全仏オープン2024 の観戦と「にし内科・呼吸器クリニック」の開院
25 期 西 耕一
私は過去に2016 年の全米オープンテニス大会、2019 年の全英オープンテニス大会を観戦しましたが、2024 年に全仏オープンテニス大会を観戦する機会を得ましたので報告します。全仏オープンテニス大会の開催都市であるパリは新婚旅行、家族旅行、研究会そして学会で過去に4回訪問したことがあるのですが、いずれも団体旅行でした。妻と二人きりのパリへの個人旅行は初めてなので、かなり緊張して旅立ちました。
2024 年5 月30 日に小松空港を出発し、羽田空港を経由して、同日シャルル・ド・ゴール空港に到着しました。空港からホテルまでのタクシーは定額制なので、安心して利用することができました。翌日の5 月31 日はホテルのブッフェで朝食をたっぷり摂りました。円安で現地の外食は高くつくので、昼食や夕食は日本から持参した食品で何とか凌ぎました。ローラン・ギャロスは郊外にあるので、交通費を抑えるために地下鉄で通いました。さて、午前中はもっぱら日本人選手の応援を行いました。アウトサイドコートの10 番コートでは穂積絵莉選手と二宮真琴選手が組んで出場した女子ダブルス1回戦が行われていました。相手は、L.Bronzetti 選手(イタリア)とK.Zimmermann 選手(ベルギー)のペアでした。どちらのペアもシードされておらず、実力は伯仲しているようでした。案の定、どちらに転んでもおかしくない試合展開となりました。最終的に7-6,2-6,6-3 で穂積・二宮ペアが勝利しました。試合後の穂積選手は機嫌もよく、私との写真撮影に応じてくれました(写真1)。午後からはセンターコートのフィリップ・シャトリエで上位シード選手のシングルスを観戦しました。男女とも3回戦で第1試合は女子シングルス:C.Gauff(米国、第3 シード)対D.Yastremska(ウクライナ、第30 シード)でした。D.Yastremska 選手は母国がロシアと戦争中であり、心身とも穏やかではない状況で試合に臨んでいるものと想像されました。
D.Yastremska 選手は観客の盛大な応援を背にして、大健闘しました。しかし、C.Gauff 選手はムラのある試合運びながらも、地力に優っており、6-2、6-4 で押し切りました。第2試合は男子シングルス:P.Kotov(ロシア)対J.Sinner(イタリア、第2 シード)でした。J.Sinner 選手は2024 年1 月の全豪オープンで4大大会初優勝を飾っており、最も勢いのある選手の一人です。サービス、ストローク、ボレーとも高速でコントロールも素晴らしく、どのショットでもポイントが取れました。究極のオールラウンドプレーヤーとはこの選手のことかと思いました。また、予測もよく、どのショットもワンテンポ早く待ち構えて、余裕を持って打っているために、全くミスる感じがしませんでした。高速で厳しいコースにコントロールされたショットがミスなく繰り出されるので、相手にしてみたら、たまったものではありません。6-4, 6-4, 6-4 でJ.Sinner 選手が順当に勝利しました。まだ第1 週のためか、相手のスーパーショットに対しては無理に拾いにいかず、余裕の試合運びでした。スコア以上に内容は完勝でした。今大会では準決勝で第3 シードのC.Alcaraz 選手に6-2, 3-6, 6-3, 4-6, 3-6 で激戦の末、敗れたのですが、大会後にイタリア人男子史上初の世界ランキング1 位に立つことが決まりました。第3試合は女子シングルスでI.Swiatek(ポーランド、第1 シード)対M.Bouzkova(チェコ)でした。I.Swiatek 選手は2020 年に全仏オープン初優勝を飾り、2022 年から2024 年の間、全仏オープン3連覇を飾るわけですが、全てのショットがハードヒットの闘志溢れるプレーぶりでした。この3回戦も6-4, 6-2 で相手を簡単に退けました。ただし、J.Sinner 選手の後に見てしまうと、I.Swiatek 選手の試合運びは、フォアハンド・ストロークのハードヒットにほとんど依存しており、サービスやボレーであまりポイントが取れないようでした。J.Sinner 選手に比べると少しプレーの幅が狭いような感じがしました。
2 日目はアウトサイドコートで1 日を過ごしました。日本人関連では9番コートで柴原瑛菜選手の女子ダブルス1回戦を観戦しました。柴原選手は中国のX.Wang選手とペアを組み第10シードになっていました。対戦相手はH.Baptiste選手とA.Parks 選手の米国人ペアでした。繰り出す球は米国人ペアの方がスピードもあり、回転量も多く、パワフルで、エースも多かったのですが、アンフォーストエラーも多く、結局ミスの少ない柴原・Wang ペアが7-5, 6-4 で競り勝ちました。試合後の柴原選手は私との写真撮影に応じてくれました(写真2)。柴原・Wang ペアはその後2回戦も勝利し、3回戦に進みましたが、第5シードのC.GauffとK.Sinakova(チェコ)のペアに4-6,4-6 で負けてしまいした。後日談となりますが、2025 年1 月の全豪オープンテニス大会では、柴原選手はロシアのV.Kudermetova 選手とペアを組み第11 シードで出場しました。全仏で組んだX.Wang 選手はS.Zheng 選手(中国)とペアを組み、偶然にも2回戦で対戦しました。柴原・Kudermetova ペアは1-6, 5-7 で中国人ペアに敗退しました(2025年1 月19 日)。
全仏オープンはアンツーカーコートで、従来は試合展開が遅く、何回もラリーが続くイメージでしたが、昨今のテニスの高速化は凄まじく、ハードコートに近い早い試合展開でした。また、フランス人選手への贔屓が凄まじく、コート内で楽器を使った応援がフランス人選手に対して行われていたことに驚かされました。
6 月1 日は、ルーブル美術館→オペラ座→オスマン大通り→凱旋門→シャンゼリゼ通りといったルートでパリ中心部を散策し、6 月2 日はエッフェル塔やナポレオンの墓(アンヴァリッド)を観光しました。アンヴァリッドは豪華な墓で、ナポレオンがフランス国民から尊敬され、愛されていることが窺えました。
追伸 2024 年12 月1 日に長年勤めた石川県立中央病院を退職し、12 月2 日から金沢市三社町で「にし内科・呼吸器クリニック」を開院しました。白楊会の会員の皆様の健康に少しでも貢献できれば幸いです。
写真1:西と穂積選手
写真2:西と柴原選手