日本窒素肥料株式會社 水俣工場 ~合成硝酸製造~

~事業紹介~

当社の合成硝酸は98%のものと62%(ボーメ42度)のものと二種があり、何れも市場の標準品である。その年産能力は98%硝酸23000トン、62%硝酸64000トンである。容器は土瓶詰で土瓶二個を木箱一箱に詰めて輸送する。当社の製造する合成酢酸はアンモニアと水の電氣分解により水素を製造する際副生する酸素とを以てアンモニアの酸化法により合成的に製造されたもので我国に於いて最初に成功した当社の独特の特許製法によるものである。

品質は特に優秀で現在陸海軍を始め、各種の化学工業に極めて大量に使用せられ我国最大の製造能力を有している。当社の酢酸は一般市場に販売される外、当社自身に於いて経営する火薬工業、プラスチック工業等に於いても大量に自家用として消費されつつある。

火薬原料用酢酸のタンク自動車で延岡薬品工場より日本窒素火薬延岡工場へ毎日何回となく運転している。

水俣工場 硝酸瓶詰工場の一部を望む

~昭和10年頃 撮影~

水俣工場 出荷される硝酸瓶詰

※木箱一箱にて瓶二つ

水俣工場 硝酸運搬用車

※火薬原料により延岡火薬工場を往復

~感想~

水俣工場の硝酸は火薬の原料として後に使用されたものではないかと思います。

当時は水俣工場にて製造して、延岡工場の火薬工場に専用タンク車で運搬しており、一般販売にも褐色瓶を使用しているので日光による引火を防止していたものだと思います。

当時の工場の内部も瓶の運搬にはかなり気を使っていたようで、写真では専用の運搬台車が使用されていますね。現在は會社が新規継承されたので、中身は不明となっております。

平成30年3月28日 執筆