01 概要
GeoGebra や Cinderella(正しくは Cinderella.2)は「動的幾何ソフト」と呼ばれているものです。同じジャンルのソフトに,CabriII があります。ただし,CabriIIは有料,GeoGebraは無料,Cinderellaも無料(有料ライセンスもあり)です。
このページでは,初期画面に関連して,GeoGebraとCinderellaのいくつか違いを述べます。
「02 基本操作」以降は,「GeoGebra日本」のページに準じて構成していますので,「GeoGebra日本」のページも開いておくとよいでしょう。なお「準じて」いるために,GeoGebraになくてCinderellaにあるものについては記述が少なくなります。たとえば,幾何変換,画像の利用などです。物理シミュレーションについては,GeoGebraにないので割愛しています。
また,「GeoGebra日本」にない,表計算,3Dなどを追加していますので,はじめてGeoGebraを使う人にはマニュアルがわりになるでしょう。
初期画面
初期画面はつぎのようになっています。
ただし,図はMac版です。Windows版では,ウィンドウの上部にメニューバーがあります。
GeoGebra:大きく分けて,ツールバー,数式ビュー,グラフィックスビュー,入力バーの4つからなります。
なお,右に見えているメニューは特に選択しなくても,何か操作すれば消えます。
Cinderella:上下のツールバー,描画面です。
まずは,この画面に関連していくつか比べます。
座標軸,方眼の表示/非表示
幾何を扱うときは座標軸や方眼は不要で,関数のグラフを描くときは必要でしょう。GeoGebraとCinderellaでは次のようにして切り換えます。
GeoGebra
軸の表示がデフォルト。ただし,原点のO(オー)は表示されず,数字0が重複。
非表示にするには,軸上で右クリックして「プロパティ」を開き,「プレファレンス」で設定。
あるいは,グラフィックスビューのどこかで右クリックして「軸」「グリッド」のチェックをはずす/つける。
Cinderella
非表示がデフォルト。表示するには,画面下のツールバーから,「座標軸を描く」「グリッドを描く」を選択。
スクリプト
それぞれ,次のスクリプト言語を使います。
GeoGebra : JavaScript
Cinderella : Cindyscript
動的幾何ソフトの問題点とその動作
Cinderellaのマニュアルに記載され,2016年のRIMSでの講演でもコルテンカンプさんが言及されていたものに,動的幾何ソフトでの「ジャンプ」の問題があります。これについて解説しておきましょう。
直線上に中心をおく,半径が同一の2円を描き,その交点のうち一方だけを作図します。
この2円を動かしたときの交点Eの動向が問題です。
2円が重なる前後で,点Eが上から下にジャンプしてしまうのです。
もし,点Eを使って他の作図がなされているとしたら,その図全体がジャンプしてしまいます。
上はGeoGebraでの図ですが,Cinderellaではこのようなことは起こりません。(起こらないように設計されているのです)
もう一つ,2円が離れるときの点Eの動向です。
2円が離れれば交点Eは消えます。交わるように戻すとまた現れます。
このとき,GeoGebraではちゃんと上に戻ります。
しかし,Cinderellaでは,下に現れるのです。
もう一度離して戻すと上に戻ります。このことは,一見Cinderellaの不具合のようですが,実はそうとも言えません。この性質があるためにできることがあるのです。
詳しくは,「04 実例」の「H01 4節リンク機構」をごらんください。