動画選考委員のみなさまからのご講評と
全国Summitに進出する ALL STAR TEAM をご紹介します。
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★青森県Summit
選考委員からの全体ご講評
■佐藤真琴 様(しずおか共育ネット 理事)、滋野正道 様(龍谷大学 非常勤講師)
高齢化、地域の伝統芸能、在来種野菜の活用、当事者の体験シェアなど、当事者性が高いテーマが多いエリアでした。
実際に取り組みを進めているみなさんは、いま取り組んでいることが誰のニーズになりうるのか?ということを深堀りしていくと、手法やプロジェクトの方向性に新たな可能性が見えてくると感じます。
また、いまの取り組みについて、地域の人など多彩な人からの意見をもらいながら進化/発展の方向性を探るということもできるかもしれません。そのプロセスを経ることで、みなさんのいる「地域/青森県/社会全体で共有できる未来」にもつながる探究となる期待感も持ちました。
代表プロジェクト
■不登校ってどんな気持ち?
当事者の抱える課題を丁寧に伝える取り組みの体験の中から、さらに自らの取り組みを進めている姿が伝わりました。当事者サークルも大事ですし、社会の中に居場所があることも大事なことですよね。
学生は昼間は学校に行っているものという社会の暗黙のルールがどのくらい苦しいものなのか、本人、家族、当事者友人と共に伝え、だからまちの中にも居場所が必要だという行動の根拠は当事者ならではでした。
不登校など少数派の問題は、当事者の辛さが大きく、現在は当事者同士の対話が多くなりがちです。ぜひこれからも対話の場とメッセージを外の人たちにも伝え、不登校で悩みを抱える方の力になってください。
★岩手県Summit
選考委員からの全体ご講評
■今村亮様(ディスカバ!コーディネーター)
全国高校生マイプロジェクトアワードにとって、岩手県は「生誕の地」とでも言うべき地域です。開始から9回目を数える今回のアワードでは、岩手県におけるマイプロはもはや革新的なものでもなんでもなく、学校や地域に根を張ったあたりまえのものとして日常化しているように感じました。
このあたらしい前提において、岩手県の高校生たちが全国水準よりも並外れて秀でているのは、問いを「じぶんごと」化している点にあります。プロジェクトの派手さで競うのではなく、徹底的に問いに向き合い、探究の試行錯誤から逃げず、自分自身をアップデートしようとしている勇気です。中でも選出された3プロジェクトは、全国へと発信すべき「じぶんごと」のメッセージを携えていると言えるでしょう。このロールモデルから何を汲み取るべきか、聴衆となる私たちの責任が問われています。
■牛木力様(東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科 講師)
岩手サミットで受けた印象は、一人一人から湧き出るオーナーシップと、プロジェクトのステップを楽しく味わいながら形にしていく姿でした。問いをしっかりもった探究の旅が明確に表現されているプロジェクトもあれば、仲間や新たな出会いやその過程での喜びを伝えてくれるプロジェクトもありました。
掛けた時間の量やアクションの量はまだまだそれぞれ違いますが、失敗を含めた学びを言葉にできている皆さんなら、次の一歩での出会いや驚きも楽しめるはずです。また、地域関連のプロジェクトでは、ずっと地元を愛して来た人もいれば、地元で育ってはいるもののそれほど愛着を感じずに過ごして来た人、地域みらい留学で地域に入り外からの目線で地域を見つめた人もいて、それぞれの地域への思いの違いが面白かったです。
代表プロジェクト
■こころのの多文化共生を目指して~ウイグル問題を通じて日本人の民族意識を開拓する~
「遠くの世界にある壮大なテーマ」を扱うマイプロは、往々にしてうまくいかないケースが散見されます。実践が具体化しなかったり、机上の空論で終わったしまったりすることが多いからです。
しかしこのマイプロは違いました。行動を通して、テーマを自分のものとして内面化し、「地に足をつけていく」プロセスに成功していると感じました。もちろんまだまだ実践の積み重ねは不足していますが、高校生活はあと2年も残っていますから、これからのさらなる成長が期待されます。
そしてご存知のとおり、いま私たちの世界では「多文化共生」の問題がより深刻化しています。メディアでウクライナをめぐる問題を目にしない日はありません。今、ウクライナについて高校生は何を語ることができるのでしょうか?この問題に応答できるのは、全国の舞台であなただけです。期待しています!
■津波の価値観と認知的不協和理論
多くの方にとってふりかえることもまだまだ辛い経験ですが、「生きた証言」を紐解いて来たその挑戦をまずリスペクトしたいです。聞いていた私自身、今回の発表で、「生きた証言」が単なる文集ではなく、未来への貴重なアーカイブであることを再認識できました。
また、エモーショナルな点を抜きにしても、今回の調査の手法のユニークさを評価したいです。これを重ねることで見えて来たことがあること、また、文研調査に留まらず、町内での会議でもその調査を生かして来たこと、そして心理学的な理論も紐解いて探究を展開して来たことも素晴らしかったです。これからもアクションが続いていくこともよくわかりました。応援しています。考えながら丁寧に話す姿も素敵でした。
■縁project
自身の当事者性や、実践をしてみての納得感に真摯に向き合い、率直に表現してくれていたところが素晴らしいです(「やってはみたけど微妙だった」とかね)。その中で、自分にできるアクションを重ね、その中からネットワークが広がっていく過程も大変共感できました。
また、ボードゲームの楽しさで終わらず、冒頭に提示した不登校やかくれ不登校の捉え方が、実践を通して変容し、共通言語としての不登校の新たな位置づけという段階に行きついているところも秀逸でした!これからも自身のこだわりを大切にして、新たな出会いを楽しんでください。
★宮城県Summit
選考委員からの全体ご講評
■佐藤真琴 様(しずおか共育ネット 理事)、滋野正道 様(龍谷大学 非常勤講師)
良い意味で「いまの自分にできる事は何か」を突き詰めた取組みが多かった印象です。背伸びをしすぎず、等身大の自分たちができることからスタートし、徐々に周囲の友達や地域の人々を巻き込んでいく姿は、理想的な協働の在り方を体現してくださっているのではないかと感じました。
どのプロジェクトも独自性があり表現力の高い素晴らしい取組みでしたが、あえて評価を分けたポイントは「熱量の伝播」を生み出すことができているかどうかでした。より多くの人々を巻き込みポジティブな状況を生み出すためには、人々の感情に訴えかけるようなエモーショナルな訴求も重要な要素となります。
今一度原点に立ち戻り、なぜこのプロジェクトを始めたのか、自分の心のどこに火が灯っているのか、という問いを丁寧に掘り下げていただきたいと思います。引き続き皆さんの取組みに期待しています!
代表プロジェクト
■丸森図鑑 みんなでつくる魅力のカタチ
人との出会いの機会の創出手段としてとても面白いプロジェクトだと感じました。特に「My」から「Our」へ取組みが発展している点もとても評価できるポイントです。まちに対して感じている想いは人それぞれですが、図鑑やカードという形で「見える化」し、街の輪郭を明らかにすることは、今後関係人口としてまちに関わろうとしている人や、既にまちで暮らす人々にとって新たな発見やモチベーションの向上につながり、重要な取組みだと感じました。
既に素晴らしいプロジェクトだと思うのですが、ここから一緒に活動を広げる仲間と出会えるかどうかもポイントだと思います。全てを一人で作り運営するには限界がありますので、もしも今後更にプロジェクトを発展させるという想いであれば、継続させるためのチームづくりも重要なのではないかと感じました。そのような意味合いでは、次なるステップをどのように描くのか、今後の成長や発展がとても楽しみなプロジェクトでした。
■すごいぞさめ照り~広めたい!サメのまち気仙沼の魅力~
サメと気仙沼への愛が溢れるとても熱量のあるプロジェクトだと感じました。レトルトパウチの開発だけに留まらず、サメ肉のイメージを転換させるために地元の人たちや団体を巻き込み、多くの協働を生み出している点が評価のポイントでした。特に「漁業者のモチベーションを上げたい」という目の前にいる地元の方々の想いを汲んで活動している点は、とても手触り感があり、温かな協働関係となっているのではないかと推察しました。
プレゼンテーションを拝見し「サメと気仙沼が好き!」ということは伝わってきたのですが、単純に「サメが好きな理由」「気仙沼が好きな理由」を知りたいと思いました。また今後後輩へ引き継ぐということですが、個人としてどのような関わりを続けていくのかがより具体的であるとより共感を生むことができるのではないかと感じました。
★山形県Summit
選考委員からの全体ご講評
■井上丹様(八戸学院大学 地域経営学部講師)、取釜宏行様(一般社団法人まなびのみなと 代表理事)、渡邊洸(認定NPO法人カタリバ マイプロジェクト事務局 事務局長)
・難しいテーマであってもアクションをやり切っていると思います。活動していく中で出てくる壁や課題に対しても諦めることなく仲間たちで協力して前に進めようとする姿勢が伺えました。
可能であれば、その隠れた苦悩や突破した瞬間の高校生皆さんの気持ちや感情も発表に入れてもらえると臨場感が伝わってきたと思います。
コロナ禍で制約が多い環境下では他者との協働が難しいところがありますが、自分たちだけで頑張ろうとせず、大人や社会を頼って進めてみると、大きな変化が生まれるかもしれません。
・1人のPJから20人のPJまであり、将来の夢に向けてのPJや大学の研究のようなPJ、地域に大きく貢献するようなPJまで様々でしたが、どれも”my感”のある皆さんの気持ちが伝わるPJでした。
また、これからまだまだ発展することを感じさせるPJや卒業後の進路と結びついたPJ等、自分としっかり向き合ったからこそたどり着いたことが伝わるテーマ設定でした。テーマの選択は、自分と真剣に向き合ったからこそ生まれるものです。
その中でも特に、関わる人たちが徐々に増えていき、協働的にPJを推進していく過程で、トライアンドエラーを乗り越える経験が伝わったPJがありました。ここで得た学びをこれからの人生で生かしてください。
代表プロジェクト
■omamori.PROJECT
自分起点でプロジェクトを開始し、活動を進める中で他者と社会と繫がり、それを通して自身が変化・成長していった姿が素晴らしいなと感じました。自身のつらい経験や弱い部分と向き合いながらプロジェクトを進めることは容易ではなかったと思いますが、目指したいことは何かを丁寧に考え、達成に近づけていった進み方は、他の高校生の学びのモデルになる部分です。
今後は、このプロジェクトをどうしていきたいのかによって、進め方が変わってくると思います。誰のために、どんなふうに、誰と協力してプロジェクトを進めたいのか、ぜひ今までどおり丁寧に向き合いながら考えてみることで見えてくるかもしれません。
■山形県産サトイモを再評価!芋煮のために8月から収穫する!!
当たり前を疑い、マーケティング調査から実施しているというように、活動ありきのPJになっていないところ。他者である地域側のニーズを汲み取り、地域から期待されている高校の活動に対して成果を上げていた。ニーズに合うように栽培できるよう農家と協力しながら工夫して活動していた。
社会に新たな価値を生み出しており、価値があるから巻き込む人たちがさらに増えている。ただ芋煮を販売するに終わらず、加工品開発と販売も行っていた。その試行錯誤の裏にあるドラマをもっと聞きたくなった。
★福島県Summit
選考委員からの全体ご講評
■滋野正道様(龍谷大学 非常勤講師)、佐藤真琴様(しずおか共育ネット 理事)
福島エリアの評価を分けたのポイントは、協働でした。ベクトルの方向が近い人達と活動すると、大同小異での問題も出てくるでしょう。しかし、その中で本当に当事者や課題に更に良い解決策が見えてきます。地域で同じように活動する人たちとの協働により、自分とは違う価値観を持つ人達との活動を共にすることによる気付き、そして自分たちだけでは成し得ないような影響の輪が広がります。
また、そもそも課題は何だっけ、という問いを丁寧に重ねることで見えてくる景色もあるのではと感じています。福島県は、参加チーム全員の熱意と地域が少しずつ好きになっていく過程が見える発表でした。引き続き、地域に住む高校生ならではの取り組みに期待しています。
代表プロジェクト
■食べて健康!幸せのキクイモプロジェクト!
地域の健康課題に食で取り組み、ブラウニーを当分見たくないくらいまで試作して食べた皆さんの気合根性にまずは賞賛のエールを贈ります。可能性のある地域の食材を扱っている地域のサークルとの連携をしており、このような協働は自分たちだけでですすめるよりも何倍も大きな成果になります。キクイモの食べ方の商品開発についてはもちろんですが、キクイモのことを理解して広める人たちが何倍にもなるからです。学びもシェアできます。これからも地域の方と課題をシェアして取り組んでください。
一点、商品開発や活動の促進の前に、キクイモは何のために取り組んでいるのか、これについてもう一度考えてみてください。肥満や高脂血症などの健康課題があり、味が濃いものが問題でしたが、そこがお菓子作りなど製品の開発に引っ張られているようです。美味しいものを作ってキクイモのが普及すると、どんな未来があるのかを可視化して、キクイモでつながったみんなで健康な地域づくりにつなげていただきたいなと思います。
■Let's cheer up ふたば!!
チアという自分らしい手段を使って多くの子どもたちと一緒に体験の場所を作る行動力は素晴らしいです。習い事の場所が少ないことや、表現する場の不足から自己表現の苦手というヒアリング結果から、小学生と共に学ぶ場を作り、ゴールとして地域のサッカーチームの試合会場での発表の場を作り、課題にアプローチとゴール設定までの企画と実行に評価が高く有りました。地域のために自分の脳力を十分発揮して楽しい場作りをされたことは素晴らしいと思います。
地域には、あなたの他にも子ども達に活躍の場を作ることができる人がいるはずです。ぜひその方と一緒に、ヒアリングで気づいたニーズについてともに取り組み、多様な個性の子どもたちにアプローチしてみてください。自分の取り組みに加えて、他の取り組みとの相乗効果で、地域への波及力が上がるはずです。
■手話カフェ~しゅわしゅわ~
伝えることが苦手な個性を持つ当事者として、手話をきっかけに「伝わる、理解される」という喜びを体験していく学びが伝わってきました。自分からのメッセージが伝わりにくいことによる居心地の悪さ、という共通課題を見出し、手話を使うことでつながっていく体験の描写は、当事者による課題の社会化として価値のあるものです。
また、カフェでは手話ができなくても参加ができるような工夫など、排除されない配慮もあり、現実での実践と振り返り評価もされていました。伝えることに困難さがある人達にも、適切な手段があると伝えやすく、話しやすい空間作りに繋がることがわかりました。
これから取り組みをすすめる上で、ぜひ当事者以外の人たちとの連携を深めてみてください。当事者に理解のある他の人から始めて、段階を踏みながら、伝え方の工夫を誰でも使える、伝えることに不自由さを感じにくい社会に向けてチャレンジを進めてみてください。
★東京都Summit
選考委員からの全体ご講評
■山本剛毅様(名城大学社会連携センターPLAT 主査)、渡邊洸(認定NPO法人カタリバ マイプロジェクト事務局 事務局長)
多種多様なテーマに対して、自身で考察を深めたり、仲間と実証を繰り返したり、大人からの協力を取り付けたり、試行錯誤を繰り返し続けているプロジェクトが多く、感動しました。
独創的な手法を思いつく分、実証まで時間がかかるプロジェクトも多いと思いますが、粘り強く活動を続け、どんどん次の問い・仮説を見つけ、周囲の共感を得ながら、目指す姿へ近づいていってほしいと思います!がんばってください!!
代表プロジェクト
■~みんなのゴミを洗剤へ~廃油由来洗剤を届けるポートサボン
自分たちの仮説を立証するために世界の論文まで相当粘り強く調べ一つの動画にたどり着いたプロセス、また、仮説を揺るがす大人からの助言に対して、自分たちの当初掲げた目的から考えて方針を決め、それで周囲の共感を得て進めているところが素晴らしいと思いました。
仮説検証を応援してくれる企業も見つかったとのことなので、廃油由来洗剤を届けるシステムの実証までその姿勢でがんばってほしいと思います!応援しています!!
■東京都の公共施設のトイレに生理用品を設置してください!
今ちょうど壁にぶつかっている人、自分なんてなあと思っている人、一歩踏み出してみたけどうまくいかないなあと感じている人にとって、勇気を与えることができるプレゼンテーションだと感じました。自分と同じように感じる人をなくしたいと声をあげて社会に対してアクションを起こしてみたがうまくいかない。諦め掛けたその時に受けたフィードバック「人と比べるのではなく、自分の強みを活かしてみては」から、「私だからできること」という軸ができ、「能力に優劣なんてない」「周りに助けてもらうこともできる」という気づきから、ついつい1人でやらないといけないという思い込みを持つ人が多い中において、頼れるものは頼る、その中で自分だからできることを自分なりにやってみるという挑戦するマインドとスタンスをこのプロジェクトから手に入れることができたのではないかと思います。これは予測不可能な時代と言われる今まさに身につけるとよいと言われるアントレプレナーシップなのではないかと思いました。
今後の取り組みが楽しみですし、周りの方に対しても勇気を与えることができる存在になっていくのではないかと思います。
■笑顔の輪~みんなを巻き込む子ども食堂~
「子ども食堂は居場所なのだ!」と子ども食堂のイメージを変えていきたいと自分が感じた小さな違和感から声をあげて社会的な活動ができること、「やりきったけど、これは本当に成功なのか」とありたい状態に対してこだわる姿勢、自分が実現したい世界を言語化できている点がとても素晴らしいと感じました。居場所としての価値を感じてもらおうと活動してから参加者が0名になった時も諦めずに自分のできることから手をつけて、なんとか形にしようと粘り強く行動している様子がプレゼンテーションから伝わってきました。
粘り強くPDCAを回す姿勢は今度もいろんな壁や課題が出てきますが、乗り越えるための武器になると思います。ぜひありたい状態に向けて、周りの協力を得ながら実現して欲しいと思います。難しいからこそ解決できたときの喜びも大きいと思います。
■Comlink
課題に対して真っ直ぐそれを解決する製品を考え、協力する大人たちの共感を得ながら製品開発を試行しているところが素晴らしいと思いました。まだ世の中にない物を生み出すのは苦労することも多いと思いますが、当初の自身の出発点や、同様の課題を抱えている人たちに対する想い等、強い思いを持ち続けて製品化までやって新しい気づき・学びを得てほしいと思います。がんばってください!!
学びや気づきをどこに置くのか聞いていた。デザイン思考っぽいところでユーザー視点を大事にというところを言っていた。仮説検証のサイクルを大きく回している。
★神奈川県Summit
選考委員からの全体ご講評
■滋野正道様(龍谷大学 非常勤講師)、佐藤真琴様(しずおか共育ネット 理事)
皆さんの身近な人々(家族や友人、地域のお年寄りなど)から影響やきっかけを得た当事者意識の強いプロジェクトが多い印象でした。またSNSを始めとしたICTツールを活用してポジティブな結果を生み出そうとしている姿から、現代の高校生らしさを感じることのできるエリアでした。
オンラインを通じて多くの人々と繋がることができたり、様々な声を容易に聞ける時代だからこそ、想いを共有する事はもちろんのこと、その想いを受け取った人々がリアルな社会で、実際の行動変容に繋げる事ができるかどうかが重要なのではないかと思いました。ぜひ「手触り感」のある関係性を大切にして、皆さんの気づきや発見を多くの人たちに共有し、新たな価値を今後も生み出し続けてほしいと期待しています。
代表プロジェクト
■itoma
自らの身近な悩みを起点に、同世代を巻き込み、身近なツール(絵本やSNS、掲示板)を用いて多くの人たちへ訴求できている点が素晴らしいと感じました。また、安心して正しい情報を共有するための仕組みとして、投稿者のプライバシーにも配慮がなされていたり、潜在的にメンタルヘルスについてを課題を感じている多くの中高生にとって支えとなる重要な取り組みだと感じました。
プレゼンテーションで指摘された通り、中高生のメンタルヘルスについては、潜在的なものとして社会的認知が低いため、軽視されてしまいがちな問題だと思いますので、掲示板などを通して「共有する」ことに留まらないその他の方法(学校や公的機関との連携など)も検討されるとより多くの方々へ届くものに育っていくのではないかと思いました。同時に今後は、自分たちだけで終わらない持続的な運営の仕組みの検討が必要なのではないかと考えました。とても大切な取組みだと思いますので、ぜひ息長く発展していくプロジェクトになることを期待しています!
★新潟県Summit
選考委員からの全体ご講評
■江森真矢子様(一般社団法人まなびと代表理事)
新潟の皆さんの発表を聞いていてすごいな、と思ったのが、疑問を持ったら誰かに話を聞きにいったりして、課題の背景を探ったり、関係する人の想いを汲み取ろうとしていたことです。
だからなのか、どんなアクションにも「何でこれをやる必要があるのか」「誰のためになるのか」「これをやってどんな未来を実現したいのか」という考えがしっかりあったように感じます。
コロナの影響もあり、思うようにアクションができなかった悔しさもあるかもしれません。ですが皆さんが見せてくれた「これをやったらこうなるだろう」という仮説思考を持つこと、思うようにならなくても次の手を打つ姿勢は、これから作りたい未来を作っていく時にきっと力になってくれると思います。これからも、楽しむ姿勢も持ちながらプロジェクトの旅を続けてください。期待しています!
■菅野祐太(認定NPO法人カタリバ 大槌町教育専門官)
新潟県Summitのみなさん、プレゼンを聞かせていただきありがとうございました。どのプロジェクトも個性的でみなさんならではの視点を感じることができました。地域の慣習となった行事に目を向けたプロジェクト、伝統を通して地域の方とつながることの大切を教えてくれたプロジェクト、フードロス、災害・防災をテーマにしたプロジェクトなど、誰もがやらないとと、思っているもしくは誰かがやってくれると思っているところに鋭く切り込んでいったみなさんならではの視点が印象的でした。
さらに自分なりに仮説を立て、それに対して実際にやってみたインタビューやアクションがどういう効果があったのか、それに対して次にどんな仮説を立てたのかというサイクルがぐるぐる回るようなアクションに発展していくことを期待しています。何よりみなさんが楽しそうに発表をしてくれたのが本当に印象的なSummitでした。
マイプロは自分の中でやってよかったな、やった自分を誇れるなと少しでも思えることが出来ていたらそれが一番の財産になるのだと思います。私も聞かせて頂き大変勉強になりました。皆さんに御礼を申し上げたいです。本当にお疲れさまでした。
代表プロジェクト
■New Normal PJ ~不登校のミカタ~
たくさんの人に会って話をしたり、情報を得ながら、どんどん考えをアップデートしていっている姿が印象的でした。行動が考えを変え、新しい考えが次の行動を生んでいる姿。「不登校」がテーマだったけれど「いつか不登校という言葉もなくなればいいのに」という考えに達するまでの旅は、これぞ探究!と思える姿でした。とはいえ、まだ旅は終わっていないはず。全国大会では、その後の旅やさらにアップデートされた考えを伝えてもらえたらと思います。
ちなみに、数あるアクションの中でいちばん感銘を受けたのは、部活動の仲間に自分が今まで得た情報や考えを伝えていたことです。部活の仲間にどんな影響を与えたのかも、気になっています。
■Don't Stop Music!
音楽に魅了されてきた人生史を感じられるようなプレゼンテーションでした。小学生のころから自分が好きで行っていた作曲活動が友達のある一言で自分の考え方が変化し、今回のプロジェクトを考えだしたというのも非常に興味深かったです。というのも、自分の深い世界観を持ちながらも、そこに固執することなく手離し、他者の世界観を招き入れるような取り組みだからです。
インターネットでフィルターバブルという言葉が問題となってくる中で、敢えて他の人と一緒に作ることを求めるという視点自体に面白さを感じます。ぜひ全国サミットでは小さい実験でも良いので、みんなの歌を乗せるという作品を作り上げ、そこで何を感じたのか、何がつくれることを示唆しているのかということを見せていただけたらと思います。
★長野県Summit
※長野県Summitは当日にご講評等があったため、当日サポーターならびに代表プロジェクトのみ記載しております
当日サポーター(本選)
■◯原山隆一様(長野県教育長)、草本朋子様(白馬インターナショナルスクール設立準備財団代表理事)、
藤原正賢様(株式会社BAZUKURI代表取締役)、宝槻泰伸様(探究学舎代表)、室井美稚子様(清泉女学院大学教授)
(〇審査員長、敬称略・五十音順)
代表プロジェクト
■菌活生活・酒粕プロジェクト!!
■白馬高生主催!地域応援SKYフェス
★中部Summit
選考委員からの全体ご講評
■荒井英治郎様(信州大学 教職支援センター准教授)
自分たちなりのアンテナの「感度」を大切にしながら、地域の様々な立場の方のために行動を起こされていることに感銘を受けました。アクションを起こせば起こすほど、次に自分達が取り組むべき課題も同時に見えてくるかと思います。
途方に暮れることもある(あった)かと思いますが、そのようなときこそ自分達のアクションが、誰にどのようなインパクトを与えているのか、ぜひ色々な方法(質的な方法や量的な方法、結果の見える化)を活用してリサーチし、自分達の活動の振り返りを行う機会を積極的に設けてみてください。
■竹田和広様(一般社団法人ウィルドア 共同代表理事)
一人ひとりが持つ経験や興味から、色んな人を巻き込みながら形にしていく・・・そんな物語がそれぞれの地域や学校で起きているのが伝わってきて、とてもワクワクしました。
選考結果はあくまで「今の時点」の話。決して皆さんの取り組みや想いを否定するものではありません。なによりおそらく誰も、一人ひとりが理想に描いた未来へはまだたどり着いていないはず。
マイプロは決して高校生で終わりではありません。今回アクションしたからこそ見えた気づきや学びをもとに、改めて「どうすればほしい未来へ近づけるのか」を考え、試行錯誤を繰り返しながら、焦らず一緒に面白い未来を創っていけたら嬉しいです。
代表プロジェクト
■究極のおくみのカレーをお家カレーに!
奥美濃カレーを「究極の地産地消」のカレーと位置付け、認知度アップのために様々な試行錯誤(学校内外での認知度調査と結果の分析、認知度向上のためのパンフレットの配布、先行事例である「家庭の味:鶏ちゃん」との比較、丸昌醸造協力の下での熱乾燥式とフリーズドライ式の味噌の奥美濃みそ粉の開発、アンケートの実施など)を繰り返した意欲的かつ野心的な探究でした。
お二人の落ち着いた語り口やユーモアあふれる食レポなども楽しませてもらいました。今後も、様々な生産者の思いがこもった商品を一人でも多くの方の味覚に感動を与え心に残るよう、生産者・消費者の両方の視点を大切にした探究を続けてください。地域の方、県内外の方に向けた積極的な情報発信も期待しています。
★北陸Summit
選考委員からの全体ご講評
■荒井英治郎様(信州大学 教職支援センター准教授)
自分(たち)のプロジェクトを通じて、興味・関心のあるテーマの課題はどこにあるのか、それは本当に課題なのか、誰にとってどのような課題なのか、探究とは何か、自分とは何か、自問自答することができたのではないかと思います。
これまでのプロジェクトの歩みを振り返ることは等身大の自分自身と向き合うことでもあり、ひいては今後の自分の将来(キャリア)を展望していく機会にもなると思います。人は一人では生きていけない中で、自分は何に支えられ、何を支えていくのか、これからの社会を創っていく皆さんに大きな期待をしています。
■竹田和広様(一般社団法人ウィルドア 共同代表理事)
一人ひとりが持つ経験や興味から、色んな人を巻き込みながら形にしていく・・・そんな物語がそれぞれの地域、時に地域を超えて世界にまで起きているのが伝わってきて、とてもワクワクしました。
選考結果はあくまで「今の時点」の話。決して皆さんの取り組みや想いを否定するものではありません。なによりおそらく誰も、一人ひとりが理想に描いた未来へはまだたどり着いていないはず。マイプロは決して高校生で終わりではありません。今回アクションしたからこそ見えた気づきや学びをもとに、改めて「どうすればほしい未来へ近づけるのか」を考え、試行錯誤を繰り返しながら、焦らず一緒に面白い未来を創っていけたら嬉しいです。
代表プロジェクト
■YOUNGEYE
自分が応援したいのは誰なのか。様々な行動や経験を重ねる中で何度も自分の理想に立ち戻り歩みを続けていたこと。私が欲しい物から始まり、結果いろいろな人を巻き込むことでみんなのプロジェクトへ進化していったそのストーリーはマイプロに取り組む他の高校生にとってのいいモデルになるのではと思いました。
ぜひ改めて、「自分たちは何がしたいのか」だけでなく、「どんなほしい未来のために、今の取り組みで何をどう変えたいと願っているのか」の言語化をおすすめします。その最初に持っていた願いから今の理想・目的への進化のストーリーの中に自分にとって他の参加者にとって大きな学びがあるかもしれないと感じました。
■伝える過去、創る未来、敦賀高校創生部
差別・偏見という世界規模の大きな問題に対し、地元にあった歴史に着目し、それを活かした方法に着目されたこと。そして本はもちろん様々な人へのヒアリングなどを重ね、そのための知識を深めていた姿にとても感銘をうけました。
一つ気になったのが、改めて皆さんはどんな未来を目指しているのか、ということです。目的次第でその取り組みの意義や、やるべきことは変わると思うので、もっと街を良くしたいなのか、これまでの差別・偏見の理解を拡げたいなのか、その両方なのか。変えることを悪いとは思いませんが、ぜひ一人ひとりが何を目指して取り組んでいきたいのかを大事に活動を続けていくことをおすすめします!
★京都府Summit
選考委員からの全体ご講評
■江森真矢子様(一般社団法人まなびと代表理事)、菅野祐太(認定NPO法人カタリバ 大槌町教育専門官)、渡邊洸(認定NPO法人カタリバ マイプロジェクト事務局 事務局長)
・皆さんがマイプロジェクトに取り組んだきっかけは何ですか? 京都で展開されたプロジェクトの数々を見ていると、学校での学習がきっかけになった人、先輩の活動を受け継いだ人、体験をしたり人の話を聞いて自分の疑問ややりたい!が生まれた人…きっかけはさまざまでした。
そして、きっかけは何であれ、いつの間にか、始めた自分(たち)だけのプロジェクトではなくたくさんの人を巻き込んで、みんなのプロジェクトになっていっているものが多かったように思います。体験から学んだことや、考えの変化を、丁寧に言葉にして伝えてくれている発表が多かったことも印象に残っています。
体験し、言葉にし、気づきを次の行動につなげる姿は、聞く人たちに新しいきっかけを与えてくれました。皆さん、ありがとうございました!
・京都Summitへの参加おつかれさまでした。とても面白く見させてもらいました。普段関わることのない特性を抱えた方々に気持ちを寄せたものや伝統に目を向けたもの、はたまた自然を舞台に探究していくようなプロジェクトもあり、比べることの難しいものばかりでした。
京都Summitで共通していたのは、これまで見過ごされてきたもしくは見ないようにしてきたことにみなさんの視点で新しい光を当て、そこに旗を立てたことです。プロジェクトを立ち上げることでそこに旗が立ったことで、色々な人が巻き込まれて協働するようになっていったのだと思います。
またもう一つ、みなさんの共通点はやっていく間に面白くなってまたやってみようと思える、そんな意欲に溢れたプロジェクトが多くありました。これも実は簡単にできることではありません。来年度はさらにみなさん自身の中で仮説を立てたり、やっていく中で仮説に立ち戻ってどうだったかな?と思えたり、するようなプロジェクトが増えてくるとさらに良いのではと思います。
マイプロは自分の中でやってよかったな、やった自分を誇れるなと少しでも思えることが出来ていたらそれが一番の財産になるのだと思います。私も聞かせて頂き大変勉強になりました。皆さんに御礼を申し上げたいです。本当にお疲れさまでした。
代表プロジェクト
■丹POPO女子が見つけたこと
身の回りにあって、見過ごしてしまいそうなことに目を向けて疑問に思ってみる。そうした様子が伝わってくるプロジェクトでした。たんぽぽという存在が私達にどのような豊かさを与えてくれているものなのか、このプロジェクトを通して感じることができました。そしてまたその生態分布の調査や落下速度の違いから考える新たな仮説や検証の視点など、もちろん先行研究の調査などもあったかもしれませんが、たんぽぽを突き詰めて考えることができているからこそ浮かんだ視点なのではないかと感じました。
最後のまとめのたんぽぽという誰もが見過ごしがちなものこそが豊かさをつくっている視点だというのも非常に汎用性のある話だと感じました。全国Summitでも、たんぽぽを突き詰めた研究者としてたんぽぽの何が面白いと思うのかを自分の世界観で大いに語ってほしいと思います。
■弁護人立会権の実現によって冤罪を減らす
心の底から感服しました。手に負えないかもと思えるような問題でも、解決の糸口は必ずあることを教えてもらいました。国会議員に働きかけることや投書をすること、そうか、なるほど!このプロジェクトをたくさんの人に知ってもらい、「無理かも」と思う人に勇気とヒントを与えてもらいたいと思いました。
もうひとつ、調べて、行動するごとに課題の本質に近づき、考え方も意志も研ぎ澄まされていった姿にも感動しました。発表を聞いた私自身、これから冤罪についてのニュースを見たら、他人事とは思えないだろうなと思います。これからも、影響の範囲を広げていってください。ありがとうございました。
■Quality Inquiry Education~言語や障害の壁を越えて誰もが学べる教育を目指して~
(評価ポイント)
・プロトタイピングを繰り返し、内容をブラッシュアップさせていたこと。受益者のためにということを軸に、耳の痛い内容や細部の改善を行う姿勢も素晴らしいと感じました。
・基礎情報/周辺情報を丁寧に調査/把握して、取り組みの価値や可能性を可視化したこと。
(今後に向けてのヒント)
・みなさん自身がこのプロセスを経て何を学んだのか、自分自身にどんな変化があったかを言語化してみると、みなさんの糧になる材料が見つかるかもしれません。
・定量的なアンケートに加え、参加者の声や当日の様子を再度詳細に観察しなおして「何がよかった要素なのか?」を問い直してみることで、今後の展開や改善につながる種が眠っている可能性もあると感じます!
★広島県Summit
選考委員からの全体ご講評
■江森真矢子様(一般社団法人まなびと代表理事)
たくさんの人を巻き込みたくさんのお金が動くプロジェクトもあれば、自分の「やりたい」を大切に身近な人を幸せにするプロジェクトもあり、こんなにもバラエティ豊かな取り組みが広島発で行われていることに驚きました。
どのプロジェクトもおお!と思うポイントがある中、素敵だなと思ったのが、活動を通じてそれまで関わりのなかった他者への想像力を持ち得ているプロジェクトの数々です。自分の暮らす地域だけではなく、外国に住む人たちへの視座や、全国大会に進む、若い妊婦さんの置かれた状況に想いを馳せ、行動するといった例。
プロジェクトを進めていくと、自分と他者、自分と社会のつながりを考える機会がたくさんあると思います。その気づきはきっと未来の仕事や学びにつながっていきます。マイプロジェクトに取り組んだ皆さんの将来がとっても楽しみだし、ずっと応援していきたいです!
■菅野祐太(認定NPO法人カタリバ 大槌町教育専門官)
みなさんの動画、大変興味深く見させて頂きました。コロナ禍という逆境をむしろチャンスにして取り組んだプロジェクト、自分のやってみたい・なってみたいを、体現したプロジェクト、まだ行ったこともない世界とつながるプロジェクトまで本当にどれも魅力あるプロジェクトばかりでした。プロジェクトを見ていて、まず何より取り組んでいることが印象的でした。楽しんでいるからこそこんなこともやってみたい、あんなこともやってみたいと色々な工夫が出てくるのだろうと思います。
また、普通の日常だったら気持ちを寄せることのないものに気持ちを寄せて取り組んでいるプロジェクトが多かったのも印象的でした。自分が良ければいい、自分の能力を伸ばせばいいということではなく、誰かの気持ちに寄り添う力を持ったみなさんのプロジェクトは大いに刺激を与えてくれました。
マイプロは自分の中でやってよかったな、やった自分を誇れるなと少しでも思えることが出来ていたらそれが一番の財産になるのだと思います。こちらが皆さんに御礼を申し上げたいです。本当にお疲れさまでした。
代表プロジェクト
■子供も妊婦も孤立しない社会を
最初は理解し難いと思っていたであろう、若年妊婦の孤独やそのために起こる悲しい事件を、調査し考え想像することで「自分だったら」と考えられるようになったことがまず素晴らしいと思いました。その後の活動も、妊婦さんや助産師さんと対話を重ねて、独り善がりではない課題の解決策を考え、実行しています。
結果として、まだ本当に助けたいと思っている、孤立している若年妊婦に場を届けるには至っていないかもしれません。しかし、プレゼンの最後に言っていたように、少しずつ、目指す未来像に近づいていることも確かだと思います。なぜなら、皆さんは活動し議論するサイクルを何度も回しながら解決すべき問題や、「1つの問題にはいろんな問題が絡み合ってい」ること、助けてくれる人たちがいることを学んでいるからです。全国大会では、皆さんが気づいた問題を生む社会の構造をどう捉えてどうアプローチしたのかということや、その後取り組んだことの結果も発表していただければと思います。
★島根県Summit
選考委員からの全体ご講評
■江森真矢子様(一般社団法人まなびと代表理事)
巻き込み上手な高校生が多い!手を差し伸べてくれる大人が多い!この2つが島根の皆さんの発表を見て印象に残ったことです。
もう一つ印象に残ったのは行動力。これはなんとかしたい、なんとかしなきゃ、と気づいたら、気づいた人が行動を起こす。それも、がむしゃらに行動するだけではなく検証して次に繋げているプロジェクトが多かったように思います。
一歩踏み出す力も、人に頼る力も、皆さんのこれからの人生で大きな財産になるはず。 人生はプロジェクトの連続です。私も皆さんを見習って、勇気を出して一歩を踏み出したいと思います。ありがとうございました。
■菅野祐太(認定NPO法人カタリバ 大槌町教育専門官)
非常に魅力的なプロジェクトが多かった島根県Summit。みなさんの発表を拝見させて頂いていて何が興味深かかったかというと、自分と課題がつながっている、そう思えるプロジェクトが多くあったことです。自分の生い立ち、自分の身の回り、自分の日々の暮らしから感じていた疑問がプロジェクトにつながることで、皆さんだからこそ持つ視点で課題を見つめているプロジェクトが多かったように感じました。
また「○○は▲▲なのではないか?」という仮説を立てて、その検証を行っているプロジェクトも多く見られました。もともと持っていた仮説に対して不都合な答えが出てこようとも大胆に反省をして次につなげていくそうした探究が当たり前のようにできているプロジェクトの多さに驚かされました。
マイプロは自分の中でやってよかったな、やった自分を誇れるなと少しでも思えることが出来ていたらそれが一番の財産になるのだと思います。私も聞かせて頂き大変勉強になりました。皆さんに御礼を申し上げたいです。本当にお疲れさまでした。
代表プロジェクト
■Original Style in 雲南 ~ 広げる健康・繋げる命 ~
JRC部の活動、非常に興味深く聞かせて頂きました。身近に困っている、悩んでいる人がいるという活動に目を向けて取り組もうとする姿勢に驚かされました。本来であればこうした活動は毎年行っている活動をそのまま行うような活動になってしまいがちですが、みなさんは自分なりの視点で課題を考え、数字で仮説を支え、そして具体的な解決策を通して喜ぶ人を作り出しました。
みなさん自身がこうした活動から何を感じ何を学んでいったのか、そこには他の人にとってどんな汎用的な学びがあったのか知ることができると更に良い発表になるのではと感じました。
■ミライと
ミライとの取り組み、非常に面白く見させて頂きました。野菜づくりを通して周りとぶつかりながら、そしてメンバーが離れていくという失敗をしながらでも諦めずにまたその壁に立ち向かおうとする姿勢こそ、自己と不可分な探究になっているのではないかと感じました。
投げやりになることなく、自分の中でうまくいかなかった仮説を一つひとつ立てながら解決策を模索する姿勢には、チームを束ねる際に参考にすべき知見がたくさん詰まっているように感じました。ぜひ次回はどんなやりとりが他のメンバーとあったのか、その時何が課題だったのか振り返ってみて、深堀りして頂けるとさらに興味深いものになるのではと感じました。
★熊本県Summit
選考委員からの全体ご講評
■井上丹様(八戸学院大学 地域経営学部講師)
身近な社会課題に対して高校生らしくできることを実践していることが印象的でした。また高校生が地域で活動することによって地域が元気になっている様子がわかりましたし、関係者が励まされていることもわかりました。他者との協働から学んだことを自分の言葉で発表できている点もよかったです。
一方で、目的や最終的なゴールな何か、その中で自分たちは何がやりたいのかが明確ではない点があった気がしています。誰を幸せにしたいのか、その時自分はどうなっていたいのかも考えるとなお主体性や継続性が持てると思います。
■取釜宏行様(一般社団法人まなびのみなと 代表理事)
個人の興味・関心、もしくは地域課題から出発したPJが並び、高校生が他者を巻き込み、こんなにも社会に影響を与える存在だということを伝えてもらいました。しかも、どのPJもコロナ禍において制限のある中で、試行錯誤を繰り返してアクションを修正し続けていました。災害を経験したからこそ、個人として、あるいは学校としてできることはなにかを考え続けた様子が伝わりましたし、皆さんが活動を通じて『感謝』を口にしていたことも印象的でした。
その中でも特に、試行錯誤を繰り返す中で、「”私”はその時になにを考えたのか」「”私”はなにを学んだのか」をしっかりと言語化できていた発表が魅力的でした。これからも、社会の中で“私”の役割を考えながら、ともに学んでいきましょう。
代表プロジェクト
■子飼にikka
評価ポイントは試行錯誤を繰り返し、春の課題を夏に改善したり、取り組みをしてさらにうまくいかなかったことをクラウドファンディングという別の手法で実践したところ。高校生のやりたいことと商店街の求めるニーズが異なり、商店街会長からは何度も反対されても実践し続けたこと。コカリンピックで多様な人を巻き込んで利用者はもちろん、商店街の人たちも喜んでいたこと。
多様な他者の意見をくみ取りながら、失敗から学んで、最終目的である商店街活性化に向けて、高校生のアクションで乗り越えていった。持続可能性について、自習スペースを活用している他の高校生を巻き込んで、居場所の維持のために共に動ける仕組みを創ってみてはと思いました。
★宮崎県Summit
選考委員からの全体ご講評
■山本剛毅様(名城大学社会連携センターPLAT 主査)、渡邊洸(認定NPO法人カタリバ マイプロジェクト事務局 事務局長)
自身が感じた課題感をベースに周りを巻き込み、社会で解決策を実践しようと試みる姿勢にとても心を打たれました。
「目指す姿の実現に向けて実践結果を検証し、次の仮説を考える」ということを丁寧に、かつ、既存の同様の取り組みの事例等からも様々な観点を取り入れながら行うと、更に深い学びが得られると思います。
応援しています!引き続きがんばってください!!
代表プロジェクト
■マイプロジェクト革命
3人の熱狂して物事に取り組むエネルギーとチームワークの良さを強く感じました。「無いなら作れば良い!」という仲間の発言から、プロジェクトが開始し、いろんな方の力を借りながら(巻き込みながら)、前進させて行ったのだなとプレゼンテーションから伝わりました。
イベントを1回開いて終わりではなく、「ゴールではなくプロセスが大事だ」という気づきを得てさらに自分たちの活動の意義や新たら目標を見つけていく姿勢もマイプロの申し子だなと。流石はマイプロを世代を超えて日本中に広めようとしているチーム。
時代が変わり、教育も変わろうとしている中で、当事者である中学生、高校生からもこのような動きが起こっていることに頼もしく感じました。小学生から大人までマイプロに取り組んでいる様子を僕も見たいです。マイプロの楽しさに気づいて欲しい、知ってもらいたいというピュアな想いにも共感しました。
★沖縄県Summit
選考委員からの全体ご講評
■井上丹様(八戸学院大学 地域経営学部講師)、取釜宏行様(一般社団法人まなびのみなと 代表理事)、渡邊洸(認定NPO法人カタリバ マイプロジェクト事務局 事務局長)
・環境問題をテーマにしたプロジェクトが多いところに地域性を感じました。簡単には解決できない難しく長期的な課題ですが、今できることを一歩ずつ進めて、着実に理想とする姿に近づいている印象を受けました。
特に、社会に出ると気が付きにくい点を高校生だからこそできることとして活動し、結果的に周囲の大人を巻き込もうとしている点が良かったです。
この成果を見たら、大人の方で協力する人は現れてくると思うので、自分たちだけで頑張るだけでなく、周囲も頼って進めると、より早く目的に近づけるでしょう。
・沖縄県ならではのPJのテーマが多くあったように感じます。ニュースで見聞きするといった経験ではなく、実体験や関わった人たちとの接点の中でテーマを設定しているので、手触り感のある課題だからこそ、自分ごととして取り組みを進めていましたところが印象的でした。
その中でもゴールを明確に設定して、それに向かって地域住民や企業を巻き込みながら試行錯誤で失敗を乗り越えながら進むPJが魅力的でした。そして、他者を巻き込む時に、自分たちだけではなく巻き込む他者視点も踏まえた取り組みを進める過程で学びを言語化して、自分の将来と結びつけるところを見て、私自身も見習いたいと思いました。
代表プロジェクト
■身近にある幸せ
小さな問題意識・きっかけから仲間を見つけて活動を実践し続け、さらに効果的な取り組みとするための課題を的確に捉え、解決のための行動を社会に対して主体的にとっている姿が素晴らしいと思いました。
いくらゴミを自主的に集めても回収してくれるところがないという気づきは衝撃だったと思います。想いを持って取り組んでみたからこそ分かることを大切に、次のプランの成功に向けて引き続きがんばってください!
■島そうじプロジェクト
先輩の取り組みに対して、課題を見つけ、改善を加えて、自分たちの価値を出している。直接、海外の人の声を聞いて客観的助言を受けて、さらなる改善を図っていた。知ってもらうために商品を販売して自分たちで苦労しながら主体的に進めていた。海洋プラスチック問題という大きな社会問題に対しては小さな一歩かもしれないが、目指す未来に向けて着実に近づいている。
■僕らの未来は、八重山は、僕らがつくる!
挫折をバネに発想を切り替えて、目の前のことに強い当事者意識を持って活動し続けている。主体性を持って地域で動いている人たちの中に飛び込んで、そこでも主体的に活動していた。相当数の大人との接点があったからこそできた企画が多いことが伺える。シンポジウムをゴールとしていたが、開催してみてシンポジウムはきっかけであり、スタートラインとして次に向けた行動に動き始めて、目指す未来へ近づこうとしている探究を深める姿勢。
★東日本Summit
選考委員からの全体ご講評
■今村亮様(ディスカバ!コーディネーター)
北海道から静岡県まで、今アワード最大の広範囲からなる東日本Summitの特徴は多様性でした。その中でも目立ったのは、学校の授業から始まり、地域と深く協働しながら実践したマイプロです。各地の魅力や課題に向き合うため、高校生を主役にしていこうという追い風が東日本に吹いていると言えるでしょう。
その激戦区を僅差で勝ち抜いたマイプロの共通点は、「やり抜く力」「おさえきれない情熱」そして「当事者意識」でした。誰にも止められない心のエンジンを駆動して走り出す高校生たちの力強さに、審査員も心を打たれました。惜しくも全国進出を逃したみなさんも、今一度、なぜこのマイプロに取り組んでこれたのか、自分自身に問いかけてみてください。必ずヒントが見つかるはずです。
■牛木力様(東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科 講師)
東日本の皆さんから感じたのはプロジェクトへの真剣な眼差しと、学びのプロセスの丁寧な言語化です。孤軍奮闘した人も、仲間と切磋琢磨した人も、その熱い時間の使い方がしっかり伝わって来ました。また、サイエンス寄り、IT系のプロジェクトも多いのも興味深かったです。
これからの時代は、いろんな分野の知見が入り混じりながら必要に応じて新しい解を見出していくことを求められていくのだと思います。テーマや分野でお互いを線引きせず、ぜひ他の人のプロジェクトからも自分のプロジェクトのヒントがあるかもしれないという意識を持ってもらえるといいかもしれません。
代表プロジェクト
■校内限定ECサイト 「R-Order」
「学校購買にオンラインECサイトを導入する」というすさまじく難しいプロジェクトを、よくぞ3年近くかけて粘り強く実現しましたね。審査員一同、驚嘆しました。
サービス構想やアプリ開発、起案のための生徒会組織運営、そして購買業者や教員との合意形成、、、。これだけでも難易度の高さがうかがえますが、さらに新型コロナの感染対策も要求され、デリバリーサービスまで実装することになった点には脱帽です。また結果的に在庫調整が可能となり、フードロスの推進につながる点には社会的意義も生まれています。
この全国屈指の「やりきる力」はどこから生まれて来るのでしょう?その背景にどんな物語があるでしょう?あなたが何者なのか、全国の舞台で語られることを楽しみにしています。
■未来合成プロジェクト~目指せ地球の自律神経~
これまで考えてきたことの規模の大きさに引き込まれました。大学と連携したプロジェクトへも、自身の探究目的を明確に持って参加している点が評価できます。横断的な理論なのだとは思いますが、発表段階では、議論の対象を絞ってもらえると伝わりやすいかと思います。
まだまだアクションは途中であるという認識ですが、こうしたサイズ感の思考をしている高校生の仲間がいることを他の人にも知ってもらいたいと思い、選抜させてもらいました。研究内容もだけど、髪型も個性的で素敵です。ぜひ自身のスタイルをこれからも大事にしてね。
サイエンス系の発表の場ではないために、オーディエンスを十分に理解させることは難しいこともありますが、これからも丁寧な説明を続けてください。それこそまさに民主的なプロセスの一部だと思います。
■Happy Cycle with ENTERtainment!!!
地元登別市とのポジティブな連携が光る地域活性化のプロジェクトです。同様のマイプロは他地域にも多数見られますが、高校生と行政がお互いの強みを認めあい、試行錯誤していこうとする登別市の姿勢は全国屈指です。
はじめは参加する側だった高校生が、次第に自分からプロジェクトを主導する立場になっていくプロセスは、それそのものが地元活性化のための糸口になっているように映ります。みなさんの存在が地元にとって希望の星なっていることでしょう。
なお担当審査員にとっては、登別が「鬼」をシンボルにして町おこしをしているという情報自体が初耳でした。こうした「鬼まちカード」の由来のユニークさも武器にして、その存在感を全国でも発信してください。応援しています。
■やがて群衆の前に立て
リーダーシップとは何かという観点から、高度な理論を紐解いて、自分たちの探究テーマに活用している挑戦が素晴らしいです。パターンランゲージの発想、面白いですよね。
現に、多くの研究者の方がいる切り口ですが、高校生ならではの切り口で挑み、さらにいろんな人を巻き込んでの開発、改善を繰り返している点も評価させてもらいました。
当初のまちおこしの課題感に今後どんな風に戻ってくるのかも楽しみにしています。
■かみ食カレーライスをつくっちゃお!
実践量や地域に及ぼした影響だけに着目すると、同地域のSummitに参加した他プロジェクトと比べ決して大きいとは言えません。それでもこのマイプロを全国に送り出した理由は、成長度の大きさにあります。
高2夏のきっかけから、1年間かけて試行錯誤を重ねプロジェクトを実現してきた過程で、大きく成長してきた様子が見受けられます。特に想いのこもった言葉で周囲を仲間にする力や、ふりかえりながら次へつなげる力の向上は光るものがあります。
これから高校卒業後にどんなビジョンを持ち、どんなアクションを重ねるか。その後の物語も全国で語ってくれることを期待します。
★西日本①Summit
選考委員からの全体ご講評
■荒井英治郎様(信州大学 教職支援センター准教授)
探究とは、一人では成し遂げられそうにないことを他者と協働しながら乗り越えていく息の長い取り組みであり、これからの社会を創る皆様にとって期待される生き方そのものでもあります。
一度チャレンジして失敗したことは次のアクションの糧にし、他方で、手応えを感じたことは成功体験として自分の宝物として蓄積して、自分自身の将来のキャリアを描いていってください。
■竹田和広様(一般社団法人ウィルドア 共同代表理事)
一人ひとりが持つ経験や興味から、色んな人を巻き込みながら形にしていく・・・そんな物語がそれぞれの地域、時に地域を超えて世界にまで起きているのが伝わってきて、とてもワクワクしました。
選考結果はあくまで「今の時点」の話。決して皆さんの取り組みや想いを否定するものではありません。なによりおそらく誰も、一人ひとりが理想に描いた未来へはまだたどり着いていないはず。マイプロは決して高校生で終わりではありません。今回アクションしたからこそ見えた気づきや学びをもとに、改めて「どうすればほしい未来へ近づけるのか」を考え、試行錯誤を繰り返しながら、焦らず一緒に面白い未来を創っていけたら嬉しいです。
代表プロジェクト
■Girls Ambitious Courage ~楠川富子さんとともに~
途上国の教育環境を変えるというとても大きく複雑な問題に対し、様々な企業や団体と対話をしながら、時に大きな壁にぶつかりながらも自分たちができることを見つけ、具現化し、実際に届けたというのは素晴らしいと思いました。
その経験はきっと、今回のプロジェクトだけでなく、その他の問題へと取り組む上でも大きく役立つものだと思うので、なぜ上手くいったのか、どうすればもっと上手くいったのかなどを振り返り、言葉にして次のプレゼンや後輩たちへとつないで行くことをおすすめします!
■次の1冊に手をのばす喜びをすべての子どもに Dor til Dor
今後、「フリーペーパー」という紙媒体のさらなる追求を模索されるのか、別の媒体での情報発信も手掛けられるのか、「思い」の可視化・言語化の行方を楽しみにしています。
思いを形にしていくプロセスにおいては、仲間と共に活動することの「難しさ」とともに、必ず「やりがい」もついてきます。「個人」の読書経験を「私たち」の読書文化へシフトさせていく活動に発展していくことを期待しています。
■住み続けられるまちづくりを
まだまだ多くの日本人にとって共有されていない社会課題に対して、課題を整理するだけに留まらず、「ワークショップ」という方法で自分たちなりのアクションを起こしている点がとても素晴らしかったです。
探究学習の先駆者でもある全国の商業高校・工業高校に対して、今後の「課題探究」の方向性にも大きなインパクトを与える活動なのではないかと感じました。
■ハッピーモルックプロジェクト
この魅力を広めたい!そんな素直な思いから、関係団体だけでなく行政までも自ら動かし次々と理想へとアイデアを具現化させながら近づいている姿に感銘を受けました。
まだだれも知らないものを広げるというのは、簡単ではなかったはずです。その過程であった壁やそれを乗り越える中で考えたこと、試したことで得られた学びや気づきは大きな財産になるはず。
さらにモルックを広める中で見えた新たな興味や問いも見えているのかなというふうに見えましたし、改めて皆さんはどんな未来を創りたいのかを言語化し、これまでの学びを活かしてパワーアップした次の挑戦へと進むことをおすすめします。
★西日本②Summit
選考委員からの全体ご講評
■井上丹様(八戸学院大学 地域経営学部講師)
自分の好きなことから始めているプロジェクトが多く、主体性を強く感じました。それゆえ、多くの困難が立ちはだかってもくじけることなく活動を続けている様子が印象的でした。また、多くの調査活動やアイデア提案を繰り返し実施して、関係者を巻き込みながら、より良いものを作ろうという姿勢が良かったと思います。
今後はさらに、自分たちの活動によって社会にどのような価値が提供できるかを考えられると、より多様な人たちを巻き込むことができて発展していくと感じます。
■取釜宏行様(一般社団法人まなびのみなと 代表理事)
どのプロジェクトも、当事者意識からアクションをスタートさせて、試行錯誤を繰り返しながら他者を巻き込んでいる素晴らしいプロジェクトでした。1人からのスタートやチームでのスタートなど違いはあるものの、“想い”や“高い熱量”が高校全体や地域住民を巻き込んでいる様子が動画からも伝わってきました。
その中でも、根底にある「好き」という感情が強いからこそ、何度も何度も壁を乗り越えていくプロジェクトがありました。その際に、仮説を検証するものの、なかなかうまくいかないからこそ、やり方を変えてみたり、他者を巻き込んだり、客観的に数字で分析したりと、試行錯誤を繰り返す過程で、将来をも変えるような学びを得ている発表が魅力的でした。
代表プロジェクト
■我ら釣り隊ナマズチーム
これまでなかなか注目されなかったナマズに注目して、個人の強烈な”好き”からスタートして社会にまで影響を与えていた。強力なエンジンが、趣味で終わらず社会との接点までアクションをもたらした好事例。壁も多かったが、試行錯誤をして、結果的に社会に好影響をもたらしている。
自分の好きなことから出発して、自分で苦労しながらも、常に実践し続けていた。実践をやめない探究性に脱帽。今後に向けて養殖という展開まで検討している。
■守りたい!地域の祭 = コミュニティ
祭りに参加するだけではなく、地域を客観的に分析しており、仮説を立てて、実践し、修正している。そこに自分の気持ちが入っているからこそ、自分なりのアイデアを提案している。
ヒアリング等をする過程で、新たな仮説を見出すなど、一歩ずつ前進している。祭りの意義は、神様を祀るだけではなく、新旧住民のコミュニケーションを図る場だったという新しい学びにつなげている。祭りをなんとかしたいという自分の気持ちと地域の気持ちをミックスしてアクションに繋げている。
■四国まんなかガチ秘境物語
当事者意識が高く、活動の原点が地域が好きということから始まり、協議や活動のなかで常に意識されていた。案を多数出して、実際に取り組み、その中から良いものを選ぶ試行錯誤が多くあった。他者からの助言をもとにさらに修正したことによって、探究が深くなっている。
今後の展望や課題にもよく考えられており、実際に修学旅行のプランになったら、さらに改善されて良いものになっていく感じがした。
★西日本③Summit
選考委員からの全体ご講評
■山本剛毅様(名城大学社会連携センターPLAT 主査)、渡邊洸(認定NPO法人カタリバ マイプロジェクト事務局 事務局長)
自分の興味関心や問題意識からはじまったプロジェクトが、高校の仲間や先生だけでなく、地域の方の協力を引き出しており、地域社会にプラスの影響を与えるプロジェクトになっていると感じました。コロナ禍の中で活動に制約がある中でも、工夫してできることをまずやってみる姿勢と、1回やって終わりでなく、活動を繰り返すことで新たな気づきや学びも得ていて素晴らしいと思います。
1人や仲間と始めた活動が周りにポジティブな影響を与え、地域や社会を前向きにできるという、私たち一人ひとりが持つ可能性を改めて感じることができました。実際に活動してみることでしか気づけないことがたくさんあります。皆さんの活動したからこそ得た気づきがマイプロなどを通していろんな方に知ってもらえたらと思います。
代表プロジェクト
■やったるで!請願プロジェクト ~持続可能な脱炭素社会へ向けて~
環境問題の解決に向けて請願という民主主義の手法を通して粘り強く前向きに活動していたところが素晴らしいと思いました。また、活動の結果、今の政治の仕組み・若者の政治参加に対する課題を実感を持って捉えていた点もよい学びを得ていると感じました。
環境と政治で大きなテーマが2つたったところだと思います、世界も含めたの取り組みも参考に、自分たちなりの解決策を探究していってほしいです!
■佐世保独楽を広めよう
プロジェクトを通して、何よりチームメンバーが地域の資源である「佐世保独学」の価値や魅力を知ることができたのだと思います。海外への発信を大切にしたいと考えていたところから掴んだ国際交流の機会や佐世保独楽の元になるマテバシイの木にも着目したことから、歴史文化の保全・観光振興だけでなく国際交流・環境保全などプロジェクトに広がりが出たと思います。
地域の資源を生み出す森などの保全、地域の未来となる子どもたちへの文化継承、そして観光資源の強化など今後プロジェクトがどのように発展していくか楽しみです。1つの取り組みが多様な取り組みにつながっているということを改めて感じることができました。