出版物

秋田 茂・桃木至朗(編著)

『グローバルヒストリーから考える新しい大学歴史教育』大阪大学出版会、2020年)

四六判 並製

358頁・定価2300円+税

ISBN978-4-87259-640-3 C1320


 世界史と日本史を統合した思考力重視の高校歴史系必修科目「歴史総合」の新設を受けて、大学でも教養課程レベルの歴史教育改革の必要性が高まっている。本書は大阪大学で試行されてきた授業をもとに、既成の区分を超えた新しい歴史学方法論を提示しグローバルヒストリーと大学歴史教育をつなぐ、新たな教科書である。

(1)広範な地域をカバーし、欧米中心史観を相対化できる

(2)古代から現代までを通時的にカバーし、前近代(古代から近世)を含む

(3)高校教員との緊密な協力により高大連携を意識した内容であることを強みとする。『歴史学のフロンティア』『グローバルヒストリーと帝国』『グローバルヒストリーと戦争』に続く意欲作。

【主要目次】

序章 グローバルヒストリーから考える新しい大学歴史教育―日本史と世界史のあいだで― (秋田 茂・桃木至朗)

第一章 日本列島における漢字使用の始まりと東アジア (市大樹)

第二章 初期の対中国国際借款団と日本外交―「国益」と資本の相互関係―(久保田裕次)

第三章 世紀転換期のインド系移民排斥と「インド太平洋世界」の形成(秋田茂)

第四章 戦間期文化国際主義と「新渡戸宗の使徒」(中嶋啓雄)

第五章 日仏関係から見る世界史(1858年-1945年)―世界市場と国際的地位をめぐって―(岡田友和)

第六章 泰緬鉄道建設をめぐる戦争記憶の比較史―日本人将兵、イギリス人捕虜、ビルマ人労務者―(池田一人)

第七章 バウンドする伝播のネットワーク―ウマ、火薬兵器、蒙古襲来― (向正樹)

第八章 琉球王国の形成と東アジア海域世界(中村翼)

第九章 東アジア「近世化」論と日本の「近世化」(高木純一)

第十章 生活水準の比較史―イギリスと日本―(山本千映)

第十一章 肉桂と徳川期日本―モノから見るグローカルヒストリー構築へ向けて― (岡田雅志)

第十二章 現代東アジア諸国の少子化を歴史的に理解する(桃木至朗) 

秋田 茂・桃木至朗 編著

『グローバルヒストリーと戦争』大阪大学出版会、2016年)

四六判 並製

352頁・定価2300円+税

ISBN978-4-87259-437-9 C1320


第二次世界大戦時にイギリスで作られたこのポスターから、戦争がヨーロッパ全土、アメリカ、豪州、ソ連、中国、インド、植民地を動員する総力戦だったことがわかる。

本書は、古代から現代までの戦争を、グローバル、リージョナル、ナショナル、ローカルの四層から鳥瞰した、『グローバルヒストリーと帝国』に次ぐ意欲作。

【主要目次】

序章 グローバルヒストリーと戦争 (秋田 茂・桃木至朗)

第一章 戦後七〇年と二一世紀の東アジア―「戦争の語り」と歴史認識― (田中 仁)

第二章 冷戦とアジアの経済開発 (秋田 茂)

第三章 太平洋戦争後の知的交流の再生―アメリカ研究者とロックフェラー財団―(中嶋啓雄)

第四章 第一次世界大戦と現代グローバル社会の到来―アメリカ参戦の歴史的意義― (中野耕太郎)

第五章 軍事か経済か?―帝政期ロシアの義勇艦隊に見る軍事力と国際関係― (左近幸村)

第六章 山に生える銃―ベトナム北部山地から見る火器の世界史―(岡田雅志)

第七章 もうひとつの「黒船来航」―クリミア戦争と大阪の村々― (後藤敦史)

第八章 財政軍事国家スウェーデンの複合政体と多国籍性―コイエット家の事績を中心に― (古谷大輔)

第九章 ポルトガル人はなぜ種子島へ上陸したのか (伊川健二)

第十章 「戦後五〇年」と「戦後七〇年」―抗元戦争後の大越(ベトナム)における国際秩序・国家理念・政治体制―(桃木至朗)

第十一章 モンゴル帝国の東アジア経略と日中交流 (中村 翼)

第十二章 「白村江の戦い」再考(市 大樹)

大阪大学歴史教育研究会・公益財団法人史学会編『教育が開く新しい歴史学』(史学会125周年リレーシンポジウム2014 1)山川出版社、2015年)

四六判

240頁・本体2,000円

ISBN978-4-634-60021-8

史学会の125周年を記念し、歴史学の今を眺望するという旗印のもと、全国4カ所で開催されたシンポジウムの成果をシリーズにした1冊。歴史教育の危機的現状に対し、改善を系統的に担うことができる研究者、教員の養成には何が必要かを問う。

【主要目次】

はじめに

第Ⅰ部 阪大史学の挑戦

阪大史学系の歴史教育改革

歴史学若手研究者の連携と協働に向けて

大阪大学歴史教育研究会 活動記録

第Ⅱ部 大学・学界から考える

歴史教育のジェンダー主流化へ向けて――日本学術会議ジェンダー史分科会などの取組から

東京外国語大学における東南アジア「地域基礎」の試み

グローバル・ヒストリーの担い手

第Ⅲ部 ひろがる連携

京都高社研の高大連携活動から

地方国立大学の視点から――静岡歴史教育研究会の挑戦

大学付属高等学校における汎用的な歴史教育の実践と課題――高大接続・連携をめざして

「学生報告」という挑戦――福岡大学西洋史ゼミの試み

わかる歴史から、考え実践する歴史へ――同志社大学の取組と構想

大阪大学歴史教育研究会 編『市民のための世界史』大阪大学出版会、2014年)

A5判 並製

312頁・定価1,900円

ISBN978-4-87259-469-0 C1320

カリキュラムの矛盾や入試問題に災いされて、高校生の歴史認識は後退している。本書はそのような現状を跳ね返し、歴史を学ぶ意義や面白さをわからせること をモットーに、全国の高校教員と協力して作られた。人名や年号は極力減らす、「像を結ぶ」「因果関係や背景がわかる」説明を目指す、要所に学習者への問い かけを挟むなど様々な工夫をして、歴史に親しむ習慣を養う。市民向けや入試の副読本にも使える画期的な教科書。

【主要目次】

序章 なぜ世界史を学ぶのか

第1章 古代文明・古代帝国と地域世界の形成

第2章 地域世界の再編

第3章 海陸の交流とモンゴル帝国

第4章 近世世界のはじまり

第5章 大航海時代

第6章 アジア伝統社会の成熟

第7章 ヨーロッパの奇跡

第8章 近代化の広がり

第9章 「ウエスタン・インパクト」とアジアの苦悩

第10章 帝国主義とアジアのナショナリズム

第11章 第二次世界大戦とアジア太平洋戦争

第12章 冷戦と民族独立の時代

第13章 現代世界の光と影

終章 どのように世界史を学ぶか

【書評等】

2014年6月24日

読売新聞(大阪版夕刊)「「歴史=暗記」覆す」と題する記事で紹介されました。

2014年9月1日

朝日新聞(大阪版夕刊)「歴史の見方養う世界史教科書―阪大の研究会 脱・暗記科目狙う」と題する記事で紹介されました。

2014年10月

『共同時空』(一般社団法人神奈川県高等学校教育会館県民図書室発行)No.91に澤野理氏による「書評と紹介」が掲載されました。

2014年11月

『歴史と地理 世界史の研究』第679号(2014年11月)に角田展子氏による新刊紹介が掲載されました。

2014年12月6日

日本経済新聞文化面で紹介されました。

2015年1月

The Asian Review of World Histories, 3-1 (January 2015), pp.155-158に佐藤正幸氏による書評が掲載されました。

2015年2月

『パブリック・ヒストリー』(大阪大学西洋史学研究室)第12号に土井啓瑛氏による「新刊紹介」が掲載されました。

2015年8月

『UP』(東京大学出版会)第44巻第8号(2015年8月)に成田龍一氏による書評が掲載されました。

秋田茂・桃木至朗 編

『グローバルヒストリーと帝国 』大阪大学出版会、2013年)

四六判・並製

190頁・本体2,100円

ISBN978-4-87259-426-3

大阪大学の5研究科共同のリレー講義「歴史学方法論講義」のためのテキスト.グローバルヒストリーは国境と地域を越えて地球的規模で展開する人類史の課題 の考察であり,本書では広域支配を目指す「帝国」に焦点が絞られる.しかも,西欧中心史観を相対化するため,アメリカや西欧の帝国にとどまらず,モンゴル 帝国や日本帝国も重要な柱になっている.好評を博した前著『歴史学のフロンティア』の続編.

【主要目次】

序章 グローバルヒストリーと帝国

第一章 モンゴル帝国と中国

第二章 モンゴル・シーパワーの構造と変遷

第三章 中世大越(ベトナム)の農村社会に関する比較史的検討

第四章 十八世紀のイギリス帝国と「旧き腐敗」

第五章 近代帝国の統治とイスラームの相互連関

第六章 十八~十九世紀の北太平洋と日本の開国

第七章 日清戦争論の現在

第八章 綿業が紡ぐ世界史

弟九章 チャールズ・A・ビアードの反「帝国」論再考

桃木至朗 著

『わかる歴史 面白い歴史 役に立つ歴史 歴史学と歴史教育の再生をめざして 』大阪大学出版会、2009年)

四六判・並製

270頁・本体2,000円

ISBN978-4-87259-249-8


【主要目次】

第1部 歴史学の危機と挑戦

第1章 現代社会の歴史離れと歴史教育

第2章 歴史学の限界と動脈硬化

第3章 そもそも歴史学とはどんな学問か

第4章 歴史学の論理展開

第5章 新しい歴史学の躍動

第6章 阪大史学の挑戦

第2部 東南アジア史の可能性

第1章 東南アジア史とその研究視覚

第2章 役に立つ東南アジア史

第3章 面白い東南アジア史

第4章 わかる東南アジア史

【書評等】

2010年1月

『UP』(東京大学出版会)第39巻第1号(2010年1月)に成田龍一氏による書評が掲載されました。

秋田茂・桃木至朗 編

『歴史学のフロンティア 地域から問い直す国民国家史観』大阪大学出版会、2008年)

四六判・並製

264頁・本体2,000円

ISBN978-4-87259-241-2

真の「世界史」叙述のために。グローバル、リージョナル、ナショナル、ローカルの「四層構造」で世界をとらえる-新しい歴史学方法論を提示。本書は、大阪大学の歴史系研究者によるリレー講義「歴史学方法論講義」の成果である。・・・旧来の伝統的な歴史学研究の枠組みを、アジア地域研究や、日本史 をとりこんだ世界史研究(グローバルヒストリー)の観点から見直し、新たな切り口・見方を提示しようと試みる。(本書あとがきより)

【主要目次】

序 歴史学のフロンティア 秋田 茂・桃木至朗

一 中国の自画像と日本の中国像 堤 一昭

二 二〇世紀中国の「国民国家」的凝集力 西村成雄

三 アメリカ史における地域 中嶋啓雄

四 イギリス帝国とヘゲモニー 秋田 茂

五 日本近世の地域支配 村田路人

六 再び奴隷になる 冨山一郎

七 複数形のベトナム史、閉じないベトナム史 桃木至朗

八 仏像の受容と変容 藤岡 穣

九 中近世の東欧をめぐる地域史論 鈴木広和

【書評等】

2008年11月30日

朝日新聞に南塚信吾氏による書評が掲載されました。


懐徳堂記念会 編

『懐徳堂ライブラリー8 世界史を書き直す 日本史を書き直す- 阪大史学の挑戦』和泉書院、2008年)

四六判

237頁・本体2,800円

ISBN:978-4-7576-0473-5 C0320


世界トップレベルの歴史研究の成果を紹介しようとする講演録。大阪大学「21世紀COEプログラム〈インターフェイスの人文学〉」の一環として、歴史系教員たちは、日本史・世界史(東洋史・西洋史)など縦割りにされた歴史研究の統合を模索するとともに、新しい研究成果をどのようにすれば市民社会や歴史教育の現場に還元することができるか、高校教員との対話を重ねてきた。本書はこうした阪大史学の挑戦の成果である。

歴史は事項や年代の羅列ではない。まして、日本の外に世界があるのではないし、日本史と世界史は別物ではない。日本の内部に世界があるし、日本史のなかに世 界史が刻印されている。日本を理解するには、世界がわからないといけない。阪大史学は日本史と世界史の統合を模索し、「市民のための歴史学」「国際人のための歴史学」を目指している。市民教養としての歴史学を再構築しようとする阪大史学の挑戦を、とくと堪能あれ。

【主要目次】

第一章 輸入代替としての産業革命―「一体としての世界」の起源― 川北 稔

第二章 帰ってきた男―草原とオアシスのあいだ― 坂尻彰宏

第三章 海と貿易がつくった世界史 桃木至朗

第四章 神国日本と仏国日本 平 雅行

第五章 大清帝国と江戸幕府―東アジアの二つの新興軍事政権― 杉山清彦

第六章 イギリス帝国と近代アジア・日本 秋田 茂

あとがき