭、白朮・牡丹皮各1銭半、山梔子・黄芩各8 分、甘草3分、青皮5分」
◎喀血、痰血糸を帯びるを出す者を治す。
◎一方に青皮・黄芩なく、知母・黄柏・麦門冬あり。
◎《寿世保元》には桔梗あり。
脚気一方《寿世保元》《古今方彙》
「牛膝・五加皮・独活・蒼朮各1銭半、威霊仙・防已・当帰・黄柏(酒)各1 銭、生姜」煎じ、酒を加える。
◎脚気にて浮腫するを治す。
豁胸湯《和田東郭》《勿誤薬室方函口訣》
「桑白皮湯[2]《東郭》茯苓・犀角」
「桑白皮・呉茱萸・茯苓・犀角」
◎脚気毒衝心昏悶欲死を治す。
◎「沈香降気湯生姜」=沈香豁胸湯
◎「沈香、甘草、羊参」=「人参茯苓湯」《梧竹樓》
葛黄丸《東醫寶鑑》
「黄連4両、葛花2両を作末し、大黄末を水で煎じて膏をつくり、梧子大 の丸剤。温水で100丸服用。
◎過飲による熱・吐・衂血によって死ぬようになった症。
葛花解醒湯[1-1]《東醫寶鑑》
「葛花・縮砂・白豆蔲各5銭、青皮3銭、白朮・乾生姜・神麹・沢瀉各2銭、 人参・猪苓・茯苓・橘皮各1銭半、木香5分」を作末し、毎回3銭を白 湯で調下する。汗をだすと治る。
◎飲酒過多によって病になり、嘔吐・手足のふるえ・清神朦朧・食欲減退の症。
葛花解醒湯[1-2]《弁惑論》《龍野ー漢方処方集》
「白豆蔲・砂仁・葛花各5銭、木香5分、青皮3分、白茯苓・陳皮・猪苓・ 人参各1銭半、白朮・神麹・沢瀉・乾姜各2銭」水煎温服。或いは末と なし毎服1~2銭白湯で調下。
◎飲酒を大過して嘔吐痰逆、心神煩乱、胸膈痞塞、手足戦揺、飲食減少、小便不 利するを治す。
葛花解醒湯[1-3]《弁惑論》《龍野ー漢方処方集》
「白豆蔲・縮砂・葛花各6.0g、木香1.5g、青皮1.0g、茯苓・陳皮・猪苓・人 参各2.0g、白朮・神麹・沢瀉・乾姜各3.0g」
◎飲酒過多、嘔吐、心神煩乱、胸膈痞塞、手足戦揺、飲食減少、小便不利。
★適応症及び病名
酒の飲み過ぎ
二日酔い
葛花散《東醫寶鑑》
=「雙花散」
「葛花・小豆花」等分に焙って乾燥。作末し毎回2銭を、白湯で点服する。
◎酒を呑んでも酔わないようにする。
葛根湯[1-1]《傷寒論》
「葛根4両、麻黄(去節)3両、桂枝(去皮)2両、生姜(切)3両、甘草(炙)2両、 芍薬2両、大棗(擘)12枚」
右七味、以水一斗、先煮麻黄、葛根、減二升、去白沫、内諸薬、煮取三升、 去滓、温服一升、覆取微似汗。餘如桂枝法將息及禁忌、諸湯皆倣此。
◎太陽病、項背強几几、無汗、悪風、葛根湯主之。
◎太陽與陽明合病者、必自下利、葛根湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證治中第六。
◎太陽病、項背強几几、無汗悪風者、属葛根湯證。
◎太陽與陽明合病病、必自下利、不嘔者、属葛根湯證。
《傷寒論》辨可発汗病脉證治第十六。
葛根湯[1-2]《金匱要略》
「葛根4両、麻黄(去節)3両、桂(去皮)2両、、芍薬2両、甘草(炙)2両、
生姜3両、大棗12枚」
右7味、咀、以水1斗、先煮麻黄葛根減2升、去沫、内諸薬、煮取3升、 去滓、温服1升、覆取微似汗、不須啜粥。餘如桂枝法將息及禁忌。
◎太陽病、無汗、而小便反少、氣上衝胸、口噤不得語、欲作剛、葛根湯主之。
《金匱要略》湿病脉證第二。
葛根湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》
「葛根4g、麻黄・大棗各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、干姜1g」
水400ccを以て葛根麻黄を煮て80を減じ、白沫を去り、他の諸薬を加え て再び煮て、120に煮詰め、滓を去り3回に分服。
葛根湯[1-4]《漢方治療の実際》
「葛根8、麻黄・生姜・大棗各4、桂枝・芍薬各3、甘草2」
◎項背強急し、発熱悪風、或いは喘し或いは身疼痛する者を治す。《吉益東洞》
◎陽病、項背強ること几几、発熱し、汗無く、悪風するは、葛根湯之を主る。《医 聖方格》
◎此方は、項背強急を主治する也。故に能く驚癇、破傷風、産後の感冒卒痙、 痘瘡の初起等、角弓反張し、上竄搦し、身体強直する者を治す。宜しく症に 随いて熊胆、紫円、参連湯、瀉心湯等を兼用すべし。《類聚方広義》
◎発熱悪風項背強る者。実証の化膿症で発熱悪寒する者。脉浮緊、肩こり・頭部 又は顔面の疼痛。
◎注意:
葛根湯や麻黄湯のような麻黄の入っている方剤を飲むと、睡眠のとれない人 がある、又、これを長期間服用していると、食欲がなくなったり、性欲が減 退する人がある。《大塚敬節》
私の患者で、麻黄剤を飲んで、排尿痛と、尿の淋瀝を訴えた者が2例あった。 このことをある会合で発表したところ、聴衆の1人が、私もそれと同じ経験 をしたということであった。《大塚敬節》
麻黄剤を飲むと、動悸して困ると訴える人がいる《螺王人》
【腹診】
《大塚敬節》
“臍の上部(臍より少し上の位置)で皮下に圧痛を訴える者を、葛根湯を用いる 目標としている。この圧痛は他の薬方の場合にも現れることがるが、葛根湯 の際に、最もしばしば現れ、症状の軽快と共に、この圧痛が消失する”
葛根湯[1-5]《傷寒論》
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]アレルギー性鼻炎:
☆28歳女性。数年前から、朝起きると、続けざまに、しばらく、クシ ャミが出続ける。この状態は夏は軽く、秋から冬はひどくなる。医者 はアレルギー性鼻炎と診断して、薬をくれるが、いつまでも治らない という。
患者は色白の肉づきの良い長身の婦人である。脈はやや浮であるが、 速くはない。腹証上では臍より少し上の部分に、圧に過敏な部位があ る。私はこれに葛根湯を与えたが、7日間の服用では何の変化もなく、 2週間の服用で軽快し、4週間の服用で全治して、再び、クシャミが 頻発することなないと言う。《大塚敬節》
☆医学博士T氏は、多年アレルギー性鼻炎に悩み、毎夜、鼻がつまって 眠れないという。私はこれに葛根湯を与えたところ、その夜から、鼻 が気持ちよく通るよいうになって、安眠が出来るよいうになったと、 大変喜ばれた。《大塚敬節》
☆本方は顔面や項背部に炎症充血症状があって緊張感があり、目、耳、鼻に及びその粘膜に炎症充血が起こるものに用いられる。アレルギー性鼻炎で常に肩こりがひどく、風邪を引きやすく、クシャミの頻発する者に本方でよいことがある(漢方診療医典)
[2]アンギナ⇒口腔・咽頭の炎症(狭義)
☆初期に発熱して咽痛のあるときに葛根湯を用いて発汗させる。熱が高くて苦しむときは桔梗2,0g石膏10.0g。嘔吐するときは半夏5.0g。だいたい本方は1~2日間用いるもので、これで治らなければ別の方を考える(漢方診療医典)
[3]朝のこわばり
[4]インフルエンザ(流感)
[5]咽喉炎
疫痢:
☆疫痢の極めて初期に用いることがある。《大塚敬節》
[6]おたふくかぜ
[7]悪寒
[8]カルブンケル(癰)
外耳道炎:
☆悪寒・発熱があり、くび・肩などが強ばる、初期に用いる。:「桔 梗石膏」《大塚敬節》
☆葛根湯桔梗石膏を用いても、炎症・疼痛が止まない者には、十味敗 毒湯連翹を用いる《大塚敬節》
☆北新掘街の後藤弘三郎の妹16歳。幼児の頃より耳だれの持病があり、 両方の耳から膿汁が流れ、時にはその膿が臭くて、側によれないほど である。そのため左の耳が聞こえない。嫁にやる年になったので、何 人もの医者にかかった。余は胎毒のためだから、徐々に、その毒を攻 めて、毒を尽くすべきだと云った。主人は余の言をいれて治を託した。 そこで、葛根湯芎黄を与え、五味鼠丸を兼用すること数ヶ月にし て、漸次、膿が減じ、臭気も去り、左耳の聴力も回復し、まもなく嫁 した。《橘窓書影》
五味鼠丸の代わりに、伯州散を用いてもよい《大塚敬節》
[10]肩関節周囲炎
[11]肩こり:
①頭痛、発熱
②汗が出ていない。
③項(コウ=うなじ)背がこわばる。
④脈浮緊・数。
⑤太陽病。
☆肩痛・臂痛:「蒼朮・附子」《勿誤薬室方函口訣》
☆項背痛の諸証にして、脈浮数なる等の者《奥田謙蔵》
☆18歳男性。2週間前から、朝起きたとき、背が痛み、手足の関節が 痛むが、仕事を始めると痛みは軽くなるという。患部は目立つほど腫 れていない。食欲は普通で、時々悪寒があり、体温は37、7℃くら いまでのぼる。一番痛むところは項部と背とである。そこで葛根湯を 3日分づつ3回与えたところすっかり良くなった。その後2ヶ月ほど たって、再び全症が再発したが、葛根湯3日分でよくなった。この患 者は項背部の痛みがいちばん強かったので、葛根湯を用いた《大塚敬 節》
☆首から背にかけての凝りがあって、汗が出ない者に葛根湯を、汗が出 て悪風する者には桂枝加葛根湯を用いる。熱のない雑病では汗の有無 ではなく、脈で区別する。脈浮で力あれば葛根湯、脈浮で力なければ 桂枝加葛根湯を用いる。《大塚敬節》
☆葛根湯を用いる肩凝りは、項部から肩胛間部にかけて凝る者に良いが、 また項部から肩胛関節に向かって、凝る者にも用いる。しかし、この ような肩凝りを訴える場合でも、胸脇苦満があれば、柴胡剤を用いる し、心下痞硬があれば瀉心湯類を用いる。又、腹部が軟弱でこの部で 振水音を証明するようであれば、真武湯を用いる《大塚敬節》
☆葛根湯を用いる患者の腹は、腹筋の緊張がよいことが条件で、軟弱無 力であってはいけない。ことに食欲不振・悪心・嘔吐などのある場合 は用いない方が良い《大塚敬節》
☆鼻炎・結膜炎・中耳炎などで肩凝りを訴える者に用いる機会が多い 《大塚敬節》
☆傷寒論に“太陽病、項背強ばること几几、汗無く悪風する者”とあり、肩から項背部のこりを訴えるものに幅広く用いられる(漢方診療医典)
[12]化膿性炎症:
☆諸種化膿性炎症には、証に由り桔梗、石膏を加う。《奥田謙蔵》
[13]化膿症湿疹
[14]眼瞼炎:
☆1男子、眼に炎症を起こして腫れ痛み、その上に喘鳴と咳嗽がことに ひどい。そこで先ず葛根湯を与え、刺絡と家方の鼻方を施したとこ ろ、疼痛がたちまち止んだ。続いて麻杏甘石湯を与え、鉛糖水で洗眼 したところ、喘咳はだんだんよくなった、だた大便が秘結して、眼に うすい雲がかかって取れない。そこで大柴胡湯を与え、点眼薬を用い たところ、まもなく治った《眼科一家言》
☆1男子、眼が赤く腫れ痛んで耐え難く、黒まなこにも雲がかかってい る。これを診たところ、脈は浮数である。そこで葛根湯を与えたとこ ろ、眼の赤味と腫れはやや減じたが、雲が取れないので汞水で洗って から点眼したところ、1ヶ月ばかりで治った《眼科一家言》
☆30歳男性。山に薪をとりに往ったところ、毒虫が飛んできて、眼瞼 を刺したため、ひどく腫れ痛み、眼がくらんで歩くことが出来なくな った。そこで傍の人に助けられて家に帰ってから診を乞うた。眼球と 眼瞼は共に大いに腫れ、烏睛には白い点が出来て、毒牙すでに両眼に 伝わり、発熱がひどく、頭は裂かれるように痛む。そこで刺絡を施し、 甘草湯で洗眼し、葛根湯を与え、雄黄を焼いて眼を薫じたところ、頭 痛が止み、炎症も消退した。そこで点眼を施し、数日で治った《眼科 一家言》
眼精疲労
☆眼痛、充血、肩こりなどあるもの(漢方診療医典)
[15]関節痛:
関節リウマチ:
☆初期で関節が少し腫れている者。
☆関節リウマチの初期に用いることがある《大塚敬節》
[16]疳瘡:
☆「荊芥・大黄」《勿誤薬室方函口訣》
[17]感染症
[18]感冒(かぜ):
☆感冒の初起、項背強急、悪寒、発熱し、汗出でざる証には、まず此方 を与えて発汗せしむるを良策とす。《奥田謙蔵》
☆悪風または悪寒があって、発熱し、からだが強ばり、項から肩が凝り、 脈が浮で力がある者に用いる。汗が自然に出ていないのを常とする。 《大塚敬節》
[19]顔面の疼痛
☆筋肉の緊張がよく、突っ張った感じがある者に: 「朮・附子」or 「川芎・大黄」or「苡仁」を用いる《大塚敬節》
[20]寒冷ジンマシン
[21]ギックリ腰
[22]気の上衝<+>
[23]急性大腸炎
☆悪寒・しぼり腹・裏急後重・粘液性下痢に使う。《中医処方解説》
☆発熱がないとき→「桂枝加芍薬湯黄連・木香」《中医処方解説》
☆葛根湯を急性腸炎の初期、悪寒、発熱の有る者に用いる場合がある。 《大塚敬節》
☆発病の初期で、悪寒、発熱があって下痢し、裏急後重があり、脈浮数にして力のある者に用いる(漢方診療医典)
[24]筋炎
[25]筋肉痛:
☆風湿、体疼、悪風、微腫するを療す:「大棗天門冬・杏仁・人参」 《外台秘要方》
口の周りをなめる:
☆口の周りが乾燥して赤くなり、この部を舌でなめずりまわす者がある。 子供によく見られる。《村井琴山》はこのような者には葛根湯が良く 効くといっている《大塚敬節》
☆10歳少年。半年あまり某大学の耳鼻科にかかっているという。この 少年は平素からあまり頑丈な体質ではなかったが、1年ほど前から鼻 汁が多くなって、鼻の下がいつもただれるようになった。私が診察し ている間も、舌を出して、ペロリ、ペロリと上唇から人中のあたりを なめ回している。私はこれに葛根湯を用いたが、次第に鼻汁が流れな くなり、3ヶ月ほどで完全に治るとともに、時々あった夜間の遺尿も 止まり、血色も良くなった。《大塚敬節》
[26]首がまわらない
[27]ケイレン:
☆初発は必ず両腮剛強す。先ず葛根湯を与え、合谷及び髪際に鍼す可く ば則ち治す。もし脱候を見わす者は[十全大補湯荊芥附子]に、[豆 淋酒荊芥」を兼用す。然れども、角弓反張甚だしく、水薬咽を下ら ざる者及び口開く者は、不治なり。《先哲医話》
☆疫痢の初期のケイレン《大塚敬節》
[28]結膜炎:
(桔梗石膏)
☆葛根湯・越婢加朮湯・大青竜湯などの麻黄の配剤された薬方は、古人 が外障眼と呼んだ結膜や角膜などの病気に用いられた《大塚敬節》
下痢:
☆下痢の初起等にして、悪寒、発熱し、脈浮数なる証。《奥田謙蔵》
☆裏急後重のある場合でも、これで汗をとると、後重も緩解し、下痢も また軽快する。《大塚敬節》
☆桂枝加人参湯証の下痢とは、寒熱虚実の差がある。
☆発病の初期で、悪寒、発熱があって下痢し、裏急後重があり、脈浮数にして力のある者に用いる(漢方診療医典)
[29]口噤:
☆36歳の中肉中背の婦人。5ヶ月ほど前から口が開かなくなり、いろ いろ手当をしたが良くならないといって来院した。無理に開けようと しても、右の顎の間接がこわばっていて、痛くて動かない、指が1本 入るくらいがやっとである。そこで《金匱要略》の条文にヒントを得 て葛根湯を用いた。葛根湯が筋肉の緊張を緩解する作用のあることは、 一般に知られているところで、これで肩こりや腰痛が治り、また破傷 風のケイレンを治する効がある。こんなことを考慮に入れて、10日 分を投与した。ところが不思議なことに、これを飲み終わって来院し た時は8分通り口が開くようになり、1ヶ月あまりで全快した。《大 塚敬節》
[30]高血圧
[31]虹彩炎
[32]五十肩:
☆五十肩の初期に用いる。しかし脈の弱い者や、腹部の軟弱な者、胃腸 が弱くて、食の進まない者などには与えない方が良い。《大塚敬節》
☆63歳男性。中肉中背の患者が、左の五十肩で診を乞うた。私はこれ に葛根湯を与えたところ、便秘して大便が快通しないようになり、気 分が良くないというので、清湿化痰湯にしたところ、大便も快通する ようになり、疼痛も軽快した。《大塚敬節》
☆発病の比較的初期で、脈に力がり筋肉の緊張のよい消化器の丈夫な人に用いる。ばあいによっては、苡仁10.0を加えたり、朮4.0を加えたりする(漢方診療医典)
[33]項背部のこわばり(項背拘急)
[34]さむけ(寒気)がする
[35]座骨神経痛
[36]産後の諸疾患:
☆産後の柔中風:「独活・地黄」《勿誤薬室方函口訣》
☆産後痙病:その初、項背強ばり、或いは言語蹇渋、寒慄する者は治す べし。葛根湯。続命湯の類に宜し。無患子、虎杖茎2味煎服亦効あり。
[37]三叉神経痛:
☆項部が緊張して脈有力の者《大塚敬節》
☆三叉神経痛やこの部の神経痛で、初期の者に用いる。
☆こじれた者or長引く者には:「朮3.0、附子1.0」《大塚敬節》
☆慢性の上顎洞蓄膿症のある38歳の女性が、数日前より右顔面がひど く痛んで、食事をすることもできない。夜も眠れないという。
診察してみると、右上顎の中央が、拇指頭大に腫れ、少し発赤し、 この部を撫でても強く痛む。右鼻腔は閉塞し、右肩が特に凝る。時々 悪寒があり、37、8℃の体温。脈は浮でやや数である。
そこで葛根湯に苡仁10.0を入れて与えたところ、その夜の明け 方から急に顔が軽くなって、ぐっすり眠り、起床と同時に、多量の膿 がノドの方へ出た。続いて、5日間これを飲むと、患部の新しい炎症 は消失して、全く疼痛を忘れた。苡仁は鎮痛と排膿の作用があるの で、これを加えた《大塚敬節》
[38]耳下腺炎
[39]子癇:
☆妊娠臨月、風痙を発するに因り、忽ち悶し、人を識らず、嘔逆眩倒 し、すこし醒め復発す。《外台秘要方》
[40]四十肩(腕)
[41]視神経萎縮
[42]視神経炎
[43]歯痛:
☆歯痛、或いは歯根腫痛等には、証に由り石膏を加う。《奥田謙蔵》
☆「石膏15g」《荒木正胤》
[44]湿疹:
☆<膨疹が白っぽいものに>
☆膨疹が赤く、熱を持つ時は→大青竜湯を考える。《中医処方解説》
☆化膿傾向には:「桔梗石膏or金銀花・連翹」。《中医処方解説》
☆水泡があれば:「越婢加朮湯」《中医処方解説》
☆急性期で発赤して熱感があり、かゆみのひどい者
☆慢性期でかさぶたを作り、かゆみの強い者:「石膏」
☆諸種の皮膚病、殊に湿疹等には、証に由り大黄を加う。《奥田謙蔵》
☆毛孔性苔癬《大塚敬節》
☆47歳男性。毎年夏になると全身の皮膚が痒い。汗をかくと時にひど い。体格中等大、肉付きは良い方。皮膚に変化は見られないが、前腕 内側を擦過すると敏感に発赤する。すなわち皮膚表記症が認められる。 これはジンマシンと考えて良いと思う。脈はやや浮にして緊、舌正常、 腹は肉付きよく、上腹部一体が膨満しているが、胸脇苦満とないえな い。その他には特に変わったこともない。そこで私は敗毒の意味で十 味敗毒湯を1週間分与えた。ところが再び来院して少しも良くならな いと云うのである。ここでまた考えてみた。強い皮膚の痒を訴える のに、発疹は全く見られないのが、前に十味敗毒湯の効が無かった例 と似ている。脈のやや浮を表証の存在と考えたらどうかと、そして葛 根湯石膏を1週間分与えた。10日ほどたって、その患者から電話 があった。
「今度の薬を飲んだら、痒いのが止まった。しかし薬がなくなると また痒くなったので、薬を送って下さい」《大塚敬節》
[45]腫脹<硬い>
[46]上気道炎
[47]猩紅熱
[48]小児が舌で口のまわりをなめる。《村井琴山》
☆口唇・周辺が乾燥して舐める者は→「柴胡清肝湯」を考える
《中医処方解説》
[49]小児のひきつけ
[50]ジンマシン:
☆10才の少女。色が浅黒く、すでに1年近くジンマシンに悩んだ。
私はこれに十味敗毒湯、桂枝茯苓丸、茵蔯蒿湯などを与えたが効無く、 最後に葛根湯を用い、やや軽快し、僅かのところで、どうしても治ら ないので、葛根湯撲にしたところ、1ヶ月あまりで全治した。《大 塚敬節》
☆数年前30歳ぐらいの婦人が頑固なジンマシンに悩んで治療を受けに 来た。方々の医者で注射をしたり薬をつけたりしたがどうしても治ら ないという。その時私は十味敗毒湯を10日分ばかり与えた。その患 者はそれきり来なくなったので、果たして薬が効いたかどうかもわか らず、そのことも忘れてしまっていた。この春ひょっこりとその婦人 が、ご夫婦でやってきた。聞けば「私のジンマシンは、あの薬ですっ かり治ってしまいました。今度は主人が同じようにジンマシンで苦し んでいますので、一緒につれて来ました」ともこと。ご主人は痩せ型 の背の高い人で、全身が痒くかけば赤くなって腫れるという。しかし 見た目には、皮膚の発疹は認められなかったが、前と同じ十味敗毒湯 を1週間分与えた。しかし1週間たってきた時も、少しもカユミが治 らないということであった。私は又1週間、同方を与えて帰した。け れどもやはり効かなかった。私の師匠に、この話をしてご意見を求め ると「それは麻黄じゃないか」と云われた。しかし患者はそれきり来 なくなったので、麻黄剤を試みることは出来なかった。《山田光胤》
☆5歳の子供、ジンマシンで身体中が痒がり、夜も一晩中眠らない。近 所の医者にかかって、10日程注射をしているが少しもよくならない。
私は、《類聚方広義》の葛根湯条下に“小児赤遊風を治す”“葛根 加朮附湯----風疹、血疹、痒甚だしきを治す”とあることから、葛 根湯証と考え、また夜も眠らずにかゆがるという点を煩躁と考えて石 膏を加え、葛根湯石膏として3日分を与えた。
しばらくしてから報告があった。それによると、子供が嫌がってな かなか飲まないので、1日分を2日かかってやっと飲ませた。ところ が、1日分を飲み終わる頃から、あれほどひどく痒かったのが、ぱっ たり止まって、夜もよく眠れるようになった。もうよいと思ったが、 再発するといけないと思って、あと2日分を5日かかって、全部飲ま せた。《大塚敬節》
☆44歳男性。25年前から冬になるとジンマシンが出るという。葛根 湯撲苡仁を用いて著効を得た。この患者には葛根湯だけでも良 かったのかも知れないが、撲を加えた。これは私の安心のためであ って、果たして撲が効いたがどうかは疑問であるが、蓄膿症にジン マシンを併発していた患者に、葛根湯撲を用いて著効を得た例が あったので、この患者にも夜のなると鼻が詰まると言う訴えがあって、 よく似ていたので加減した。苡仁を加えたのは、頭部の百会の付近 にイボが1つあったからである。
さてこの患者は冬になるとジンマシンが出るけれども、水を呑むと 5分位で消失する。また熱が出ている間はジンマシンは出ない。とこ ろが3年前から、のどにウロコのようなものが、貼り付いた感じがあ り、神経症とも云われたり、鼻咽腔炎とも云われたことがある。耳鼻 科に1年通院したがよくない。
私はこれに葛根湯撲苡仁を用いたところ、ジンマシンがぐっ と減り、特別に寒い時だけに出るようになり、20日目ゴロから、鼻 の乾燥感を忘れ30日目ごろには、イボが消えた。《大塚敬節》
[52]神経痛
[53]頭痛:
☆感冒その他熱がある時の頭痛で、悪寒又は風にあたるとゾクゾクして 気持ちが悪く、項部から背にかけて凝る者《大塚敬節》
☆感冒その他熱のある場合の頭痛に用いる《大塚敬節》
☆悪寒又は悪風があって、発熱し、項部から背にかけて凝るという症状 があり、脈は浮いて力がない者を目標にする《大塚敬節》
☆熱や悪寒がなくても、前額洞蓄膿症や上顎洞蓄膿症などの鼻の病気で 頭痛する時や三叉神経痛で痛む時にも項部の緊張と脈に力にあること を目標にして用いる、《大塚敬節》
[54]脊椎空洞症
[55]喘咳
[56]喘息:
☆肩・背がこる者:「杏仁3.5g、石膏15.0g」《荒木正胤》
[57]帯状疱疹
[58]大腸炎:
☆腸炎・腸カタル:
☆赤痢・大腸炎などの発病の初期に用いることがある。その目標は、腹 痛と裏急後重を伴う下痢で、悪寒、発熱があり、脈は浮大数である。 しばしば腹痛を訴える事がある《大塚敬節》
☆大腸炎や赤痢などで葛根湯を用いるのは、発病当初だけで、これを数 日間続けて用いることは少ない。葛根湯を用いて悪寒が去れば、黄芩 湯、芍薬湯、大柴胡湯などを用いる。《大塚敬節》
[59]打撲
[60]丹毒:
☆頭部の丹毒(頭瘟):「桔梗石膏」《方読便覧》
[61]蓄膿症:(副鼻腔炎)
☆葛根湯は鼻炎・副鼻腔炎などで、鼻閉塞、鼻漏などを訴える者に広く 用いられる。これに川芎と辛夷を加えたり、川芎と大黄を加えたり、 石膏を加えたりすることもある。《大塚敬節》
☆上顎洞蓄膿症には、証に由り芎、大黄を加え、或いは辛夷を加えて、 更に有効なることあり。《奥田謙蔵》
☆脳漏、眼耳痛:「川芎・大黄」《勿誤薬室方函口訣》
☆前額洞蓄膿症、上顎洞蓄膿症に適する。頬部が痛み、便秘、のぼせな どの症状があれば葛根湯に川芎3.0、大黄1.0を加える《大塚敬節》
☆「川芎3.5g、大黄1.0g」or「ドクダミ3.5g」《荒木正胤》
☆急性には:「桔梗石膏」《荒木正胤》
☆27歳男性。1年ほど前から、頭が重く、鼻が詰まり、ノドの方へ鼻 汁が流れるようになったので、某大学病院で診てもらったところ、前 額洞蓄膿症だから、手術をしなけれな治らないと云われた。その上、 10ヶ月ほど前からジンマシンも出るようになった。
脈をみると浮大で、腹診上、臍上の皮下に鉛筆の芯のように硬いも のを触れ、しかもそれを指頭で圧すと痛む。これは葛根湯を用いる目 標である。そこで、葛根湯辛夷・撲各3.0を加えて与えた。撲 を加えたのは、《腹証奇覧翼》に桂枝加土骨皮という処方があり、土 骨皮は撲のことである。これにヒントを得て、毒を消し、排膿を促 し、かねてジンマシンを治するという狙いでやった小細工である。
さた、これを服用してから、1ヶ月目に、次のような来信があった。 “過日(10/16)は御診察をいただき、大変ありがとうございました。 おかげを持ちまして、日毎に快方に向かい、昨今はすこぶる爽快で、 仕事の能率が上り、感謝いたしております。もうしばらく服用を続け れば、全快することと存じますので、お手数ながらお薬をお送りいた だきたくお願い申しあげます。
10/20、服用開始。1日3回。10/21、少し下痢する。10/25、足首と 腹部(ベルトが当たる部分)のカユミがなくなる。10/27、口の中へ下 りる膿が減ってくる。10/30、鼻汁がちょっと多く出る。11/2、酒を 飲んだが従前のように頭が痛くならない。11/4夕方、背中からおし りにかけて一面にジンマシンが、今までに無いくらいひどく出る。翌 朝は引いていた。11/5、前日よりは軽いが、同じようにジンマシンが 出て、翌朝は引いていた。11/18、鼻の外観が変わっているのに気づ く。服用前の写真と比べてみると、鼻の付け根から少し下がった部分 の腫れが引いているのがよく分かる。11/14、現状、頭の重いという 感じが無くなった。口の中へ下りる膿が非常に少ない。鼻汁が服用前 より多く出るようになった。従前はかんで出るより咽へどんどん下り ていました。咽喉は若干楽になったようである。まだタンがひっかか っているような感じで、声の出にくい時がある。以上のような次第で ありすので、前回同様格別の御配慮を賜りたく存じます”
そこで1ヶ月分の薬を送ったところ、12/18、次のような連絡があ った。“2回目のお薬をいただいてからの経過は次の通りであります。 だんだん咽頭が楽になってきました。風邪気味でありますせいか、頭 が痛いのですが、服用前のようにドンと重く、時々しびれるというの ではありません。睡眠不足の朝の様な感じであります。従来は甘い物 にはほとんど食気がなく、まれに食べても、胃に異常感を起こすこと さえありましたが、最近は甘い物が美味しいと感じるようになりまし た。それかと云って、たくさん食べるようなことは致しません。疲労 しなくなりました。従来は毎日何か栄養剤を飲んでおりましても、帰 宅すると、ぐったりして元気がありませんでしたが、最近は全然栄養 剤を服用しなくても疲労感がありません。ジンマシンはその後、全く 出なくなりました”
この患者は、その後1ヶ月ほど服用すると、自覚的に全快したよう に思われるので、手術をしなければいけないと云われた大学病院に行 って診察を受けたところ、レントゲン写真で調べても、すっかり全治 していたので、その医師は驚いていたとのことである《大塚敬節》
☆劇痛を訴える副鼻腔炎:「桔梗石膏苡仁」《大塚敬節》
[62]中耳炎:
☆悪寒・発熱があり、くび・肩などが強ばる、初期に用いる。:「桔 梗石膏」《大塚敬節》
☆葛根湯桔梗石膏を用いても、炎症・疼痛が止まない者には、十味敗 毒湯連翹を用いる《大塚敬節》
☆初期に耳の中が痛み、悪寒、発熱、頭痛があり、脈は筆力があるときに用いられる。また肩こりを訴えたり、脳膜炎様の症状を呈するときにも用いられる。もし嘔吐を伴うときは、半夏5.0gを加え、煩渇を訴える場合、穿孔性で排膿のあるものには桔梗3.0g、石膏5.0gを加える(漢方診療医典)
[64]痛風:
☆初起、発熱、悪寒、苦痛する者:「土骨皮」《方読便覧》
[65]トラコーマ:
☆膿眼:毒に属する者:「川芎・大黄」《方読便覧》
[66]難聴
☆感冒のため鼻がつまり、耳管カタルを併発した者や、中耳炎などのた めに難聴になった者に用いる。その目標は悪寒、発熱、脈浮の状があ って、頭痛、肩凝りなどが有る者《大塚敬節》
[67]にきび
[68]日本脳炎
[69]乳汁不足:
☆乳汁の分泌を促す効がある。乳房の張りはよく、乳汁が出そうで出な いという婦人に、脈が浮いて力があるのと、肩が凝るのを目標として、 用いる、《大塚敬節》
[70]乳腺炎:
☆乳汁が欝滞して悪寒する者に良い《大塚敬節》
熱性ケイレン
☆傷寒論では項背の強ばるものに用い、金匱要略では口噤し、て語するを得ず、剛痙をなさんと欲すというものに用いている。ここで剛痙というのは破傷風を指したもので、牙疳緊急して口を開くことができないものに用いる。葛根湯はこの初期で口噤語るを得ずという程度のものに用いる(漢方診療医典)
[71]寝小便
[72]寝違い
[73]脳炎
[74]脳膜炎:
☆軽症仮性脳膜炎、或いは破傷風の類にして、その初起、脈浮数なる者 《奥田謙蔵》
[75]はしか(=麻疹)
☆虚弱な者は→「桂枝加葛根湯」《荒木正胤》
[76]肺炎
[77]黴毒:「荊芥・大黄」
[78]背痛
[79]破傷風:
☆その初、項背強ばり、或いは言語蹇渋、寒慄する者は治すべし。葛根 湯、続命湯の類に宜し。無患子、虎杖茎2味煎服亦効あり。
☆傷寒論で、項背の強ばる者に用い、《金匱要略》では口噤して語るを 得ず、剛痙をなさんと欲すという者に用いている。ここで剛痙とは破 傷風を指したもので、牙関緊急して、口を開くことが出来ない者に用 いる《大塚敬節》
☆《平原元淋》
“余が上毛、高崎に寓居の頃、旧藩士大滝某2男年14、5は雨天の時、 素足で外に出て右足の甲を少し損傷した。しかし小さい傷だから何も つけず、1日ばかりで治ってしまった。ところが、2、3日たって少 し寒気がして熱が出た。そこで診察を乞うた。
その症は熱と悪寒が少しあり、脈は遅で腹はややひきつれ、足の甲 が少し痛む。その他は大したことはない。主人が破傷風ではないかと 問うので、余もそうであろうと答え、投剤しようと急いで帰宅した。 すると調剤が終わらないうちに、使者が飛んできて、病人がきわかに 半身痛を起こしたという。そこで使者に葛根湯烏頭を与え、再び診 察してみるに、諸症は前の通りで、右半身から足にかけて引きつれて いる。よって、前方をどんどん服用せしめると共に、夕方発汗してか ら症状が軽快しましたと主人がいう。発泡膏の部が水疱となっていた ので、皮を切り去り、また発泡を貼った。3日たって膏薬を変えた。 通計6、7日で全治した”
[80]発声困難:
☆喉痺、纒喉風、風熱に属する者を治す「葛根湯桔梗石膏」外含むに 「駆風解毒湯桔梗石膏」を以てすれば更に桂なり。
[81]発熱:
☆種痘後の発熱等。《奥田謙蔵》
[82]鼻炎
☆かぜをひいて、急性鼻炎を起こしたとき、その初期に一般に用いられる。頭痛、発熱、悪寒、鼻閉塞、鼻汁などのあるとき用いる。慢性の鼻炎にも用いて良い。初音UTのないものでもい。便秘の者には川3.0g大黄0.5g~1.0g(漢方診療医典)
[83]皮下膿瘍
[84]皮膚炎
[85]ひきつけ
[86]肥厚性鼻炎
[87]疽(ひょうそ)
[89]風疹
☆発病初期でクビから肩にかけて強ばり、熱が高く出ても汗が出ず、脈浮数の者に用いる。また、夜、かゆみがひどくて眠れない者には石膏。(漢方診療医典)
副鼻腔炎
☆急性期の初期に用いる。発熱、頭重、鼻閉塞、膿汁流出、肩こりなどあるものに用いる(漢方診療医典)
☆慢性に移行した場合によく用いられるのは葛根湯川・黄・桔梗・辛夷各2.0gである。内熱、便秘の傾向有る者には石膏5.0g大黄0.5g~1.0gがよい。肥厚性鼻炎、鼻茸に連用してもよい。鼻の病にはよく辛夷を加える(漢方診療医典)
[90]フルンケル()
☆癰や疔の発病初期で、悪寒、発熱を主訴とする時期に用いてよい場合 がある。《大塚敬節》
[91]ヘルペス
[92]片頭痛
[93]扁桃(周囲)炎:(桔梗石膏)
☆扁桃炎、或いは咽喉の諸疾患には、証に由り甘草を増量し桔梗を加う。 《奥田謙蔵》
☆扁桃炎、咽頭炎などで、悪寒、発熱、頭痛、肩背の緊張感などがあれ ば:「桔梗石膏」《大塚敬節》
[94]扁桃膿瘍
[95]発疹:<痛みがある>
☆29歳の婦人。4年前、出産後に栗粒のよいうな発疹が上肢に出来、 それがだんだん拡がって、背部・肩・臀部などにも出来た。それは、 カユミは大してなく、苦しみは無いが、皮膚がザラザラして気持が悪 いと云う。その発疹の色は、皮膚の色と同じで、ただやや乾燥してい る。冬になると増悪し、夏になると軽快するという。大小便、月経な ど普通。
そこで当帰飲子を与え、これを2ヶ月あまり飲んだが効がない。そ こで十味敗毒湯にした。すると1ヶ月ほどで、だんだん患部が拡がり、 反って良くない。思いあまって、葛根湯にしたところ、こんどは日増 しに軽快し、2ヶ月ほどで全治した。《大塚敬節》
[96]麻疹:
☆初発のとき、発熱増寒、咽喉腫痛、咳嗽煩渇する者「桔梗石膏」を 主とす。世医往々桂麻を忌む。余曰く、疹毒は桂麻石の3品に非ずん ば発する能わず。紫蘇荊芥はその奴隷のみ。《麻疹心得続録》
☆麻疹、或いは痘瘡の初起等《奥田謙蔵》
[97]慢性関節リウマチ:
☆起床時に痛むがしばらくたつと軽くなる者。
[98]慢性頭痛
水虫:
☆72歳の婦人。毎年夏になると足に水虫が出来るのだが、今年はこと にひどくて、10日ほど前から歩くこともできない。
往ってみると、あまりのひどさに驚いてしまった。両足の足底は全 体がグシャグシャになって皮が剥けかかり、黄色の浸出液がジクジク 出て、しかもそれが細菌感染を起こして、臭い膿臭を漂わせている。 2日前からは悪寒と頭痛がするので、寝込んでしまったという。口渇 があり、お茶をよく飲む。便通は快通しない。足は前から非常に痒か ったが、ここ数日は痛くで仕方がないという。
体格中等大、肉付き普通、脈はやや浮、腹は心下部がやや堅く張っ ている。頭痛・悪寒があり、表証の存在は確実である。とすれば薬方 は何かということで迷ってしまった。葛根湯を先ず使いたいところだ が、口渇、煩躁により白虎加人参湯も考えられる。また局所の状態か ら考えれば排膿散や十味敗毒湯なども考えられる。合方という手もあ るが、それでは反って効果が無いこともあるし、また効果があっても、 後々のためにならない。そこで十味敗毒湯石膏を煎剤で与え、葛根 湯のエキスを兼用することにした。これならば表証の除去にも、局所 の病変の根本的治療にもよいと考えたのである。
1週間分の薬を与えたら、“薬を飲んだら、見る見るうちに良くな った、5日目ぐらい後にはほとんど普通と同じくらいきれいになった ”と報告があった。1週間後、家人が薬を取りに来て“もう外見上は 何ともない。皆不思議に思っている”とのことであった。
そこで今度は十味敗毒湯だけを1週間分与えた。この時、私は水虫 そのものの治療は十味敗毒湯の薬効だとうと考えていた。ところが、 4、5日すると電話がかかってきて“煎じ薬を飲んでいるが、また足 が痒くなってきて、病人が心配して粉末も飲みたがっているがら至急 送って下さい”とのことである。
これはこれはと思って、私はいささか驚いてしまった。ことによる と、これは葛根湯が効いたのではないかと気づいたのである。早速葛 根湯エキスを1週間分送っておいた。そして7日後、家人がやってき て、“粉薬を飲んだらカユミが止まりました。もう少し薬は続けます ”というので、葛根湯が効いたらしいことは、先ず間違いなさそうで ある。そこで今度は、家人が両方の薬を下さいというのを、強いて説 得して、葛根湯エキス剤だけ1週間分与えた。そして、その後は全く 順調である。《大塚敬節》
[99]耳だれ:
☆耳:「桔梗石膏」《方読便覧》
[100]無汗
[101]無声
[102]面庁
[103]網膜炎
[104]夜尿症
☆葛根湯や麻黄湯などの麻黄剤が夜尿症に効くという話を亡友吉村得二氏に聞いたことがあり、昼間は尿が多くないのに、夜間になると尿が多く出るというものに用いる効を得たことがあった。患者は、筋肉の緊張がよく、血色もよく、食欲もあり活発な小児であった。(漢方診療医典)
[105]腰痛症:
☆感冒・流感・神経痛・リウマチなどによる腰痛。
☆熱のある病気の初期に腰痛を訴えるときに用いる《大塚敬節》
☆熱の無いときでも、急に腰が痛む時は、リウマチ・神経痛・腰筋痛症 の如何を問わず、脈が浮いて力があれば葛根湯を用いる《大塚敬節》
☆38歳の男性。頑強な体格で、数ヶ月前から腰痛を訴え、注射その他 の手当を受けたが、なかなか軽快しないという。脈を診ると浮にして 力があり、全身の筋肉が緊張している。腰痛は圧によって増減するこ とはないが、屈伸時は突っ張るように痛む。脊椎には異常はない。こ の腰痛も“項背強ばる”の1症とみなして葛根湯を与えたところ、数 日後には疼痛が止まった。《大塚敬節》
☆発病初期で、脈にも筋肉にも緊張のある者を目標とする。苡仁が良いことがある(漢方診療医典)
[106]癰疽
[107]リウマチ
[108]リンパ腺(管)炎
[109]リンパ節炎
[111]流行性耳下腺炎
☆発病の初期で悪寒、頭痛、発熱などのある時に用いる(漢方診療医典)
[112]瘰癧:
☆初起、宜しく発汗すべし「桔梗石膏」
脈:
☆浮にして力がある、と言われているけれども、これは感冒などで熱の ある場合のことで、鼻炎や副鼻腔炎に用いる場合には、必ずしも浮で あることを要しない。《大塚敬節》
☆腰部や筋肉の緊張が弱く、振水音などを証明し、脈も沈弱である場合 には葛根湯を用いない方が良い。《大塚敬節》
【加減方】
「黄芩」=「解肌湯」《外台秘要方》
葛根湯[2]《東醫寶鑑》
「葛根2銭、黄芩・大黄(錯炒)・山梔子・朴硝・甘草各1銭半」水煎服。
◎陽毒を治す。
葛根湯加川芎辛夷《本朝経験》
=「葛根湯川芎辛夷」
★適応症及び病名
悪寒
花粉症
項背強
頭重
頭痛
発熱
鼻炎(急性・慢性)
鼻汁<濃厚>
鼻閉
副鼻腔炎(急性・慢性)
無汗
葛根黄芩黄連湯[1-1]《傷寒論》
「葛根半斤、甘草(炙)2両、黄芩3両、黄連3両」
右四味、以水八升、先煮葛根、減二升、内諸薬、煮取二升、去滓、分温再 服。
◎太陽病、桂枝證、医反下之、利遂不止、脉促者、表未解也。喘而汗出者、葛根 黄芩黄連湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證治中第六。
「利遂不止」=利ついに止まず。=ひきつづき下痢が止まない。「遂に」は、 ある事柄にひきつづくの意で、ここでは、医者が誤って下剤を用い、それ につづいての意。
葛根黄芩黄連湯[1-2]《傷寒論》
「葛根8両、黄連3両、黄芩3両、甘草(炙)2両」
右四味、以水八升、先煮葛根、減二升、内諸薬、煮取二升、去滓、分温再 服。
◎太陽病、桂枝證、医反下之、利遂不止、脉促者、表未解也。喘而汗出者、葛根 黄芩黄連湯主之。
《傷寒論》辨可発汗病脉證治第十六。
葛根黄芩黄連湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》
「葛根8g、甘草・黄芩・黄連各3g」
水320ccを以て先ず葛根を煮て240に煮詰め、他の諸薬を加えて再び煮て 80に煮詰め、滓を去り2回に分服。
葛根黄芩黄連湯[1-4]《傷寒論》《中薬臨床応用》
「葛根6g、麻黄5g、白芍薬9g、桂枝5g、生姜9g。甘草3g、大棗6g」水煎 服。
◎急性腸炎
◎細菌性下痢
◎湿熱の下痢
葛根黄芩黄連湯[1-5]《傷寒論》《漢方治療の実際》
=葛根黄連黄湯
「葛根6、黄連・黄芩各3、甘草2」
○葛根黄連黄湯は、その葛根を用ふること最も多し。しかして項背強急の証なし、蓋し闕文(文が欠けている)なり。これを下裏して汗出づる者に施すに、終に効あることなし。項背強急して前証ある者は、即ち是れ影響するなり。《薬徴》
◎項背強急し、心下痞し、心悸して下利する者を治す。《吉益東洞》
◎葛根半斤を用いて項背強急の証なし、蓋し闕文なり。諸を下利、喘じて汗出ず る者に施すに終に効あることなし、項背強急して前証を見る者は其の効影響す、 其れ闕文たること疑を容るるなし。《重校薬徴》
◎表熱下利・脉促・喘・汗出。
葛根黄芩黄連湯[1-6]《傷寒論》
★適応症及び病名
[1]インフルエンザ
[2]息切れ
[3]疫痢:
☆疫痢で高熱が出て、下痢とともにケイレンを発する場合に用いる。 《大塚敬節》
[4]嘔吐:
☆嘔吐止まず、諸薬無効の者、脈浮数は表邪壅遏に属する。本方を与 えすみやかに癒える。
☆二日酔いで、嘔吐する者には、五苓散や順気和中湯が良く効くが、 嘔吐、下痢があり、また心下部の痛む者には、この方の効く場合が ある《大塚敬節》
[5]悪寒
[6]肩こり:
①悪寒、頭痛
②感冒<胃腸型>
③下痢<発熱性>
④太陽病。
[7]感冒:<胃腸型>
[8]気管支喘息
[9]急性胃腸炎
[10]急性腸炎
[11]胸中煩悸
☆平日項背強急し、心胸痞塞し、神思悒欝(ユウウツ)して、舒暢(ジョチョウ) せざる者を治す。或いは大黄を加う。《類聚方広義》
[12]ケイレン:
☆疫痢の初期のケイレン《大塚敬節》
[13]下痢:
☆<発熱性>
☆(悪臭のある下痢・裏急後重・肛門の灼熱感)
☆表邪陥下の下利に効あり。《勿誤薬室方函口訣》
☆下痢性疾患にして、裏急後重有り、熱性症候盛にして、心下部満悶 し、汗出でて脈浮数なる証。《奥田謙蔵》
☆発汗を行いて後病解せず、下痢日に数余行、心下部痞満し、汗出で て脈浮数なる証。《奥田謙蔵》
☆下痢の初期に葛根湯を与え、而も下痢止まらず、熱性症候益々増進 する等の者。《奥田謙蔵》
☆小児早手(=疫痢)の下痢に用いる。
☆疹已に出て瀉する者によろし。
☆瀉久しくして痢に変ずる者→「乾姜芩連人参湯」《麻疹心得続録》
☆傷寒恊熱利して喘する者を治す。
☆熱瀉を治す。
[14]口渇
[15]口内炎:
☆口内炎等。《奥田謙蔵》
☆口瘡を治す:「紅花、石膏」《浅田宗伯》
☆鵝口瘡を生じ、飲食ともに減じた者に:「葛根黄芩黄連湯1/4紅 花0.5・石膏3.0」で著効《大塚敬節》
☆急性肺炎で、抗生物質を濫用したため、下熱後、カンジダ性潰瘍と なり、口腔内及び舌一面に、紅斑様の糜爛を生じ、ところどころに 白斑の苔が出来て、飲食が出来ず、言語を発することも困難を感ず る者に、「葛根黄芩黄連湯紅花2.0・石膏10.0」を用いたところ、 7日後には、ほとんど苦痛を訴えないほどに軽快した。《大塚敬節》
[16]高血圧
[17]項背強
[18]自汗
[19]心悸亢進
[20]心下痞:
☆微熱ありて下痢頻発し、心下部閉塞の感あり、或いは疼痛する証。 《奥田謙蔵》
[21]頭痛
[22]赤痢:
☆小児の疫痢。《済世薬室》
[23]舌炎
[24]喘息:
☆此方の喘は熱勢の内壅する処にして主証にあらず。
☆喘息には、証に由り、半夏、石膏、或いは大黄を加う。《奥田謙蔵》
[25]歯痛:
☆項背強急し、心下痞塞し、胸中寃熱(寃=エン、ぬれぎぬ)して、眼目、 牙歯疼痛し、或いは口舌腫痛、腐爛する者二は、大黄を加ふれば其 の効速かなり。《類聚方広義》
[26]丹毒:
☆丹毒、及びその類似疾患等。《奥田謙蔵》
[27]脳血管障害・後遺症:
☆脳溢血の発作後にして、発熱し、心気不安、顔面潮紅及び頭痛、煩 躁を現し、脈浮大にして数なる等の証。《奥田謙蔵》
[28]発熱:
☆艾灸後の発熱。《奥田謙蔵》
☆疹後、身熱除かざるを治す。《保嬰撮要》
[29]二日酔い:
☆酒客の表証に用いるは活用なり。《勿誤薬室方函口訣》
☆過酒後の吐下、心痛する者。
☆宿酔にして煩熱を訴える等の証《奥田謙蔵》
[30]不安神経症
[31]不眠症
[32]ほてり
[33]麻疹
☆高熱が出るとともに痙攣を起こすものに用いる。また、高熱、咳嗽があって下痢する者に用いることがある(漢方診療医典)
[34]胸苦しい:
☆身熱劇しくして心煩し、或いは暴瀉数行、脈浮数なる証。《奥田謙 蔵》
[35]目が充血
[36]やけど:
☆火傷後の発熱等。《奥田謙蔵》
葛根加朮附湯[1-1]《龍野一雄》
「葛根4g、麻黄・大棗・白朮各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、炮附子0.3g(又 は白川附子1g)」
◎実証の身体の麻痺・疼痛・分泌・化膿症。
葛根加朮附湯《漢方治療の実際》
「葛根湯朮3、附子0.5」
★処方解説
A[方剤分類]・・・去風湿剤
B[八綱弁証]・・・表寒実
C[六経弁証]・・・太陽病
D[衛気営血弁証]・衞分
E[臓腑弁証]・・・湿寒犯肺、寒湿痺
F[方剤帰経]・・・膀胱経、肺経。
G[効能・効果]・・散寒去湿、辛温解表、止痙
葛根加朮附湯[1-2]《中医処方解説》
「葛根湯蒼朮4g、附子1g」
★適応症及び病名(五十音順)
[1]カルブンケル
[2]かぜ
[3]潰瘍
[4]肩関節周囲炎
[5]肩こり
☆肩強急(本方以外に「肩強急」の表現があるのは、延年半夏湯、 三味鷓胡菜湯などがある)
☆身体の麻痺、疼痛、実証。
[6]関節リウマチ(上半身の)
[7]顔面神経麻痺
[8]筋肉痛
[9]筋肉リウマチ
[10]頸肩腕症候群
[11]項背がこる
[12]五十肩
[13]座骨神経痛
[14]四肢の疼痛
[15]四十腕
[16]湿疹
小児の解顱:
☆初起の者には急に葛根加朮附湯を与え、紫円を以て之を 攻めば則ち効 あり。その証已に成る者は之を攻めば命を促す。紫円能く上部の毒を治 す。《先哲医話》
小児四肢痿弱:
☆もし痿弱、背骨突起する者及び左右の証異なり偏枯の如きは、急癒し能 わず。《先哲医話》
[17]神経痛:
☆上肢の神経痛に用いることがある《大塚敬節》
脱毛:
☆油風にて毛髪脱落する者。《吉益南涯》
[18]蓄膿症
[19]中耳炎
[20]発疹
[21]フルンケル
附骨疽:
☆熱甚だしき者《方読便覧》
[22]麻痺<四肢の麻痺>
[23]慢性関節炎
[24]慢性関節リウマチ
[25]腰痛症
[26]リンパ腺炎
瘰癧:表を発すれば滞を散ず。《方読便覧》
葛根加川芎大黄湯《龍野一雄》
「葛根4g、麻黄・大棗・川芎各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、大黄1~3g、 干姜1g」
◎頭部の炎症、発赤疼痛、のぼせ、便秘。
★適応症及び病名
[1]結膜炎
[2]湿疹
[3]歯痛
[4]蓄膿症
[5]フルンケル<頭背部>
葛根加半夏湯[1-1]《傷寒論》
「葛根4両、麻黄(去節)3両、甘草(炙)2両、芍薬2両、桂枝(去皮)2両、 生姜(切)2両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚」
右八味、以水一斗、先煮葛根、麻黄、減二升、去白沫、内諸薬、煮取三升、 去滓、温服一升、覆取微似汗。
◎太陽與陽明合病、不下利、但嘔者、葛根加半夏湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證治中第六。
葛根加半夏湯[1-2]《傷寒論》
「葛根4両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚、桂枝(去皮)2両、芍薬2両、 甘草(炙)2両、麻黄(去節)3両、生姜3両」
右八味、以水一斗、先煮葛根麻黄、減二升、去上沫、内諸薬、煮取三升、 去滓、温服一升、覆取微似汗。
◎太陽與陽明合病、不下利、但嘔者、宜葛根加半夏湯。
《傷寒論》辨可発汗病脉證治第十六。
葛根加半夏湯[1-3]《傷寒論》《龍野一雄》
「葛根4g、麻黄・大棗各3g、桂枝・芍薬・甘草各2g、半夏8g、干姜1g」
◎葛根湯の証にして嘔する者を治す。《吉益東洞》
◎《傷寒論》に太陽と陽明との合病必ず自下利す葛根湯之を主ると曰う。下利せ ず但嘔する者は葛根加半夏湯是を主ると曰う。為則按ずるに合病の説は疾医の 言にあらざるなり。項背強急、汗なく悪風、身疼痛して嘔する者は葛根加半夏 湯之を主る。《重校薬徴》
◎葛根加半夏湯は、太陽と陽明との合病、身熱し、頭疼み、項強り、煩熱し、鼻 乾き、目疼んで嘔するを治す。《証治要訣》
◎此方は合病の嘔を治するのみならず、平素停飲ありて本方を服し難く、或いは 酒客の外感などに、反って効を得るなり。
◎葛根湯の証で吐く者。
★適応症及び病名
嘔吐:
☆総て葛根湯の証にして、乾嘔或いは嘔吐を発する者《奥田謙蔵》
悪寒
咳嗽
喀痰
葛根湯を飲むと吐き気を催す者。
急性大腸炎<嘔吐がある>
項背強
食欲不振:
☆葛根湯を与えて、反って食欲減退する者に、本方の応ずる証あり。 《奥田謙蔵》
身熱
頭痛
赤痢:
☆小児の赤痢、及び疫痢の初期にして、表証有り、或いはその嘔吐を 以て始まる等の者。《奥田謙蔵》
発熱
煩熱
無汗
葛根解肌湯[1]《東醫寶鑑》
「葛根・柴胡・黄芩・芍薬・羗活・石膏・升麻・白・桔梗各1銭、甘草5 分を剉作して、1貼に姜3、棗2を入れ水煎服。
◎陽明経病に目がチカチカし、鼻が乾いて、寝られないとき。
葛根解肌湯[2]《東醫寶鑑》
「葛根3銭、麻黄・黄芩各2銭、芍薬1銭半、桂皮1銭、甘草8分」剉作 1貼し「姜3、棗2」入れ水煎服。
◎春瘟で発熱し、渇く。
葛根橘皮湯《東醫寶鑑》
「葛根・橘皮・杏仁・知母・黄芩・麻黄・甘草各1銭」水煎服。
◎冬温の発斑を治す。
葛根紅花湯《漢方治療の実際》
「葛根・芍薬・地黄各3。黄連・梔子・紅花各1.5、大黄・甘草各1」
葛根竹茹湯《東醫寶鑑》
「葛根3銭、半夏(切って姜汁と漿水で煎じて、焙って乾燥)2銭、甘草1銭 を剉作して、1貼に姜3、棗2、竹茹1を弾子大に丸めて服用。
◎胃熱があって嘔吐、煩渇・脈早い者を治す。
葛根片(北京心不全協作組)
1錠中に葛根フラボン100mgを含む。毎日3回、1回1~2錠づつ服用。 4~12週を1クール。
◎狭心痛。
葛黄丸《東醫寶鑑》(一名葛連丸)
「黄連4両、葛花2両」作末し、大黄末を水で煎じた内に入れ膏をつくり、 梧子大の丸剤。温水で100丸服用。
◎飲酒過多で熱がつもり、衂血して死に至るとき。
葛朮湯《東醫寶鑑》
「葛根・蒼朮各2銭、枳実・山梔子・甘草各1銭、豆豉1合」作末し水煎服。
◎酒疸を治す。
葛朮湯《医学入門》《古今方彙》
「葛根・白朮・桂心各1分、豆豉・杏仁・甘草各5分、枳実3分、水煎。
◎酒疸及び脾経肉疸、労役疸、腎経黒疸を治す。
◎熱有る者:「桂枝白朮山梔子」
滑石丸《東醫寶鑑》
「滑石末」飯で梧子大の丸剤。10丸を飲む。
◎傷寒で汗が出ず衂血が出るとき。
滑石散[1]
「寒水石2両、滑石・乱髪霜・車前子・木通各1両、葵子1合」を水1斗を5 升まで煎じる。1回に1升、1日3回。
◎臍下が急に痛み、小便が出ない者。
◎転で小便不利。
滑石散[2]《東醫寶鑑》
「滑石・石膏各5銭、石葦・瞿麦・木通・蜀葵子各3銭を作末し、毎回2 銭を、葱白2茎・灯心ひとにぎり・蜜2匙を煎じた湯で、空腹時に服用。
◎沙石淋を治す。
滑石散《備急千金要方》
「滑石、通草、車前子、冬葵子」
滑石礬石甘草散《東洞家塾方》
「滑石・礬石各6両、甘草3両」
右3味、杵き篩い作末、毎服1銭温湯にて之を下す。
◎淋病。
◎小便不利の者を治す。
“余嘗て淋家痛み忍ぶべからずして渇する者を治するに、滑石礬石甘散を用ひ、その痛み立ちどころに息む。”《薬徴》
膈下逐湯《医林改錯》
「五霊脂、当帰、赤芍薬、桃仁、降下、香附子、烏薬、甘草、川芎、牡丹皮、 延胡索、枳殻」
膈下逐湯《医林改錯》《中薬臨床応用》
「五霊脂(炒)・当帰・赤芍薬・桃仁・紅花・香附子・烏薬・甘草各9g、川 芎・牡丹皮・延胡索・枳殻6g」水煎し2回に分服。
◎内出血に伴う便秘(大黄)。
豁痰湯《万病回春》《古今方彙》
「半夏・山梔子各1銭、海桐皮・陳皮・枳殻各8分、桔梗・赤芍薬・蒼朮・ 香附子各7分、茯苓6分、川芎・欝金各57分、甘草1分」水煎。
◎肩背疼痛するを治す。
◎痛み甚だしきには:「芒硝」
霞天膏《東醫寶鑑》
「黄牡牛1具を純黄し、肥沢して病の気の全然ない2~3才になったものの、4 腿(ふくらはぎ)・項・脊を取って筋と膜は捨て、精肉でだんご程度の大き さに切って、40~50斤程をきれいな大きな釜にれ、長流水又は清潔な水で 煮るが、煮る時は火を連続に燃やし、ひっくり返しながら、又、水がなくな ったら熱湯を加えながら、水をかぶせて煮る事を忘れない事。そこの浮沫は 取って捨て、肉が溶けて泥のようになったら、濾過して汁を取り、又、小銅 鍋のような容器に柔柴で強火で沸して、上記のように休まず撹拌し、汁がだ んだん稀のようになったら、それを1滴程度、水に溶して散らないと、琥 珀と如王膏が完全になった事になる。しかし一番注意する事は、用心しない と膏にならないから良く注意してやる事である。12斤に膏1斤程度を作り、 磁器に入れて置いて使うから霞天膏と言う。
<1>薬剤に調用するには、最初に少し入れ、徐々に増やすのが良い。
<2>温火で煮詰めると、自然に熔化するから、丸薬を作るなら毎3分に白 蜜1分を入れて一緒に煮詰め糊を作って製丸し、或いは煉蜜で作っても 良い。又、寒天にして置くといつも新鮮である。
<3>夏は冷蔵庫などの冷所に保管すればよい。
◎虚痰・老痰が胸に粘着したときに、この膏を使って吐かせる。そして実痰・新 痰を治すには天南星・半夏を使って燥し、橘紅・枳角で散らし、猪苓・茯苓で 浸透させ、黄芩・黄連で降ろし、巴豆・附子で流通させ、竹瀝・瓜蔞で潤下さ せる。
喝起散
「嫩心(嫩ドン=若い)を陰干しにし作末して、2銭を酒で服用。」
◎風寒の頭痛を治す。
蝎麝白元子《世医得効方》《東醫寶鑑》 「半夏7両、天南星3両、白附子2両、川烏・天麻・防風・各1両、全蝎5 銭、麝香半銭」を作末し、姜汁糊で梧子大の丸剤。姜湯で30~50丸呑 み、風には温酒で1日3服すれば、数日後に汗をかいて患部が楽にな り、3~5日すぎたらあくびをする。
◎中風の痰涎壅塞と、一切の風疾に諸薬が効かないとき。
蝎梢散《東醫寶鑑》
「羊脛骨(灰)2銭半、麻黄1銭半、草豆蔲皮1銭、羗活5分、桂皮・升麻・ 防風・藁本・黄蓍各3分、白・当帰身・柴胡各2分、全蝎梢少し」を作 末し、牙上にすりつける。
◎大寒により脳を犯し、牙痛ある者。
蝎梢散《東醫寶鑑》
「蝎梢49枚を生薄荷葉でくるんで鍋で炒り、乾いたら再び、「白殭蚕49個」 を入れて姜汁で炒り、乾いたら脳・麝をそれぞれ少し入れて細末にし、「紫 雄鶏肝2片」を煎じた湯で呑み下す。
◎胎風・臍風などを治す。
果附湯《東醫寶鑑》
「草果・炮附子各2銭半、生姜7、大棗2」水煎服。
◎瘧疾で、顔色が青く・寒くて震える。
家方三物湯《和田東郭》
=「三物梓葉湯」
「赤梓・忍冬・通草各8分」
赤梓=あかめがしわ
忍冬=にんどう
通草=あけび
◎《和田東郭》の《蕉窓雑話》に詳しい
「この薬全体、癰に用るには半紙2つ切にして、その紙に円くなるほどの大剤 に調合し、水5合を入れ煎じて2合半とし、1日に2貼ほどづつ用ゆ。もし 煎汁多くて呑みかむる者には、よく煎じつめて用ゆ。初よりこれを用ゆれば、 終始この薬一方にて大抵はすむなり。これを用ゆれば、暫時にして高く腫 して蜂の如く穴あきて水出るなり。潰爛に至るときは腐肉トロトロして取 れて生肉上るなり。この薬、肉を通じ、血分を通ずると見ゆ。畢竟疎通の剤 なるゆへよく内托すると見ゆ。実に霊方なり。その薬の尋常なるを以てこれ を軽視すべからず、先ず巧用の著しきことは癰疽などにて用て甚だ功あり。 また飯たきの女などの指先の痛むに用ゆれば、僅かに2~3貼も用る中に、 ぶっくりと腫上るなり、故に風毒流注の未だ潰ゆべきは潰ゆ」
◎僕郷里、因州鳥取に在っては旧同藩医、戸崎省庵を師とせり、竹中氏の門に遊 んで東郭家を信ずる故、この三物梓葉湯もしばしば試用するに、往々験あり。 その目的は
①必ず醸膿を以てその毒を排せずんば愈べからざる種類の諸瘍にして、膿ま さに成らんとして未だ成らざるの間に用て膿潰を得ること甚だ速なり。
②諸癰疽及び便毒に多く用ゆ。
③疔の如き迅速の症には間に合はず。
④また痔疾及び風毒腫その他諸瘡には未だ確験を得ず。
⑤又、膿已に成り潰えて後、或いは専ら補托の剤を頼むべき者には決して効 無し。
⑥されども、癰疽すでに潰ゆと雖も、毒勢なお去らず、痛未だ止まざる者 には、托裏消毒飲に楸葉を加えて面白き効き目あり。
要するに、実症の者に行くべくして虚症には効無しと思われる。
また僕が母方の祖父に衣笠遊鴎と云う者、医を業として亦楸葉を用ひて、婦 人、分娩後、乳房凝結脹大にして乳汁塞て出でず、苦痛する者、或いは出づと 雖も凝りあって痛む者に、葛根湯楸葉を用いて能く消散す。外用よりも楸葉 1味を煎じて蒸さしむ。もし人乳汁乏少にして且つ乳房の凝痛する者には、五 味蒲公英湯楸葉を用ゆるに両全の効あり。」《藤田謙造》
★適応症及び病名
癰疔
牙疼禽嗽薬《東醫寶鑑》
「露蜂房1個の孔すべてに、胡椒・川椒を水につけたものを詰めて蓋をし、 紙で封をして重湯にし、温いうちにうがいをして、冷えたらはき捨てる。」
◎歯牙の疼痛。
画眉膏《東醫寶鑑》
「山梔子(炒黒)3個、雄黄・朱砂・軽粉」少しずつ作末し、清油で調合して 眉に塗る。
◎小児の乳離れに使う。
過敏性鼻炎湯《中薬臨床応用》
「路路通12g、蒼耳子9g、辛夷6g、防風9g、白6g」水煎服。
◎アレルギー性鼻炎。
荷葉煎《中薬臨床応用》
「鮮荷葉12g、香薷9g、白扁豆6g、冬瓜皮6g」水煎服。
◎熱射病
◎日射病
◎頭が脹る
◎胸苦しい
◎尿が濃い
括蔞薤白桂枝湯《金匱要略》
◎胸中痺し、満ちて痛み、或いは上衝する者を治す《方極附言》
◎して痰飲を唾し、胸満し、脇下より逆して心を搗き、その人必ず頭汗出ずる は、括蔞薤白桂枝湯之を主どる。《医聖方格》
◎世に所謂、痰労とは、咳嗽、胸満して痛み、或いは脇肋肩背攣痛し、粘痰或い は唾血する者なり。此方に宜し。当に胸満、胸背攣痛を以て目的と為すべし。 南呂丸、或いは姑洗丸を兼用す《類聚方広義》
★適応症及び病
[1]胃痙攣:
胃ケイレン、及びその類証。《奥田謙蔵》
[2]狭心症:
狭心症、及びその類証。《奥田謙蔵》
[3]心臓神経痛:
括蔞薤白白酒湯[1-1]《金匱要略》
=「括呂薤白白酒湯」
「括蔞実(搗)1枚、薤白半升、白酒7升」
右3味、同煮取2升、分温再服。
◎胸痺之病、喘息唾、胸背痛、短氣、寸口脉沈而遅、關上小緊数、括蔞薤白白 酒湯主之。
《金匱要略》胸痺心痛短氣病脉證治第九。
括蔞薤白白酒湯[1-2]《金匱要略》
「括蔞実2.4、薤白9.6、白酒2合1勺(今、《尾台榕堂》氏に従い、水1合9 勺に米醋(=きず「生酢」)2勺を加えて之に代う)」
括蔞薤白白酒湯[1-3]《金匱要略》《中薬臨床応用》
「括蔞仁15g、薤白9g、白酒60g」水煎服。
括呂薤白白酒湯[1-4]《漢方治療の実際》
「括呂実2、薤白4」を白酒400‹に入れ、150‹に煎じ、1日3回に分服 する。白酒の代用として上等の清酒を用いるがよいとする者と、酢を用い る者とある。酢の場合は水400‹の中に酢40‹を入れる。
◎山田椿庭の、白酒は醋で良いとしている《大塚敬節》
括蔞薤白白酒湯[1-5]《金匱要略》《龍野一雄》
=「括呂薤白白酒湯」
「括蔞実4g、薤白8g、日本酒140cc」
水を入れずに煮て40ccに煮詰め、2回に分服。
◎胸中痺して胸背痛み、及び喘息、唾する者を治す《方極附言》
◎胸背痛、心下部疼痛、或いは喘息短気咳唾。
★適応症及び病名
[1]息切れ
[2]胃炎
[3]胃痛
[4]咳嗽
[5]喀痰
[6]肩こり
①肩背強急
②胸痛
[7]感冒
[8]気管支炎
[9]気管支喘息
[10]気胸
[11]狭心症:
☆狭心症、及びその類証《奥田謙蔵》
☆飲みにくいので、少しづつ冷服するとよい。真性狭心症で、胸背痛、喘鳴、呼吸困難のものに用いるが、発作時にも飲んでよい。飲めないときは、発作が治まってかあ飲むようにする。
[12]胸内苦悶感
[13]胸痛:
☆白酒は醋のことである。胸背が痛んで呼吸が困難な者に用いる。 薤白は君薬である。この方を用いて中ると良く効くものである。 たいがい胸痛の甚だしいものは治るものである。括呂薤白半夏湯 はこの湯よりも一段と痛みが強く背へ抜ける者によい。病が一等 重いものである《梧竹楼方函口訣》
[14]肩背強急
[15]呼吸困難:
☆喘息で、咳と痰が出て、胸と背が痛んで、呼吸の促迫する者にこ の方を用いる《大塚敬節》
[16]縦隔腫瘍
[17]心悸亢進
[18]心筋炎
[19]心筋梗塞
[20]心臓神経症
[21]心臓喘息:
☆心臓性喘息、及びその類証《奥田謙蔵》
☆心臓性喘息や狭心症などで、呼吸が苦しく、胸から背にかけて痛 む者に用いる《大塚敬節》
[22]心不全
[23]膵臓炎
[24]喘息:
☆括呂薤白白酒湯、多年喘息を患う者にこの証が多い。或いは労咳 と云われて百薬の効のない者、例えば、大小の青竜湯または麻黄 甘草湯或いは葛根湯などの証に似て、これらを用いて効のない者 にこの証が多い。この証に似て、茯苓杏仁甘草湯の証がままある。 診察を誤らないようにしなければならない。もしみずおちの動悸 の有無で、この2つの方を区別するがよい。《腹証奇覧翼》
[25]胆石症
[26]肺気腫
[27]肺結核
[28]肋間神経痛
「絡石藤、寛筋藤」《中薬臨床応用》
[29]肋膜炎
括蔞薤白半夏湯[1-1]《金匱要略》
「括蔞実1枚、薤白3両、半夏半升、白酒1斗」
右4味、同煮取4升、温服1升、日3服。
◎胸痺、不得臥、心痛徹背者、括蔞薤白半夏湯主之。
括呂薤白半夏湯[1-2]《漢方治療の実際》
「括呂実3、薤白3、半夏6」以上を白酒400‹に入れ半分に煮詰め、滓を 去り3回に分服する。
◎この薬方に入れる白酒は醋でよい。先ず水250ccほどで、180cc位に煎じ、煎 じあがる少し前に、猪口に1杯くらい醋を入れてから呑む。呑みにくい薬だが、 病気の激しい時は、呑みにくいとは感じない。《大塚敬節》
括蔞薤白半夏湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》
=「括呂薤白半夏湯」「括楼薤白半夏湯」
「括蔞実4g、薤白3g、半夏8g、日本酒200cc」
水を入れずに煮て80ccに煮詰め、3回に分服。
◎喘咳し、吐逆して臥することを得ず、心痛背に徹する者は、括蔞薤白半夏湯之 を主どる《医聖方格》
◎必ず痰涎、短息の症あり、且つ必ず背に徹す。《類聚方広義》
◎胸痺痛して臥すことを得ず、心痛背に徹する者。
◎「括呂薤白白酒湯半夏」で白酒湯よりも、更にその症状の激しい者に用いる 《大塚敬節》
★適応症及び病名
[1]息切れ
[2]嘔吐
[3]悪心
[4]喀痰
[5]気管支炎
[6]気管支喘息
[7]気胸
[8]狭心症:
☆狭心症、及びその類証《奥田謙蔵》
☆古人が真心痛といった、狭心症及びこれに類する病気に良く効く 《大塚敬節》
[9]胸痛:<劇痛>
☆劒状突起のあたりの真ん中で起こり、それが背に徹するもので、 その痛みの様子は、口に言い難く、どことなく凄惨にして危篤に みえるものである。《大塚敬節》
☆この方の患者は、触診を嫌い、脈は沈伏(分かりにくい程に沈む) で、顔色がひどく悪く、煩躁する訳ではなく、陰々と痛み、横臥 出来ないのが特徴である。《大塚敬節》
[10]胸内苦悶感
[11]肩背強急
[12]呼吸困難
[13]縦隔腫瘍 tumor of mediastinum
[14]心悸亢進
[15]心筋炎
[16]心筋梗塞:
☆真心痛の激しい者は、朝に起こって夕を待たずして死ぬるもので あるが、椿庭はこのような病人を10人ほど診たが、どれも皆、 括呂薤白半夏湯を多量に呑んで治したという。その内の1人だけ は、この方で効無く、附子理中湯で著効を得、他の1人はいろい ろ用いたが効無く頓死したという。《大塚敬節》
[17]心臓神経症:
☆心臓神経症、及びその類証《奥田謙蔵》
[18]心臓喘息:
☆心臓性喘息、及びその類証《奥田謙蔵》
[19]心臓弁膜症
[20]膵臓炎
[21]胆石症
[22]肺炎
[23]肺気腫
[24]肺結核症
[25]肋膜炎
括蔞薤白半夏湯加減《中薬臨床応用》
「括蔞仁30g、薤白12g、製半夏6g、丹参18g、欝金9g、紅花6g」
◎狭心症の発作
◎乾性肋膜炎
括蔞枳殻湯《万病回春》《古今方彙》
=「括樓枳殻湯」
「木香・砂仁・陳皮・貝母・黄芩・杏仁・香附子・括楼仁・枳殻・桔梗・川 芎・蒼朮各1銭、甘草3分、生姜」水煎。「竹瀝、姜汁」を入れ調服。
◎痰欝症を治す。
◎凡そ痰欝の者は動けば即ち喘満気急寒痰ででず、胸脇痛み脈沈滑なり。
括蔞枳実湯[1-1]《万病回春》《古今方彙》
=「括樓枳実湯」「括呂枳実湯」
「当帰6分、砂仁・木香各5分、甘草3分、山梔子・黄芩・陳皮・括楼仁・ 枳実・桔梗・茯苓・貝母各1銭、生姜、大棗」水煎。「竹瀝、姜汁(少許)」 入れ同じく服す。
◎痰結して咯吐して出でず、胸膈痛みを作し、転側する能わず、
◎或いは痰結して胸膈満悶、寒熱気急するを治す。
◎並びに心竅に迷い言語する能わざる者を治す。
◎咳嗽、食積にて嗽する者は痰嗽膠の如し。
◎咳嗽にて胸膈結通する者は是れ痰結なり。
◎早晨に嗽する者は胃中に食積あるなり。 (晨=シン、あした)
◎上半日嗽多き者は胃中に伏火あるなり。ともに此方に宜し。
◎健忘:痰が心竅に迷い、神は舎を守らず、人をして健忘せしむる者を治す。
依りて:「遠志石菖蒲」
◎脇痛:痰結して脇下痛むを治す。
依りて:「白芥子青皮小茴香桔梗黄芩」
発熱する:「柴胡」
括呂枳実湯[1-2]《漢方治療の実際》
「当帰・茯苓・貝母各3、括呂実・桔梗・陳皮・黄芩・生姜各2、縮砂・木 香・甘草・梔子・枳実・竹瀝各1」今、竹瀝の代わりに、竹茹3、または 竹葉を以て代用する。
◎目標:《木村長久》
4、50歳で従来多量に喫煙を嗜む者。
皮膚は汚穢色で血色に乏しく、やや弛緩して、枯燥の気味がある。
脈は硬く触れ脈管硬化を察する。
腹筋は枯燥拘急し、ことに心下部には腹直筋の攣急を触れる。
以上の目標にて、此方を慢性咳嗽に用うれば的中せざることほとんど稀で ある。また、喫煙家でなくとも、此証があれば応用目標となる。括呂枳実湯 の咳嗽には気急と云い、喘咳と云うのが特長となるから注意を要する。以上 によって本方を慢性気管支炎・肋膜炎・肺炎・肺気腫・肺結核などに応用し ていたが、今度は前記の目標を以て運用してみようと考えた。そこで第1に 試みたのが、食後1~2時間あるいは空心時に胃痛を訴える溜飲症ないし胃 酸過多症である。喫煙家で溜飲症の胃痛を訴え、前記の証を具えた者に応用 したところ果たして奏効した。そこで私は括呂枳実湯は慢性ニコチン中毒と 関係があると考え、喫煙家に多い病症に次々と応用したところ、何れも良い 結果を得た。今まで経験したものは、動脈硬化症で身体疲れやすく、諸神経 痛、肩凝り、脳力低下を覚える者。慢性ニコチン中毒による心臓衰弱症にて、 動悸息切れを覚え、時々狭心症類似の発作を現す者。及び狭心症である。
◎鑑別:「柴陥湯」
「この方と柴陥湯とは、咳嗽があって、胸痛を訴え、痰が粘稠で切れにくい、 という点では同じで区別しにくいが、柴陥湯には気急という症状が無い」 と述べている《大塚敬節》
括蔞枳実湯[1-3]《増補万病回春》
「枳実、括蔞仁、桔梗、茯苓、貝母、陳皮、黄芩、山梔子、当帰、砂仁、木 香、甘草、生姜」
括蔞枳実湯[1-4]《万病回春》《龍野ー漢方処方集》
=「括樓枳実湯」「括呂枳実湯」
「当帰、縮砂、木香各1.5g、甘草・干姜各1.0g、山梔子・黄芩・陳皮・瓜蔞 仁・枳実・桔梗・茯苓・貝母各3.0g」
◎痰結して喀吐出でず、胸膈満悶、寒熱気急し、或いは胸膈痛を作し、轉側する 能わざるを治す。
◎実証の粘痰喀出困難、胸痛、胸部満悶、或いは熱気。
◎目標:《療治経験筆記》
喘息
胸痛
咳嗽して息を止む
小便赤く
脈実数
以上の5症は此方を用いる目標である。この5の中、喘急、胸痛があって、 呼吸の間に、息を引とめる意があれば、脈と小便の色を問題にせずに用いて よい。
◎胸がべったりとして肋骨の間が痛み。或いは悪寒のあとで、熱が出て、痰がの どの塞がってなかなか出ず。或いは飲食物がつまって下りにくい者。或いは首 筋から肩へかけてひどく凝る者に良い。結局、肺と胃に潜在性の炎症があって、 痰が粘って、このような症状を呈する者である。《梧竹楼方函口訣》
◎この方は、腹部が軟弱無力というような虚証や疲労倦怠感の甚だしい者や、食 欲不振・下痢などの証のある者には用いない。滋陰至宝湯や味麦益気湯よりは、 はるかに実証で、体力のある者に用いる《大塚敬節》
★適応症及び病名(五十音順)
[1]胃液分泌過多症
[2]胃酸過多症
[3]咳嗽:
☆早朝の咳嗽《衆方規矩》
☆咳が胸にひびく者。
☆咳で呼吸が止まりそうになる者。
☆咳をして息苦しいという者が目標で、老人の喘息様の咳嗽に、この 方を用いる証があるが、ただ痰が粘稠で切れにくいというだけでは、 息苦しさを訴えない者もある《大塚敬節》
☆気喘する者:「蘇子桑白皮」
☆午前中だけ咳嗽があり、その他の時には何のことも無いという者に、 この方を与え、半年以上続いた慢性咳嗽を治したことがある《大塚 敬節》
[4]喀痰<濃厚な痰>
[5]気管支炎(急性・慢性)
☆喫煙家の慢性気管支炎・気管支拡張症で、朝目覚めると、しばらく 咳が続き、タンが絡んで切れにくく、息苦しい者。
☆体格は頑丈だが、乾燥肌の喫煙家。
[6]狭心症
☆本方は、タバコのみの慢性気管支炎に用いられることがあり、それにヒントを得て、喀痰が胸に塞がって、胸痛、呼吸困難を訴え、言語の出にくいのを目標にして、狭心症様の発作のあるものに用いる(漢方診療医典)
[7]胸痛:
☆肺炎、気管支炎などで、呼吸が苦しく胸痛を訴える者に、この方を 用いてよい場合のあることが考えられる。ことに中年以降の方で、 タバコを好み、からだの肉付きがしまった人で、咳嗽時に胸痛を訴 え、痰の切れにくい時に良く効く。《大塚敬節》
[8]高血圧症
[9]呼吸困難
[10]心痛
[11]動脈硬化
[12]尿色<赤濁>
[13]肺炎:
☆陳久性肺結核があって、喫煙家で、酒飲家で喘息様の咳嗽を訴える 者に、この方を用いて著効を得たことがある《大塚敬節》
[14]発熱
[15]皮膚枯燥
[16]老人の慢性咳嗽
[17]肋膜炎
[18]肋間神経痛
括蔞瞿麦丸《金匱要略》
「括蔞根2両、茯苓3両、薯蕷3両、附子(炮)1枚、瞿麦1両」
右五味、末之、煉蜜丸梧子大、飲服三丸、日三服、不知、増至七八丸、以 小便利、腹中温為知。
◎小便不利者、有水気、其人若渇、括蔞瞿麦丸主之。
《金匱要略》消渇小便利淋病脉證治第十三。
◎此方は水気にて小便不利、苦渇する者を治する方なれども、凡て「八味丸」の 症にて地黄の泥恋して服しかぬる症に用いるべし。
◎腎気丸の証にして地黄を嫌忌する者を治す。《先哲医話》
◎心下悸し、小便利せず、悪寒して渇する者を治す《方極》
◎消渇、「八味丸」の症にして小便不利する者は此方に宜し。蓋し此方は、火酒 を製するような仕掛けにて、附子、下焦の火を補い、茯苓、薯蕷、中焦の土を 補い、括蔞根、上焦を清し、水と火と上下にありて中の水気を蒸したてる趣向 なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎夜に入って口渇し、舌乾き眠るを得ざる者、久しきを経ば、必ず消渇と為る。 此の煉蜜をゆるゆる服するに宜し。《雑病翼方》
◎《沈明宗》曰く、利水発汗は乃ちその常を言う、而して未だその変に及ばざる なり。当に実者を審(つまび)らかにし。その常を施し、虚者はその変を施すべ し。但し治変の法は、汗せんと欲する者は当に補陽。即ち「麻黄附子湯」の類 を兼ねるべく、小便を利せんと欲する者はその陰を養う。即ち「括蔞瞿麦丸」 の類を兼ねるべし。
◎《庭劉》曰く、此方は小便閉して腎気丸に宜しく、而してその人厭いて泥恋 する者に甚だ験ありと。《雑病論識》
★適応症及び病名
脚気:
☆軽症脚気等にして、下肢に冷感有り、口中乾燥するも、あえて水を欲 せず、尿利減少し、微しく心悸亢進を覚える証《奥田謙蔵》
☆産後の脚気等《奥田謙蔵》
括蔞桂枝湯[1-1]《金匱要略》
「括蔞根2両、桂枝3両、芍薬3両、甘草2両、生姜3両、大棗12枚」
右六味、以水九升、煮取三升、分温三服、取微汗。汗不出、食頃啜熱粥發 之。
◎太陽病、其證備、身體強、几几然脉反沈遅、此為。括蔞桂枝湯主之。
《金匱要略》湿病脉證第二。
括呂桂枝湯[1-2]《漢方治療の実際》
「桂枝湯括呂根3」
括蔞桂枝湯[1-3]《金匱要略》《龍野一雄》
=「括呂桂枝湯」
「括蔞根・甘草各2g、桂枝・芍薬・大棗各3g、干姜1g」
水360ccを以て煮て120とし、3回に分服。
◎身体強り、脉沈遅。
★適応症及び病名
痙性麻痺
痙病
括蔞牡蠣散《金匱要略》
「括蔞根・牡蠣(熬)」等分。
右為細末、飲服方寸匕、日3服。
◎百合病渇不差者、括蔞牡蠣散主之。
《金匱要略》百合孤惑陰陽毒病證治第三。
◎休息痢で百薬効なきとき。
括蔞湯[1]《黴新書》
=「括楼湯」
「括蔞根・牡蛎・甘草各1銭、連翹・羗活各2銭、反鼻8分」
◎湿労:結毒咳嗽して連々虚労状をなす者。
(参照→九味柴胡湯[1]《高階枳園》)
括蔞湯[2-1]《潜名方》
=「括呂湯」
「括蔞仁1枚、橘皮1両、半夏1両、枳実1両、桂枝、桔梗、薤白、厚朴、 生姜」
括呂湯[2-2]《漢方治療の実際》
=「括楼湯」
「括呂実・桂枝・半夏各4、橘皮・厚朴・薤白各3、枳実2、生姜・桔梗各2」
◎胸痺を治す。
◎此方は括蔞薤白白酒湯の変方にして、括蔞薤白白酒湯の激する者、此方中庸を 得て効あり。《勿誤薬室方函口訣》
◎痰飲胸膈に結氏、痛忍ぶべからず、咳嗽、喘鳴、気急の者は小陥胸湯に宜し。 もし胃中伏火ありて咳嗽気急、あるいは膠痰を吐き胸痛する者、瓜蔞枳実湯に 宜し。
◎胸中痛背に引きて微咳、熱候なき者は此方の主なり。
【適応】
狭心症
括楼薤白白酒湯が飲みにくくて、おさまらないもの。または括楼薤白白酒湯を飲んで、かえって病勢が激発するものによい。痛みが胸から背に抜けて、呼吸促迫の甚だしいものを目標にする(漢方診療医典)
乾葛湯《医学入門》《古今方彙》
「乾葛・枳殻・半夏・茯苓・生地黄・杏仁各5分、黄芩・甘草各2分半、黒 豆100粒、生姜、白梅」水煎。
◎たまたま飲酒して痔瘡を発動し腫痛して流血するを治す。
乾姜甘草湯《外台秘要方》
「甘草乾姜湯《傷寒論》」に同じ。
◎吐逆、水薬下らざる者を治す。
乾姜半夏人参丸[1-1]《金匱要略》
=「乾姜人参半夏丸」
「乾姜1両、人参1両、半夏2両」
右三味、末之、以生姜汁糊為丸如梧子大、飮服十丸、日三服。
◎妊娠嘔吐不止、乾姜人参半夏丸主之。
(婦人妊娠脉證治第二十)
☆乾姜人参半夏丸、本治の例に依って、試みにその功を推すし、心下に結実の毒 あり、しかして嘔吐止まざる者、実に是れ之を主る。《薬徴》
乾姜半夏人参丸[1-2]《金匱要略》
◎《温知堂雑著》
「半夏乾姜人参丸を嘔吐に用いるにも、本条に言うとおり、嘔止まずと云うを 目的にして用いる。これは他薬を用いて効無く、悪阻久しく止まず胃中虚寒 を帯びるところに用いる。それ故に始めからこの方を与えても効がない。余 は3味を等分にして、普通の煎剤の1貼の量に調合して、水1合3勺を入れ、 6勺に煮詰め、これを10回に分けて、極少量をたびたび呑ますようにして いる。
この方の応ずる嘔吐の模様は、飲食すると直ちに吐出して、諸薬を呑んで も受け付けない者に良い。
なお、この方の適する者は、1、2貼、服する間に、必ず気持が良くなる ものである。2、3貼を服しても、なお少しも効を診ない者は、この方の応 じない者である」
★適応症及び病名
[1]嘔吐:
☆頑固な嘔吐に乾姜半夏人参丸烏梅丸で著効を得ることがある。《大塚 敬節》
☆安井仲平の娶(シュウ、めとる)、歳20ばかりは、産のあと胃の消化が悪 く、ときどき飲食を吐きひどく痩せ、ついに大嘔吐を発し、薬も食事も 一切口に入れることが出来なくなった。脈をみると、微細で、四肢は微 冷し、口は乾燥して冷水をほしがる。医はただ手を束ねてどうすること も出来ない。
余はこれを診察して、半夏乾姜人参丸料を作り煎じて冷たくした液を、 時々、蛤の殻に1杯づつ呑ましめ、又冷水で烏梅丸を呑ましめた。そこ で始めて薬が咽を下り、嘔吐が止み、2、3日を経て、薄い粥をすする ようになった。やっと胃の機能が回復した。
そこで、1ヶ月あまり前方を続けると、肉づきよく肥満して、健康体 となった。《橘窓書影》
[2]吐水:
☆旧幕府市予、池田播磨守の妾40歳あまりが、かねてから吐水のくせが あったが、炎暑のため病勢つのり、食欲は全くなくなり、痩せて骨ばか りとなった。それに胸が痛むように灼けて冷水を好む。
余は半夏乾姜人参丸料を与え、烏梅丸を兼服せしめた。するとたちま ち嘔吐が止み、胸が焼けるように痛むのも、日々に減じ、飲食も日毎に 進むようになった。《橘窓書影》
甘桔湯[1-1]《外科正宗》=桔梗湯《傷寒論》
「桔梗1両、甘草2両」
甘桔湯[1-2]《東醫寶鑑》
「桔梗3両、甘草1両」を粗末にし、毎回5銭を水煎し、冷服。
◎咽痛。
甘桔湯[1-3]《小児薬証直訣》《古今方彙》
「甘草(炙)2両、桔梗1両」水煎温服。又阿膠を入れて煎じる。
◎熱涎を咳吐し、咽痛みて利せざるを治す。
甘桔湯[2]《万病回春》《古今方彙》
「桔梗3銭、防風・荊芥・黄芩・薄荷・甘草各1銭」水煎、食後頻繁に温服 する。
◎小児の咽喉腫痛、風毒等の症を治す。
甘汞丸《華岡青州》
「甘汞1銭、黄連解毒湯末3銭」
◎陰中糜爛
甘草湯[1-1]《傷寒論》
「甘草2両」
右1味、以水3升、煮取1升半、去滓、温服7合、日2服。
◎少陰病23日、咽痛者、可與甘草湯。不差、與桔梗湯。
《傷寒論》辨少陰病脉證治第十一。
甘草湯[1-2]《傷寒論》《龍野一雄》
「甘草2g」
水120ccを以て煮て60に煮詰め、2回に分服。
甘草湯[1-3]《漢方治療の実際》
「甘草8」
証(咽痛の者)《薬徴》
◎病逼迫し及び咽喉の急痛する者を治す《吉益東洞》
◎此方も亦その用広し。第一咽痛を治し、又諸薬吐して納まらざる者を治し、又 薬読を解し、又蒸薬にして脱肛の痛楚を治し、末にして貼ずれば毒蟹・竹木刺 などを治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎甘草。味甘平、毒を解し、中を温め、気を下し、渇を止め、経脈を通じ咽痛を 去る。けだし甘草湯は、以て中気を安んじ、痛を緩むるを主るなり。《古今薬 議》
◎咽痛。咽の使いすぎ。激しい咳。
◎漢方では胃潰瘍という病名で甘草を用いるのではない。《傷寒論》に特に少陰 病とあるのに注目しなければならない。少陰病では新陳代謝が衰え、手足が冷 え、脈が微細で、生気に乏しいという症状がある。甘草湯を用いるにも、この ような状態が必要である。《大塚敬節》
甘草湯[1-4]《傷寒論》
★適応症及び病名
[1]アナフィラキシー
☆抗原抗体反応に基づく生体反応と定義(→病状:アナフラキシー)
[2]胃潰瘍:
☆甘草はすべての急迫性の疼痛に用いられる《大塚敬節》
☆傷寒論に“少陰病、咽痛のものは甘草湯を与う”とあって、本方は咽痛ばかりでなく、腹痛、痔痛、四肢痛などで急迫症状の激しい者に用いて効があり、ヨーロッパでは胃潰瘍の薬として評判になり、日本でも追試して薬効が認められた。しかし少陰病の徴候のある胃潰瘍に用いることが望ましく、そうでないと、尿利減少、浮腫、血圧上昇などが現れる。(漢方診療医典)
[3]胃ケイレン
[4]咽頭炎:
☆急性咽頭炎の初期で、急にのどの痛くなった者似よい。《大塚敬節》
☆疼痛の激しい者に良く効くが、激しくないものでもよい。咽頭が乾燥 気味で痛む者に良い。これをしばらく口に含んでいて、少しずつ嚥下 するようにすると良い《大塚敬節》
[5]咽痛:
☆激痛ではない、腫脹なし。
☆諸薬口に入らない時、痛の甚だしい時ほど効果大《済世薬室》
☆炎症性甚だしからずして、咽痛を発する等の証《奥田謙蔵》
[6]咳嗽
[7]気管支炎:
☆空気乾燥して喉を痛めた時《済世薬室》
[8]気管支喘息
[9]吃逆
[10]急迫症状
[11]驚狂
[12]胸痛
[13]筋肉攣縮(筋肉のケイレン)
[14]ケイレン性疼痛
[15]口内炎(アフター性)
[16]呼吸促迫
[17]嗄声:
☆声音嘶嗄等《奥田謙蔵》 (嘶=セイ、いななく)(嗄=サ、かれる)
[18]四肢疼痛
[19]痔の疼痛(外用、湯煎し患部を浸ける。)
☆エキス4g~10gを湯おけに溶かし、患部を浸ける《螺王人》
☆温湿布によって、急迫性の激しい疼痛を緩解せしめることが出来る。 また内服しても良い。ただし疼痛のあまり強くない場合の温湿布は五 物大黄湯でよい。《大塚敬節》
[20]歯痛:
☆突然に激しく歯の痛む者に用いる。甘草には急迫を緩める効があるの で、激しい疼痛を治する効がある。疼痛の軽いものには効がない。《大 塚敬節》
[21]上逆
[22]心悸亢進
[23]心臓神経症
[24]心煩
[25]咳
[26]胆石症
[27]窒息
[28]中毒
[29]手足厥冷
[30]尿閉
[31]排尿痛
[32]発声困難
[33]煩躁
[34]ヒステリー
[35]腹痛:
☆凡そ紫円、備急円、梅肉丸、白散等を用いて、未だ快吐下を得ず、悪 心、腹痛し、苦楚、悶乱する者、甘草湯を用いるときは、則ち吐瀉倶 に快く、腹痛頓に安し。《類聚方広義》
☆感冒や急性胃腸炎による腹痛を訴えた小児の有効率は97.5%(症例集積研究)
[36]腹直筋緊張
[37]ベーチェット病
☆口腔粘膜潰瘍にゆっくりとうがいしながら用いる(漢方診療医典)
[38無声
[39]虫さされ
甘草湯[2]《腹証奇覧》
「甘草・桂枝・芍薬・阿膠各8分、大黄1銭」
◎癲癇・腹中拘攣・急迫。或いは腹満・時々息迫・上衝する者。
◎此方テンカンの急迫を緩和する効あり。柴胡加竜骨牡蛎湯、紫円或いは沈香天 麻湯などを与えて逆に激動し苦悶止まざる者に、此方を用いて一時の効を奏す ることがある《勿誤薬室方函口訣》
甘草湯[3]《東醫寶鑑》
「甘草・瓜蔞根各2銭」剉作し、水煎服。
◎痘瘡で煩渇し、水を飲んでも渇がもっとひどくなる。
甘草湯[4](一名升麻鼈甲湯)《東醫寶鑑》
「炙甘草・升麻・当帰・桂枝各1銭、雄黄・川椒各1銭半、鼈甲(酥炙)3銭、 を剉作1貼して、水煎服。毒は汗と共に出る。出ない時は再煎服する。
◎陰毒を治す。
甘草黄連石膏湯《吉益東洞》《勿誤薬室方函》
「甘草・黄連・石膏」
「鵲石散」《普済本事方》に同じ。
◎此方はすべて煩熱渇を主として用いるべし。《勿誤薬室方函口訣》
★適応症及び病名
驚癇:
☆参連白虎湯の之く処。
☆風引湯の劇しき症。
骨痛
傷寒発狂:
☆或いは衣を棄て奔走し、垣根をこえ屋に登る者を治す。
小児の発育不全:
☆小児23歳に至るまで骨格不堅、諸薬無効に此方を与える。
吐逆:
☆嘔吐、煩渇、心下苦悶する者:「小半夏加茯苓湯」
甘草乾姜湯[1-1]《傷寒論》
「甘草(炙)4両、乾姜2両」
右二味、以水三升、煮取一升五合、去滓、分温再腹。
◎傷寒脉浮、自汗出、小便数、心煩、微悪寒、脚攣急、反與桂枝、欲攻其表、此 誤也。得之便厥、咽中乾、煩躁吐逆者、作甘草乾姜湯與之、以復其陽。若厥愈 足温者、更作芍薬甘草湯與之、其脚即伸。若胃氣不和譫語者、少與調胃承気湯。 若重発汗、復加焼針者、四逆湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證并治上第五。
◎問曰、證象陽旦、按法治之而増劇、厥逆、咽中乾、両脛拘急而譫語。師曰、言 夜半手足當温、両脚當伸、後如師言、何以知此。答曰、寸口脉浮而大、浮為風、 大為虚。風則生微熱、虚則両脛攣。病形象桂枝、因加附子参其間、増桂令汗出、 附子温経、亡陽故也。厥逆、咽中乾、煩躁、陽明内結、譫語煩乱、更飲甘草乾 姜湯、夜半陽氣還、両足當熱、脛尚微拘急、重與芍薬甘草湯、爾乃脛伸。以承 気湯微溏、則止其譫語。故知病可愈。
《傷寒論》辨太陽病脉證治上第五。
◎傷寒脉浮、自汗出、小便数、心煩、微悪寒、脚攣急、反與桂枝、欲攻其表、此 誤也。得之便厥、咽中乾、煩躁吐逆者、作甘草乾姜湯與之、以復其陽。若厥愈 足温者、更作芍薬甘草湯與之、其脚即伸。若胃氣不和譫語者、少與調胃承気湯。 若重発汗、復加焼針者、與四逆湯。
《傷寒論》辨発汗後病脉證治第十七。
甘草乾姜湯[1-2]《金匱要略》
「甘草(炙)4両、乾姜(炮)2両」
右咀、以水三升、煮取一升五合、去滓、分温再服。
◎肺痿吐涎沫而不者、其人不渇、必遺尿、小便数、所以然者、以上虚不能制下 故也。此為肺中冷、必眩、多涎唾、甘草乾姜湯以温之。若服湯已渇者、属消渇。
《金匱要略》肺痿肺癰嗽上氣病脉證治第七。
甘草乾姜湯[1-3]《東醫寶鑑》
「炙甘草4銭、乾姜(炮)2銭」を剉作1貼して水煎服。
◎煩躁・吐逆・厥逆を治す。
◎肺痿で涎沫を吐き、咳のない者を治す。
甘草乾姜湯[1-4]《傷寒論》《龍野一雄》
「甘草4g、乾姜2g」
水120ccを以て60に煮詰め、2回に分服。
証(厥して咽中乾き、煩躁)《薬徴》
「厥、咽中乾」厥して咽中乾き=手足が冷たくなって、口の中に唾液が無くな って乾燥する
甘草乾姜湯証=厥・咽中乾。煩躁吐逆。《薬徴》
[厥]=厥冷に同じ
[咽中乾]=のどに湿りがなく乾く。口渇ではない。
[煩躁吐逆]=もだえ苦しんで吐く。
◎厥して煩躁し、涎沫の多き者を治す《吉益東洞》
◎此方は簡にしてその用広し。《勿誤薬室方函口訣》
◎余、甘草乾姜湯を用いるに、その乾姜を炒黒し、「五味子2銭」とし甚だ効 あり。《雑病翼方》
◎足冷・咽中乾・煩躁吐逆。或いは肺痿・涎沫を吐し、遺尿・小便数。
◎寒性症状があって、新陳代謝の沈衰した者を目標にする。
脈は沈にして力なく、手足ことに下半身が冷え、口にはうすい唾液がたまり、 尿は水のように稀薄でたくさん出る者に用いる。《大塚敬節》
◎本方は手足の厥冷、多尿、多唾を目標にして用いる。尿も唾液も希薄である。
医師の逆治またはショックなどで手足の厥冷を来した場合には、煩躁の状を呈することがある。《漢方診療医典》
甘草乾姜湯[1-5]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「甘草4、乾姜2」
◎「附子」=四逆湯
「茯苓・朮」=苓姜朮甘湯
「人参・朮」=人参湯
★適応症及び病名
[1]アレルギー性鼻炎
[2]息切れ
[3]萎縮腎
[4]遺尿:
☆肺痿の冷症は、その人、肺中冷、気虚し、津液を温布すること能わ ず、津液聚めて涎沫に化す。故に唾多く出る。然れども熱症の者の 唾凝って重濁なるが如きに非ず、又咳なく咽渇せず、彼は必ず遺尿 小便数なり。此症に甘草乾姜湯を与えて甚だ奇効あり。
☆涎沫を吐して咳せず、遺尿し、小便数鳴る者。南呂を兼用《方機》
[5]運動麻痺
[6]喀痰(うすい)
[7]吃逆:(しゃっくり)
☆吃逆を発し、手足冷え、その脈微なる証《奥田謙蔵》
[8]気管支炎
[9]気管支喘息
[10]逆上感
[11]胸痛:
☆胸脇偏痛を治す。これみな毒心胸に迫るの致す所なり。
[12]厥冷:
☆全身の厥冷<急激に起こった厥冷>
☆煩躁し四肢が冷える
☆大率(オオム)ね、急卒に逆冷する者は、此方に宜しく、大病、荏苒と して癒えず、而して厥冷する者は、四逆の輩に宜し《類聚方集覧》
☆足厥し、咽中燥き、煩躁し嘔逆する者《方機》
☆吐下の後、厥逆、煩躁し、如何ともす可らざる者《方機》
[13]下痢:
☆久痢を治す、兼用は承気丸なり《類聚方集覧》
[14]口内乾燥
[15]呼吸困難:
☆大発汗の後、呼吸促迫し、或いは乾嘔を発し、或いは心煩しその脈 弱にして数なる証《奥田謙蔵》
後陣痛
[16]しびれ
[17]子癇:
☆産前の子癇は産後の痙と同じくす。ともに甘草乾姜湯に宜し。 又、 産後の痙に豆淋酒を用いるは、之を酔わしめ筋脈を緩くするの取る なり。《方読便覧》
[18]子宮出血(冷え性)
[19]自家中毒
[20]自汗
弛緩性出血
[21]上熱下寒:
☆上は熱し、下は冷え、或いは煩躁して安んぜず、その脈弱にして数 なる証《奥田謙蔵》
☆発汗し、汗出でて後、頭熱し、足冷え、胸部満悶し、乾嘔を発し、 その脈緩にして弱なる証《奥田謙蔵》
小便自利
[22]心悸亢進:
☆熱候なくして脈浮数、心悸亢進及び逆上感あり、二便に著変なき証 《奥田謙蔵》
[23]精神不安:
☆汗下の後、困悶、擾動して安んぜず、或いは嘔し、或いは渇し、或 いは呼吸促迫し、二便に著変なき証《奥田謙蔵》
[24]赤痢:
☆赤白痢を治す。末と為し、蜜にて丸し服す《魏氏家蔵方》
☆腸風、血を瀉す痢の如く、腹中痛し、面色萎黄なり:「黄連」 《雑病翼方》
[25]喘息:
☆虚候の喘息に此方にて黒錫丹を送下する。《勿誤薬室方函口訣》
[26]前立腺肥大
[27]唾液分泌過多症:
☆此方を服することを嫌い、咳なくただ多く涎沫を吐して、唾に非ら ざる者→「桂枝去芍薬加莢湯」を用いて奇効あり。
[28]大腸炎
[29]脱汗:
☆発汗の後、脱汗止まず、頭熱し、足冷え、口舌乾燥し、呼吸促迫、 心悸亢進を発し、その脈浮弱なる証《奥田謙蔵》
多唾
[30]食べられない:
☆大発汗の後、熱解するも、嘔逆、煩渇し、食物咽に下らず、手足微 例し、その脈微浮なる証《奥田謙蔵》
[31]知覚麻痺
手足厥冷
☆医師の誤治によって急激に手足厥冷、煩躁、吐逆、口内乾燥などを起こした場合に頓服。《漢方診療医典》
[32]テンカン:
☆癇を発し、角弓筋、気急促迫し、あるいは叫呼する者。
[33]盗汗:
☆能く自汗盗汗を治す。その理は承気湯の陽明自汗を治すると同じ。 《先哲医話》
[34]凍傷:《奥田謙蔵》
[35]吐逆 :
☆<激しい><急激に起こる>
☆煩躁なくてただ吐逆して苦味の薬用い難き者。
☆水薬下らざる者を療す。《雑病翼方》
☆瀉心湯や呉茱萸湯のような苦味の薬を与えて、反って嘔吐が激しく なるような者に良い《大塚敬節》
[36]吐血:
☆(冷え性で)
☆傷胃の吐血に用いる。
☆吐血を治す絶妙なり。男子婦人吐紅の疾を治す。けだし是久病、或 いは急労となり、その栄衛を損じ、壅滞の気、血に上る妄行の致す 所なり。もし投ずるに生地黄などの凉剤を以て之を治せば、必ずそ の死を求めん。即ち甘草乾姜湯。
☆《陳念祖》曰く、血症凉薬を服して止まざる者。甘草乾姜湯を得れ ば神の如しと。
[37]尿意頻数:
☆咽渇せず尿意数なる者。「猪苓湯甘草」も可なり。
[38]尿失禁
☆咳をすると尿がもれる。
[39]尿道炎
[40]尿の色(うすい)
[41]尿量多い
[42]肺結核:
☆肺痿の吐涎沫に用いる。
☆肺痿の症具わりてせず、渇せずば、乃ち熱無きを知るなり。 《雑病論識》
☆肺痿、涎沫多く、小便数の者:「芍薬」
[43]鼻水(薄い)
[44]煩躁:
☆傷寒の煩躁吐逆に用いる。
☆手足が厥冷して、煩躁吐逆する者に用いる薬方であるが、煩躁がな くても用いてよい《大塚敬節》
[45]冷え症:
☆多唾・多尿などがあって、寒冷を訴える者に用いる《大塚敬節》
☆平素から冷え性で、尿意頻数、多唾、めまいなどある者《漢方診療医典》
[46]ひきつけ
[47]皮膚の色:
☆<黒ずんでいる>
[49]疽:
☆疽、及び諸種の炎症性腫瘍等にして、熱性症候なく、ただ疼痛劇 甚なる証《奥田謙蔵》
[50]頻尿<老人・虚弱者>
[51]腹痛
[52]腹脹満:
☆病人、甘遂、大黄、大戟、桃花の類を服し、下利せず反って腹部腸 満する者は当に胃気を和すべし。「芍薬」《先哲医話》
[53]膀胱炎
[54]めまい:
☆熱候なく、脈やや浮大にして、腹部軟弱、頭眩し、煩悶、躁擾し、 時に昏する証《奥田謙蔵》
☆老人、平日小便頻数に苦しみ、涎を吐して短気し、眩暈して起歩し 難き者は、此方に宜し《類聚方広義》
[55]目眩
[56]夜尿症
[57]よだれ:
☆13歳少女。夜間眠っている間に、よだれが沢山流れ、昼間は、咳 が出ないのに、痰のような、ツバのようなものが沢山出るという。 この方を与えて全治した《古訓医伝》
甘草乾姜茯苓白朮湯《金匱要略》
=「苓姜朮甘湯」を参照。
「甘草2両、白朮2両、乾姜4両、茯苓4両」以水5升、煮取3升、分温3 服、腰中即温。
甘草桔梗湯《傷寒論》《中薬臨床応用》
「桔梗6g、生甘草12g」水煎服。
◎咽喉炎による咽喉痛
◎肺膿瘍
甘草瀉心湯[1-1]《傷寒論》
「甘草(炙)4両、黄芩3両、乾姜3両、半夏(洗)半升、大棗(擘)12枚、黄連1 両」
右六味、以水一斗、煮取六升、去滓、再煎取三升。温服一升、日三服。
◎傷寒中風、医反下之、其人下利、日数十行、穀不化、腹中雷鳴、心下痞而満、 乾嘔心煩不得安。医見心下痞、謂病不盡、復下之、其痞益甚。此非結熱、但以 胃中虚、客氣上逆、故使也。甘草瀉心湯主之。
甘草瀉心湯[1-2]《傷寒論》《龍野一雄》
「甘草4g、半夏8g、黄芩・乾姜・人参・大棗各3g、黄連1g」
水400ccを以て煮詰め滓を去り、再煮て120に煮詰め3回に分服。
半夏瀉心湯方中の甘草を倍にする。
甘草瀉心湯[1-3]《傷寒論》《古今方彙》
「半夏瀉心湯甘草1銭、人参1銭半」
◎傷寒、傷風、医反って之を下し、下利日に数十行、穀化せず、腹中鳴り、心下 痞、乾嘔、心煩するを治す。
甘草瀉心湯[1-4]《漢方治療の実際》
「半夏瀉心湯甘草1」
証(心煩安きを得ず)《薬徴》
「心煩不得安」=心煩安きを得ず=胸苦しく気持ちが安定しない。
◎半夏瀉心湯の証にして、心煩し、安きを得ざる者を治す。《吉益東洞》
◎半夏瀉心湯証にして、急迫する者を治す《方極附言》
◎此方は、半夏瀉心湯方内に於いて、更に甘草一両を加う。而してその主治する 所大に同じからず。曰く下利すること日に数十行、穀化せずと。曰く乾嘔し心 煩し、安きことを得ずと。曰く黙黙として眠らんと欲し、目閉ずることを得ず、 臥起安からざる者と。此れ皆急迫する所有りて然る者なり。甘草の君薬たる所 以也。《尾台榕堂》
◎胃中不和の下痢で水穀不化雷鳴下痢するを目標とする《済世薬室》
◎生姜瀉心湯の証にして胃虚を挟むを論ず。《雑病論識》
◎下痢・腹中雷鳴・心下痞硬満・乾嘔・心煩。或いは黙々として眠らんと欲する も目を閉ることが出来ず。臥起安からず・飲食を欲せず・声嗄する者。
甘草瀉心湯[1-5]《傷寒論》
★適応症及び病名
[1]あくび
[2]噫気
[3]イレウス
[4]胃カタル
[5]胃潰瘍
[6]胃拡張
[7]胃酸過多症
[8]胃弱
[9]息切れ
[10]嘔吐:
☆吐逆の証にして、心下痞硬し、呼吸促迫し、小半夏湯を与ふるに、 反って嘔吐増劇する等の証《奥田謙蔵》
[11]悪心
[12]咯血
[13]乾嘔
[14]感情が不安定
[15]急性胃腸炎
☆心下痞硬。腹鳴、下痢を目標にして用いるが、悪心、嘔吐を伴うもにに用いてよい。腹痛を伴うこともあるが、はげしい痛みでは無い。下痢は裏急後重を伴うことはなく、サッと下る。下痢の回数の多いときは甘草瀉心湯を用い、噫気を伴うときは生姜瀉心湯とする(漢方診療医典)
[16]下痢:
☆<激しい><日に数十回>
☆心下痞硬・腹中雷鳴があって下痢する者に半夏瀉心湯・生姜瀉心湯 ・甘草瀉心湯を用いるが、その中でも下痢の回数が多く、激しい者 に用いる、《大塚敬節》
☆胃中不和の下利を主とする。故に穀不化、雷鳴下利が目的なり。《勿 誤薬室方函口訣》
☆下痢して心下満悶し、気急息迫し、脈沈緊なる証。《奥田謙蔵》
☆瀉下剤を用いて下利を得、下痢続いて止まず、心下痞硬し、食思欠 損し、呼吸促迫する証《奥田謙蔵》
☆穀不化して雷鳴なく下利する者á「理中湯」or「四逆湯」を考える。
☆産後の口糜瀉(=下痢して口がただれる)に用いて奇効あり。《勿誤 薬室方函口訣》
☆38歳男性。数日前より下痢がある。腹痛と裏急後重はない。ゴロ ゴロと腹が鳴って、1日数回下痢をする。みずおちがつかえて夜は よく夢をみる。甘草瀉心湯を与える。2日分で全快した。この患者 は急性の腸炎であったが、慢性のものにも効く。《大塚敬節》
☆体格の良い女性で、、みずおちに力があって慢性下痢の患者にして は、体力が衰えていなかったが、1年近くの間、どんな事をしても、 1日1、2回の下痢が止まらないという。下痢するときは腹が鳴る という。そこで心下痞硬、腹中雷鳴、下痢を目標にして甘草瀉心湯 を与えたところ、長い間続いた下痢が止んだ。《大塚敬節》
☆もし甘草瀉心湯を与えて、反って下痢が増加するようであれば、人 参湯or真武湯or参苓白朮散などに変方した方がよい。《大塚敬節》
☆40歳、主婦。
「一男一女の母。10年ほど前に急性の大腸カタルをやったことがあるが、以後慢性化してしまった。特に、油物や牛肉を食べると、すぐ下痢してしまう。下痢は1日1~2回で、下る時に腹が鳴って、軽い腹痛を感じる。胃も、いつもただれているようで、ときどき酸っぱい水が上がってくる。
温灸やゲンノショウコを飲んだりしてみたが、止めると、又元に戻ってしまう。
こういう人には半夏瀉心湯か甘草瀉心湯が向いているもので、まず甘草瀉心湯を用いたところ、10日ほどで、ずいぶん気分が良くなり、1ヶ月ほどですっかり下痢しなくなった。」《山田光胤》
[17]口臭
☆胃腸炎があって腹が鳴り、発酵性下痢を起こし、常に気分が悪く神経質となり、口内炎や口内潰瘍を起こしやすく、口臭を発する者に用いる。
[18]口内炎:
☆甘草瀉心湯は心下痞硬、腹中雷鳴、下痢というのを目標にして用い る方剤であるが、また下痢せずに、不眠があったり、口内が荒れた り、舌に潰瘍が出来たりする者にも用いる。《大塚敬節》
☆私は小学校の4、5年頃から唇・舌・口腔粘膜などに小さい潰瘍が 出来て、古いものが治れば、また新しいものが出来て、非常に苦し められた。このような状態は大人になるまで治らなかった。そこで 漢方を研究するようになってから、甘草瀉心湯を呑んだところ、年 ごとに潰瘍が出来なくなって、全治した。私は平素胃腸が弱く、い つも鳩尾がつかえ、少し食べすぎると、すぐ下痢するクセがあり、 下痢する時は、よく腹がゴロゴロ鳴る。こんな風であったから、胃 腸と口内の潰瘍とは関係あるに違いないと思って、心下痞硬と下痢 しやすく、腹が鳴るというのを目標にして、甘草瀉心湯を用いたと ころ、だんだん潰瘍が少なくなって治ってしまった。ところが私の 長男も、私と同じように、口腔粘膜、舌などに潰瘍が出来るクセが あったが、長男の場合は、私のように下痢せず、食べ過ぎると、便 秘して発熱するクセがある。そこで黄連解毒湯甘草を呑んだとこ ろ、これで治ってしまった。《大塚敬節》
☆急性慢性胃腸炎に合併したもので、やや虚状を帯び、心窩部痞塞感、精神不安感を伴うものに用いる。
☆しばしは口内炎を繰り返し、胃腸の弱い者に、本方を長期間服用させると口内炎が出なくなる。
[19]嗄声(しわがれ声)
☆神経衰弱、ヒステリーなどによる嗄声で胃腸障害があって心下痞硬、精神不安を訴える者
[20]消化不良
[21]食傷
[22]食欲不振
☆飲食を欲せず《龍野ー漢方処方集》
[23]心悸亢進
[24]心下痞
[25]心下痞硬:
☆動気上に在り、之を下せば則ち腹満し、心痞し、頭痛するは、甘草 瀉心湯に宜し《奥田謙蔵》
[26]心煩
[27]神経質
[28]神経衰弱
[29]神経性下痢
[30]精神分裂症
[31]嘈雑(胸やけ)
[32]走馬疳を治す《方読便覧》(→牙疳=壊血病)
走馬疳=悪性の壊血病
[33]吐血
[34]腸カタル
[35]呑酸
[36]ノイローゼ
[37]バセドウ病
☆バセドウ病患者で下痢を訴える者(漢方診療医典)
[38]ひきつけ:
☆慢驚風には、此方に宜しき者あり。《類聚方広義》
[39]ヒステリー
[40]腹痛
[41]腹鳴<腹中雷鳴>
[42]不安感
[43]不安神経症
[44]不眠症:
☆黙々として眠らんと欲するも目を閉することが出来ず、臥起安から ず《龍野ー漢方処方集》
☆胃炎のある患者で、みぞおちが痞え、腹が張ってゴロゴロ鳴り、胃 腸がすっきりせず、夢が多く安眠できない者。
☆胃炎、胃下垂症、胃アトニー症などの患者で、胃部に膨満感があっ て、夢が多くて安眠出来ない者に用いる《大塚敬節》
☆嘔吐や下痢がなくても、心下痞硬があれば、用いてよい《大塚敬節》
☆34歳男性。不眠、頭重、疲労感を訴え来院。診察すると、心下部 やや膨満し、ガスが停滞している。夢が多くて熟睡しないためか、 頭が重いという。油の多いものを食べると下痢する。
私はこれに甘草瀉心湯を与え、夕食を軽くし、夕食後には、一切 飲食をしないように指導したところ、頭痛がとれ安眠が出来るよう になった。《大塚敬節》
☆本方は心下痞硬、腹中雷鳴、下痢を目標として用いるほかに、狐惑病にも用いられた。狐惑病については《金匱要略》に“狐惑の病たる状は傷寒の如く、黙々眠らんと欲し、目閉づるを得ず、臥起安からず、甘草瀉心湯之を主る”とある。
[45]舞踏病
[46]ほてり
[47]慢性腸狭窄
[48]味覚異常
☆味覚異常には、黄連解毒湯、三黄瀉心湯、甘草瀉心湯、涼膈散、加減涼膈散、清熱補気湯、清熱補血湯などから選らぶ。
[49]夢遊病:
☆近江大津の人、某が先生を訪ねてきて、同室の人を他室に退け。こっ そりと先生に相談した。
私に1人の娘があります。歳は18で、某家と婚約をしています。 ところで妙な変わった病気があって、毎夜のこと辰己の時刻になって、 家人が熟睡すると、こっそり起き上がって舞をまいます。その舞は消 妙閑雅で、ちょうど才妓の最も秀でた者が舞うのに似ています。その 舞は寅の刻を終わる頃になると止み、それから床につきます。私が時 々、その舞をのぞいてみますに、毎晩、その曲が違っていて、曲が異 なるたびに、その奇妙なことに、まことに名状出来ません。
ところで翌朝の動作、飲食は平常とちっとも違いません。また自分 でもそこことを知りません。そこで、そのことを本人に話してもひど く驚いて、不思議がって信用しません。
これは鬼か、狐か、狸が化かしているのではないでしょうか?もし これを婚家で知ったなら、結婚解消になると思います。そこで神に祈 ったり、おまじないをしたりしていますが、一向に効きません。先生 は奇妙な病気の治療がお上手だということを聞きましたので、どうぞ 御診察をお願いいたしますと。
先生はこれにこたえて、それは孤惑病というものであろうと、診て みるに、果たしてその通りであった。よって甘草瀉心湯を与えたとこ ろ、数日もたたないんい、夜間の舞踊が自然に止み、某家に嫁して子 供が生まれた」《生々堂治験》
[50]幽門狭窄
甘草附子湯[1-1]《傷寒論》
「甘草(炙)2両、附子(炮去皮破)2枚、白朮2両、桂枝(去皮)4両」
右四味、以水六升、煮取三升、去滓、温服一升、日三服。初服得微汗則解。 能食、汗止復煩者、将復五合。恐一升多者、宜服六七方為始。
◎風湿相搏、骨節疼煩、掣痛不得屈伸、近之則痛劇、汗出短氣、小便不利、悪風 不欲去衣、或身微腫者、甘草附子湯主之。
甘草附子湯[1-2]《傷寒論》《東醫寶鑑》
「桂枝4銭、甘草・附子(炮)・白朮各1銭」剉作1貼し、水煎服用。
◎風湿を治す。
甘草附子湯[1-3]《傷寒論》《龍野ー漢方処方集》
「甘草・白朮各2g、炮附子0.6g、桂枝4g」
水240ccを以て煮て120ccに煮詰め、滓を去り1日3回分服。
◎骨節煩疼し、屈伸し得ず、上衝し、汗出で悪寒し、小便不利する者を治す。《吉 益東洞》
◎条に上衝の証なし。為則按ずるに、此の方は桂枝甘草湯に朮附を加うる者なり。 桂枝甘草湯の条に上衝の証あり。然るときは則ち此湯特り骨節疼痛、悪風なし と雖も必ず当に上衝の証あるべく其れ脱文たるた明らかなり。《重校薬徴》
◎関節劇しく疼煩して屈伸することが出来ず、汗出で短気・小便不利・悪風・身 微腫などある者。
甘草附子湯[1-4]《漢方治療の実際》
「甘草・白朮各2、附子0.6、桂枝4」
◎《傷寒論》には“風湿、相い搏ち、骨節疼煩、掣痛、屈伸を得ず。これに近づ けば則ち痛み劇しく、汗出でて短気、小便利せず、悪風衣を去るを欲せず、或 いは身微腫する者は甘草附子湯之を主る”
◎和久田寅は、次のようにこれに注解を加えている。
“湿はしめること。水と言わないで湿といったのは、水のように腫れても、之を 圧して、そのあとが凹まない。ただ皮肉の締まりがなく、ぐさぐさした状態が 皮肉を湿らせたように見えるから湿と名付けたものである。俗によんで、悪太 りというの類は、皆湿証である。これは正気のはりが弱いから、水気がこれに 乗ずるのである。気が虚して湿証となるから、これを気虚の候とするのである。 さて風湿相あつまるというのは、その人の下地に湿気のあるところへ、風邪を 感冒して、風邪と湿気と相闘うによって、名付けたのである。骨節疼煩は、節 々が疼き痛んで、いきれもやつくのをいう。掣はひくこと。後から引きとどめ るように痛む、びっくりする痛を掣痛という。屈伸することを得ずの句は、骨 節疼煩に応じたもので、之に近づくは、手を痛い処に近づけることをいう。汗 出ずは、風湿が相うつからである。短気は呼吸が短く促迫するをいう。小便不 利は、気が衝逆して下降しないためである。悪風が尋常より重いことを示すた めに衣を去るを欲せずの1句を添えたものである。微腫は何となく腫れたよう なものをいう。すなわち湿気の候である”
◎鑑別:桂枝附子湯
「甘草附子湯に似た処方に、桂枝附子湯があるが、この方は甘草附子湯証に似 て、身体疼煩して、自ら転側することの出来ない者に用いている」《大塚敬 節》
甘草附子湯[1-5]《傷寒論》
★適応症及び病名
[1]アルレギー性鼻炎
[2]悪寒
[3]悪風
[4]顔色悪い
[7]化膿症
[8]関節炎:
☆急性関節炎
[9]関節リウマチ:
☆急性関節リウマチで、痛みが激しく屈伸出来ない者。
☆患部は赤く腫れて熱感あり。
☆患部に少し触れても、痛みが激しい。
☆17歳少女。扁桃炎から引き続いて高熱が下がらず、四肢に疼痛を 訴えたが、熱が高いための疼痛であろうと考えていた。ところが、2、 3日たつと、膝関節や足関節が腫れてひどく痛むようになり、立つ ことも出来なくなった。枕元を歩いても、足が痛みという。呼吸は 促迫し、尿利も減少し、汗は流れるほど出るもに、熱も下がらず、 悪寒もある。脈は浮にして大である。
このさい汗が出ていなければ、私は麻黄加朮湯、または越婢加朮 湯などを用いていたかも知れない。私は先ず白虎加桂枝湯を考えた。 高熱と脈の浮大と関節痛と多汗を目標にしたのである。ところが白 虎加桂枝湯証には悪寒はないはずである。そこで舌を診たところ、 苔もなく湿っている。石膏剤を用いる証とも考えられない。いろい ろと考えてから甘草附子湯にした。附子は陰証に用いるもので、真 武湯や四逆湯のような附子剤を高熱の時に用いることがあるのであ る。
この患者は体温が39℃近くものぼるけれども、食事の味は平素 と変わらないので、あとで述べる《有持桂里》の口訣などを思いだ し、また脈が浮大であるのに、何となく力がないように感ずるのと、 舌証なども併せ考え、甘草附子湯にした。附子ははじめ1日量0.5 とした。3日目には1.0とした。その頃から汗の出ることが減じ、 熱も37℃代となり、疼痛も軽くなった。最も腫脹疼痛の甚だしい ところは、左の足関節で足を伸ばすことも出来ず、着物やフトンが 触れても痛んだが、その頃から、ひとりで少しずつ動かせるように なった。こんなふうにして、3週間たった頃には、便所に立てるよ うになり、2ヶ月足らずで全快した。終始、甘草附子湯で押し通し た。《大塚敬節》
☆桂枝附子湯よりも痛風(関節リウマチのこと)には、甘草附子湯を 用いることが多い。最初から甘草附子湯でやって良い。たいてい痛 風で附子の証があれば甘草附子湯ですむものである。この症でよく よく表証でも強ければ桂枝附子湯を用いる。ここに秘訣がある。お よそ舌に苔があり、あるいは潮熱などあるときは附子はやりにくい ものである。わけても痛風には舌に黒苔の付くこともある。それで もタバコの味も変わらず、醤油・味噌の類の味も変わらない者は、 桂枝附子湯や甘草附子湯の証があれば遠慮なく附子をやって良い。 百発百中である。これは諸病とも、附子剤を用いる目標となる者で あるが、わけても痛風には、この秘訣が役立つものである。また痛 風で、脈が浮数or洪数で、食事に味がなく、平素嗜むタバコも臭 くて吸えないという者には続命湯や越婢加朮湯などを選んで用いる が良い。いずれにしても石膏剤を用いるのである《有持桂里》
[10]気の上衝<+>
[13]筋肉痛
[14]くしゃみ
[17]骨髄炎
[18]寒がり
[19]歯痛
[21]神経痛
[22]手足厥冷
[23]鼻汁(色薄く多量)
[26]疽
[27]腰痛症
甘草粉蜜湯[1-1]《金匱要略》
「甘草2両、粉1両、蜜4両」
右三味、以水三升、先煮甘草取二升、去滓、内粉蜜、攪令和、煎如薄粥、 温服一升、差即止。
◎蠱之為病、令人吐涎、心痛発作有時、毒薬不止、甘草粉蜜湯主之。
甘草粉蜜湯[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》
「甘草2g、米粉1g、蜂蜜4g」
水120ccを以て甘草を煮て80に煮詰め滓を去り、他の2薬を加えて攪拌 し、再び煮て薄い粥の如くし、1回に40を服用。
甘草粉蜜湯[1-3]《漢方治療の実際》
「甘草3、米粉1.5、蜂蜜6」水200‹で甘草を煮て150‹とし、滓を去り、 米粉と蜜を入れて、よく混ぜ3回に分けてのむ。
証(人をして涎(えん)を吐せしめ、心痛発作あり、毒薬にて止まず)《東洞》
「毒薬」=作用のはげしい薬。この毒薬は、東洞の主張する毒薬の意味とは違っている《大塚敬節》
「心痛」=心臓の痛みではなく胃のあたりの痛み。
◎吐涎、吐虫し、心痛発作時ある者を治す。《吉益東洞》
◎古く単に「粉」と称する者は、みな米粉なり。その粉稲黍、相通用するなり。 《雑病論識》
◎「毒薬不止」の4字深く味わうべし。《勿誤薬室方函口訣》
毒薬とは辛苦の剤を指して言う。《雑病論識》
★適応症及び病名
[1]胃拡張:
☆嚢病、痛甚だしき者を治して効あり。《先哲医話》
[2]嘔逆:
☆傷寒熱甚だしく嘔逆止まず、「小柴胡湯」を用いて解せず、一医、水 逆として「五苓散」を与えますます劇し、此方を与えて嘔速やかに差 える。すなわち《玉函》単甘草湯(甘草一味)の意にして更に妙なり。 《勿誤薬室方函口訣》
[3]嘔吐:
☆傷寒回虫、嘔吐し、諸薬にて止まず、薬食口に入れば即ち出ずる者、 甘草粉蜜湯を与え、殊に効あり。《傷寒翼方》
[4]虫積痛:
☆苦味を嫌い、強いて与えれば嘔する者、此方に宜し。
[5]腹痛:
☆此方は虫の吐涎を治するにみならず。吐涎無くとも心腹痛甚だしき 者に用いる。
☆「烏梅丸」「鷓胡菜湯」などの剤を投じて反って激痛する者、此方を 与えて緩むるときは必ず腹痛止むなり。
☆この方は元来、回虫による腹痛を治すために設けられたものであるが、 回虫に限らず作用の激しい劇剤を用いて効のない時に、この方を与え て意外に著効を示すことがある《大塚敬節》
☆26歳男性。11月下旬から下腹痛を訴えるようになり、それが日増 しにひどくなった。その痛みの模様は、始め右下腹から起こり、下 一面から脇下まで及び、発作時には手を近づけることも出来ないほど である。そこで某医に治を乞うたところ、水薬、散薬、下剤などをく れ、痛みのひどい時には白色の粉末をくれた。これはモルヒネらしく、 一時疼痛が緩解した。しかしすぐまた元通りに痛み、一昼夜に4、5 回も発作があって、ちっとも安眠出来ない。母や妻は徹夜して看護し ていたが、そのうなり声を聞くにしのびないという。こんな風で12/7 になって余に来診を求めた。
往診してみると、脈は沈んで渋るような状で、少し緊を帯び、微熱 がある。顔には血の気が無く、口舌は乾燥している。食事は小さい茶 碗に1杯食べるだけで、腹は軟弱にして、大便は出にくく、小便も少 ない。そこで寒疝と診断して、解急蜀椒湯を与えたが、更に効がない。 よっていろいろと考えた末に、甘草粉蜜湯の項に、心痛、発作時あり、 毒薬にて止まずとあるのを思いだし、試みにこの方を1回呑ましめた ところ、服後、疼痛軽減し、2、3日で全快した。(和漢医林新誌第197 号・竹中玄撮)
[6]反胃:
☆反胃嚢、毒薬治まらざる者。此方を服して怠らざれば、則ち身微腫 を発し、全癒を得る。これ余、累試累効の法なりと。余かって傷寒嘔 吐諸薬能せず、いかんともし難き者にしばしば効あり《雑病翼方》
[7]嚢:
☆痩せて痛の激しい者《和田東郭》
甘草麻黄湯[1-1]《金匱要略》
=麻黄甘草湯
「甘草2両、麻黄4両」
右2味、以水5升、先煮麻黄、去上沫、内甘草、煮取3升、温服1升、重 覆汗出、不汗再服、愼風寒。
◎裏水、越婢加朮湯主之、甘草麻黄湯亦主之。
「裏水」=浮腫の一種。《金匱要略》に、「裏水者一身面目黄腫、其脈沈、小便不利云々」
甘草麻黄湯[1-2]《漢方治療の実際》
「甘草2、麻黄4」
◎水腫、喘咳急迫、或いは汗無く、或いは自汗する者《重校薬徴》
★適応症及び病名
呼吸困難:
☆激しい発作を押さえるために頓服用として用いる。《大塚敬節》
☆多くは兼用方として用いる《大塚敬節》
☆乳児や老人、虚弱体質の人などには、用量を加減して用いるが良い。 《有持桂里》はこの方を老人に用いて、頓死した例を報告している。 《大塚敬節》
甘葱煎《傷科補要》
「甘草・鮮葱を等分。」水で煎じ、冷めるのをまって濾し、瘡口を洗浄する。
甘竹茹湯《備急千金要方》
「竹茹1銭、黄芩8分、人参2分、茯苓6分、甘草2分」
◎産後、内虚、煩熱、短気を治す。
◎此方は竹皮大丸料の一等軽き処へ用いる。
◎産後煩熱ありて下利し石膏など用い難き処に宜し。
◎他病にても「内虚煩熱」の4字を目的として用いれば当たらぬことなし。甘淡 音通ず、淡竹なり。《勿誤薬室方函口訣》
甘麦大棗湯[1-1]《金匱要略》
=「甘草小麦大棗湯」
「甘草3両、小麦1升、大棗10枚」
右三味、以水六升、、煮取三升、温分三服、亦補脾氣。
◎婦人藏躁、喜悲傷、欲哭、象如神霊所作、数欠伸、甘麦大棗湯主之。
甘麦大棗湯[1-2]《金匱要略》
「甘草3g、小麦14g、大棗2.5g」
水240ccを以て120に煮詰め、3回に分服。
証(蔵躁、喜(しばしば)悲傷し、哭(こく)せんと欲す)《薬徴》
「藏躁」=ヒステリー
甘麦大棗湯証=臓躁、喜(しばしば)悲傷。
甘麦大棗湯条に喜悲傷の証あり。此れ毒の逼迫なり。故に大棗を用ふ。
攣引強急を治するを以て、甘草小麦を用ひ、以て迫急を緩むるなり。《薬徴》
◎急迫して狂驚なる者を治す。《吉益東洞》
◎甘麦大棗湯の条に蔵躁喜悲傷の証あり、此れ毒の逼迫するなり。故に大棗を用 い以て攣引強急を治し、甘草と小麦を用いて以て急迫を緩みなり。為則按ずる に、仲景氏、大棗、甘草、芍薬を用うる其の症候略ぼ相似る。要は自得するに あるのみ。《重校薬徴》
◎此方は婦人臓躁を主とする薬なれども、凡て右の脇下臍傍の辺に拘攣や結塊の ある処へ用いると効あるものなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎婦人、ヒステリー・憂鬱・欠伸。
◎婦人悲傷、欠伸、或いは脾気弱き者。《龍野ー漢方処方集》
甘麦大棗湯[1-3]《漢方治療の実際》
「甘草5、大棗6、小麦20」
◎《方輿》に“この方は稀に男子に用いるけれども、もっぱら婦人の癇に用い る。心細がって、部屋の隅で泣いているなどという者に用いる。そのうちで、 この方は甘味を嗜む者に良い。甘いものを食べると、腹がゆるむと云う者にこ とに良い。この証では腹が引っ張っているのを目的にすべしとある。(大塚も、 右腹直筋のひどく突っ張っている者に用いて著効を得た)しかしこれは一概の 論だと思う。またこの方は悲傷が無くても、ただ、たびたび欠伸をする者に用 いても効がある。これもたびたび効験を得たことである。
蔵躁で悲傷しても柴胡の腹候があれば、やはり柴胡を用いるがよい、悲傷の 症でも柴胡の腹候があれば柴胡を用いて効があるものである。そのところへ悲 傷を目的にして甘麦大棗湯を用いてみても効のないものである。しかし悲傷を 目的にして甘麦大棗湯を用いたが効がない。そこで腹候によって柴胡加竜骨牡 蛎湯を用いたところ、悲傷もついに治った。
甘麦大棗湯には消石大円などを兼用することがある。経閉などのある時に兼 用する。また婦人でよく笑う者がある。甘麦大棗湯を用いて効があると思うけ れども、まだ用いたことがない。《儒門事親》には、よく笑う者に、黄連解毒 湯を用いてある。これはよく効のあるものである。喜笑で右の腹の凝る者には 甘麦大棗湯、心下に迫る者には黄連解毒湯である”
★処方解説
A[方剤分類]・・・鎮静剤
B[八綱弁証]・・・裏(熱)虚
C[六経弁証]・・・少陽病
D[衛気営血弁証]・気分
E[臓腑弁証]・・・蔵燥・心血虚
F[方剤帰経]・・・心・心包・胆
G[効能・効果]・・養心安神。
甘麦大棗湯[1-4]《金匱要略》
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]あくび(欠伸)をよくする
[2]胃アトニー
[3]胃炎
[4]胃ケイレン
[5]胃下垂
[6]鬱病
[7]驚きやすい
[8]おびえる:
[9]咳嗽:(ケイレン性)
[10]寡黙
[11]癇:
☆大人の癇に用いることあり。“病急者食甘緩之”の意を旨とすべし。
☆癇症、狂症、臓躁に髣髴する者も、奇験あり《類聚方広義》
[12]飢餓感が強い
[13]喜笑:(笑いが止まらない)
☆<右の腹がこる>《方輿》
☆心下にせまるのは→「黄連解毒湯」《方輿》
[14]驚狂
[15]狂躁症
[16]筋肉攣縮
[17]更年期障害
[18]興奮・神経興奮
[19]子宮ケイレン
自閉症
☆腹直筋は発作中は緊張、神経過敏、奇声、ケイレン、一人笑い、その他急迫症状(漢方診療医典)
[20]焦燥感
[21]食が細い
[21]小舞踏病
[22]自律神経失調症
[23]神経衰弱
[24]精神病:
☆今泉玄が精神神経病に多用。
[25]精神分裂症
[26]咳:(ケイレン性)
[27]舌質:<淡白>
[28]舌苔:<無苔~微白>
[29]躁病
[30]血の道症:①ヒステリーの発作に繁用。
②腹直筋がひきつり、神経の興奮がひどい者。
③少しのことに泣き悲しんだり、不眠、生あくびする者。
④狂躁状態の者。
[31]チック
[32]疲れやすい
[33]テンカン:
☆ジャクソンの癲癇《大塚敬節》
“その少女は、運動会で転倒して、頭部を強打し、その後右半身の不随 と全身ケイレンを伴う意識消失が1日10数回も起こるようになり、 言語障害もあって。ケイレン発作時には、尿を失禁した。こんな状態 が1カ年あまり続き、種々の治療も無効であったという。
診察してみると、右腹直筋が棒のように硬く四肢の筋肉も強く緊張 している、診察中にも発作が起こった。発作を終えるとしきりに欠伸 をする
《金匱要略》をみると、「婦人にみられる蔵躁という病気は、たび たび悲しみ、泣き、ちょうど、物の怪が付いたような奇妙な格好をし、 たびたび欠伸する。これは甘麦大棗湯の主治である」とある。私はこ の条文によって、甘麦大棗湯を用いた。患者は、これを飲むと日増し にケイレンが止み、1カ年ほどで全治し、常人と変わらなくなった。 この蔵躁という病気はヒステリーのようにみえるが、この少女はヒス テリーとは思えなかった。”
[34]涙もろい:
☆平時女人好く哭す、自己その故を知らず、之を服せば最も妙なり《雑 病翼方》
[35]尿失禁:
☆「桑螵蛸」
[36]寝つきが悪い
[37]眠りが浅い
[38]脳出血
[39]梅核気:
☆元浜街の伊勢屋啓助の女、21歳は、昨年の7月上旬の夜半に、突 然、眠りから醒めたところ、胸苦しく、何か物がのどに衝き上がっ てくる感じで、その状は、喘鳴でもなく、吃逆でもなく、嘔吐でも なく、気でもなく、実に名状することの出来ない気持であった。 ところが夜明け近くになると、忽然として、その感じが消え去って、 平素と変わらなくなった。しかしその発作は時々起こって、患者を 苦しめた。そこである医者に治を乞うたところ、その医者は肺病だ といって薬をくれたが、ちっとも効がないばかりか、病状はますま す激しくなる一方である。そこで11/25に予に治を乞うた。
これを診るに、脈・腹共に異常なく、飲食、大小便もまた平素と 変わりがない。ただ月経の来る時期が少し狂っているという。自分 が思うに、これは《金匱要略》にある、婦人の蔵躁(ヒステリー)の1症 であろうと。そこで甘麦大棗湯を作って与えた。そして1日おいて、 次の日に往診してみると、おかげさまで大変気分が良くなりました という。それからまた3、4日たって往診してみると、病苦は全く なくなったという。そして、その後は再び発作が起こらなくなった (下条通春・和漢医林新誌第50号)
[40]歯ぎしり
[41]ヒステリー:(蔵躁)
☆「ヒステリー」、及びその類証《奥田謙蔵》
☆蔵は子宮也。此方の蔵躁を治するは、能く急迫を緩むるを以て也。 孀婦、室女、平素憂鬱、無聊にして、夜夜眠らざる等の人は、多く 此症を発す。発するときは則ち悪寒、発熱し、戦慄、錯語し、心神 恍惚し、居に席に安んぜず、酸泣已まず。此方を服すれば立ちどこ ろに効あり。《類聚方広義》
(孀=ソウ、やもめ)(聊=リョウ、いささか)
☆ヒステリーのケイレン発作に《大塚敬節》
☆蔵躁で悲傷しても柴胡の腹候があれば、やはり柴胡を用いるがよい、 悲傷の症でも柴胡の腹候があれば柴胡を用いて効があるものであ る。そのところへ悲傷を目的にして甘麦大棗湯を用いてみても効の ないものである。しかし悲傷を目的にして甘麦大棗湯を用いたが効 がない。そこで腹候によって柴胡加竜骨牡蛎湯を用いたところ、悲 傷もついに治った。《方輿》
[42]悲泣(ひきゅう):
☆小児啼泣止まざる者も速効あり。《勿誤薬室方函口訣》
[43]百日咳
[44]不安感
[45]不随意運動が起こる
[46]不眠症:
☆神経衰弱に因する強度の不眠症等《奥田謙蔵》
[47]腹直筋攣急:<>
[48]腹痛:<ケイレン性>
閉経:
☆「消石大円」《方輿》
[49]夢遊病:
☆小児が夜中にふと起きて家の内を歩き回り、またふとして寝床に入 って眠り、翌日、そのことを知らないことがある。この[寝ぼけ]の 症は、男女共に甘麦大棗湯のゆくところである。腹の左右のどちら が凝っていても用いて良い。もし心胸につかえている者は柴胡剤を 用いる。とかく甘麦大棗湯は蔵躁悲笑が目的である《百一貫》
[50]舞踏病:
☆舞踏病のケイレン発作に《大塚敬節》
[51]夜驚症:
☆元浜街の伊勢屋啓助の娘、21歳は、昨年7月上旬、夜半、突然、 眠りより醒めたところ、胸が苦しくなって悶えはじめた、その状は、 何か物があって、のどに突き上げてくるようである。それは喘でも なく、気でもない。嘔でもなく、吃逆でもない。実に名状出来な い状態である。ところで、その苦しみは夜明けになるとピタリと止 んだ。しかしその後も同じ様な苦悩の発作が続いた。
余がこれを診するに、脈腹ともに異状なく、飲食大便ともに何の 変わりもない。ただ月経が時々遅れると云う。余はこれは《金匱要 略》に論ずるところの婦人蔵躁の1症であると思った。甘麦大棗湯 を作って与え、そしてその翌日往診してみるに、患者は云う、お薬 をのんでから、とても病気が軽快したようですと、そこで前方を与 え、3、4日たって往診してみるに、すっかり病気を忘れ、再び発 作は起こらなかった。(下条通春・和漢医林新誌第50号)
☆ヒステリックに泣き叫ぶものによい(漢方診療医典)
[52]夜尿症:
☆「桑螵蛸」《中薬臨床応用》
[53]憂鬱症
[54]夜泣き:
☆(泣くように長く啼く)
☆小児の夜啼証等《奥田謙蔵》
☆本症の小児の夜啼は時を定めて泣き、その時目を開いて泣くものな り《済世薬室》
☆夜啼客忤、左の拘攣する者を「柴胡」とし、右に拘攣する者を甘麦 大棗湯とすれども、泥むべからず。客忤は大抵甘麦大棗湯にて治す るなり。《勿誤薬室方函口訣》
甘麦大棗湯加味《中薬臨床応用》
「甘草9g、浮小麦30g、大棗8g、麦門冬9g、生地黄15g、石斛12g」水煎服。
◎更年期障害
◎ヒステリー
甘遂散[1]《東醫寶鑑》
「甘遂末1銭を豚の仔袋の血にまぜ、そして仔袋を裂いてその内に入れて糸 で縫い、紙にくるんで水に入れて弱火焼いた後、取り出した甘遂末を辰砂 末で、4個の丸剤。毎回1丸、先の豚の焼いた水で飲む。大便に悪物が混 じっていたら中止し、そうでなかったら又飲む。
◎五種類の癲癇・婦人の風血による混迷に特効。
甘遂散[2]《東醫寶鑑》
「赤皮甘遂2両、煉蜜2合」まぜて、1両を4分したものを、1日1回蜜水 で服用。
◎大・小便の不通を治す。
甘遂散[3]《東醫寶鑑》
「甘遂末を葱汁で丸め、綿にくるんで耳をふさぎ、口には甘草湯をふくむ。」
◎耳聾を治す。
甘遂半夏湯《金匱要略》
「甘遂(大者)3枚、半夏12枚(以水1升煮取取半升去滓)、芍薬5枚、甘草(如 指大1枚炙1本作無)」
以上4味、以水2升、煮取半升、去滓、以蜜半升、和薬汁煎取8合、 頓服之。
◎病者脉伏、其人欲自利、利反快、雖利、心下続堅満、此為溜飲、欲去故也。甘 遂半夏湯主之。
甘遂半夏湯証(利すとも雖も心下続きて堅滿)《薬徴》
◎芍薬甘草湯の証にして心下痞満し嘔する者を治す《吉益東洞》
◎此方は利して反って快と心下堅満が目的なり。脈は伏して当てにならならぬも のなり。《勿誤薬室方函口訣》
◎一体心下の留飲を去るの主方なれども、特り留飲のみに非ず、支飲及び脚気な どの気急ある者に用いて緩むこと妙なり。「控涎丹」も此方が軽き処へゆくも のなり。
◎此方の妙は蜜を用ふるに在り。故に若し蜜を用ひざるときは、則ち特り効を得 ざるのみならず、瞑眩(中毒)して変を生ずる者あり。宜しく古法を遵守すべし。 《尾台榕堂》
◎此方、蜜を加えざれば反って激して功なし。《二宮桃亭》壮年の時、蜜を加え ずして大敗を取り、《吉益東洞》に督責を受けしことあり。《勿誤薬室方函口 訣》
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]脚気:
☆水腫性脚気等にして、強実なる証《奥田謙蔵》
☆脚気衝心等にして、気急息迫、喘鳴し、脈実なる証《奥田謙蔵》
[2]腹水:
☆腹水等にして、脈緊実なる証《奥田謙蔵》
[3]腹痛:
☆飲家、心下満痛し、嘔吐せんと欲し、或いは胸腹攣痛する者を治す《類 聚方広義》
甘豆湯《本草綱目》《東醫寶鑑》
「甘草・黒豆各5銭」水煎服。竹葉か薺(=桔梗)を加えるとなお良い。
◎100種の毒を消す。
甘胆丸《東醫寶鑑》
「甘草2両を赤皮は捨て、2寸大に切って半分に割り、猪胆汁5枚に3日間 漬けて取り出し、炙乾作末し、煉蜜で緑豆大の丸剤。毎回40~50丸を 茶湯で飲む。
◎酸っぱいものを食べて喘嗽になり、諸薬無効のとき。
甘李根湯《東醫寶鑑》
「李根皮5銭、桂皮1銭半、当帰・芍薬・茯苓・黄蓍各1銭、半夏・甘草各5 分、を剉作1貼して生姜3片を入れ、水煎服。
◎動気に誤って発汗し、気が上衝して心臓のはじに止まっている症。
甘楞散《中薬臨床応用》
「甘草末・瓦楞子(いて末にする)各等分」1日3回、9gづつを食前に湯 で服用。
◎胃十二指腸潰瘍。
甘連大黄丸
=「林鐘丸」
「大黄60.0、甘草・黄連各30.0」
右三味、各別に細末にし、糊丸。1回に2.0~4.0。
◎胸間に毒有り、審判して安からざる者を治す。《古方兼用丸散方》
◎心中煩悸し、大便せざる者を治す。《春林軒丸散方》
甘連大黄湯《龍野一雄》
「甘草・黄連・大黄各2g」
◎結膜炎で充血羞明著しきもの。癇家鬱々として不眠・心悸亢進・心下痞する者。
甘連湯《松原方函》《勿誤薬室方函》
「甘草・黄連・紅花・大黄」
=甘連大黄湯紅花
《方輿》には紅花なし。
◎小児初生より45歳に至り、便不和、吐乳し、腹脹、滞食す。故無くして発熱、 夜啼、腹痛の諸証、皆之を主る。
◎専ラ胎毒ヲ去ルヲ主トス。世に「マクリ」と称するもの数方あれども此方を優 とす。《勿誤薬室方函口訣》
◎1日振り出し量「甘草0.7黄連0.7大黄0.7紅花o.5」
★適応症及び病名 (五十音順)
驚癇:「連銭草」
小児五疳:「胡黄連」
胎毒:
胎毒痛:「竹葉」
吐乳:「連翹」
甘連湯《陳氏》《古今方彙》
「黄連、甘草、辰砂(少し)」熱湯にて払い出し之を用いる。
◎小児初生には先づ須らく此方を用いる。
甘露飲[1-1]《和剤局方》《漢方後世要方解説》
「熟地黄・生地黄・天門冬・麦門冬・黄芩各3、茵蔯蒿・枇杷葉・甘草・石 斛各2、枳殻1」
◎丈夫、婦人、小児、胃中客熱、牙宣、陰垂重く常に合閉せんことを欲す。或い は飢煩して飲食を欲せず、及び赤目腫痛涼薬に任えず、口舌瘡を生じ、咽喉腫 痛するを治す。痘疹已に発し未だ発せず皆之を服すべし。又、脾胃湿を受け 熱裏にあり、或いは酔飽房労、湿熱相搏ち、疸病を生ずることを致し、身面皆 黄、肢体微腫、胸満気短、大便調わず、小便黄渋、或いは時に身熱するを療す。 並びに宜しく之を服すべし。
◎此方は脾胃消化器系に湿熱あり、裏に熱あって、口舌に瘡を生じ、又は、咽 喉腫痛する者に用いる。又胃腸弱く、熱をかもし、歯根腫痛又は糜爛して膿血 を出す。所謂歯槽膿漏にも用いられる。
もし上焦の実熱のものは「加減凉膈散」、
脾胃虚熱の場合は「清熱補気湯」である。又
血燥によるものは「清熱補血湯」がよい。
熟地・生地・天門・麦門=熱を涼す。
枇杷=上焦の熱を解す
石斛=脾胃の虚熱を除く
茵蔯=風湿を治し、黄疸を療す。
甘露飲[1-2]《和剤局方》《古今方彙》
「枇杷葉・石斛・黄芩・枳殻・天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄・茵蔯・甘 草各等分」水煎。
◎牙疳にて去血口臭、歯腫痛し、腐爛するを治す。
甘露飲[1-3]《和剤局方》《古今方彙》
「熟地黄・生地黄・天門冬・麦門冬・枳殻・茵蔯・黄芩(酒)・石斛・枇杷葉 ・甘草各等分」水煎。
◎小児胃中の客熱にて牙宣(歯出血)、口臭、歯腫爛して時に膿血を出し、饑 煩して飲食を欲せず、及び目赤腫痛し、涼薬に任えずして口舌に瘡を生じ、咽 喉腫痛し、及び身面皆黄にして、肢体微腫し、大便調わず、小便赤渋するを治 す。
甘露飲[1-4]《和剤局方》《勿誤薬室方函》
「生地黄1銭、乾地黄・天門冬各8分、麦門冬9分、枇杷葉4分、黄芩3分、 甘草3分、石斛4分、枳実2分5厘、茵蔯蒿3分」
◎丈夫小児、胃中客熱あり、牙宣歯爛、目垂れ閉じんと欲し、饑ゆれども食を欲 せず、及び目赤く腫痛し、口瘡咽腫、瘡疹已に発し、未だ発せざるを治す。
◎又脾胃湿熱、酔飽房労、黄疸腹満、或いは時に身熱するを療す。
◎此方は脾胃湿熱を云うが目的にて、湿熱より来る口歯の諸瘡に用いて効あり。
<1>もし上焦膈熱より来る口歯の病は「加減凉膈散」に非らざれば効なし。
<2>甘露飲は、「調胃承気湯」や「瀉心湯石膏」などを用いるほどの邪熱 にも至らず、血虚を帯びて緩なる処に用いるなり。
甘露飲[1-5]《和剤局方》《漢方治療の実際》
「枇杷葉・石斛・黄芩・枳実・天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄・茵蔯蒿・ 甘草各2」
甘露飲[1-6]《和剤局方》
★適応症及び病名 (五十音順)
[1]黄疸:
☆茵蔯蒿湯などを用いて攻下した後、湿熱未だ全く徐かざる者に宜し。 《方読便覧》
☆腹満攻下の後湿熱去らざる者《矢数道明》
[2]壊血病:《矢数道明》
[3]牙疳:
☆《有持桂里》は“牙疳といって、歯茎よりすさまじく日々血出で、血 出るにつれて歯齦が腐爛して、なくなり、臭気が強く、後には膿も少 しづつ出るものである。その症状の緩慢なものを牙疳といい、急なも のを走馬牙疳という。甘露飲はその緩慢な牙疳を治すものである。走 馬牙疳は平生の人にもあるけれども、とりわけ天然痘のあとに、最も 多いもので、2、3日の中に歯も落ちて死ぬものである。通常の牙疳、 走馬牙疳ともに、俗にクサと呼んでいる。この際、甘露飲に六味丸を 兼用すると、ことの外によいものである”と述べている。《大塚敬節》
[4]角膜膿瘍:
☆胃中客熱、眼胞低重、膿をなす。《方読便覧》
[5]虚労:
☆房事によるものには効なし。《方読便覧》
☆房事による虚労には、「牛車腎気丸鹿茸」を用いる。
[6]口腔底蜂織炎:《矢数道明》
[7]口舌疾患:
☆これは繭唇(ケンシン)を治する主剤である。繭唇というのは、唇が堅くて 膨れ上がるもので、破れて血が流れるようになると難治である。そこ で転用して、一切口舌に申し分があって、虚火に属するものを治する。 また口中に硬い出来物を生じ、永く治らず、後に血を流すようになる と多くは死ぬものである。膿にはならずにしまうものである。早期に この方を用いるがよい。《和田東郭》はこの方で舌疽を治したと余に 語ったことがある。すべてこの方の効く症は、虚火と心得るがよい。 実証で清胃瀉火湯などを用いる場合とは、別個のものである。《百々 漢陰》
[8]歯槽膿漏:《矢数道明》
☆《和剤局方》に甘露飲は“牙疳、出血、口臭、歯齦腫れ痛み、腐爛す ると治す”とあり、これは今日の粗相脳漏にあたる。《大塚敬節》
[9]舌ガン:
☆舌疽に用いて著効を得た《華岡青州》
☆舌疽には、甘露飲と滋陰降火湯の他には用いるものがない《浅田宗伯》
[10]やせる:
☆胃熱、善食し肌肉を生ぜざる者を治す。
[11]夜盲症:
☆雀目烏睛、膿をなす者を治す。《方読便覧》
甘露飲[2]《東醫寶鑑》
「寒水石・石膏・欝金・薄荷・甘草」各等分を作末し、毎回1銭を薄荷湯で 調下する。
◎潮熱を治す。
甘露消毒丹《葉天子》
「黄芩・連翹・茵蔯蒿・藿香・薄荷・白豆蔲・射干・菖蒲」
◎(悪臭のある下痢)
汗証一方《済世全書》《古今方彙》
「黄蓍1銭半、人参・芍薬各1銭、白朮・陳皮・麻黄根・甘草各7分、升麻 ・柴胡各1分、桂枝・附子各3分、浮小麦1撮み」水煎。
◎内傷虚症、発熱自汗雨の如く已まざるか、或いは身体は水の如く、或は寒戦を 発するものを治す。
冠心二号方(北京地区防治冠心病協作組)《中薬臨床応用》
「降香15g、丹参30g、赤芍15g、川芎15g、紅花15g」毎日1剤を3回に分 けて冲服。4週間を1クールとし、連続3クール服用する。
◎狭心症。
寛快湯《仁斉直指》《勿誤薬室方函》
「莎草2両、烏薬・枳実各1両半、縮砂7匁半、橘皮・木香各3匁、紫蘇子 半両」
◎気下降せず、大府渋滞するを治す。
◎此方は気剤なれども中気を推下するの効ありて、大便不通、硝黄の剤を投ずれ ば便気ますます頻数にして通ずる能わず。気利とも云うべき症に用いる。
◎畢竟は訶黎勒散の意にて、はたらきのある方なり。
◎対症の薬にて四つ手に取り組み、何としても行かぬことあり。この時彼の鉄砲 を暖簾や幕にて受くる如く、軽き剤にて思いの外。和らぐなり。これいわゆる 剛柔相制するなり。
寛胸丸《中医研究院西苑医院》《中薬臨床応用》
「撥90g、細辛15g、檀香45g、竜脳25g、延胡索25g、高良姜45g」エキ スを精油と混ぜてカプセルに入れる(1カプセル=0.3g)
1日3回、1カプセルづつ服用。
◎狭心症。
寛胸利隔丸《中医雑誌1958年10月号》
「広木香・茅蒼朮・川厚朴・草果・枳穀・縮砂仁・麦芽・神麹・山楂子・桔 梗・青皮・子・広藿香・檳榔子・陳皮・甘草・川貝母各40g、炒白芍 80g、 製大黄160g。(大黄の製法は大黄6400gを、紅花・当帰・黄酒・童 便各1600gで、煎じ泡立てる)上記を作末し、蜜を練って丸め、毎丸12g、 毎服半丸ないし1丸。
寛中丸《全生指迷方》
「橘皮、白朮」
寛中丸《東醫寶鑑》
「蒼朮(炒)・烏薬・香附子各2両、三稜と莪朮を醋で煮て焙ったもの・青皮 ・陳皮・乾姜(炮)・良姜(炮)・茴香(炒)・神麹(炒)・麦芽(炒)各1両を作 末し、醋糊で梧子大の丸剤。姜湯で50丸呑む。
◎七癥・八・五積・六聚・痃癖・気塊を治す。
◎胸腹の脹痛で顔が黄色く痩せる者を治す。
◎一切の沈滞の疾病を治す。
寛中散《和剤局方》《龍野一雄》
「香附子6g、厚朴4g、陳皮・丁香・縮砂各1.5g、白豆蔲0.5g、甘草・木香 ・干姜各1g」
◎気鬱・胃弱・胸つかえ・張る。
★適応症及び病名
胃アトニー
気鬱
食道狭窄
寛中進食丸《東醫寶鑑》
「麦芽(麺)1両、半夏・猪苓各7銭、草豆蔲・神麹各5銭、枳実4銭、橘皮 ・白朮。白茯苓・沢瀉各2両、縮砂1銭半、乾生姜・人参・青皮・甘草各1 銭、木香5分を作末し、蒸し餅で梧子大の丸剤。米飲で50~70丸呑む。
◎精が出、食欲を増す。
寛中湯《和田東郭》《勿誤薬室方函》
「半夏・茯苓・厚朴・乾姜・紫蘇子・甘草」
右六味、或いは呉茱萸を加う。
◎此方は、「半夏厚朴湯」に「甘草乾姜湯」を合し、蘇葉を蘇子に代えたる方に して、利気を主とす。《勿誤薬室方函口訣》
◎胸中に気あつまりて、心下までも及ぼし、気宇鬱塞する者に宜し。
◎《和田東郭》は、婦人の経閉にて気宇鬱塞する者、先ず此方を用いて経水を通 じると云う。
寛中湯《和剤局方》《古今方彙》
「香附子16両、厚朴1斤、青皮・陳皮・丁香・砂仁各4両、白豆蔲2両、 甘草5分、木香3両、生姜」水煎。或いは作末し、姜塩湯にて点服する。
(点服=抹茶をたてるように、泡立てて飲むこと)
◎七情四気、脾胃を傷り以て陰陽不和を致し、胸膈痞満、停痰気逆遂に五膈の病 をなるを治す。
寛中透毒飲
「葛根・桔梗・前胡・青皮・枳穀・山楂子・蝉退・連翹・荊芥・麦芽」
寛中養胃湯《万病回春》《古今方彙》
「蒼朮4両、香附子7分、枳殻・藿香・厚朴・半夏・茯苓各5分、神麹・麦 芽・枳実各4分、砂仁・山楂子・檳榔子・青皮・甘草各3分、陳皮1銭、 生姜、大棗」水煎し食遠に服す。
◎胸膈腸満して飲食少しく用うるを治す。
寛腸丸《東醫寶鑑》
「黄連・枳穀」を等分に作末し、麺糊で梧子大の丸剤。50丸呑む。
◎痔と大便が秘結して痛い。
緩痃湯《高階枳園》《勿誤薬室方函》
「柴胡桂枝乾姜湯鼈甲・芍薬」
◎臍傍の痃癖ありて骨蒸状をなす者。
◎肋下或いは臍傍に痃癖ありて、之を按ずれば則ち痛み、寒熱、盗汗、咳嗽など ある者に宜し。《勿誤薬室方函口訣》
緩中湯《肘後備急方》
=茯苓緩中湯《肘後備急方》
◎此方は「小建中湯」の変方にて、能く中気を緩め積聚を和するの力あり。故に 後世には「緩痃湯」と称するなり。《勿誤薬室方函口訣》
観音救苦散《済世全書》《古今方彙》
「金銀花、皀角刺、穿山甲、当帰尾、括楼根、括楼仁、貝母、甘草」水煎し 酒を加えて服す。
◎乳癰、吹乳腫痛忍ぶべからざる者を治す。
観音元《東醫寶鑑》
「半夏生・烏梅肉・母子香・巴豆肉各10枚」乾燥させ作末し、姜汁糊で麻 子大の丸剤。毎回5丸、就寝時に冷水で服用。
◎瘴瘧を治す。
観音散《医学入門》《東醫寶鑑》
「人参1銭、蓮肉・神麹各2分、白茯苓2分半、白朮・黄蓍・木香・白扁豆 ・甘草各1分を剉作し、1貼に姜2、棗1、藿香3を入れ水煎服。
◎脾が弱く、下痢・精神混迷・四肢が冷たくて、慢驚になろおうとする者。
◎外は風冷に感じ、内は飲食に傷き、嘔逆吐瀉、飲食進まず漸く羸弱するを治す。 《古今方彙》
◎一方に「羗活、防風、全蝎、天麻」を加え「全蝎観音散」と名付け、吐瀉の後 慢脾風の甚だしき者を治す《古今方彙》
観音夢授丸《東醫寶鑑》
「夜明砂・当帰・蝉退・木賊各3両、を作末し、白羯羊肝4両を煮て、膏に なるまでついて、梧子大の丸剤。空腹時に、5丸を100日間服用。
◎内障で目が腫れた者。塩辛い物の食べ過ぎが原因の症状。
関節熱洗一方《中薬臨床応用》
「海桐皮・桂枝・寛筋藤・海風藤・両面針・路路通各30gを水煎し、1日1 ~2回、20~30分ずつ熱い内に関節を薫洗する。
◎打撲、骨折
◎関節リウマチ
◎関節の腫脹
◎筋肉拘縮
◎運動障害
関節熱洗二方《中薬臨床応用》
「沢蘭6g、生姜皮12g、姜黄9g、寛筋藤15g、忍冬藤15g、紅花6g 」水煎 し、熱い内に洗浄する。
◎捻挫による腫脹疼痛
還元丹(一名返本丸)《東醫寶鑑》
「牛肉(筋・膜を去り、碁石ぐらいに切って洗い一夜漬けておき、酒に漬け て油紙で封をし、桑柴火で一昼夜煮て乾燥・作末し、肉半斤に薬1升の割 で入れる。蓮肉・山薬・白茯苓・茴香(微炒)を作末し、各4両を混ぜ、棗 肉をつぶして膏にし好酒を少し入れ、前の薬末を混ぜて搗いて梧子大の丸 剤。空腹時に温酒で50~70丸呑。
◎内傷の虚弱を治す。
◎五臓を和らげ、百病を消滅する。
◎精髄を充実させ、元気を出させ、肥らせる。
還元秋石丸《東醫寶鑑》
「秋石1斤、白茯苓1斤、天門冬・麦門冬・生既往・熟地黄・人参・地骨皮 ・人乳粉各4両」を作末し、梧子大の蜜丸。白湯又は酒で30~50丸呑む。
◎房事による精の消耗で、髪の白くなるのを治す。
還元保真湯《外科正宗》《古今方彙》
「当帰・川芎・白芍薬・熟地黄・白朮・茯苓・人参・黄蓍各1銭、牡丹皮・ 枸杞子各8分、甘草(炙)・熟附子各5分、沢瀉・肉桂各3分、姜、大棗」 水煎。
◎懸癰にて已に潰れ、瘡口開張し、膿水林として収斂する能わざる者を治す。
還魂湯[1](一名追還湯)《東醫寶鑑》
「麻黄3銭、杏仁25粒、桂心・甘草各1銭を剉作し、1貼を水煎し口に注 ぎ入れる。口をつぐんだ者には、口を開けさせて注入する、薬が入りさえ すれば生き返る。
◎中悪などで、口をつぐみ、気の切れたのを治す。
還魂湯[2](一名輪廻酒)《東醫寶鑑》
「自分の小便を1~2滴、小鉢に垂らして呑む」
◎腸の中に残った垢を濯う。この方法を行って、おなかが空いたら淡い粥を飲ん で、3日後に他の菓物を食べる、すると半月後に精神が生き生きしているよう になる。それから5年間は牛肉を忌けて食べてはならない。疝病・黄病の慢性 化したのによい。
還魂湯[3]《金匱要略》
「麻黄(去節)3両、杏仁(去皮尖)70個、甘草(炙)1両」
◎救卒死客忤死、本方主之。
還少丹《東醫寶鑑》
「熟地黄・枸杞子各1両半、山薬・牛膝・遠志・山茱萸・巴戟・白茯苓・五 味子・石菖蒲・肉蓉・楮実子・杜仲・茴香」を作末し、蜜でまぜ棗肉で 梧子大の丸剤。空腹時に温酒又は塩湯で30~50丸呑む。
◎下部脈が細く、陰痿して立たない者。
還晴丸[1]《東醫寶鑑》
「石決明()・覆盆子・茺蔚子各2両、槐実(炒)・人参・細辛・防風・白茯 苓・甘菊・柏子仁・川芎各1両」作末し、蜜で梧子大の丸剤。温水で30 丸服用。
◎高風雀目で内障になりかける者。
還晴丸[2]《東醫寶鑑》
「細辛・五味子各2両半、人参・桔梗・黄蓍・熟地黄・防風・知母・茺蔚子 ・車前子各2両、玄参5銭」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に、50丸 茶清で服用。
◎目に五色花が見える症。
還晴丸[3]《東醫寶鑑》
「天門冬・麦門冬・熟地黄各3両、知母(酒炒)2両、人参・地骨皮・肉蓉 (酒浸)・牛膝・杜仲(酒炒)・石斛・杏仁各1両半、当帰(酒洗)・白茯苓・ 山薬(蒸)・兎絲子(酒製)・黄柏(酒炒)・枳穀・甘菊(酒洗)・青子・草決 明・白茯苓・羚羊角(屑)各1両、防風・犀角各8銭、川芎」を作末し、梧 子大の蜜丸。空腹時に、塩湯で100丸服用。
◎遠近の一切の眼疾。
◎内外膜の攀晴・努肉・爛弦・風眼。
◎老人・虚弱者の目昏・多晴・迎風・冷涙。
還晴紫金丹《東醫寶鑑》
「白蜜2両、炉甘石1両を火10回して、水浸半日・黄丹の水を切った もの6銭、烏賊骨1銭、硼砂(細末にし磁器に入れ、重湯で煮て、自然 乾燥)・麝香各5分、白丁香2分半、軽粉1分を蜜と砂石器内に入れ、 とろ火で煮た後、甘石末を又少し入れ、次に黄丹を入れて柳枝でかき混 ぜ、又残りの薬末を入れて実大の丸剤。毎回1丸を温水で点眼する。
◎爛弦風を治す。
還精補腎丸《銀海精微》
「人参・白朮・茯苓・潼・羗活・木賊・菊花・防風各40g、甘草16g、 川芎・山薬・肉蓉・密蒙花・青子・牛膝・兎絲子各40g、以上を作末 して、蜜で丸薬にする。または煎服」
還陽散《東醫寶鑑》
「硫黄末2銭、を新汲水で調下すると、寒が一度おき、また熱が一度出るが、 もう一度飲むと、汗が出て治る。」
◎陰毒で顔色が青く、四肢が冷え、脈が沈む症。
貫衆丸《東醫寶鑑》
「雷丸1両半、貫衆1両2銭半、狼牙1両、白彊蚕1両、白藿蘆・乾漆・厚 朴・雄黄各7銭半」梧子大の蜜丸。水で5丸ずつ3回服用したあと、漸次 増やして10丸までに達した20日目になると三尸と九虫はみな死ぬ。
◎三尸(→用語さ)と九虫(→用語き)を除去する。
◎雷丸は赤虫、貫衆は伏・尸虫、狼牙は胃虫、白彊蚕は膈虫、白藿蘆は尸虫、乾 漆は白虫、厚朴は肺虫、雄黄は尸虫、を殺す。
貫衆湯《中薬臨床応用》
「東北貫衆9g、山紫蘇15g、苦楝根皮15g、土荊芥15g」
水煎服。
◎腸内寄生虫(鈎虫)
旱蓮膏《東醫寶鑑》
「旱蓮草16斤を6月下旬又は7月上旬に採集し水洗。乾いたら汁を絞って 陽に晒すこと5日間、そしてかき混ぜないで正午に新生蔓汁と蜜各1斤を 加えて、前のように晒して乾かし、数日たって飴のようになったものを、 缶に入れて貯蔵して、毎日早朝、空腹時に酒と調合して服用。」
◎髪を黒くする。
款冬花散《東醫寶鑑》
「麻黄・貝母・阿膠珠各2銭、杏仁・甘草(炙)各1銭、知母・桑白皮・半夏 ・款冬花各5分、姜3」煎服。
◎寒と壅で肺気に不利となり、咳をして痰が起こるとき。
款冬花散《医学入門》《古今方彙》
「款冬花・桑白皮・知母・貝母(炒)・杏仁(炒)・半夏・阿膠・麻黄・甘 草・生姜」水煎温服。
◎寒壅相交わり(寒と痰とが滞り壅る)、肺気不利し、咳嗽喘満、膈煩悶し、鼻塞 清涕、咽腫痛する者を治す。
款冬花湯《中薬臨床応用》
「款冬花8g、杏仁6g、浙貝母6g、知母6g、桑白皮6g、五味子9g、甘草3g」 水煎服。
◎上気道炎の咳嗽。
感応丸《東醫寶鑑》
「肉豆蔲()・白姜(炮)・百草霜各2両、木香1両半、撥茄・三稜(炮)・丁 香各1両、巴豆100粒の皮・芯・膜・油を捨て粉末、杏仁100粒去皮尖・ 雙仁麩炒の細研酒煮、蝋4両、清油1両を細末にし、先に香油に巴豆・杏 仁末を入れて蝋令で熔化させた後、残りの薬末を全部まぜて1両を10錠 に作り、毎回1錠を米飲で服用。または緑豆大の丸剤にし、白湯で10丸 服用。」
◎積痢・久痢・赤白膿血のまじった者。
感冒熱咳方《中薬臨床応用》
「前胡9g、牛蒡子9g、桔梗9g、薄荷4.5g(後下)、桑葉9g、荊芥9g、野菊 花9g、杏仁12g、甘草6g」水煎服。
◎感冒で風熱。
換肌消毒飲《保嬰撮要》《古今方彙》
「
換金散《東醫寶鑑》
「乾姜・黄連」等分を作末し、瘡上に塗る。
◎熱毒の口瘡を治す。
換骨丹《東醫寶鑑》
「蒼朮・槐実・桑白皮・川芎・白・威霊仙・人参・防風・何首烏・蔓荊子 各1両、苦参・五味子・木香各5銭、竜脳・麝香各5分」作末し、麻黄煎 じた膏に入れ、杵でついて1両を10丸に分作して、毎回2分の1丸を食 後、2分の1丸を就寝時に温酒で服用。ふとんをかぶって汗を出せばすぐ 直る。
◎中風の斜・・語渋・痰盛等の一切の風痰を治す。
◎暗風・風癇も治す。
◎発汗するのに特効あり。
疳湿散《東醫寶鑑》
「5月5日に、蝦蟆・木香・硫黄・鉄精を等分に作末し、麝香を少し入れて、 患部に塗る。」
◎婦人の陰蝕瘡を治す。
疳積餅《東醫寶鑑》
「使君子肉1両、白朮・黄連各3銭、青皮・陳皮・山楂肉・神麹(炒)・麦芽 (炒)・三稜()・莪朮()・木香各2銭半、縮砂・檳榔・肉豆蔲・訶子肉 ・炙甘草各2銭、茴香(炒)・川練肉・夜明砂(炒)各1銭半、乾蟾酥1個を 作末し、白麺3斤を黄色く炒って砂糖5両と煎じた水に混ぜ、餅をつくっ て毎回2~3餅をかじって米飲で送下する。」
◎五疳のあらゆる積を治す。
坎離丸
「黄柏・知母」等分。童便に9回蒸し、さらした後作末し、地黄煎で梧子大 の丸剤。空腹時に毎回30~50丸、塩湯で服用。
坎離膏《東醫寶鑑》
「黄柏・知母・胡桃仁(皮を去り洗う)・白蜜各4両、生地黄・熟地黄・天門 冬各2 両、杏仁7 銭」まず黄柏・知母を童便3 椀に浸して、側柏葉を4 椀ぐらいになるように煮て滓を去り、又、天門冬・麦門冬・生地黄・熟地 黄を薬汁に入れて、水2 椀を注いで再び煮る。滓を去ると同時に、その 滓を粘土のようについて、そこに又、水1 ~2 椀を注いで濃く煎じて汁 を絞って、前の汁に入れ、杏仁・胡桃仁をついて汁を取って、蜜と合わせ て全汁に配合して煮て、膏薬をつくって容器に密封し、水中に入れて1日 おくと火毒ば抜ける。柏葉湯で3 ~5 匙、空腹時に服用。
◎陰虚火動による衂血・吐血・咳・嗽・喀血・唾血。
坎既済丸(かんりきせいがん)《東醫寶鑑》
「当帰(酒洗)6両、熟地黄・生地黄(酒洗)・天門冬・麦門冬・山茱萸・牛 膝(酒洗)各4両、白芍(酒洗)・五味子・山薬・亀板(酥炙)各3両、知母(酒 浸)2両、知母(塩水浸)2両、黄柏(酒炒)3両、黄柏(蜜水炒)3両、川芎1 両」を作末し、梧子大の蜜丸。空腹時に塩湯で50~60丸服用。
◎陰虚火動による労損を治す。
坎膏(かんりこう)《東醫寶鑑》
「黄柏・知母各4両、生地黄・熟地黄・天門冬・麦門冬各2両、杏仁7銭、 胡桃仁・蜂蜜各4両」
まず先に黄柏・知母を童尿3椀・水3椀・側柏葉一握りと煎じて、3~4 椀になったら滓を捨て、そこに天門冬・麦門冬・生地黄・熟地黄を薬汁内 に入れ、水2椀を加えて煎じ、滓を捨てついて粘土のようになったら、又 水1~2椀を注いで煎じて汁をしぼる。別に杏仁・胡桃仁に水を入れ、つ いて汁を濾す、それを繰り返し、滓がなくなったら蜜と前の薬汁に入れ、 炒って膏をつくり、水に漬けて冷まし、毎回3~5匙を側柏葉湯で、空腹 時に調服する。
◎陰虚火動による潮熱・盗汗・喀血して労になろうとする者。
寒水石散《東醫寶鑑》
「寒水石・滑石各1両、甘草2銭半」作末し、毎回1銭を服用。
◎小児のあらゆる熱を治す。
乾姜黄連黄芩人参湯[1-1]《傷寒論》
=乾姜黄黄連人参湯
「乾姜・黄芩・黄連・人参各3両」
右4味、以水6升、煮取2升、去滓、分温再服。
◎傷寒本自寒下、医復吐下之、寒格、更逆吐下。若食入口即吐、人参乾姜黄連黄 芩湯主之。
《傷寒論》辨厥陰病脉證治第十二。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證治第二十二。
乾姜黄連黄芩人参湯[1-2]《傷寒論》《龍野一雄》
「乾姜・黄芩・黄連・人参各3g」
水240を以て80に煮詰め、滓を去り2回に分服。
乾姜黄連黄芩人参湯[1-3]《傷寒論》《漢方治療の実際》
「乾姜・黄連・黄芩・人参各3」
◎心煩し、心下痞硬して吐下する者を治す《吉益東洞》
◎此方は膈熱ありて吐逆食を受けざる者を治す。《勿誤薬室方函口訣》
◎半夏生姜、諸嘔吐を止むるるの薬を与えて寸効なき者に特効あり。
◎寒格吐下。
★適応症及び病名
[2]嘔吐:
☆嘔逆
☆乾嘔
☆傷寒脈遅、胃冷嘔吐するを治す《傷寒論識》
☆普通の嘔吐は小半夏加茯苓湯なり。これは胃熱なし、熱があって、 食物の入らないとき、或いは小半夏加茯苓湯で無効のとき、本方を 与える《済世薬室》
☆本、寒邪上焦に膈熱するを治す。今、食入れば即ち之を吐する症。
☆ケガの後や手術のあとで、悪心・嘔吐があって、薬も食事ものどを 通らない者に本方を与えると、嘔吐が止むものである《大塚敬節》
[4]急性胃腸カタル
[5]急性腸炎
[6]下痢:
☆噤口痢に用いる《勿誤薬室方函口訣》
☆脾胃虚寒、腸に積気あるの泄を治して、甚だ効あり。《雑病翼方》
☆下痢して、食欲無く、悪心・嘔吐を訴え、半夏瀉心湯などで効のな い者に用いる《大塚敬節》
[7]消化不良
[8]上腹部痞塞感
[9]心下痞硬
[10]心煩
[11]発熱:
☆冬月傷寒発汗し、解せず、下利数行、或いは下利せず、三四日後、 熱いよいよ盛んに、譫語・煩悶・心下痞・少腹無力。面赤耳聾す。 余、以て直中証と為し、与うるに附子剤を以てする。効無し。後、 上熱下冷と謂い、本方を与える。《先哲医話》
[12]煩悸
[13]煩躁
[14]便秘(心煩がある便秘)
[15]慢性腸炎
☆食べると嘔吐し・心下痞硬し、下痢する。
乾姜生肌散《医宗金鑑》
「乾姜40gを細末にし、瘡口にのせ、外は膏薬を貼る。」
乾姜人参半夏丸《漢方治療の実際》
「乾姜1、人参1、半夏2」以上を作末し、生姜汁を加えて米糊で丸とし、 1回3.0、1日3回服用。
乾姜人参半夏丸料[1-1]《金匱要略》
「乾姜1両、人参1両、半夏2両」
右2味、末之、以生姜汁糊為丸如梧子大、飲復10丸、日3服。
◎妊娠嘔吐不止、乾姜人参半夏丸主之。
《金匱要略》婦人妊娠病脉證治第二十。
乾姜人参半夏丸料[1-2]《金匱要略》《龍野一雄》
「乾姜1g、人参1g、半夏2g」生姜汁を加えて0.3gの糊丸とし、30丸を3 回に分服。
◎嘔吐止まず心下痞硬する者を治す。《吉益東洞》
◎此方は本悪阻を治する丸なれども、今料となして、諸嘔吐止まず、胃気虚する 者に用いて捷功あり。
◎妊娠・悪阻・嘔吐。
★適応症及び病名
[1]胃下垂
[2]嘔吐<激しい>
☆食べるとすぐに吐く。
☆周期的にくる。
☆もし大期に及んで忽ち嘔吐を発する者は、多くこれ子癇の兆し、是 方の治す所に非ざるなり。《雑病論識》
☆頑固なる嘔吐、及び悪阻等に在りては、伏竜肝の浸漬汁を以て、此 方を煮服すれば効あり《奥田謙蔵》
☆小半夏加茯苓湯より少し胃虚に属す。《済世薬室》
☆嘔吐頻発し、漸く四肢に寒冷を覚ゆる等の証《奥田謙蔵》
☆「橘皮・半夏・竹茹各5両、生姜・茯苓各4両、麦門冬・人参各3 両」:(胃熱気逆嘔吐を治す)。仲景の未備を補うべきなり《雑病論 識》
☆《陳念祖》曰く、「乾姜人参半夏丸料」は胃に寒飲有るを主る。も し胃熱上衝して嘔吐する者:「乾姜生姜・茯苓・麦門冬・鮮竹 茹」湯に作る。《雑病翼方》
[3]悪心<激しい>
[4]吃逆:
☆手術後の治りにくい吃逆。
[5]食欲不振
[6]心下痞硬
[7]衰弱
[8]つわり:
☆婦人妊娠、悪阻、酢心、胸中冷え、腹中痛み、飲食し能わず、すな わち青黄汁を吐くを治す。ただ、生姜汁を代えて地黄汁に和し、丸 とするのみ。《医心方》
☆妊娠、悪阻殊に甚だしく、湯薬を服すること能はざる者は、此方を 用いて、徐々に効を収むるを宜しと為す。大便不通の者は、大簇丸、 黄鐘丸等を間服す。若しを兼ねる者は、鷓胡菜丸に宜し《類聚方 広義》
☆始め小半夏加茯苓湯を、治らないときは本方を用いる。《済世薬室》
[9]手足厥冷
[10]疲労倦怠
[11]羸痩
乾姜附子湯[1-1]《傷寒論》
「乾姜1両、附子(生用去皮切8片)1枚」
右2味、以水3升、煮主1升、去滓、頓服。
◎下之後、復発汗、晝日煩躁不得眠、夜而安静、不嘔、不渇、無表證、脉沈微、 身大熱者、乾姜附子湯主之。
《傷寒論》辨太陽病脉證治中第六。
《傷寒論》辨発汗吐下後病脉證治第二十二。
乾姜附子湯[1-2]《傷寒論》《龍野一雄》
「乾姜1g、生附子0.5g」
水120ccを以て40に煮詰め頓服。
◎此方、昼日は煩躁し、夜は則ち安眠する者、実に能く之を治す。大に奇也。《類 聚方集覧》
◎昼煩躁、夜安静。
★適応症及び病名
[1]息切れ
[2]意識混濁
[3]胃腸炎(急性・慢性)
[4]嘔吐
[5]悪寒
[6]悪風
[7]顔色悪い
[8]からだがだるい
[9]霍乱:
☆暴かに風冷に中り、久しく痰水を積み、心腹冷痛四逆湯、霍乱転筋 するを治す。一切の虚寒は、並に皆之を治す《和剤局方》
[10]風邪:
☆陰証の傷寒、大便自利して発熱する者は、尤も之を服するに宜し《易 簡方》
[11]吃逆:
☆傷寒の病、(=吃逆)止まざるを治す。擣篩し、苦酒を以て丸し、酒 にて飲み下す《外台秘要方》 (擣=トウ、つく) (篩=シ、ふるい)
[12]胸内苦悶
[13]筋肉ケイレン
[14]厥逆
[15]下痢:
☆下利し、煩躁して厥する者を治す《類聚方広義》
☆当に下利、煩躁、悪寒の証有るべし。《類聚方集覧》
[16]口渇
☆外表に熱感あり、口舌乾燥するも舌苔なく、呼吸促迫し、自汗出で て煩し、精神欝々として悶え、その脈浮虚なる証《奥田謙蔵》
[17]ジンマシン
[18]しもやけ
[19]自汗
[20]食欲不振
[21]瘴毒:
☆陰証の発熱にして、或いは煩躁四逆湯、手足冷え、鼻尖重痛四逆湯、 舌上に胎生じ、飲を引き、煩渇し、或いは自利、嘔吐し、汗出でて 悪風するを治す《景岳全書》
[22]心悸亢進
[23]心腹冷痛
[24]身体煩疼
[25]喘息
[26]テンカン
[27]手足冷たい
[28]尿毒症
[29]熱っぽい<虚熱>
☆虚熱去らず、時に煩躁を発し、須臾にして又止み、其の脈微浮にし て弱なる証《奥田謙蔵》
[30]脳出血
[31]脳塞栓
[32]煩躁:
☆虚熱なお解せず、時に自汗出で、大に煩躁し、その脈微浮にして虚 なる証《奥田謙蔵》
☆煩躁して眠ることを得ず、脈沈微なる者《方機》
☆此れ汗下の誤施に因りて致す症也。甘草乾姜湯の煩躁とほぼ似たり。 然れども、彼は誤治に因りて病勢激動し、急迫を致す、此病は誤治 の為に重きを加えず、又急迫の症無し。ただ精気の脱すること甚だ し。これ甘草、附子、地を易ふる所以か《類聚方広義》
[33]皮膚潰瘍
[34]腹痛
[35]不眠
[36]無気力
[37]胸苦しい:
☆外表に熱感あり、胸内に苦悶あり、時々汗出で、身体疼煩し、その 脈沈なる証《奥田謙蔵》
乾姜湯《東醫寶鑑》
「乾姜3銭」水煎服。汗を出すと治る。
◎陰陽易病。
乾葛湯《東醫寶鑑》
「乾葛・枳穀・半夏・赤茯苓・生地黄・杏仁各1銭、黄芩・甘草各5分を剉 作1貼して、黒豆100粒、呉茱萸3、白梅100個」煎服。
◎酒痔を治す。
乾地黄湯《婦人大全良方》《勿誤薬室方函》
「地黄・大黄・黄連・黄芩各1両、柴胡・芍薬・甘草各1両半」
「大柴胡湯枳実姜棗乾地黄黄連甘草」《傷寒翼方》
◎婦人、傷寒差ゆるの後、なお余熱ある者。
◎此方は大柴胡湯の変方にて、熱血分に沈淪する者に効あり。故に余門、熱入血 室を治する正面の者を「小柴胡湯地黄」とし、変面の者を此方とするなり。 《勿誤薬室方函口訣》
◎傷寒遺熱を治するに、「参胡芍薬湯」を慢治とし、此方を緊治とするなり。
陥胸湯《備急千金要方》
「大黄2両、黄連2両、甘草1両、括蔞仁2両」
◎胸中心下結積し飲食消せざるを治す。
◎此方は大陥胸湯と小陥胸湯との間の薬なり。《勿誤薬室方函口訣》
◎結積、胸中或いは心下にありて拒痛する者を治す。
◎この飲食不消は胸中に邪ある故なり。中に満などあればますます宜し。
◎小児食積より胸中に痰喘壅盛する者を治す。もし嘔気ある者は「半夏・甘草」 《勿誤薬室方函口訣》
◎宿食上にある者の治法なり《雑病翼方》
陥胸湯《漢方治療の実際》
「大黄1、黄連2、甘草1、括呂実3」
鍼砂酒
眼疼1号
「当帰・薄荷・防風・細辛」各等分に作末し毎回2銭を、麦門冬湯で1日3 回服用。
◎瞳が痛みで耐えられない者を治す。
眼目一方《寿世保元》《古今方彙》
「当帰1銭半、生地黄1銭、白芍薬(酒)・川芎・益母草・白朮・黄柏(乳炒) ・知母(乳炒)各1銭、人参・密蒙花各5分、黄芩7分、竜胆4分」水煎。
◎素稟(生まれつき)虚弱なるに勤労して眼目昏暗するを治す。
含膏丸《東醫寶鑑》
「子1両」を隔紙で蒸し、黒色になったら「知母・貝母各1両」を作末 し、棗肉半両に砂糖1両半を溶かして混ぜ、梧子大の丸剤。新綿でくるん で1丸を口に含んで吸って飲む。
◎喘嗽を治す。