2021/01/04
2020年とコロナと
2020年を振り返る
明けましておめでとうございます。今年の新年皆様はどの様にすごしていますか? 当社では去年は年末までとても忙しく過ごしておりました。ここで去年2020年は酪農家と皆さんにとってどんな年だったか振り返ってみたいと思います。
コロナの衝撃
2020年の事を振り返る時にコロナの影響を語らないわけにはいかないでしょう。外食・旅行等の産業に従事する方の苦境は連日報道されました。特に政府が発した緊急事態宣言は各産業に多大なる影響を与えました。
20200407から20200525まで続いた緊急事態宣言中は日本中の経済活動が著しく停滞したのは皆さんも強く記憶されているでしょう。
他産業の落ち込みは畜産業にも例外なく・・・
こちらをご覧ください。
[AttachedFile.aspx (hokuren.or.jp)](https://www.kachiku.hokuren.or.jp/AttachedFile.aspx?uid=463)
これは緊急事態宣言中の2020年5月に開催された黒毛和牛市場の結果です。注目して欲しいのが右側の対前年比の価格の落ち込みです。ここでは、簡単にみるために多少乱暴な見方をします。
南北海道市場の去勢計の平均が68万円。前年対比の下落が18万円。つまり去年は86万円位で取引されていたものが約2割安の価格で取引されていたという事になります。
和牛を生産する為にかかる経費はそれ程変わらないのに、最終生産物の価格が2割下がった衝撃は大きかったでしょう。ご興味があれば、以下のリンクから和牛の価格の推移を追ってみてください。リンク下部の肉牛市場というところに月毎の推移が出ています。令和2年度はどの月も、前年対比(先程見た表の右の欄)が真っ赤になってます。和牛農家さんの苦境が手に取るようにわかるでしょう。
[市場集計表 (hokuren.or.jp)](https://www.kachiku.hokuren.or.jp/Downloadresult.aspx)
酪農家は・・・
酪農家に関しては緊急事態宣言中の休校措置により学校給食の需要が急減。酪農家の間でも「もしや、生産調整として廃棄しないとダメになるのでは・・・」という緊張が走りました。肉と違い、生乳は冷凍保存等出来ないのが弱点です。
しかし消費者の皆さん一体で以下の様な取り組みをして頂きなんとか乗り切る事が出来ました。
これは、涙が出るくらい嬉しかった。牛に「明日からは、あんま乳出さんでいいよ」なんて言ったって出るものは出るから(笑)止めようがないんです。本当に消費者の皆さんに感謝感謝です。
ただ、酪農家に全くダメージが無かったかといったらそんなことはありません。
経営の柱・個体販売
酪農家は牛乳を売るのが仕事。これが一般的な認識なのではないでしょうか。実は酪農家の収入にはもう一つ、個体販売というのがあります。
例えば、ホルスタインの種付けをしたとしましょう。理論的には雄・雌半々に生まれてきます。雌は自分の所で育成して乳牛にします。雄はというと、ホルスタインの雄を集めて、成長させ肉を付けて売る牧場に販売するんですね。
最近ではホルスタインの母牛に和牛の種付けをして、より肉質の良い交雑種を作る事もあります。さらに、和牛そのものの受精卵を母牛に付けて産ませる事もあるんですね。
実はこの販売額が酪農家が生み出す利益の中でも結構な割合を占めています。何せ費用はほぼかからず、収入が入って来る訳なので。
データでみると・・・
https://www.kachiku.hokuren.or.jp/Downloadresult.aspx
上記のリンクで個体販売を確認する事ができます。それを月毎にまとめたのが次の表。
https://drive.google.com/file/d/1Zi7q2n3ihAreZUQSqIrMh2__Co5jB51_/view?usp=sharing
そしてデータをグラフ化してみたのが以下のリンク
https://drive.google.com/file/d/1guqGIe0UWz-QknOn2gyPwNKaIK3bXIZl/view?usp=sharing
2019年から下落傾向と言えますが、コロナの影響が出てきた今年5月位からやはり平均も急速に下がってきていたんですね。酪農家にとっても影響が有った事がわかります。
繋がっている・・・
専門家ではないのでわかりませんが、和牛の市場価格下落につられて酪農の個体販売の下落が生じたのだと思います。一見、関連が無いようでも、経済的なつながりはあるんだなと実感しました。
よく GoTo キャンペーンに批判的な意見の方も見受けられます。しかし、旅行業はすそ野の広い産業。ホテルに補助金を渡したとて、それが出入りの業者さんにまで、あまねく浸透するとは思えません。
関連先まで波及効果を及ぼすGoTo事業は、政策的効果が高い事業だったのだと思います。コロナ収束後なら一層求められる政策でしょう。
GoTo利用しました
去年の秋に浜中町に育成牛を預託しに行きました。その際日帰りは難しかったので、Goto トラベルを使ってホテルで宿泊をしました。
政府はGoto トラベルがコロナを広げるというエビデンスは無いと発信していました。当然、事業の利用者は調べられるものだと思った私は、保健所などから体調への質問があるのかなと身構えていましたが、それはありませんでした。
多分、事業を使った人を網羅的に調べるのではなく、保健所などへの体調不良の申し出があった段階で事業の該当者かを確認するのかもしれません。
ココアアプリ
以前、接触確認アプリのココアというのが、コロナの封じ込めの切り札になるという報道がなされていました。事業を使った実感から このアプリをもっと使った方が良いと思いました。具体的には、Goto トラベルのチケットは紙の発行はやめ、ココア上でしか発行されないというような制約をつければ良いのにと思ったのです。
税金の公平な利用の観点には合致しないのは重々承知の上でです。高齢者の方はスマホの保有割合が低く不公平感が出るでしょう。
ただGoToトラベルの利用者に高い確率でココアがインストールされ、高齢者のGoTo利用が抑制される… となったらどうでしょう? 不公平感は後で是正措置を講じる… そんなやり方もコロナ下では許容されるのではないでしょうか。
GoToトラベル をやめてしまった今、アプリの活用に関する議論はあまり意味がないとの意見も聞こえて来そうですが…
コロナ下でのGoTo
しかし、活用に関して改善の余地はないのでしょうか? 例えば、報道各社の新規感染者数等のデータ。皆さんはこれらの情報をシャワーのように毎日浴びせられ、合理的な判断が出来ていますか?
いっそのこと、公式発表は毎日定時にココアのアプリ上でのみ公表としてはどうでしょう? 報道機関は出てきた数字に関する考察を、すればいいのです。
アプリの応用も
政府は今年、本気でオリンピックを開催しようとしているようです。例えばあのアプリを入れることが入国条件くらいのことをやるのはどうでしょうか?
もちろんチケットの発券はココアを通じてやるのです。難しいでしょうか? でもコロナ下でオリンピックやるんですよね?
2021年は・・・
アフターコロナ・ウィズコロナという言葉はあまりにも軽く使われているような気がします。実現するには今までとは違う行動や理念で物事を進めていく必要があるのにです。それは様々な軋轢・不条理を生みだすでしょう。社会はそれを丁寧に解きほぐしていかないといけません。
政府は私たち国民に「新しい生活様式」を推奨してきました。コロナ発生以後、人々は本当によく変化に対応してきたと思います。つい立てを設置し、入口にはアルコール消毒、皆ほぼ例外なくマスクをし、生活リズムさえ変えてきたのです。
2021年本当に変わらないといけない主体はどこでしょうね?
政府の対応が問われています。
今年が皆さんにとってもいい年でありますように・・・
(浅野正慶)