ニュージーランド国立工科大学・Ara
【交換留学】
1/8 就職活動体験報告開催!
【交換留学】
2025年2月~2025年7月
梁川 花恵(参加時3年生)
人文学部 英語英文科
この報告書は、私がニュージーランドでの授業や生活を通して学んだことを、ホスピタリティを学ぶ学生らしい視点でまとめたものです。授業だけでなく日常の体験からも得られた「ホスピタリティ」のあり方について書いています。少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。
交換留学の大きな特徴の一つは、派遣先大学が定める英語力の基準を満たさなければ申込ができないことです。資格試験(IELTS)のスコアが足りなければ、そもそも挑戦すらできません。これが留学前に私を最も苦しめ、そして大きく成長させてくれた経験でした。
私はもともと英語が得意ではありませんでしたが、高校生の頃から「留学して英語を流暢に話す自分」を夢見て修道大学に入学しました。大学1年を終えた頃、先生方に強く背中を押していただき、「ニュージーランドに交換留学する」と決意。そこから半年間、大学の授業に加えて必死でIELTS対策に取り組みました。
正直に言うと「こんなに難しい試験で自分が点数を取れるのか」と不安でいっぱいでした。しかし「今やらなければ行けない」というプレッシャーが、逆に強い力となりました。結果的に、申込直前の試験で必要スコアを達成できたときの喜びと達成感は忘れられません。
その後も志望理由書(3000字)や面接など選考が続きましたが、この過程を通して「努力は必ず力になる」と実感できました。実際、IELTSで鍛えた技能は留学中にも大いに役立ちました。
<日本のおもてなしとの違い>
「ホスピタリティ=おもてなし」と訳されますが、実際に学んでみて、その中身には違いがあると感じました。
日本のおもてなし:敬意、礼儀、清潔さ、落ち着き、察し
ニュージーランドのホスピタリティ:親しみやすさ、明るさ、楽しさ、ニーズを満たすこと
ニュージーランドでは「相手の立場に立って最善を尽くすこと」が根底にあり、それをとてもフレンドリーに表現しているのが印象的でした。
私は Level 5 Diploma in Hospitality Management のコースで、Restaurant Operations、Hotel Operations、Introduction to International Tourism and Hospitality Managementを中心に学びました。Restaurant Operationsの中でもさらにたくさんの授業が含まれていました。
授業は修道のようには固定されておらず、毎週授業は変わります。特に印象に残ったのは「Introduction to International Tourism and Hospitality Management」の授業です。クラスメイトとグループを組み、クライストチャーチ内のサービス業を調査・インタビューし、動画にまとめて発表するという課題でした。計画力や協力性が求められただけでなく、実際に現場の声を聞けたことが大きな学びとなりました。
先生やクラスメイトは本当に「ホスピタリティ精神」に溢れていました。英語がわからず悔しさで涙が出てしまったときも、みんなが「大丈夫、助けるよ。」と自然に声をかけてくれました。最後の授業の日、先生とクラスメイトがメッセージカードをくれ、サプライズでマオリの歌を歌ってくれたことは、一生の思い出です。
<言語の壁>
渡航直後は頭痛に悩まされました。慣れない言語を理解しようと脳がフル回転していたからだと思います。2週間ほどで慣れましたが、会話に入れない孤独感や「もっと上手く話さなければ」という焦りは大きな壁でした。それでも勇気を出してパーティや遊びに参加することで、少しずつ自信がついていきました。
<ホストファミリー>
私のホストファミリーは素敵な両親と子どもたちでしたが、特にホストシスターとの関係は大変でした。最初は我慢していましたが、「嫌なことは嫌」とはっきり伝えることで関係が壊れることはなく、むしろ理解し合えると気づきました。文化の違いを学び、自分の英語力も子どもに注意できるほどに成長しました。
ニュージーランドでの毎日は、新しい発見の連続でした。家に1日中いたのはたったの2日ほどで、ほぼ毎日どこかに出かけていました。放課後はショッピングをすることが多く、特にお気に入りだったのが Cotton On というファッションブランドです。何度もお店に足を運び、マネキンのコーディネートを参考にしたり、新しい服を探したりしていました。
また、各地で開かれるマーケットや古着屋、アイスクリーム屋めぐりも楽しみのひとつでした。週末はクラスメイトとパーティーに参加することもあり、授業以外でも積極的に交流を広げることができました。クライストチャーチ内にあるカンタベリー大学のイベントにも参加し、Ara以外の学生や留学生とも仲良くなれたのは大きな思い出です。
食事は、朝は自分で簡単に用意し、夜はホストマザーが作ってくれる料理を一緒にいただきました。昼食は外食だと日本の約2倍ほどの値段がするので、日本から持って行ったダイソーのレンジ用ライスクッカーで炊いたご飯をお弁当にして持参していました。ニュージーランドの食材は新鮮でとても美味しく、特に牛乳の味は今でも忘れられません。チーズやヨーグルト、アイスクリームなど乳製品が大好きな私にとって、幸せな環境でした。
日本食も恋しくなるのではと心配してたくさん持っていきましたが、ニュージーランドの食事が口に合ったので結局余ってしまい、帰国前に消費するのに苦労したくらいです。日本食が恋しくなった時は、アジア食材のお店が市内にたくさんあるので困ることはありません。日本からは少しだけ持って行くのがおすすめです。
留学中は、ハイキングやカヌー、サーフィンなど、これまで挑戦したことのなかった体験も数多くしました。正直、私は「ハイキングなんて自分には合わない」と思っていたのですが、壮大な景色を目の前にすると自然と挑戦したくなり、山を登ることにしました。専用の靴を持って行かなかったのは後悔した点です。ニュージーランドでのハイキングは本当に特別な体験なので、行く人にはぜひハイキングシューズを持参することをおすすめします。長時間かけて登った山の頂上から見た景色は、写真では収まりきらないほど大きく、美しかったです。
また、人生で一度はやってみたいと思っていたサーフィンにも挑戦しました。クライストチャーチにはいくつかサーフィンスクールがあり、レッスンに通うことでインストラクターとも仲良くなり、プライベートでも交流するようになりました。海好きの仲間も多く出会えたので、共通の趣味を通じて繋がれるのは嬉しい経験でした。
他にも初めてパーティーに参加したり、海外で初めて美容院に行ったりと、新しい体験にたくさん挑戦しました。美容院では、雨の日の閉店前最後のお客の私にスタッフが傘をくれただけでなく、バス停まで車で送ってくれるという親切を受けました。日本ではマニュアルや規則を気にしてここまで柔軟な対応は難しいかもしれませんが、ニュージーランドでは「相手のためにしてあげよう」という自然な姿勢を感じました。この経験はホスピタリティを学ぶうえでとても印象的でした。
ニュージーランドでの旅行は、主にロードトリップでした。ツアーバスに乗ったり、友達の車に乗せてもらったりして観光地を巡りました。道路の周りには広大な自然が広がり、羊や牛がたくさん見られます。どこを見ても景色が美しく、まるで映画の中にいるようでした。
ニュージーランドは観光業が盛んで、自然そのものを体験するにも料金がかかることが多いです。「自然だから無料だろう」と思っていた私は最初驚きましたが、その分しっかりと整備され、感動できる体験ができます。特に南島は壮大な自然が多く、私にとって忘れられない旅になりました。
ニュージーランドで一番印象に残ったのは、人々のホスピタリティです。自分が「お客様」として体験した時も、学ぶ立場として観察した時も、その姿勢の素晴らしさに感動しました。
どこに行ってもみんなフレンドリーで親しみやすく、ガイドさんはまるでエンターテイナーのよう。ニュージーランド全体がディズニーランドのキャストであふれているように感じるほどでした。小さなアイスクリーム屋さんでも、必ず明るい挨拶や会話が交わされ、「今日どうだった?」「その服素敵だね」といった一言が自然に飛んできます。日本ではあまり聞かないやり取りですが、それがとても心地よく、温かい気持ちになれました。
レストランでは必ず「料理はどうだった?」と声をかけてくれ、街中でも気軽に「How’s it going?」と話しかけてくれます。きっとそこには、「あなたの存在をちゃんと見ていますよ」「大切に思っていますよ」というメッセージが込められていると学びました。ほんの短い言葉でも、人と人の距離をやさしく縮める力があると実感しました。
また、授業を通じて「empathy(共感)」の大切さを学びました。お客様の立場に立って気持ちを考えることが、次のアクションへとつながります。例えばホテルでは、「明日会議があるならモーニングコールしましょうか?」という提案は自分にとっては小さなことですが、お客様にとってはとても大きな安心につながります。
日常でも同じような体験を何度もしました。先ほどお話しした美容院でのことも、バス停まで車で送ってくれたスタッフにとっては帰宅する「ついで」だったかもしれませんが、私にとっては大きな感動でしたし、助けられました。ある日、私はバスカードと現金を忘れてしまい、バスに乗れず困っていたことがありました。すると、バス停にいた老夫婦が「どうしたの?」と声をかけてくださり、代わりに私のバス代を払ってくれたのです。その後、バスの中でもフレンドリーに話しかけてくださり、すぐに打ち解けて仲良くなりました。なんとその場で連絡先を交換し、後日ご自宅にも招いていただくことになりました。
このような体験は日本ではなかなか考えられない出来事で、とても驚きましたが、それ以上に「人の優しさがこんなに自然にあふれているんだ」と心が温かくなりました。
この文章を読んでいるあなたは、きっと留学に強い興味を持っている人だと思います。その気持ちと行動こそが、留学への第一歩だと思います。留学は、違いを楽しめる人にぴったりの環境です。日本との違いに直面して「思っていたのと違う」とマイナスに感じることもあるかもしれませんが、「あ、これも文化の違いか。また学びが増えたな。」とポジティブに捉えることで、心がぐっと楽になります。
現地では多くの人と出会い、さまざまな考え方や人生の話を聞くことができます。その経験は必ず自分を豊かにしてくれるはずです。最初は不安や大変なこともありますが、帰国の飛行機に乗る頃には「最高の留学だった」「人生で一番の思い出になった」「日本に帰りたくない」と思うほどになります。私にとってニュージーランドでの生活は、夢のような時間でした。
みなさんにも、そんな特別な体験をしてほしいと心から願っています。
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