(P.2)プレゼン資料「わが国証券決済改革の実績と展望-金融資本市場システムインフラ改革へのグランドデザインの必要性」の最初のページには、これも皆様はとうにご承知のお話ですが、1999年の規制緩和3カ年計画から始まった「証券のペーパーレス化の歴史的な流れ」を、簡単に書かせていただいております。実は、企業財務協議会という大手企業の財務部局で金融資本市場調達を担当する者たちの協議会がございまして、2000年の5月に、その中に「日本コマーシャルペーパー協議会(略称:CP協議会。現在の日本資本市場協議会)」というものをつくらせていただいて、私が事務局長を務めました。そのあとすぐに、プレゼン資料2ページの赤○で囲っておる部分ですが、非常に重要な、2000年6月の、金融審議会の報告が出たということでございます。
この金融審議会報告が、その後のCP・社債・株式のペーパーレス化、証券決済の流れを決める非常に重要なものであったと認識しております。その前からご当局に音頭をお取りいただいてコマーシャルペーパーについて紙の手形ベースのものを完全に電子化するにはどうしたいいかという「CPペーパーレス化に関する研究会」を約一年間に亘り開催していただいていたわけですが、その結果、短期社債としてCPの完全電子化を行うという法制度の枠組みが整ったということで、ではその次に実際の振替決済のシステムをどうつくればいいのか考えようということで、私どもの協議会で、欧州証券決済制度調査ミッションを送ったりしまして、CP協議会として約半年ほどかけて自主的に「電子CPの決済システムのグランドデザイン」のとりまとめを行ないました。
このCP協議会で取りまとめたそのグランドデザインが日本経団連に採用されまして、その後、日本証券業協会にもそのアイデアへのご賛同をいただき、それを受けて私どもの原案をベースにした民間サイドの草案という形のものを保振機構さんにご提案申し上げ、その後保振さんには大変なご尽力をいただいて、ただいまのペーパーレスの流れができたということでございます。このように、その最初のところで、多少とも私どもが意見を申し上げるなどのお手伝いをさせていただいたくことができたのかなと思っております。
ただ、このときはあくまでもコマーシャルペーパーの電子化のグランドデザインをとりまとめたということで、その後、保振さんには、実際の2003年のCP、2006年の社債、そして2009年の株式の電子化(振替決済)システムの構築に向けて大変なご尽力をいただいているということは、大変ありがたいと思っております。
そういう意味で、これは保振さんのご努力の賜物ですが、有価証券のペーパーレス化では、我が国は「欧米の周回遅れの状態から、いまや最先端の状態」に現状なっていると思います。ただ、株券電子化が日本の証券決済システム改革の最終目標かというと、多分そうでもないのだろうと思います。