02 基本の作図

平面図形を描くと,Cinderellaとのコラボレーションの意味がよくわかります。

Cinderellaには平面図形を描くためのツールがいろいろ用意されていて,これだけで「幾何」の図が描けます。描いた図を変形するのもインタラクティブに簡単にできます。図ができたら,出力したい必要な線だけをKeTCindyのコマンドで書き出せばよいのです。

例として,「KeTCindyを始める」で作図した内接円をもう一度見てみましょう。

Cinderellaの作図ツールを使って,内心と半径を求めるところまで描きました。(ここでは,頂点A,B,Cの位置を変えてあります)

さらに続けるならば,「半径つき円を加える」ツールを使って内接円を描くことができます。

さて,ここで出力したい図は何か,そのために必要な線は何かを考えましょう。

(1) 内接円の作図手順を示したい ・・・ 説明に必要な線を順に書き出す。

(2) 内心と内接円を図示したい ・・・・補助線はいらない

(3) 内心と角度関する問題図を作りたい ・・・ 角度を求めて調整する

(4) ベクトルの例題図を書きたい ・・・ 説明に必要な線を順に書き出す。

これらは,(3)を除けば,図はこのままでKeTCindyのスクリプトを変えるだけで出力できます。やってみましょう。

(1) 内接円の作図手順を示したい

手順をいくつに分割するかが問題ですが,たとえば次のようにできるでしょう。

角の二等分線を2本引く

Addax(0);

Listplot([A,B,C,A]);

Lineplot([A,D]);

Lineplot([B,D]);

Letter([A,"ne","A",B,"nw","B",C,"se","C"]);

Anglemark([B,A,D],["Expr=2,\circ"]);

Anglemark([D,A,C],["Expr=2,\circ"]);

Anglemark([D,B,A],["Expr=2,\times"]);

Anglemark([C,B,D],["Expr=2,\times"]);

交点から辺BCに垂線を引く(次のスクリプトを追加)

Listplot([D,E]);

Letter([D,"nw","I",E,"s","E"]);

内接円を描く(次のスクリプトを追加)

Circledata([D,E]);

(2) 内心と内接円を図示したい

三角形と円,内心だけなら,次のスクリプトで描けます。

Addax(0);

Listplot([A,B,C,A]);

Letter([A,"ne","A",B,"nw","B",C,"se","C",D,"nw","I"]);

Circledata([D,E]);

Pointdata("1",[D],["size=2"]);

(3) 内心と角度関する問題図を作りたい

「角度を測る」ツールを使ってAの角度を表示し,(表示位置はドラッグして移動できます)

点Aを動かして72°になるようにします。

Addax(0);

Listplot([A,B,C,A]);

Listplot([B,D,C]);

Pointdata("1",[D],["size=2"]);

Anglemark([B,A,C],["Expr=2,72 ^{\circ}"]);

Anglemark([B,D,C],["Expr=2,\alpha"]);

Letter([A,"ne","A",B,"nw","B",C,"se","C",D,"nw","I"]);

(4) ベクトルの例題図を書きたい

たとえば,△ABCをAB=BC=8,AC=6の二等辺三角形として,ベクトルBDをベクトルBAとベクトルBCで表す,という例題の図を作ります。

「距離を測る」ツールを使って,ABとACの長さを表示し,頂点Aをドラッグして,ちょうどよい位置にします。(BC=8です)

また,角Aの二等分線とBCの交点を取っておきます。

Addax(0);

Listplot([A,C]);

Listplot([A,F]);

Arrowdata([B,A]);

Arrowdata([B,D]);

Arrowdata([B,C]);

Bowdata([A,B],[1,1,"Expr=8"]);

Bowdata([B,C],[1,1,"Expr=8"]);

Bowdata([C,A],[1,1,"Expr=6"]);

Letter([A,"ne","A",B,"nw","B",C,"ne","C",D,"e2","I"]);

Letter([F,"s","D"]);

このように,元になる図形をCinderellaの作図ツールで描いておき,目的によって補足して,あとはKeTCindyのスクリプトを書けばいろいろな図ができるわけです。

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