論文08 ヤコブ級はまず
霊的な復活を遂げることになる
「イエスは大声で叫ばれた、
『ラザロよ、さあ、出て来なさい!』」。
ヨハネ11:43
2012/03/15
⑧‐1.以前の論文05、06でも示したように、間もなくイエスは世界本部を検分するために来られます。
それは、勝利の入城によって預言的に示されていました。その際、イエスは雌ろばの子に乗って来られました。
そのことから、イエスが大群衆から出るヤコブ級と共に来られるということが説明されました。その他の聖書物語もやはりそのことを裏付けていました。
そして、このヤコブ級が、現在地上で行なわれている油そそがれた統治体の任務を引き継ぐのです。では、この新しい人ヤコブ級についてもう少し詳しく調べてみましょう。
イエスと共に来る
ヤコブ級について
さらに詳しい理解を得る
現代におけるラザロの復活
⑧‐2.イエスが勝利の入城をされた時、大勢のエルサレムの人々が彼を歓呼して迎え入れました。その歓喜には入城の少し前に行なわれたラザロの復活が関係していました。こうあるからです。
「それで、イエスがラザロを記念の墓から呼び出して死人の中からよみがえらせた時に一緒にいた群衆は、証しをしつづけた。そのためさらに群衆が、彼がこのしるしを行なったことを聞いて、彼を出迎えた」。(ヨハネ12:17、18)
ですから、現代における勝利の入城にもこのラザロの復活が関係していることが分かります。それは現代の何に相当するのでしょうか。
現代版の「ラザロの復活」とは?
⑧‐3.まず、イエスとラザロの関係について考えてみましょう。「さて、イエスはマルタとその姉妹およびラザロを愛しておられた」と記録されているとおり、彼らはイエスの親しい友人でした。(ヨハネ11:5)
また、その姉妹マルタはイエスがキリストであることを信じていました。また、マリアもイエスの教えに一心に耳を傾けました。(ヨハネ11:27、ルカ10:39、42)
結論として、十二使徒が今日の油そそがれたクリスチャンを預言的に表わしていると考える時、イエスがキリストであることに信仰を抱いていたイエスの親しい友ラザロと二人の姉妹たちはほかの羊の大群衆を表わしており、特にラザロは大群衆の中の傑出した人物と言うことができます。
これまでの部分をまとめると、先程も述べたとおり、勝利の入城とラザロの復活は結び付けられており、イエスが乗ってこられた雌ろばの子とイエスの友ラザロはいずれも大群衆の一人を示していることが分かりました。
そうです、子ろばもラザロも同一人物、つまり大群衆から出るヤコブ級を預言的に表わしているのです。
十二使徒=油注がれたクリスチャン
イエスの友ラザロ=ヤコブ級
その姉妹マルタとマリア=大群衆
⑧‐4.では、次に現代においてラザロの復活がどのように行なわれるのかを考えてみましょう。
それは、実際に死んだ人が復活させられるということではありません。そのような文字通りの復活は、千年統治が始まってから実現することになっているからです。
ですから、これは預言的な意味での、つまり霊的な復活です。具体的にはどういうことが起きるのでしょうか。
その点に関して、イエスがルカ16章19‐31節で話された富んだ人とラザロという名のこじきに関する例え話を考えてみると分かります。
ところで、普通、イエスが例え話をされる時、登場する架空の人物には名前が付けられていないものです。しかし、この例え話ではわざわざラザロという名前が付けられています。
イエスはこのようにして、この例えをラザロの復活と結び付けて考えられるようにしておられるのです。実際、その例え話のこじきのラザロも霊的な復活を遂げているからです。
⑧‐5.当初、こじきのラザロは大変惨めな状態にありました。一方で、富んだ人は豪しゃな日々を楽しんでいました。しかし、この立場は一変します。ラザロはアブラハムの懐の位置に運ばれ、富んだ人は苦悶することになりました。
これは、現代のラザロ、つまりヤコブ級の霊的状態が著しく変化するということを示していす。ですから、ヤコブ級は霊的な卑しい状態をまず経験することになっています。その後に彼は霊的に恵まれた状態へと引き上げられるでしょう。
これは、論文06の12節で説明したとおり、忠実な者である弟が不忠実な者である兄の権限下で忍耐し、その後に祝福を受け継ぐ者となるということと対応しています。
そのように考える時、これは創世記のヨセフの物語と同じだとお気付きかもしれません。確かに、それらは類似しています。では、ヤコブ級の特徴を調べるにあたって、次にヤコブの子ヨセフの物語を考察してみましょう。
現代版のラザロの復活とは、
預言的な意味での霊的な復活
ヨセフは兄弟たちに追放される
⑧‐6.ヨセフは十人の兄弟たちによって奴隷として売り飛ばされました。そして、ポテパルの妻の偽りの訴えにより投獄されてしまいました。
ですから、彼もまた卑しい状態を経験しました。しかし、後に彼は王ファラオの夢を解き明かし、総理大臣に任命されました。
これは、今日、ヤコブ級にどのように成就するのでしょうか。まず、彼は霊的な兄弟たちから締め出されます。その理由のいくつかについてこう書かれています。
「そしてヨセフは彼らについてよくない報告を父に伝えた…後にヨセフは夢を見てそれを兄弟たちに話したため、彼らはその憎しみを一層つのらせた」。(創世記37:2、5)
ですから、ヤコブ級もまた霊的な兄弟たちのよくない報告をすることで反感を買います。また、夢を話して、つまり聖書預言について話すことによりますます反感を買うことになるのです。そして、彼は会衆から締め出され、霊的な獄屋の中で卑しい状態に陥ります。
ヨセフ=ヤコブ級
十人の異母兄弟=JWの霊的な兄弟たち
ヤコブ級は、
①組織にとって「良くない報告」をし、
②聖書預言について語るゆえに、
霊的な兄弟たちの反感を買い、
組織を追い出される
⑧‐7.それは、イエスについて証言した盲目のこじきだった人と同じです。(ヨハネ9章)
彼はイエスによって目が開けられ、パリサイ人の前でイエスについて明快な論理をもって証言しました。すると、「我々を教えるというのか」とパリサイ人たちの憤りを買って会堂から追放されたのです。
ですから、ヤコブ級もまたイエスから目が開けられて真実について明快な論理をもって証言しますが、それによって憤りを買い、会衆から追放されるのです。
それと調和して、イエスはエリヤの業を行なったバプテストのヨハネについてこう言われました。
「しかし、あなた方に言いますが、エリヤはすでに来たのですが、人々はそれを見分けず、自分たちの望むことを彼に対して行なったのです」。(マタイ17:12)
現代のエリヤの業を行なうヤコブ級もまたそのようにして義のために苦しむことになっています。
盲目のこじきだった人=ヤコブ級
彼を追い出したユダヤ人=JWの霊的な兄弟たち
バプテストのヨハネ=ヤコブ級
彼を退けた肉のイスラエル=JW組織
⑧‐8.では再び、ヨセフについて考えてみましょう。彼は王ファラオの夢を解き明かし、飢きんの七年に備えてエジプトの総理大臣に任命されました。
ですから、現代のヤコブ級も夢つまり聖書預言について解き明かします。そして、王イエスにより任命され、今後の霊的な飢きん、つまり世界的な禁令に備えて民を準備させることになるのです。
また、伝道の書4章13、14節にはこうあります。
「貧しくても賢い子供は、年を取っているにもかかわらず愚鈍で、さらに警告を受けるほど事を知るに至らなかった王に勝る。彼はその王の治世には資力の乏しい者として生まれたのに、まさしく獄屋の中から出て行って王となったからである」。
この聖句は、富んだ人とラザロの例えと対応しています。また、20世紀のラザフォード兄弟の場合、彼はラッセル兄弟の後継者で、また獄屋から出てきた人であり、イエスの検分の時に用いられた人でした。
同じように、ヤコブ級もまた油そそがれた統治体の後継者として霊的獄屋から出てくるのであり、イエスが検分に来られる際に共に来ることになっているのです。
ヤコブ級は聖書預言を解き明かす
また、彼は霊的な獄屋から出てくる
末の弟によって試みられる
⑧‐9.さて、ここまでで、ヤコブ級がイエスによって霊的復活を遂げるということを考えてきました。
しかし、イエスがこのヤコブ級を共に連れてくるのにはさらに重要な意味があるのです。次にその点を考えてみましょう。
先程も述べたとおり、ヤコブ級は霊的な兄弟たちによって会衆から追放されることなっています。そして、イエスはその追放した兄弟たちを裁かれるのです。
そのことはヨセフの十人の兄弟たちが、ヨセフによって本当に悔い改めているかどうかを試された創世記42‐45章の物語によって預言的に示されています。
(ここでのヨセフはヤコブ級ではなく、イエス・キリスト本人を預言的に表わしています)
主イエスがヤコブ級を共に
連れて来る意味とは?
⑧‐10.それで、十人の兄弟たちはどのようにして試されましたか。ヨセフはこう言いました。
「末の弟をわたしのところに連れて来て、お前たちの言葉が信頼できることを示すのだ。そうすれば、お前たちは死なないですむだろう」。(創世記42:20)
そうです、この末の弟によって、彼らはその心の状態を見分けられるのです。ここでの末の弟ベニヤミンがヤコブ級のことです。この点からも、ヤコブ級が大群衆の中の年長者ではなく、末の弟であることが理解できます。
ところで、ヨセフはわざと自分の銀の杯をベニヤミンの袋の中に入れさせ、彼が罪科に問われるようにしました。(創世記44章)
さて、それに対して十人の兄弟たちはどう反応するでしょうか。喜ばしいことに、特にユダは自分が身代わりになるとまで言ってベニヤミンを擁護しました。このようにして、彼らは過去の過ちを悔い改めていることを示すことができました。
同様に、イエス・キリストはヤコブ級が無実であるにも関わらず会衆から追放され、霊的な獄屋に入れられることを許されます。それは、ヤコブ級の霊的な兄弟たちの心を探るため、彼らの心を明らかにするためなのです。あなたならそのような末の弟を擁護しますか。
ヨセフ=主イエス
末の弟ベニヤミン=ヤコブ級
十人の異母兄弟たち=JWの兄弟たち
⑧‐11.これは大変重要な点です。まさに、キリストがヤコブ級を伴って神の民を裁くために来られる時に、ヤコブ級の霊的兄弟たちが裁かれる際の根拠が、この末の弟に対する態度にかかっているのです。
それは、ハルマゲドンで全地を裁くためにキリストが十四万四千人の復活した油そそがれたクリスチャンと共に再び来られる際に全地の人々の裁かれる根拠が、イエスの油そそがれた兄弟たちに対する態度にかかっているというのと類似しています。(マタイ25:31‐46)
では、その裁きの様子が列王第一1章によって預言的に示されていますので次にその点を調べてみましょう。
JWの兄弟たちは、
末の弟ヤコブ級を擁護するだろうか?
どちらの後継者を支持するのか
⑧‐12.そこでは、ダビデ王の後継者をめぐったやり取りが記されています。当初はアドニヤが次の王になろうとして画策していました。
その計画には軍の長ヨアブや大祭司アビヤタルなど有力者が助力していたので、人間的な観点からはほぼ確実に次の王はアドニヤになると思えたことでしょう。
しかし、エホバに忠実な者たちである祭司ザドクやエホヤダの子ベナヤ、そして預言者ナタンはアドニヤに加担しませんでした。
そして、預言者ナタンは王妃バテ・シバに勧告し、彼女は王ダビデにこの件を話しました。そして、ダビデは行動を起こし、約束どおりソロモンを新しい王に任命したのです。
⑧‐13.それで、このダビデからソロモンへの任務の引継ぎは、イエスを地上で代表する油そそがれた統治体から大群衆のヤコブ級に地上での任務が引き継がれることを意味しています。このヤコブ級もまた新しい地においてキリストの地上の代表者となるからです。
そして、行動を起こした預言者ナタンとは現代のエリヤの業を行なうヤコブ級です。
そして、王妃バテ・シバはイエスの花嫁級である油そそがれた統治体の忠実で思慮深い成員のことです。
それで、現代の預言者エリヤは統治体に対して勧告を行ないます。それに基づき、統治体も行動を起こします。次いで、イエスの地上の代表者として統治体がヤコブ級を新しい後継者として任命することになるでしょう。
この任命はダビデ王の生きている間に行なわれました。ですから、ヤコブ級の任命も油そそがれた統治体がまだ地上にいる間に行なわれるでしょう。
それでは、アドニヤはどうなるのですか。彼は最初は命を容赦されましたが、後に反逆の兆しを見せたため、結局処刑されました。また、彼に連なっていたヨアブは処刑され、アビヤタルも追放されました。
ですから、今日の神の民も、大いなるソロモンであるイエス・キリスト、及びその方を地上で代表することになるヤコブ級を支持するかどうかで裁きを受けるのです。
この任命は、人間の予想を大きく覆す形でなされるため、真にエホバとイエスに忠節で、かつ霊的な識別力のある人しかイエス・キリストとヤコブ級を支持することはできないでしょう。
(創世記27章でヤコブが祝福を受け継ぎ、エサウが覆された時の物語もこのヤコブ級の任命を別の角度から預言的に表現しています。その物語の注目すべき点は、父イサクが盲目になっていたことと、母リベカの思慮深い行動です)
ダビデ王=主イエス、それを地上で代表する統治体
王妃バテ・シバ=統治体の忠実な成員
預言者ナタン=ヤコブ級(現代版のエリヤ)
ソロモン(弟)=ヤコブ級
アドニヤ(兄)=エサウ級、世界本部の不忠実な監督(年長者)
軍の長ヨアブ=エサウ級の支持者(世界本部の不忠実な監督たち)
祭司アビヤタル=エサウ級を支持する統治体の不忠実な成員(愚かな処女)
___
父イサク=統治体の不忠実な成員
母リベカ=統治体の忠実な成員(思慮深い処女)
エサウ(兄)=エサウ級
ヤコブ(弟)=ヤコブ級
ヤコブ級とエサウ級、
あなたは、どちらを支持しますか?
モルデカイは高められる
⑧‐14.このソロモンに関する物語は、エステル記とも共通しています。
モルデカイは王妃エステルに勧告しました。そして、エステルは王のところに入って行きました。それは通常であれば許されない命がけの行動でした。
それと同じように、現代のエリヤから勧告を受けたキリストの花嫁級である統治体の忠実な成員は、通常ではない行動を取りますが、それは王イエスによって義なる行動とみなされ、認可されるでしょう。
さらに、王妃エステルはハマンの悪を暴きました。そして、王の命令によってハマンとその子らは処刑されました。それと同じように、統治体はイエスと共に組織内の悪行者を裁きます。
そして、モルデカイが総理大臣に任命されたように、ヤコブ級も新しい地の後継者として任命されるでしょう。
ところで、興味深い点として、このモルデカイが総理大臣に任命される前に、彼は公共広場で高められました。これは、何を意味していますか。
この衣を引き裂き、粗布を着て、灰をかぶっていた人が、まさしく王服を着て、馬に乗り、高められたことは、最初に考えたラザロの復活と関係があります。
そうです、新しい総理大臣となったモルデカイを表わすヤコブ級は、後継者として任命される前にまず霊的な復活を遂げることになっているのです。
アルタクセルクセス王=主イエス
王妃エステル=統治体の忠実な成員
モルデカイ=ヤコブ級
宰相ハマン=エサウ級
⑧‐15.ところで、このモルデカイはどうして高められたのでしょうか。そのいきさつがエステル記6章に記されています。
王の眠りは消失し、その結果その時代の事績の記録の書が朗読されました。その中でモルデカイが過去に反逆を企てようとしていた者たちを報告していたという記録が見つかりました。その結果、モルデカイは高められたのです。
それと調和して、先程考慮したヨセフもまた兄弟たちに関する悪い報告をしていました。ヨセフの場合、それに加えて預言的な夢について語ったために「夢見る者」として憎まれ、兄弟たちから退けられました。(創世記37:18‐20)
そして、このモルデカイのした報告は記録されたものの、その功績はしばらく見過ごされました。それは、ヨセフが献酌人の長から忘れられていたのと同じです。(創世記40:23)
しかし、その記録に再び注意が向けられる日が来ます。そして、それに伴ってヤコブ級は霊的な復活を遂げる、つまり会衆に復帰して、彼が全く無実であったことが公に証明されることになるでしょう。
そして、それはエホバに忠実な者たちにとって喜ばしい知らせとなります。そして、勝利の入城の際にラザロの復活に関連してエルサレムの人々が歓喜してイエスを迎えたように、ヤコブ級がイエスと共に世界本部に来る時、神の民は歓呼して彼を迎えることになるでしょう。
では、あなたもまたそのような歓呼する民の一人となってエホバ神とイエス・キリストに忠節であることが明らかになりますように。
ヤコブ級の「報告」に再び注意が向けられる
それに伴って、
彼は無実であることが証明され、
会衆に復帰する
つまり、霊的な復活
⑧‐16.(この霊的な復活に関連する他の理解について追加します)
ヒゼキヤ王はイザヤから間もなく死ぬことを告げられました。しかし、彼の日数は十五年延ばされました。これも、ヤコブ級の霊的復活に関連があります。
この十五年というのは、豊作の七年と飢きんの七年に一年を加えた年数と等しくなります。(論文04をご覧ください)
つまり、ヤコブ級が公の舞台に登場してから十五年目にハルマゲドンとなり、サタンの体制におけるヤコブ級の日数は終了するでしょう。
では、しるしとして与えられた影の後戻りについては何と言えるでしょうか。この影とは、天のエホバの組織の地上の反映、つまりエホバの地上の組織のことです。
今までエホバの地上の組織は前進に前進を重ねてきました。しかし、このヤコブ級の霊的復活に関連してそれは後戻りすることになるでしょう。つまり、組織のスタイルは一昔前のものに戻されるでしょう。
しかし、それは組織の後退を意味しているわけではありません。やはりヤコブ級を表わす総督ネヘミヤは城壁を立て直すために遣わされました。そうです、彼はかつてそこに堅く立てられていた城壁を元に戻したのです。
今は霊的な意味において、組織の城壁は破れたままかもしれません。しかし、それは組織の基本スタイルが一昔前の堅実なものに再び戻されることによって立て直されることになるでしょう。