2023/01/20
第38回歯科医学を中心とした総合的な研究を推進する集いにおいて,当科の川又教授が口腔のDysbiosisと大動脈弁狭窄症.メタゲノム解析による新たな繋がりのタイトルで発表しました.今や口腔内細菌が遠隔臓器での感染症や様々な病態形成に関わることが明らかとなりつつあります.糖尿病をはじめ,動脈硬化性疾患,感染性心内膜炎,などおもに歯周病原性細菌が疾病に関わるとされております.このような背景の中で当科では周術期口腔機能管理を開始して依頼,長年のクリニカルクエスチョンがありました.遠隔臓器で細菌が検出されるとして,果たして本当に口腔内細菌が口腔より扁平上皮を突き抜けて体内に侵入し疾病の発症や増悪に関与しているのか,ということです.
演題では当科の最新研究データを交えてこの疑問に対して,患者個人の中で確かに口腔細菌が,大動脈弁狭窄症の大動脈弁組織に存在すること,口腔内細菌が遺伝子レベルで同一のクローンである可能性が高いことを発表しました.口腔内細菌による遠隔臓器での病態形成への関与の直接証拠を示した研究は世界でも初めての研究です.今後の研究展開にご期待ください.