論文15 北の王と南の王の闘争

に関するさらなる洞察


注意深く秘められているもので知られずに終わり、

あらわにされずに済むものは決してないのです。

ルカ8:17

 2012/11/21


⑮-1.私たちはこの事物の体制の終わりが近いことをなぜ確信できますか。その根拠の一つとして、ダニエル11、12章に示されている北の王と南の王の闘争に関する預言が最終部分に来ているということを挙げることができます。現在、彼らはどう行動していますか。また、今後どうなるのでしょうか。その闘争に関するダニエル11章27‐45節を再考してみましょう。そして、その闘争が起きるそもそもの原因、その背後にある事柄をも考察します。



11章27‐39節の意義


⑮-2.1999年に発行された「ダニエルの預言」の本にも示されていたように、ダニエル11章27節以降は、1914年より少し前から、つまり終わりの日が始まるいきさつをも含めた形で、終わりの日全体を扱っています。間違いなく、27‐39節までは「ダニエルの預言」の本の解説どおりであるということができます。つまり、大まかに述べると、28‐30節がドイツ帝国、30後半‐31節がナチス・ドイツ、飛んで36‐39節がソ連に関する預言であるということです。


※まずは、上記の点について、「ダニエルの預言」の書籍を参照してみてください。

https://wol.jw.org/ja/wol/lv/r7/lp-j/0/48222


ダニエル11:27以降は、

終わりの日における世界強国の動向を預言


 11:28-30   ドイツ帝国

 11:30後半-31 ナチス・ドイツ

 11:36-39   ソ連


⑮-3.ところで、これら世界強国の行動を理解するにあたって、表向きの人間の支配者や政治機構だけに目を向けるだけでは不十分です。なぜなら、彼らはその背後にいる悪霊たちの支配を受けているからです。そして、悪霊たちはノアの大洪水後に卑しめられたものの、いまだ死んだことがないので、実際には古代も現代も同じ彼ら悪霊たちが政治強国を支配しているという点を念頭に置くことが必要です。論文02の15節では、背後にいる悪霊たちのグループと北の王の特徴との関連について述べました。要するに北の王とは、エジプト、アッシリア、バビロンの背後にいた悪霊のグループが支配している国々のいずれかであるということです。今後彼らをそれぞれ〈E〉、〈A〉、〈B〉と呼ぶことにします。そして、終わりの日において、彼らはそれぞれ、ドイツ、ソ連(ロシア)、中国を用いて人々を支配してきました。ただし、第二次世界大戦後、ナチス・ドイツは消滅して、その領土はアメリカとソ連の間で分割され、その結果、〈E〉はドイツにおける支配権を失い、追い出されたものと思われます。(ここからは論文02を理解していることを前提にして論じます)。


解明にあたって、

世界強国の背後にいる悪霊たちの

存在を念頭に置くべき


 古代                  名前(仮)   近代

 古代エジプトの背後にいた悪霊   E〉      ①ドイツ帝国、②ナチス

 古代アッシリアの背後にいた悪霊  〈A〉      ソ連(ロシア)

 古代バビロンの背後にいた悪霊   B〉      中国



⑮-4.論文02の6、7節でも示したように、この三強者〈E〉、〈A〉、〈B〉はまた、ルベン、シメオン、レビにも対応しています。それで、彼らはやはり長子、次男、三男という順番で支配することが許されてきました。それで、もう一度、ダニエル11章28‐39節の要約に注意を払ってください。長子であるルベン、つまり〈E〉の支配したドイツには二つの分が与えられ、二度の支配が許されました。その後、次男であるシメオン、つまり〈A〉が背後にいるソ連の支配が続きます。そして、ご存知のように、彼は敵対者アメリカの前に倒れてしまいました。そうすると、続くのは三男であるレビ、つまり〈B〉が背後にいる中国の支配であるはずです。ですから、ダニエル11章40節以降は終わりの日における北の王、中国に関する預言であると結論できます。それでは、40節以降の成就とその背後で支配している彼らの動向について洞察してみましょう。


長子〈E〉ドイツ、次男〈A〉ソ連の時代は終わった。

次は、三男〈B〉中国が北の王。


ダニエル11:40以降北の王中国の動向

という前提で、以下考察する。



今日のエジプトとはどこか


⑮-5.ダニエル11章40‐43節では、「北の王は兵車と騎手と多くの船をもって強襲する」と預言されています。さらに、「エジプトの地は逃れ出るものとはならない」とも言われています。結論から述べると、ここでの北の王とは中国のことであり、また現代のエジプトとはアメリカのことです。ですから、これは大いなるバビロンの滅びの後で、中国とその同盟国がアメリカを滅ぼす時のことを預言的に述べているものと思われます。


現代のエジプトアメリカ



⑮-6.ここでのエジプトがアメリカであると言えるのはなぜでしょうか。論文02の6から8、また10から12節では、アメリカは現代のメディア・ペルシャであり、創世記38章のユダの家族に関する預言的な物語の成就として、メディア・ペルシャの背後にいる悪霊たち(以下、彼らをそれぞれ〈M〉、〈P〉と呼ぶことにします)はそれぞれが〈M〉はアッシリアから、〈P〉はエジプトから離反した後、互いに同盟を結んで新しく強国を造ったということを説明しました。それは、今日ではアメリカの共和党と民主党の背後にいる悪霊の勢力です。そして、間もなく民主党、つまり〈P〉から女性大統領が起こり、キリスト教を弾圧することも述べました。それで、〈P〉はもともとはエジプトに籍を置いていた者なのです。そして、ナチス・ドイツの背後にいた〈E〉が支配権を失って以来、正当にエジプトの名を名乗ることのできる者はこの〈P〉なのです。  


 

 名前           現在       古代

 古代メディアの悪霊  〈M米共和党  古代アッシリアで従属

 古代ペルシャの悪霊  〈P米民主党   古代エジプトで従属


古代エジプトの盟主〈E〉

は、現在失脚中。

※実は、この〈E〉、古代エジプトの主君とは、

悪霊たちの頭(長子)である悪魔サタン個人のこと


ゆえに、現在、エジプトを名乗る

ことができるのは、〈M〉のみ。


⑮-7.そして、もちろん、古代エジプトは約束の地の南にあたり、対する北のアッシリアと対決していたという点から、ダニエル11章42節の「エジプト」は現代版の南の王を指しているとも言えます。ところで、この古代の勢力構図は現代と全く同じで、南のエジプトはアメリカを、アッシリアはソ連、そして、バビロンは中国を指しています。アッシリアはエジプトとの抗争の途中で倒れ、その後その兄弟分のバビロンが勢力を増して、やがてエジプトに対して優勢になりました。同じく現代でも第二次世界大戦後、アメリカとの抗争の途中でソ連は倒れ、その後ソ連と同じ共産国の中国が立ち上がりました。そして、今後中国はアメリカを滅ぼすことになるでしょう。


ダニエル11:42の「エジプト」

=現代版の南の王、つまり、アメリカ



啓示11章8節にも言及されている今日のエジプト


⑮-8.ちなみに、啓示11章8節で出てくる「エジプト」もアメリカのことを指しています。そこは二人の証人が粗布を着て預言するという場面ですが、こうあります。「そして、彼らの遺体は、霊的な意味でソドムまたエジプトと呼ばれる大いなる都市の大通りに置かれるであろう。彼らの主もそこで杭につけられたのである」。ここでは、ソドムのことが言及されています。論文13の7から10節で示したとおり、ロトとその娘たちが滅びに先立ってソドムから脱出したことは、現代のアメリカが滅びる前にヤコブ級とアメリカのエホバの民がアメリカから脱出することであると説明しました。それで、〈P〉の支配するアメリカは確かにエジプトであり、またソドムであると言い得るのです。


啓示11:8の「エジプト」

「ソドム」

アメリカ


⑮-9.また、「彼らの主もそこで杭につけられた」ともあります。実際にイエスが杭につけられたのはエルサレムでした。確かに、論文03でも示したとおり、西暦66年にエルサレムからイエスの弟子たちが脱出したのと同じく、エホバの民もアメリカから脱出しなければならないという類似点があります。さらに、イエスが杭につけられた都エルサレムは当時ローマ帝国内の一都市であった点にも注目できます。その預言的意義を理解するためには、創世記37章でヨセフが十人の兄弟たちから売り飛ばされるという預言的な物語を考察する必要があります。論文08の6節で、それは現代のヤコブ級に成就することも述べました。しかし、その第一義的な成就はやはり、イエス・キリストに対するものです。つまり、そこでのヨセフは杭につけられたイエスであるということです。そして、注目すべき人物ルベンはイエスをかばおうとしたポンテオ・ピラトであり、ヨセフを金で売ることを提案したユダユダ・イスカリオテのことです。さらに、言及されてはいないものの、恐らくヨセフを殺そうと言い始めたのは長子ルベンに次ぐ者であった次男シメオンとその兄弟レビであったに違いありません。彼らはディナの事件においても率先して血を流したからです。それで、このシメオンとレビユダヤ人の支配者たちとレビの大祭司のことです。実際に彼らは率先してイエスが杭にかけられて殺されるように努めました。