いよいよ今年も大晦日になりました。今回は今年1年を振り返ってみたいと思います。 酪農家にとって今年1年はどんな年だったのでしょう?それではお楽しみ下さい。
今年のトピックスとして 最大のものは 酪農情勢の悪化の件でしょう。
現に北海道で最大の酪農家であるノベルズ グループが、再生支援を受けることとなりました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20231208/7000063113.html
このニュースの中でも触れられていますが、飼料価格高騰は酪農家を最も苦しめたものだと言っても過言ではありません。最近少々価格高騰が落ち着いてはきていますが、コロナ前から考えれば高止まり気味です。令和5年度1-3月期にも、価格が上がることが報じられております
酪農家にとって飼料価格は支出の中で最大のもので、ここが高いと経営努力の幅が限定されてしまいます。この価格帯は酪農業界が経験したことの無いもので、一部で言われていますが飼養体系の見直しも必要なのかもしれません。
具体的に言えば 放牧のへの転換などです。 しかし設備投資をして牛舎を新築した当社にとっては変更は容易では無く、今は情勢を見極めている所です。
餌だけでなくその他資材価格の高騰も地味に経営にとって痛いところです。
細かい話ですが、当社の動力光熱費はコロナの影響がほとんど無かった2020年900万円強で、今年2023年は1600万円になりました!!!
金額ベースで見ても 700万円弱の違いがあります。
これが経営に対してボディーブローの様に効きました。 これは酪農家のみならず他産業の事業者には、等しく降って湧いた頭の痛い問題だったと思います。
そんな青息吐息の酪農家をさらに子牛の個体販売価格下落が襲いかかります。
市場成績:北海道ホルスタイン農業協同組合
市場成績 | 北海道ホルスタイン農業協同組合 (holstein.or.jp)
どうでしょう?
この販売価格の下落がどれだけ大きかったものかがわかると思います。
小規模の酪農家は出荷乳量はそこそこで、利益の大半を個体販売で稼ぐスタイルの人も多くいました。
大規模の人は各種資材高で、小規模の人は個体販売の減少で苦境に陥る・・・そんな1年でした。
今まで挙げた問題どれ一つとっても、それ単体で危機が騒がれる程インパクトの大きい、ニュースでした。それが今年に同時に襲いかかるわけですから、大半の酪農家は白旗を上げざるおえません。
悪い事ばかり書き連ねたので良いことも見つけましょう。無理矢理にですが(笑)
・コーンの収量が過去最多
今年の夏の酷暑は牛にとっては災難でしたが、コーンについてはとても良い影響を与えた様です。
当社の場合自社保有地が少なくコーン植付面積を増やすことが難しい事情が有りました。
そう言った事情の中で、今年は少しだけ面積を増やす事が出来ました。
毎年行われている普及センターさんの収量調査では去年に比べれば劣るものの、総量としては豊作と言われた一昨年を上回る収穫量でした。
現在は1頭当たりのコーン給与量を前年比50%以上多給する事が出来て、購入飼料の量を削減する事が出来ています。
・乳価があがった
消費者の人にとっては食料品を含む生活コストが上がるのは、ネガティブでしかないのでしょうが、事業者目線では乳価を上げてもらった効果は確実に表れています。
前にも触れましたが、今年の夏は尋常な暑さではありませんでした。
暑さに弱い牛にもダメージがあり、それは乳量の低下などの形で表れてきます。
通常だと涼しくなってくる9月を過ぎ10月位になると乳量が回復するのですが、今年に関しては冬になるまで乳量は下がったままでした。
しかし、総収入は昨年とさほど変わっておらず、単価の上げがポジティブに働いているのだと実感します。これが続いてくれれば、今年傷ついた経営内容を回復出来るのではと期待をしています。
この写真をご覧ください。
これは、父の代の時に購入し今年の11月まで約30年以上現役で働いてくれたトラクターでした。写真は中古屋さんに持って行ってもらう時のものです。
僕が若い頃はこれにアクロバットレーキを付けて牧草収穫をしたものです。懐かしいなあ・・・。
経営もこのトラクターの様に様々な荒波を乗り越えしぶとく生き残っていく事が求められているんだなと思います。
来年はどんな年になるのか不安も一杯ですが、毎日一生懸命に営農していこうと思う年の瀬です。
みなさんにとって2023年はどんな年でしたか? 来年が皆様にとって幸多い年になるよう願って、今回の日記の締めとします。それではまた来年。良いお年を。