朝鮮窒素肥料株式會社 興南工場 変流室

~事業紹介~

山間遥かなる發電所より高圧送電線を通じて送電して来る交流電氣は先ず工場付属の變電所に於いて所要の電圧に降圧する必要がある。興南工場の屋外變電所及びこれに装備せる変圧器の一部を紹介する。

變電所で降圧された交流の電氣は回転変流機を通じて力流に変流せられ、アンモニアの原料水素ガスの製造用に供せられる。朝鮮窒素肥料株式會社興南工場における回転変流機の如きは4500kW、本邦最大の売容量を有するもので、これが39基轟然たる音を立てて一斉に回転している壮観は先ず見るものをしてこぶしを握らしめずには置かない。此処で変流された電流は右側の壁を通じて電解工場に導かれる。

興南工場 電解工場及び変流室建屋を望む

~昭和10年頃 撮影~

興南工場 回転変流機室

~昭和10年頃 撮影~

興南工場 屋外變電所

~昭和10年頃 撮影~

興南工場 110KV変圧器

~昭和10年頃 撮影~

~感想~

興南工場の回転変流器は国内でも当時の大規模發電所の需要先として紹介されることが非常に多かった變電所です。現在は興南工場が一部改修されたこともあり、現役かどうかは不明ですが製造物が異なるために当時の様に使用されていないかもしれません。

ただ、すべての原料の原点となるものが「窒素」ですが、水素の利用も多く使用されているそうです。

回転変流器は日本では鉄道用として戦後しばらく鉄道用變電所や製鉄所の一部で使用されていましたが、交流を直流に変流するのにサイリスタやダイオードの登場により次第に役目を終え、博物館などでたまに見かけることがあります。

当時の大規模変流室の規模を知ることができてよかったです♪

それと、110kVと言う妙な数値ですが、当時の朝鮮、満州方面では110kV送電が特別高圧送電として使用されていたそうです。国内では154kVが特別高圧送電として一般的ですが、朝鮮では少し電力送電関係の基準が異なっているのでしょうね。

平成30年4月1日 執筆