2019/12/25
今年1年を振り返って
皆さんにとって今年はどんな年でしたか?
当社は創業が2017年7月でしたから、今月で約2年半位たった事になります。
まあ、この間本当に色々な事がありました。ちょっと創業からを振り返ってみようと思います。
創業から数年しか経っていないのに、まあ、よくもここまで・・・(笑)という位様々な出来事、主にトラブルですがありました。
まず、新築牛舎に牛を入れてマジか!?となった事。大規模な牛舎ではどこもそうだと思いますが、除糞作業はスクレーパーの様な機械でやるのが普通ではないでしょうか。スクレーパーはタイマーで一日何回か床をきれいに掃除してくれる装置です。
新牛舎に移ったばかりの時、慣れない牛はストール(寝床)ではなく、そのまま通路に寝がちでした。
そして夜中、牛も熟睡しているのでしょう。スクレーパーにそのまま押されて、柵の下に潜り込み死亡・・・。
本当、このトラブルでは何頭も牛をダメにしました。
冬を迎える頃におきたのが、除糞された糞が凍って牛舎中央に位置する、ピットを溢れさせようとしたこと。
凍った糞が排出口を塞いだのが原因。この時は、凍った糞に水を大量に入れ、溶かしつつ流す事で解消しました。
冬には、糞が床に落ち時間が経つと凍ってしまうため起きたトラブルで、いい経験になりました。頻回除糞をすることで、凍る前に流す事で解決しました。
ベトナム人研修生の逃亡もありました。当社では、日本人と変わらぬ待遇で働いて貰っていたのですが、2人同時に逃亡。
入ってきた時から本当に仲の悪い二人で、来場初日に大ゲンカ。
受入機関の理事長にも「トラブル予防の為1人は返しては?」と打診されたのですが、可哀そうだと情けをかけたのが運のつきでした・・・。これも、貴重な経験といえるのでしょうか?
そんな色々なトラブルがあったにも関わらず、何とか目標頭数を調達出来つつあります。
当社の牛舎は400頭の牛舎ですが、現在乾乳を入れて420頭。搾乳している牛で370弱です。搾乳している牛のみで400頭に出来れば計画頭数は達成です。
増頭の道のりも平坦なものではありませんでした。
増頭しようと思った矢先に起きたのが、ニュースにもなった、育成牛価格の高騰です。
融資して頂いた乳牛導入資金では、到底、計画頭数を揃える事が出来そうにありませんでした。
当社では、単価の安い廃用牛(酪農家の人が肉としてだした牛)を買って頭数を揃え、それを受精させて自家育成牛を確保することを優先しました。
自家育成牛を生ませる腹の数が足りなければ、中期的な展望は開けないと踏んだからです。
この方針にはクラスター事業に協力してくれた農協・役場などの関係機関・社内からも異論が噴出しましたが、それらの意見には従えませんでした。
誰しも真新しい牛舎と環境にどうしても浮足立つのが自然です。機械も牛も、新しいものを揃えたい欲望に駆られる中で、それに抗うのは大変な事でした。
廃用牛を買い、その中でも高い割合ダメなのも居て、かつ、新しい環境に適応出来ない牛も出てきた為、淘汰する牛の割合も相当なものでした。
普通の牧場なら倒産してます(笑)。そりゃ、異論も出るわけです(笑)。
しかし、創業当社に引き継いだ牛の質・数について冷静な目で見れば、このやり方で間違い無かったと確信しています。
最近は安定して搾り、安定して飼う礎が出来つつあります。
現状、牛1頭1頭の質はともかく、頭数に関しては達成目前であるのが救いです。
あの時人の意見に流されてなくて本当に良かった・・・。日本では経営者に2度目のチャンスが与えられる機会は多くありません。
一度、経営判断を誤れば、それで終わりです・・・。
経営は収入を最大化・費用を最小化する事が基本です。
そのためには収支項目を眺め、それぞれ細かな見直しを繰り返していく必要があります。
酪農は、例えばIT産業の様に劇的な成長を見込める産業ではありません。
その分、当社の様に数年で規模を大きくした牧場は地域でとかく目立ちがちです。
牧場を大きくしたと同時に、言動・振る舞いまで尊大になるような浅はかな人間にだけはなるまいと心に誓い、これからも日々愚直に、なすべきことをなすのみです。
来年以降も、地味ですが未来に繋がる努力をコツコツと続けていこうと思います。
そういえば今日はクリスマスですね。メリークリスマス!!
そして、みなさんにとって来年がいい年である事お祈りします。
(浅野正慶)