論文02 聖書預言から洞察できる
世界強国の勢力構図
「これらの事は象徴的な劇となっています」。
ガラテア4:24
2012/03/14
②‐1.私たちが終わりの日の最終部分に関する聖書預言を解明するにあたり、世界強国の動向は特に注目に値する重要な要素です。
結論から言うと、複数の聖書の物語や預言はこれらの世界強国の勢力構図を例示しています。
例えば、ヤコブの家族に関する物語がそうです。つまり、ヤコブの息子たちの一部は世界強国を表わしており、その構成を分析してみると現在の北の王の実体も特定できるのです。
では、どのようにその預言的な物語を解明できるのでしょうか。
聖書物語や預言は、
世界強国の動向を示している。
では、どのようにその預言的な物語を
解明できるのか。
②‐2.その解明方法は他でもない聖書そのものに示されています。
使徒パウロはガラテア4:24で「これらの事は象徴的な劇となっています」と述べ、その前後で、アブラハム、サラ、イサク、ハガルがだれを預言的に示していたかを解説しています。
(その点は「イザヤの預言-全人類のための光 Ⅱ」の218-219ページの囲み記事「アブラハムの家族-預言的な描写」にも説明されています)
ですからこの使徒は聖書の物語には預言的な意味があると考えていたことが分かります。
また、別の点として、「聖書に対する洞察」の「神聖な奥義」の項は、啓示19:10を引用して、「『イエスについて証しすることが預言に霊感を与えるもの』である以上、『神の神聖な奥義』はキリストを中心としているに違いありません」と述べています。
これらを考え合わせると、聖書の物語中のイエスを預言的に表わしている人物がだれか分かれば、その他の登場人物の実体はその物語の中での人間関係や各々の性格と行動などから割り出すことができるはずです。
ココ重要:
★聖書預言の解明方法★
(これはこのサイトの論文全体に
適用されている基本原則です)。
ガラテア4:24より
「聖書物語には預言的な意味がある」
啓示19:10より
「それはイエスを中心に成就する」
したがって、
イエスを予表している人物との関係
から他の人物の実体を解明できる。
つまり、「予型と対型」。
②‐3.では、ヤコブの家族の中のだれがイエスかを識別してみましょう。すると、それはヨセフであるとおおよその見当がつきます。
それに伴って、彼の実の弟ベニヤミンは「キリストの兄弟」である油そそがれたクリスチャンであることも分かります。(マタイ25:40)
さらに、ヤコブはこのベニヤミンについて、「ベニヤミンはおおかみのごとくしきりにかき裂く、朝には捕らえられた獲物を食い、夕べには分捕り物を分かつ」と預言しています。(創世記49:27)
この「朝」は1世紀のクリスチャン、「夕べ」は終わりの日における油そそがれた残りの者にあてはまります。
実例:
ヨセフ=イエス
ベニヤミン=油注がれたクリスチャン
(ヨセフの兄弟=キリストの兄弟)
②‐4.そして、もちろん、彼らの父親ヤコブはエホバ神を示していますが、さらに、確証する点として、彼らの実の母ラケルについては、
「…上なるエルサレムは自由であって、それがわたしたち(油そそがれたクリスチャン)の母です」と言われているとおり、彼女は忠実なみ使いたちの組織を適切に表わしていることが分かります。(ガラテア4:26)
さらに、ラケルは長い間うまずめでしたが、上なるエルサレムもやはりそうでした。
その点について、パウロは、「…喜べ、子を産まないうまずめよ。声を上げて高らかに叫べ、産みの苦しみのない女よ…」というイザヤ54:1の預言を彼女に適用しています。(ガラテア4:27、創世記30:1、22)
上記に関連して以下も解明できる:
父ヤコブ=エホバ神
母ラケル=上なるエルサレム
ヨセフ =イエス・キリスト
ベニヤミン =油注がれたクリスチャン
②‐5.上のように、イエス・キリストを中心に物語を解明していく時、レアとその息子たちについては何と言えますか。
彼女はラケルの実の姉妹であり、かつヤコブの妻として互いに張り合う関係にありました。それでも、彼女は欺きをもってヤコブと結婚関係に入ったのであり、疎まれていました。
では、ラケルによって示されている上なるエルサレムに対して姉妹のような同次元の存在で、かつ張り合う関係にあるものとは何のことでしょうか。
それは、エホバに不忠実な悪霊たちの組織であるに違いありません。彼らについて、「お前と女との間…に敵意を置く」とエホバ神は言われました。(創世記3:15)
さらに、彼らは偽りの主張をして論争を引き起こしました。それに対してエホバ神は彼らが一時的に人間を支配することをお許しになりましたが、
それでもやはり彼らはエホバ神に従属せざるを得ない立場にあります。彼らは主権者エホバの許しなくしては何一つ行なうことができません。(ヨブ1:11、2:5)
では、ラケルの姉妹レアの実体は?
ラケル=み使いたちの組織なら、
レア=悪霊たちの組織。
②‐6.ですから、レアによって表わされている悪霊たちの組織の息子たちとは、彼らが支配する人間の政治体制と関係があると結論できるでしょう。
ところで、レアの息子たちは6人で、また娘が1人いました。さらに詳しく調べてみると、最初の4人つまり、ルベン、シメオン、レビ、ユダについては、エジプト、アッシリア、バビロン、メディア・ペルシャに対応していることが分かります。
例えば、ヤコブは「シメオンとレビは兄弟である。その殺りくの武具は暴虐の器」と預言しました。(創世記49:5)
この表現はまさに、アッシリアとバビロンの暴力的な性格や互いの地理的歴史的関係などと大変合致しています。(「聖書に対する洞察」の「アッシリア」の項をご覧ください)
レア=悪霊の組織(天)なので、
その息子たち=人間の政治組織(地)
つまり、
ルベン=エジプト
シメオン=アッシリア
レビ=バビロン
ユダ=メディア・ペルシャ
②‐7.しかし、このヤコブの臨終の預言は「末の日」に成就することになっていました。(創世記49:1) では、終わりの日以降、このレアの四人の息子に該当する政治国家を識別できますか。
第一次、第二次世界大戦時の長子ルベンはドイツ帝国、兄弟同士のシメオンとレビは共産主義のソ連と中国、勝利者ユダは英米世界強国に当てはまります。
しかし、戦後はナチスが消滅したので、長子ルベンはアメリカ、兄弟同士のシメオンとレビはソ連(ロシア)と中国となりました。
さらに言えば、ユダはハルマゲドンにおける最終的な勝利者エホバ神とイエス・キリストでしょう。(啓示16:12)
上記は「末の日」にどう成就するか?
第一次・第二次大戦時
長子ルベン=ドイツ帝国
シメオン・レビ=ソ連・中国
勝利者ユダ=英・米
戦後に状況は変化した。
長子ルベン=アメリカ
シメオン・レビ=ロシア・中国
勝利者ユダ=エホバ・イエス
②‐8.また、古代の勢力構図からも興味深い洞察が得られます。
南のエジプトは最初のころ北のアッシリアと戦っていましたが、アッシリアは倒れてしまいました。その後からアッシリアの兄弟分のバビロンが勢力を強めて南のエジプトと対立し、ついには優勢になりました。(エレミヤ46:2)
これは、第2次大戦後の世界の勢力構図と同じです。冷戦時代に、南の王アメリカは北の王ソ連と競争しましたが、結局ソ連は倒れ、その後にソ連と同じ共産主義国である中国が勢力を強め、現在アメリカと競い合うまでになりました。
ですから、ダニエルが述べた現代の南の王アメリカに対立している現在の北の王はこの中国のことでしょう。
古代の勢力構図=現在の勢力構図
となっている
第二次大戦後:
エジプト 対 アッシリア=アメリカ 対 ソ連
冷戦後:
エジプト 対 バビロン=アメリカ 対 中国