きっかんじょ
正月の三が日が済むと、下井尻地区では、子どもの行事として「キッカンジョ」が行われる。
まず、どんどん焼きの薪とワラをもらって歩き、竹とワラで道祖神のお小屋を自分たちでつくる。
次に、百年以上も前から伝わる木版で、部落内の全戸に配る道祖神のお札を作る。
これらは全て中学三年生の中の一人の親方を中心に行われる。
その間、女の子は子供一人につき一合の米を集めて歩く。
一月の七日か八日頃の夜、部落内の子供たち全員が道祖神場に集まる。
手に手に「おとうろう」を持ち、中のローソクに火をともす。
「おとうろう」の四面には「道祖大神」「家内安全」「交通安全」「商売繁盛」などと大書してある。
親方、双盤、とうろうの行列で一軒一軒をお祝いにめぐって歩く。
行列は、鐘の音に合わせて「キッカンジョ、キッカンジョお祝いもうせ」と合唱して家々を訪間する。
訪間をうけた家では、お金をお祝いとして親方に差し出し、親方はその代わりに道祖神のお札を渡す。
そして親方が、声を張りあげて「お家繁盛」とか「商売繁盛」と叫ぶ。
すると行列のとうろうをもった子供たちは一斉に口をそろえて「お家繁盛」「商売繁盛」と復唱する。
それがすむと行列は次の家に巡っていく。
次の家までの問、再び「キッカンジョ、キッカンジョお祝いもうせ」の合唱が続く。
こうして部落内の全部の家をまわって再び道祖神場にもどってくる。
また親方の号令で拝礼してから「お宿」とよばれる家に全員が行き、みかんやお菓子、むすびなどをごちそうになり楽しく遊ぶ。
やがて、親方の合図で解散をする。
一月十四目の夜、子供たちは再び道祖神場に米の粉でつくった「まゆ玉」や、「書き初め」などを持って集まる。
また、大人も「しめかざり」「古いお札」「ダルマ」などを持って来る。
全員が集まったところで親方が道祖神の小屋に火をつける。
書き初めは火の粉が高く上がるほど上手になるといわれ、まゆ玉は黒く焼いて会べると虫歯にならないなどといわれている。
これが、どんどん焼きである。
一月十五日には、「おひまち」といってお昼に子供たち全員が親方の家に集まる。
そして、前もって集めておいた米でつくってもらったカレーライスなどをごちそうになる。
しぱらくあそんだ後、親方から御祝儀で買った品物を学年に応じてもらい、祭りは終わる。
しばらく前と比べて連っているところは、お小屋のワラが少なくなったのでダンボールを使うところが多くなったこと。
以前は十一日から三日間家々を訪間したが、今は一晩だけになったこと。
養蚕をする農家がなくなり「蚕大当たり」と叫ぶことがなくなったこと。
長い竹の先に「とうろう」をつけた「高どうろう」があったがそれがなくなったことなどである。