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日立のロボティクス
日立のロボット開発の歴史
History of Hitachi's R&D in Robotics
日立はわが国でのロボット研究の草分けとして、今までに数多くの技術開発を行い、その広範な応用を通じて社会の発展に大きく貢献してきました。1970年の日立技術展で、計算機制御によるわが国最初の人工知能ロボットを公開展示して以来、歴史に残るエポックメーキングな技術を数多く発表し、これらの研究成果をいろいろな日立製品に応用展開しています。以下に、近年までに研究されてきたロボットに関する主要な研究成果を掲載します。
1963
サーボマニピュレータ
主主動側(右)と従動側(左)の二つの腕機構からなるサーボマニピュレータ。それぞれ7自由度を持ち、その間がバイラテラルサーボ機構によって電気的に接続される。制御には初めてトランジスタ駆動方式の制御装置が開発され、実用された。原子力施設における放射性物質の取扱い用として開発され、性能と信頼性で注目を浴びた。
1970
人工知能ロボットシステム
マクロな指令に応じて,外界に適応しつつ多様な作業を実行する初めての統合型知能ロボットとして1970年の日立技術展で一般公開され,わが国における計算機制御によるロボット研究の先駆けとなった。組立図面を見ながら,作業の目的を理解し、机上の3次元物体(積み木部品群)から,個々の形状・位置・姿勢を認識し、組立に必要な部品を判断し,図面通りに組立てていくための手の動作手順を,自動生成する能力を持つ。
1972
プリント基板検査装置
視覚技術の世界最初の工業応用。目視官能検査を自動化する装置であり、今では傷認識技術の原点として評価されている。TVカメラから入力される刻々の画像から、実時間で傷を発見するもの。パターンを拡大縮小しつつ異常を発見する標準パターン自己創生型の処理アルゴリズムに特徴がある。当時の日立の最先端ICテレビ「ポンパ」の基板検査に実用され、その評価を高めた。
1973
自動ボルト締緩ロボット
視覚・触覚を用いた初の工業用知能ロボット。コンクリート型枠用のボルトの自動締緩を行う。1974年,米国IR-100 Award受賞。1982年,米国SME:Outstanding Developments of SME's Half Centuryに選定された(1973年度分)。
特 徴
移動する型枠側面のボルト・リブ・タイヤを実時間で高速に認識する視覚技術、
視覚による認識結果を触覚によって再確認し補完する技術、が特徴的。
1973
全自動トランジスタ組立システム AWE
パターン認識による世界最初の全自動トランジスタ組立システム 。0.4mm角~0.6mm角程度の微小なトランジスタチップに対し,その表面パターン画像から電極位置を自動認識し,そこと外部リード端子との間を金線によって自動配線。
50台の組立機を計算機により群制御し生産を実施。電極位置認識時間は最短0.066秒。その後、IC, LSIなどの自動組立に技術展開された。
1975
溶接ロボット「ミスター・アロス」
国産初のアーク溶接用ロボット。昭和50年(1975年)度日刊工業新聞社10大製品に選ばれた。現在の産業ロボットと同等の機能を有する上に、当時としては画期的な機能である近接型磁気センサによるティーチ軌道自動修正機能を有していた。
特 徴
形式:直交座標型6軸ロボット
駆動方式:電気油圧サーボ方式
1975
精密はめ合いロボット HI-T-HAND Expert 2
組立作業の中でも、とくに作業者の熟練を要するミクロンオーダの精密はめあい作業を自動化するため、ロボットの柔軟手首機構と力感覚制御により,はめあい対象物の穴位置探索と挿入動作を行う制御方式を開発した。
はめ合い対象の径が数10mm,隙間10μmの圧縮機やモータ固定子の自動組立を達成。
1982
自走式マニピュレータ
伸縮機能を備えた5足の移動機構に6自由度のマスタ・スレーブタイプのマニピュレータを搭載した自走式のマニピュレータ。この5足の伸縮機能により、段差、スロープ及び階段の昇降を可能としており、作業が必要な場所に、遠隔でスレーブマニピュレータを運んで作業を実現できる。
1983
知能移動ロボット
クローラ型の自律型知能移動ロボットとして、1984年(昭和59年)日立技術展に出展した。
特 徴
形状可変形クローラ機構と走行環境センシングによる階段、段差の自律踏破
パターンマッチング方式画像認識により走行路面を識別し建屋内を自律走行
力制御機能を持つ6軸マニピュレータによりドア開閉等の自律作業実施
1984
壁面移動ロボット
球形ガスホルダ溶接部の遠隔検査を目的に開発された国内初の壁面移動ロボット。このロボットは、円形の内外フレームの組み合わせから成り、片フレーム8個、合計16個の真空吸盤を備えている。ロボットの移動は走行、旋回により行い、内側に搭載した超音波プローブのX軸、Y軸の走査により、超音波探傷試験を実施できる。
1984
半導体ウェハ外観自動検査装置
視覚技術の工業応用として、世界に先駆けて完成したIC,LSI用のウェハ外観検査装置。IC,LSIなどの設計パターンから実時間で画像を展開しつつ、実画像と比較する設計パターン参照方式を採用。この方式はその後、世界の標準方式となった。当初は社内応用に限って装置を製造していたが、後に一般にも市販。当時のメモリーなど、最先端半導体のウェハ検査に実用され、日本の半導体の信頼性への評価を一挙に高めた。
1985
掃除ロボット HCR-00
昭和58年(1983年)より、開発に着手。昭和60年(1985年)に、世界最大の家電専門国際見本市であるドイツ「ドモテクニカDomotechnica)」に試作機を出品。
特 徴
超音波レーダーとジャイロを用いた位置検出機構
障害物地図と走行地図を作成し、部屋内をくまなく清掃
1985
二足歩行ロボット WHL-11
早稲田大学との共同開発による二足歩行ロボット。
WHLはWaseda-Hitachi-Legを意味する。2足歩行ロボット開発へのメーカー参入第一号。筑波万国博EXPO'85での政府館に展示した。
特 徴
動力源(電源)以外の全ての機能をロボット本体に搭載した自立形2足歩行ロボット
全高:1.4m、脚長:0.9m、質量:120kg
油圧駆動:全12自由度(各脚6自由度)
準動歩行(1歩約10秒)で安定に移動。万博期間中60km以上を無事故で踏破。
1986
配管内点検ロボット
複数の球体をフレキシブルカプリングで連結することで、屈曲部のある配管内を移動して検査することが可能な配管内検査用ロボット。球体は、駆動用、誘導用、センサ用等の各種機能を持つものを複数準備し、用途に応じて任意に編成して、各種検査作業に対応可能。
1990
四脚動歩行ロボット
通商産業省(現経済産業省)大型プロジェクト「極限作業ロボット」(1983~1990)に於いて、原子力プラント内での床面移動技術の要素技術として開発したプロトタイプ。
特 徴
脚長:0.9m、総質量:300kg
関節:24自由度、内12自由度が油圧駆動
動歩行により平地を移動: 最大歩行速度:2.5km/h
階段、段差を静歩行にて踏破
1990
極限作業ロボット
通商産業省(現経済産業省)大型プロジェクト「極限作業ロボット」(1983~1990)に於いて、原子力プラント内作業を目標として開発したトータルシステム。日立はこの内、脚移動機構を開発した。
特 徴
寸法質量:1270L×715W×1880H、約700kg
移動方式 関節型4脚歩行方式(電動駆動)
自律に支援された遠隔操作ロボット
階段、堰、扉の通過が可能
1991
自律再構成型双腕マニピュレータ
このマニピュレータは、双腕型の多関節マニピュレータであり、関節要素及びハンドが交換できる構造となっている。
アームの関節数や関節配置を変更して、配管などの障害物を自動的に回避したり、作業内容に応じてハンドを自動交換できるという特徴がある。
1991
小型監視点検ロボット
原子炉格納容器内のように、プラント運転中は人が立ち入ることが困難な場所の監視を可能とした小型監視点検ロボット。
ロボットには、ズーム付TVカメラ、赤外線カメラ、マイクロフォンなどの各種センサを搭載し、狭い場所でも移動・監視が可能なように小型化が図られている。
1992
磁気クローラ式検査ロボット
原子炉圧力容器などの壁面に吸着しつつ移動して、超音波探傷試験を行うロボット。
ロボットの自重を、壁面に吸着する磁石片全体に分散して伝達する「負荷分散型磁気クローラ機構」を用いることで、ロボットの壁面吸着力を高めている。
小型化・高速化が容易で、軌道が不要なことから、検査範囲の拡大を図ることが可能。
1995
脳外科手術支援システム HUMAN
患者への負担を小さくする低侵襲手術支援システムとして、直径10mmの外筒内に3本の微細マニピュレータ(直径3mm、3自由度、先端位置決め精度20μm)と内視鏡(直径4mm)とを備える脳外科用手術支援システムを開発し、2002年8月、脳外科手術分野で世界初の臨床試用に成功。
1997
MFD ロボットアーム
飛行実証試験用シャトル搭載システムのロボットアーム。日本実験棟「きぼう」向けのロボットアームの事前実証試験として、スペースシャトルで1997年に打上られ、宇宙空間で所期の成果を得た。細密作業ロボットとしては世界初の宇宙ロボットアーム。(写真はNASA/JAXA提供)
特 徴
スペースシャトルに搭載し、約2週間、宇宙空間で細密作業のデモ試験を実施
スペースシャトル船内からの宇宙飛行士の遠隔操作により、ドア開閉・機器交換作業や地上からの遠隔操作実験を実施
全長1.5m、6関節型
2001
原子力防災ロボット SWAN
屋外からの遠隔操作で災害現場へ移動し、復旧作業支援を行える原子力防災ロボット。
特 徴
可変形状型クローラおよび複数種のセンサにより、狭あいな建屋内の通路、階段、段差、堰等の走行を実現。
立体視対応全体監視カメラと作業用ツール搭載カメラにより、作業性向上。
遠隔自動交換可能な特殊専用ツールを複数台搭載し、作業囲を拡大。 ドア開け、バルブ操作から特殊試料採取作業までの幅広い作業に対応。
2001
情報遠隔収集ロボット RESQ
原子力施設での事故発生時、人に代わって事故現場の様々な情報を収集するための情報遠隔収集ロボット。役割に応じて使い分けるよう、下記の3種4台のロボットから構成される。
RESQ-A(初期情報収集用)
小型軽量で人が持つこともでき、初期情報を迅速に収集する。
RESQ-B(詳細情報収集用)
40°階段などを踏破し、放射線量、温湿度、距離、風向・風速など、多種多様な計測を行う。
RESQ-C(試料等情報収集用)
2本のアームを使用して、気体、液体、個体の試料採取などを行う。
2001
JEM 子アーム
国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」のための子アーム。軌道上で既に一部建設が進められている国際宇宙ステーション上に、日本実験棟「きぼう」向けのロボットアームとして開発。2007年スペースシャトルで打上。(写真はJAXA提供)
特 徴
宇宙ステーション上で10年以上運用される国内初の細密作業ロボットアーム
「きぼう」船内からの宇宙飛行士の遠隔操作により、船外での宇宙実験に活用できる
全長1.9m、質量200kg、6関節型
2002
2ベルト式シニアトレーナー PW-21
シニア向けの歩行訓練機。訓練者が歩く歩行部を左右に分かれた2本のベルトで構成し、2本のベルトを独立に動作させる。ベルトの動作モードには、設定した速度で動く定速モードと訓練者の蹴り力に追従する負荷モードがある。これにより、症状に合わせた歩行訓練が可能である。また、片方のベルトを急発進・急停止させて転倒刺激を発生することにより、転倒予防訓練を行うことができる。
2002
内視鏡把持装置 Naviot
本装置は、執刀医自身が術具を持ったまま内視鏡保持と視野の移動を行うことで、より効率よく内視鏡下手術を進めることを可能にするものである。
特 徴
術者による内視鏡視野の移動が自在
安定した視野を提供
動作中の体内深部方向への移動がない安全設計
ズーム機能により内視鏡先端の汚れの付着を抑制
既存の内視鏡にも対応可能
2003
電動アシスト歩行機
脚力が低下した方の歩行を電動でアシストする歩行機である。使用者がサポータを持って歩こうとすると、内蔵の力センサで進む方向を検知し、左右のモータを独立に制御して使用者に合わせて移動する。装置の動き易さを調整できるので、使用者の歩行能力や症状に合わせて歩行を補助することが可能である。さらに、電動の昇降機能により椅子やベッドからの立ち上がりや着座を補助することができる。本装置NEDOの委託を受けて開発したものである。
2003
掃除ロボット HCR-03
2003年5月に試作機の技術発表。日本の家屋に合った世界最小「直径250mm」のコンパクトボディ。 部屋の隅々までとどく「可動吸口」を採用し、掃除機としての実用性を徹底追及した。
特 徴
「自動地図生成機能」と「スパイラル走行パターンによりゴミ残しの少ない走行を実現
「充電ごみ捨てステーション」との自律ドッキング機能により、約1ヶ月間ごみ捨て不要