今日もザラ場は荒れ模様
輝く勝利のその先に
暗い谷底コンニチワ
株価の波を読み切って
目指すぞ明日の成功者!!
使用カード:トランプ 1組44枚(各マークの Kと Q、Jokerを除く 44枚)
得点記録紙:
得点を記録するための「メモ用紙」と「筆記用具」
カードの強さ:
(強) J > 10 > 9 > 8 > 7 > 6 > 5 > 4 > 3 > 2 > A(弱) ※多くのゲームと異なり、Aが最も弱いことに注意してください
ゲームを通じてマークごとに得点価値が上昇していきます。獲得したカードのマークとその枚数に影響しますが、市場の過熱は突如暴落を迎えます。自分が獲得したマークの価値を上げ、他者が保有するマークの価値を下げるよう、相場をコントロールしましょう。
トランプ 1組 52枚から、K, Qの 2種類合計 8枚を取り出します。ジョーカーも必要ありません。取り除いたカードはこのゲームには使わないので、無くさないよう箱にしまっておくと良いでしょう。
最初のラウンドスタートプレイヤー(親)を決めます。最初のラウンドスタートプレイヤーは、一番最近株で儲けを出した人がなります。はっきりしない場合は、東八拳(狐拳の一種で、時に藤八拳とも表現されます)で勝った人、あるいはジャンケンなど適当な方法で決めます。このラウンドスタートプレイヤーはラウンドごとにひとり 1回ずつ順番に受け持ちます。
ラウンドスタートプレイヤー(親)はカード 44枚をシャッフルしたあと、自分(親)から時計回りに 1人 1枚ずつ、順番に各自 14枚となるようカードを配ります。
配らず残ったカード 2枚は、何のカードか分かるよう表向きにして皆から見える場所にマークごとに分けて置いておきます。ここを株価チャートと呼びます。以降、株価チャートに置くカードは、そのマークと、マークごとに置かれているカードの枚数がわかるよう、カードを少しずらして配置します。残ったカード 2枚が 2枚とも同じマークだった場合はどちらを上に重ねてもかまいません。
上の例では 10のダイヤと 3のクラブが株価チャートに配置されています。
この、カードを配るところから手札を使い切るまでを1ラウンド(ディール)と呼び、ゲームは 3回のラウンドを通じて勝負します。
配られたカードが各々の手札です。これでラウンドを開始する準備ができました。
ラウンドスタートプレイヤー(親)の手番から始め、左隣へ順番に手番が回ります。多くのゲームと異なり、ラウンドスタートプレイヤー(親)からの手番であることに注意してください。
以降、最初の番のひとをリードプレイヤー、2番目のひとをセカンドプレイヤー、最後のひとをラストプレイヤーと呼びます。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを 2枚、表にして出します。同じマークでも、異なるマークの組み合わせでもかまいません。この、最初にカード 2枚出すことを「リード」と呼びます。リードプレイヤーの手番はこれで終了です。
つづいてセカンドプレイヤーの人の手番、そして最後にラストプレイヤーの手番になります。
上の例はリードプレイヤーが 5のスペードと 3のハートの合計 2枚を出したところです。
セカンドプレイヤー、ラストプレイヤーの手番では、リードプレイヤーの出したカードの状況によって出せるカードと、その後の手続きが変わってきます。
(a) リードプレイヤーの出したカードが 2枚とも残っているとき
(b) リードプレイヤーの出したカードが 1枚だけ残っているとき
順番に説明します。
(a) リードプレイヤーの出したカードが 2枚とも残っているとき
リードプレイヤーの出したカードが、まだ 1枚も株価チャートに移動していない状況です。セカンドプレイヤーの手番は、かならずこの状況です。
自分の手番が来たら、手札の中からカードを 1枚選んで出します。リードされたカード 2枚のうち、同じマークのカードが手札にあれば、必ず同じマークのカードを出します。リードプレイヤーの出したカード 2枚が同じマークであればそのマークのカード 1枚を、異なるマークであればそのいずれか一方のマークのカード 1枚を出します。
例のつづきです。セカンドプレイヤーは、リードプレイヤーが出したスペードまたはハートのカードを出すことができます。今回、セカンドプレイヤーは 6のスペードを出しました。
同じマークが無かったら
リードプレイヤーが出した 2枚のカードいずれかと同じマークのカードがなければ、その場合にかぎって、他のマークのカードを出します。リードとちがうマークのカードだった場合、たとえ強いカードを出しても勝つことはできません。
リードプレイヤーが出したカードのうち、いずれかと同じマークのカードを出すことができたら、リードプレイヤーが出したカードのうち 1枚を株価チャートに移動します。リードプレイヤーの出したカードのうち、(セカンドまたはラストプレイヤーが)手番で出したカードのマークと同じ方を残し、もう一方を移動します。
リードプレイヤーの出したカード 2枚が両方とも同じマークの時は、どちらのカードを残してもかまいません。
また、リードプレイヤーと同じマークのカードを出せなかった時は、株価チャートへのカードの移動はおこないません。
例のつづきです。セカンドプレイヤーが出したカードは 6のスペードです。セカンドプレイヤーは、リードプレイヤーが出したカードのうちスペードのカードを残し、3のハートを株価チャートへ移動しました。株価チャートのカードはマークごとに枚数が分かるように配置します。
これで手番の終了です。
(b) リードプレイヤーの出したカードが 1枚だけ残っているとき
自分の手番が来たら、手札の中からカードを 1枚選んで出します。リードプレイヤーが出したカードのうち、残っている1枚と同じマークのカードが手札にあれば、必ず同じマークのカードを出します。株価チャートに移動したカードは、手番に出すカードのマークに関係しません。
同じマークのカードがなければ、その場合にかぎって、他のマークのカードを出します。リードとちがうマークのカードだった場合、たとえ強いカードを出しても勝つことはできません。
手札からカードを 1枚出すと、手番は終了です。
例のつづきです。リードプレイヤーの出したカードのうち、残っているのは 5のスペードです。ラストプレイヤーは手札にスペードがあれば、かならずスペードのカードを出さなければなりません。上の例では、ラストプレイヤーは Jのスペードを出しました。
まず、リードプレイヤー、セカンドプレイヤー、ラストプレイヤーそれぞれの手番が終わった(これを「1トリック」とよびます) あと、リードプレイヤーの出したカードがまだ 2枚とも残っている場合はリードプレイヤー自身が、出したカード 2枚のうち 1枚を残し 1枚を株価チャートへ移動します。このとき、どちらを選んでもかまいません。
リードプレイヤー含め、各自の出したカードが 1枚ずつ残っています。リードのマークと同じカードのうち一番強いカードを出した人が、そのトリックに勝ちます。
例のつづきです。リードプレイヤーから順に、5のスペード、6のスペード、Jのスペードが残っています。リードプレイヤーが出したマークはスペードで、スペードのカードだけで強さ比べをおこないます。ここでは Jのスペードを出したラストプレイヤーがトリックに勝利し、場に出されたカードを獲得します。
トリックに勝った人は、今回のトリックで使われたカードを裏向きに伏せた状態で(手札と混ざらないよう)自分の前に置きます。このとき、株価チャートに移動したカードは「トリックで使われたカード」には含みません。
2トリック目からは、直前のトリックで勝った人がリードプレイヤーとなり、その左隣からセカンドプレイヤー、ラストプレイヤーとなります。
例のつづきです。先ほど Jのスペードでトリックに勝ったラストプレイヤーは、次のトリックではリードプレイヤーになります。リードプレイヤーがカードを 2枚出し、次のトリックをはじめます。
獲得した自分のトリック(裏向きに伏せて置いてあるカード)は、プレイ中いつでも確認することができますが、他プレイヤーが獲得したトリックの内容を確認することはできません。
3人のうち誰かの手札が 0枚になるか、リードプレイヤーの手札が 1枚だったときに 1試合が終了します。手札が残っているプレイヤーは、残った手札も各自の獲得トリックのカードとして扱います。
上の例は手札が 0枚のプレイヤーが出たのでラウンドを終了したところです。手札が残っているプレイヤーは獲得トリックのカードとして残った手札を加えます。ここでは説明用に獲得トリックごとに束として分けていますが、ひとまとめにしておいてかまいません。
各自のラウンドの得点は①株価チャートの状況と②獲得したトリック+残った手札のカードで決まります。順番に確認していきます。
①株価チャートの状況
株価チャートに配置されたカードを、マークごとに計算し株価(カード 1枚あたりの得点)を決定します。
次の表のとおり、各カードごとに株価を計算するための値が決まっており、この値を使ってマークごとに合計値を求めます。
次に、マークごとの合計値から各マークごとの株価を決定します。株価カードの合計値から、株価は次の表のとおり決まります。
先の例で説明します。
株価チャートに配置されたカードから、マークごとに株価を計算します。
スペードは 10のカードが 1枚だけでした。株価カードの数字は 10、計算に使う値も 10です。これは 21以下なので、スペードの得点は「株価カードの枚数」つまり 1点です
ハートは 3、J、2の 3枚です。計算に使う値は順に 3、10、2で合計値は 15です。これも 21以下なので、ハートの得点は配置された 3枚分、つまり 3点です
ダイヤは 10、8、2、Aの 4枚です。計算に使う値は順に 10、8、2、11です。これは合計 31で 22以上です。ダイヤの得点は -1点です
クラブは 3、4、7、Aの 4枚です。計算に使う値は順に 3、4、7、11です。これは合計 25で 22以上です。クラブの得点は -1点です
②獲得したトリック+残った手札のカード
獲得したトリックと、残った手札のカードをマークごとに整理し、それぞれのマークごとに獲得得点を各自計算します。株価として①で求めたマークごとの得点は、そのマーク 1枚あたりの得点です。
マークごとの得点合計をさらに合算し、各自ラウンドの合計得点を求めます。場合によっては、ラウンドの合計得点が 0点を下回る場合もあります。
得点を控え、今回ラウンドスタートプレイヤーだった人の左隣の人が、次ラウンドのラウンドスタートプレイヤーになります。カードは、株価チャートに移動したものも含め、シャッフルして配り直します。
3回のラウンドを終了した時に、ゲームが終了します 。
各ラウンドの得点を合計し、最も得点の高かった人が勝ちです。最も得点の高い人が複数いる場合は、互いに東八拳で勝負し、勝敗を決めます。
どうもこんにちは。ザラバ22を作りました作者のスゲと申します。
このザラバ22というゲームはTrick Taking Partyというトリックテイクのみをプレイするストロングスタイルでファビュラスなゲーム会が主催となって行われた『Trick Taking Partyゲーム賞 2020』に応募したゲームとなります。
応募直後の2020年初頭からコロナ禍が始まってしまったことで結果が発表されたのが2022年になったのですが、なんと映えある大賞に選んで頂けました。とても嬉しかったです。
このTrick Taking Partyゲーム賞という賞レースは二回目であり、前回は2017年に開催されています。その時は『ミスト』というトリックテイクを応募しています。(この練馬おやこボードゲーム会さんのHPでルールpdfがDLできるはずです)
このミストというゲームは自分で言うのもなんですがとても、とてもアレなゲームでございまして、今ルールを読み返しても作者自身すらまともに説明できない意味不明な処理をひたすら行う怪作となっています。
自分的にはあそこまで意味わかんないとそれはそれで好きなのですが、賞の結果としては当然予選落ちでした。
実は私はゲーム賞が行われる前からTrick Taking Partyのゲーム会の度にオリジナルのトリックテイクゲームを作り続けていたのですが、それらはだいたい前日に考えてテストプレイもしてない、自分の頭の中にだけルールが存在している曖昧模糊としたものでした。
なのでこの『ミスト』が初めてまともに説明書という形でルールを書きおこして人様に公開したものになります。
相変わらずテストプレイはほとんどしてなかったので、ルール書きながらルールの辻褄を合わすために試していないルール追加しながら書くという地獄ような有り様で、つらくてつらくて何度もやめようと思いました。
できたゲームはとても賞レースに出せるレベルじゃなかったと思うんですが、とにもかくにも初めてちゃんと最後までルールを確定させたという事実は意外と自分のなかで大きい一歩であり、不思議な高揚感があったことを覚えています。
なのでミストの賞レース惨敗の結果は当然と思いつつ、漠然と「このゲームはダメだったけど次のチャンスがあったらもう少し頑張ってまともなゲームを作ってちゃんと勝負してみよう」と思っていました。
そして月日は流れ、再度チャンスがまわって来ました。第二回Trick Taking Partyゲーム賞の開催です。
目標としては前回の反省も踏まえ「あまりこねくりまわさないわかりやすく美しいルール」としました。
いやでもこれ普段私が作っているなんちゃってゲームとは真逆の目標であり、高すぎるハードルです。
なので私のいつものスタイルである「○○をトリックテイクで表現してみた」の○○に自分の知っているなかで一番美しいルールをとりあえず当てはめてみようと思いました。
その○○が芸無工房LOOSERDOGSの北条投了さんの作品『ステステマーケティング』です。
このゲームは株ゲームなのですが、株ゲームの面白いところだけを抽出したようなシンプルで本当に美しいルールなのでプレイしたことがない皆様はぜひプレイしてみてください。最高です。
最初のテストプレイのゲーム名は『ステステマーケテイキングゲーム』。隠す気ゼロですw
元のゲームでは株カードを二枚引いて一枚捨てると捨てた株の価値が上がるのですが、トリテに落としこむには…と考えて、「リードが二枚だして二番手以降にフォローを選ばせる、選ばれなかった方のスートの価値が上がる」というルールを思いつき、そこからルールの骨子ができあがるのはかなり早かったです。今までにない手応えがありました。
元になったステステマーケティングがシンプルで美しいルールだからだと思いますが、ここで組み上げられたルールの骨子はほぼ変わっていません。
ただ、骨組みは簡単に組上がりましたがここからが大変でした。
まず、トリックテイクにあるまじきプレイ感の重さです。悩みどころはありつつもマストフォローの縛りで良い意味でサクサクなプレイ感、というのがトリックテイクの良さだと思うのですが、このゲームはそれがありません。
リードはどのカードをチョイスするのか、セカンドはどちらをフォローするのか、毎回かなり長考が入ります。
なのでカードを減らしてみたり、人数調整をしてみたり、色々テストプレイを重ねました。
こういった調整はゲームデザイナーの方々なら当たり前にしている事だし、なんなら好きな作業なのだと思うのですが、元々が生粋のエンタメ消費者気質のワタクシには拷問のような作業でありとてもキツかったですw
結果、かなり早い段階で三人専用ゲームとして作ることを決めました。
まず、長考ゲームなので四人以上ではダウンタイムが長すぎると感じた事。
また、三人だとポジションでの役割がかなりはっきり出るので考えやすかったという点です。四人でやると三番手が空気すぎでした。
あとは力不足で人数毎の調整までやれなかったという蓋もない理由も正直ありました。私のデザインレベルだと幅のある人数に対応したプレイを想定した場合に中途半端な調整しかできないので、幅のあるプレイ人数でプレイされて面白さを薄めてしまうより、三人専用にしてその人数できちんと毎回面白くなるような調整をするほうが賞を狙う以上確実だと判断したからです。
この決断についてはテストプレイしていただいた方々からのアドバイスがかなり大きかったと思います。ありがとうございます。
ちなみに後付けの理由ではありますが、『ステステマーケティング』も三人プレイが一番面白いので三人専用なのはそれをリスペクトしてる!と言い張っていますw
ステステマーケティング、六人でのパーティープレイも良いですが、ぜひ三人でガチのプレイを楽しんでみてください。
三人専用に決めてから以降の大きい変更は株の暴落ルールの追加でしょうか。
最初はステステに合わせて株の価値は上がっていくだけでした。
しかしトリックテイキングだと手札の強さの影響が強く、切り札がないのもあり手札が弱いときはどうやってもトリックを取れずどうしようもないという致命的な欠陥がありました。
そこで、トリック取りすぎるとマイナスになる可能性があるというバースト要素を追加しました。株というテーマにもあっているし、プレイ中のメリハリもできたので良かったと思います。
しかし実は、自分としてはこの暴落要素を足すことに当時とても抵抗感がありました。
ランクの計算が入ってしまうことやなぜ暴落のラインが22なのかなどの疑問が出てしまい、目指している「シンプルで美しい」ルールから遠ざかっているように感じたからです。(ちなみに22なのは計算とかではなくテストプレイしまくったら22が一番しっくりきたからです)
この抵抗感はいまもぬぐえてはいませんが、結局はプレイして面白いことが正義であり、面白いものが評価される賞レースに出すゲームであるという事で割り切りルールを確定しました。
最終的にはステステマーケティングのような削ぎ落としきった美しさにはなりませんでしたが、自分が面白いと思えるゲームにできたと思っています。
長々と読みにくくてすいません。一生に一回しかない栄誉だと思いまして恥ずかしながら作った経緯なぞ書かせてもらいました。
ズボラな私にしては頑張って面白いものを作ったつもりです。三人でトランプでもしようか、という機会がありましたらぜひプレイしてみてください。株取引はご安全に!
Trick Taking Party ゲーム賞 2020 応募作品集 - 78_zaraba22.pdf
本ページにて使用している TrickTakingParty Game Awards 2020のロゴは権利者であるスゲ氏の了解に基づき、TrickTakingParty主宰者ひげくまごろう氏から特別に提供を受けたものです。第三者の画像流用・二次時利用を固く禁じます。